カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

段取り8割
ヴィンテージのメガネ

24.03.18

USS の下ごしらえでした。左右同じ薬研カーブの枠入れをしたいので、不良在庫の黄ばんでしまっているプラスチックレンズで同度数のペアを削って、フロントの反り具合をみてみました。

普段はそこまでしないんですけど、今回はテンプルのガタつきが1センチくらいありまして、どこからガタついているのかハッキリさせたくて、ジャブでダミーレンズを削りました。結果はフロントは関係なさそうで、テンプルから角度を直すしか無さそうです。

元のネジが刺さらなくなるので、1.4ミリに拡張して日本製のマイナスネジを挿しなおしています。

反対側の蝶番は、当たりに偏りがあったので、とりあえず調子を取って本番に備えています。

優美
ヴィンテージのメガネ

24.03.10

エレガントの方ざます。ユミとかじゃないです。

これ良かったんですよね。在庫は金色も銀色もまだあります。

エッセルなのでフランス製です。

ヴィンテージメガネのマニアでは無くても、カッコいいと言って頂ける機会が増えました。ウェリントンやボストンの次どうしようかなぁ問題への回答として浮上してきたツーブリッジであるということからでしょうか。業界的には、満を持してって感じもします。この8年の間に何度か、次はツーブリッジ、次こそはツーブリッジ、いま狙うのはツーブリッジみたいな雑誌の記事が沢山ありました。

 

フランスが手を加えると、ツーブリッジもタフガイ感が減らされてちゃんとエレガント系になります。

エッセルはとくに横が良いんです。線が細いのにグラマーなんですよね。

ヴィンテージメガネが好きな方でしたら、ブリッジの造詣で直ぐにピンと来ていたかもしれません。ローデンストックのトロ(TORRO)の顔しています。ローデンストックはドイツのメーカーです。なんちゃってTORROなフレームです。

なんちゃってフレームの面白さの一つとしまして、トロが本家だとしたときに、この本家との間や距離から時代の雰囲気が嗅ぎ取れるところがありますね。フランスもドイツをやらざるを得なかったんだなぁという驚きと、やっぱりローデンのトロって時代を牽引していたんだなぁという感銘と様々です。

個人的には、本家よりも好きです。時代的にはエッセルはナイロールで優美さ=軽やかさをウリにしていた時代だと思われます。それは、当時のHOYAの店舗向けの会報を見ても、間違い無いです。

お得意のナイロール機構を手放し、尚且つタフガイなドイツのツーブリッジデザインを基に、フランスのエッセルが挑んだというストーリーは、物の背景として心に刺さります。ドイツのツーブリッジって響きだけで、キッチリかっちりの極致みたいな印象を受けます。堅い×堅い=めっちゃ堅いなわけで。それを葦でくすぐって柔らかくしたのが、今回のフレームということでしょう。

そういうごちゃごちゃを除いても、あれこれ変え過ぎて本家と別物に見えるようになってしまっているわけでも無く、変えなさ過ぎてそっくりさんなわけでも無く、要所要所の変更具合が絶妙です。だからそっくりさんフレームでは無くて、なんちゃってフレームなんです。

それでいて、そこにあるだけで表出されるかっちりキッチリしているのにちょっと軽やかな雰囲気、でも軽すぎないバランスが良いです。元ネタに足した優美さがちょうど良いのかなと思っています。コムデギャルソンのジャケットに近い感覚です。ポテトチップスで当てはめればプリングルズって感じです。チップスターだとちょっとライトなので。プリングルズはずっとプリングルスだと思っていました。そしてチップスターの梅味めっちゃ美味いです。話が逸れはじめたので終わります。

ハーフミラー
ヴィンテージのメガネ

24.02.09

ハーフミラー(シルバー)がカッコいいので、どうしようかなと思いまして、敢えて天地浅めのフレームに枠入れしてみました。ほぼミラーで、赤チラ見せくらいに設定してみました。

ポルタロマーナというメガネで、元ネタはカルティエです。これは言い逃れ出来ないレベルです。

オリジンではない方、にせものの方がカッコよくなってしまうことは往々にしてあります。その辺を愛せるようになると、そのゾーンの通みたいな風潮もありますしね。個人的には、オリジンと同じ方向に持っていくとずっと二番手のイメージが付き纏うので、別方向に持っていくとカッコ良くなりやすいのかなと考えております。

オリジンより智の作りがゴツくて、この玉型でウッドテンプルというのが愛すべきポイントです。作りの点で推せるポイントが十分にあります。あとは醸し出せる雰囲気が違えば、胸張ってこれが好きと言えるかなと思いまして、レンズでちょい足ししました。

ゴージャス路線はオリジンの特権ですから、ミラーでスポーツ感を足してみて2000年頭くらいの軽快な感じに振ってみました。天地が浅いので、レンズ変えるだけでイメージが激変しました。例えるなら、スニーカーの白メッシュで銀みたいな雰囲気になった感じです。

今まででこれ一本のみ
ヴィンテージのメガネ

23.12.12

アダムアンドイブのメガネです。

家でコーヒーカップを使っているので気付けました。陶器のブランドです。そこから派生して、服やメガネもあれこれやっていたみたいです。アダムアンドイブのホームページがあるので、そこが詳しいです。ドンピシャ世代は私よりもっと上の世代のはずで、60代くらいなんですかね。

このブリッジがとてもカッコ良いんですよね。ただ高い位置にあるだけではなくて、厚みの具合とかリムに向かって滑らかな処理がされていたりとかいろいろで、とにかく綺麗です。このブリッジがまず目に付いて他はごちゃごちゃ無く、このブリッジこそ一番のご馳走ですよと、ハッキリしている感じが潔いです。

智の周辺の処理も良いです。段差をつけて、リムを強調しつつ智はボリュームが減ることで、フレーム全体が優しく見えるようになっています。

54ミリのレンズサイズや、ナス型とかオート型と呼ばれるフレームの派生的なデザインと捉えられることから察するに、80年代のフレームと思われます。ただ、アダムアンドイブのホームページの年表を確認しますと、1988年にメンズファッションの発表とありますから、メガネもそれくらいかもしれません。80年代の後半以降で90年代の線もあるかもです。

ロゴの入り方が左右非対称で片側だけなのも、80年代メガネに多い傾向です。アップル製品の刻印サービスみたいなロゴの入り方で、なんか良い感じです。

ちなみに鼻盛り部分のみ黄ばんで痩せていました。ブリッジが狭く十分顔に乗せられると判断して、ひとまず鼻盛りを除去しています。それでちょっと前の、ゴージャス路線になる前のカトラーアンドグロスみたいな雰囲気になりました。

迷ったらデカい方
ヴィンテージのメガネ

23.09.25

銀色の方が入ったのは初めてだったかもです。

アマナイメージズでゴルバチョフで検索すると、このモデルの銀色を掛けている画像があります。このときすでに、西側のメガネを掛けていたんですね。

素朴なカザールです。西ドイツ刻印が入っています。

その他カザールがぼちぼち入ったおかげで、昨年の年末に仕入れした分の価格が均せました。あれこれちょっとずつ下げています。このゴルバチョフモデルもその1本で、昨年末は金色を入荷させていました。

この時代の凄まじいところは、このデザインで2サイズ作っているところです。

銀は60□14で、金は57□13でした。現代の感覚ではどっちにしろデカくないっすか?という感じでしょうけど、それはレンズサイズだけです。レンズとレンズの中心距離(fpd)がそれぞれ74ミリと70ミリでして、74ミリは大きめですけど70ミリは割といまっぽいサイズ感(fpdの観点で)です。例えば46□24のメガネを想像してみてください。それか、他社のアレですけどゾフさんのヌートバー選手着用の黒セルが46□24です。レンズの大きさ単体で見るのではなくて、レンズの中心同士で測った距離でメガネをみると、70ミリというのは案外コンパクトです。

好きなカラーとか掛けた感じで選ぶのが一番なんですけど、迷ったらデカい方がカッコいいです。カザールは、迷ったらデカい方です。ただ、レンズサイズが大きいため凸でも凹でも度数が強い場合は小さい方が良いですね。

 

余白
ヴィンテージのメガネ

23.09.19

シルエットのヴィンテージです。

フロントは微妙にカクカクしていますけど、オーソドックスのギリ範疇では無いでしょうか。普通の、ウェリントンとか四角っぽい形です。ブリッジも控えめです。

テンプルの大胆な余白を作るために、まず大きな幅が与えられています。ご覧の通り一般的なテンプルよりも幅を足された上で、中身をくり抜いています。やはりこれも足してから削ぎ落としているんですけど、それが抜群でした。この余白がデザインのメインですよと、それってめっちゃ天才の考えるやつって思うわけです。メガネは特に体積も表面積も小さいので、この発想は凄いなと思いました。

それにメガネ以外でも共通してあることだと思いますが、軽やかな雰囲気にしたり、抜きの加工を施したり云々をすると生じがちな、安っぽさみたいなものが微塵も感じられません。そういうのヨーロッパ上手いなすごいなと思います。

何となくですけど、テンプルのロゴとその周辺の雰囲気とか、全体の気品もあって爽やかな雰囲気とか、資生堂のAusleseに似ていると思いました。レンズをエメラルドグリーンにしたらとくにAusleseだと思います。

こんなにも無いということで、強い主張が生まれるのだなと感動したフレームでした。

張り切って紫のレンズを入れてしまいました
ヴィンテージのメガネ

23.09.12

ヨージヤマモトのフレームです。

このメガネがヨージヤマモトの服とリンクしているのか、それは存じていないんですけど、当時はゴルチエと同じメーカーの製造ということでそこに近い雰囲気です。バネとかネジとかそういう具体的なモチーフが使われていないのがヨージヤマモトのフレームで、使われているのがゴルチエというざっくり簡単な認識です。

左テンプルにだけ、型押しのロゴが入ります。控えめです。そこが良いですね。

ブリッジ裏にリムのネジが仕込んであります。そのおかげで左右の智の立体構造だけが綺麗に浮き出てきます。とても素晴らしい配慮です。目立つ構造の裏に、その目立つ構造のみが視界に入るようにする目立たない配慮が潜んでいます。

なんとなくの感触ですけど、ヨージのメガネの方が物が少ない気がしています。ゴルチエは結構出会いましたけど、そういえばヨージは在庫としては初めてな気がしています。お持ち込みは何度かありましたけど。それも少ないです。このあたりと同時期の雑誌モードオプティークを眺めてみても、ゴルチエは多々掲載がありますけど、ヨージはほとんど無かった記憶です。

これにナイキを合わせたら90年代の再現ですし、これにアシックスを合わせたらネオ90年代になれますね。オーバルとオーバル亜種みたいなフレームが私も作りたくなってきています。

ルーシャネのグラサン
ヴィンテージのメガネ

23.09.12

シャネルのヴィンテージは初めてですね。

横長で、ちょっといかっている感じです。

何となくシャネルの現在が気になって、オフィシャルを覗いてみました。現行でも似たようなのは継続していました。レンズの形が微妙に異なって、もう少し天地が広く、幅は狭いです。あとはロゴにパールがびっしり付いています。

状態はデッドストックでほぼ完璧なんですけど、擦れで2ミリほどメッキが薄い部分があります。よく見るとそこだけ銀色っぽいです。

右半分の下側にちょこっとあります。剥がれではなく擦れなので、かなり分かりにくいです。

 

大体15年くらい前に、名古屋の伏見でバイトをしていました。朝の6時半前くらいだったと記憶していますが、大甚の店主さんが店前の歩道を掃いている姿をよく拝見していました。そのとき掛けていらっしゃったメガネが、今回のものとはやや異なるんですけど、似たようなシャネルのゴツい黒セルでした。

メガネのインパクトや、ブランドロゴの力強さもそうですし、居酒屋の店主が早朝に路上の掃きそうじって、一体いつ寝ているんだ!?というあれこれで、未だに頭に映像がこびりついています。

まあ全然関係ない話だったんですけど、シャネルの黒いゴツいセルはカッコいいです。とくに私の中では記憶の補正が掛かってレジェンドです。

そういえばこういうのあんまり無いですね
ヴィンテージのメガネ

23.09.10

オーバルのフレームなんですけど、鼻側の盛り具合とかレンズをちょっと垂れ目にするだけで、なんとなく素朴なオーバルとは違う雰囲気が出せています。おそらく、鼻眼鏡のフィンチっぽい雰囲気です。

フィンチの形となりますと、ヴィンテージを通り越してアンティークですから、なんだか重たい雰囲気を纏うようなものですが、そこは色でバランスを取ってあって、クリアブルーでめっちゃ軽やかです。

セル手のサーモント
ヴィンテージのメガネ

23.09.02

ローデンストックが続きます。

眉毛の量が少なく、テンプルも厚みがないです。茶色のようなセルも透明感のあるものが使われています。そんなこんなでこのサーモントもさっきのMAYAと同じく威厳がドシンと出るサーモントではないです。きっちり真面目さんくらいな程よい堅さの印象付けができる1本です。セル手タイプのサーモントです。

こっちの方がレストアに時間がかかりました。

隙間の量が微妙に違います。ネジを外してみましたが、やはり左のネジ穴がセルで隠れています。右下方向に0.2・0.3ミリ程度だと思われます。とはいえ眉パーツのネジ穴から下方向の余白が1ミリもないので、穴を広げて対応するというのも何だかなあということになります。

そこでテンプル側から削りを広げてみました。これはこれで極薄なので慎重に削りを入れました。そしてあともう一押しという頃合いで、溝を削ってフロントと眉パーツの位置を合わせました。

眉毛がリムに掛かると、加工したレンズのコバが眉毛パーツに干渉します。無理やり枠入れすると、パーツが穴から切れてしまいます。とりあえず日本人は近視で凹レンズだろうということで、レンズ後面側だけ削り、リムにはみ出さないように処理しています。遠視や老眼で凸レンズの場合は、またそのときに削ります。

これは右レンズ側も行っています。ちなみに写真は左レンズ側で上が削る前、下が削った後です。

朝ドラの舞い上がれで、社長の右腕の笠巻さんがこんな感じのセル手のサーモントを掛けていまして、ちょうど良いなあと思っていたところでした。

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