玉型変更その3925silver

20.09.29

眼鏡のマイブームがブルバキにきています。おっ、ブルバキが今日も変なことを言っているぞ。というわけで、完全に平常運転に戻りました。

サンプラチナのツーポ、もう一つ玉型変更してみました。ボストンと昨日の四角いアレで、大分満足していました。ところが昨日の夜、布団に入って「もう終わりか?」と、声が聴こえてきました。おそらく、村上隆の芸術闘争論を読んだばかりで、それに影響されたんでしょうけど、もっと圧力をかけたいなと。出来たと思ったところからもう一発、さらに踏み込めと。うーん。

ツーポの玉型変更は、フルリムに比べたら加工の手間もぼちぼち掛かります。穴をあけるので。それ以上に玉型の変更に応じてあれこれのパーツの調子の取り直しがあるので、手間です。だからこそ、そこで億劫がらずにやり切るということで、もう一丁加工しました。

しかし、もう一丁加工するにしても、ブリッジのパーツに合いそうな形で、且つ自分がグッとくる形というのもそうはありません。そこで困ったときの数学的思考とやらですが、定義に還るということをしました。つまり、オリジナルのレンズシェイプを採用してみました。

そもそも、このブリッジを再現した意図からおさらいです。写真上段の80年代のダンヒルのブリッジを無垢で再現し、保存できる形式にするというのがまず念頭にありました。このブリッジには1930年代以前のディテールに、80年代特有のカクカクした意匠が含まれております。数多のメガネを見てきましたが、一番好きかも的な非常に感動するブリッジでした。ですからそこに不変性を加えることで、消耗品から昇華させたかったというのが、この再現の意図です。不変性に寄って帯びる美しさがありますから、それを見てみたかったわけです。

ブリッジに対してはそういう想いだったんですが、フレーム全体の雰囲気は、どうもゴージャス過ぎて、個人的にはいまひとつな感覚でした。このフレームが生まれたタイミングがそうさせたんでしょうけど、もう少し今の流行りといいますか、クラシックな要素、漢字だと普遍の方の要素を加えることで(普遍も、もちろん不変であるから普遍なんですが)、折角ブリッジ単体がそれを成し得ているわけですから、フレーム全体でも融合してオールラウンドな雰囲気に振ることが出来ないかなと考えていました。それで昨年からアレコレ様々な箇所を操作して、今年は問い合わせが多かったツーポでさらにレンズシェイプを操作をしています。そして、それがマイブームです。

それで話を戻します。そもそもオリジナルのレンズシェイプの何がいかんのだと、改めて観察することで思い至りました。その時代の雰囲気に沿って、ややレンズが大きいだけで、この形自体がゴージャスさを醸し出している訳では無いなと。ゴージャスさは、智とプレスの装飾に依るなと。そこで、レンズ幅を45ミリに縮小して用いることにしました。元は49ミリなので、オリジナルからマイナス4ミリ縮めています。

トップの写真が完成品ですが、パーツとの相性等々、やっぱりオリジナルレンズシェイプが一番バランスが良い気がします。どうでしょうか?バランスが良いこととカッコ良いことは、上層部の方で一致しないことも多々ですから、玉型変更した中でどれが優れているのか、つまり総合的な一番はどれかという、その決断は下し難いところです。しかしバランスのトップは、昨日の四角でも、ちょい前のボストンでも無く、コレでしょうね。それを確認出来て、本当に良かったと思います。確認しないといけなかったんだと、分かりました。

オリジナルと比較して。リム上端とブリッジのカクンと落ちるラインのバランスも、今回のレンズサイズの方が良い気がします。ブリッジ上端も、レンズの天地が短くなる関係で一層飛び出ました。これも良いです。三日月メガネみたいな、リーディンググラスっぽい渋さが出ています。

それで、まだ届いていませんが自分のはどうするのって話が、より難しくなりました。

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