カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

迷ったらデカい方
ヴィンテージのメガネ

23.09.25

銀色の方が入ったのは初めてだったかもです。

アマナイメージズでゴルバチョフで検索すると、このモデルの銀色を掛けている画像があります。このときすでに、西側のメガネを掛けていたんですね。

素朴なカザールです。西ドイツ刻印が入っています。

その他カザールがぼちぼち入ったおかげで、昨年の年末に仕入れした分の価格が均せました。あれこれちょっとずつ下げています。このゴルバチョフモデルもその1本で、昨年末は金色を入荷させていました。

この時代の凄まじいところは、このデザインで2サイズ作っているところです。

銀は60□14で、金は57□13でした。現代の感覚ではどっちにしろデカくないっすか?という感じでしょうけど、それはレンズサイズだけです。レンズとレンズの中心距離(fpd)がそれぞれ74ミリと70ミリでして、74ミリは大きめですけど70ミリは割といまっぽいサイズ感(fpdの観点で)です。例えば46□24のメガネを想像してみてください。それか、他社のアレですけどゾフさんのヌートバー選手着用の黒セルが46□24です。レンズの大きさ単体で見るのではなくて、レンズの中心同士で測った距離でメガネをみると、70ミリというのは案外コンパクトです。

好きなカラーとか掛けた感じで選ぶのが一番なんですけど、迷ったらデカい方がカッコいいです。カザールは、迷ったらデカい方です。ただ、レンズサイズが大きいため凸でも凹でも度数が強い場合は小さい方が良いですね。

 

余白
ヴィンテージのメガネ

23.09.19

シルエットのヴィンテージです。

フロントは微妙にカクカクしていますけど、オーソドックスのギリ範疇では無いでしょうか。普通の、ウェリントンとか四角っぽい形です。ブリッジも控えめです。

テンプルの大胆な余白を作るために、まず大きな幅が与えられています。ご覧の通り一般的なテンプルよりも幅を足された上で、中身をくり抜いています。やはりこれも足してから削ぎ落としているんですけど、それが抜群でした。この余白がデザインのメインですよと、それってめっちゃ天才の考えるやつって思うわけです。メガネは特に体積も表面積も小さいので、この発想は凄いなと思いました。

それにメガネ以外でも共通してあることだと思いますが、軽やかな雰囲気にしたり、抜きの加工を施したり云々をすると生じがちな、安っぽさみたいなものが微塵も感じられません。そういうのヨーロッパ上手いなすごいなと思います。

何となくですけど、テンプルのロゴとその周辺の雰囲気とか、全体の気品もあって爽やかな雰囲気とか、資生堂のAusleseに似ていると思いました。レンズをエメラルドグリーンにしたらとくにAusleseだと思います。

こんなにも無いということで、強い主張が生まれるのだなと感動したフレームでした。

張り切って紫のレンズを入れてしまいました
ヴィンテージのメガネ

23.09.12

ヨージヤマモトのフレームです。

このメガネがヨージヤマモトの服とリンクしているのか、それは存じていないんですけど、当時はゴルチエと同じメーカーの製造ということでそこに近い雰囲気です。バネとかネジとかそういう具体的なモチーフが使われていないのがヨージヤマモトのフレームで、使われているのがゴルチエというざっくり簡単な認識です。

左テンプルにだけ、型押しのロゴが入ります。控えめです。そこが良いですね。

ブリッジ裏にリムのネジが仕込んであります。そのおかげで左右の智の立体構造だけが綺麗に浮き出てきます。とても素晴らしい配慮です。目立つ構造の裏に、その目立つ構造のみが視界に入るようにする目立たない配慮が潜んでいます。

なんとなくの感触ですけど、ヨージのメガネの方が物が少ない気がしています。ゴルチエは結構出会いましたけど、そういえばヨージは在庫としては初めてな気がしています。お持ち込みは何度かありましたけど。それも少ないです。このあたりと同時期の雑誌モードオプティークを眺めてみても、ゴルチエは多々掲載がありますけど、ヨージはほとんど無かった記憶です。

これにナイキを合わせたら90年代の再現ですし、これにアシックスを合わせたらネオ90年代になれますね。オーバルとオーバル亜種みたいなフレームが私も作りたくなってきています。

ルーシャネのグラサン
ヴィンテージのメガネ

23.09.12

シャネルのヴィンテージは初めてですね。

横長で、ちょっといかっている感じです。

何となくシャネルの現在が気になって、オフィシャルを覗いてみました。現行でも似たようなのは継続していました。レンズの形が微妙に異なって、もう少し天地が広く、幅は狭いです。あとはロゴにパールがびっしり付いています。

状態はデッドストックでほぼ完璧なんですけど、擦れで2ミリほどメッキが薄い部分があります。よく見るとそこだけ銀色っぽいです。

右半分の下側にちょこっとあります。剥がれではなく擦れなので、かなり分かりにくいです。

 

大体15年くらい前に、名古屋の伏見でバイトをしていました。朝の6時半前くらいだったと記憶していますが、大甚の店主さんが店前の歩道を掃いている姿をよく拝見していました。そのとき掛けていらっしゃったメガネが、今回のものとはやや異なるんですけど、似たようなシャネルのゴツい黒セルでした。

メガネのインパクトや、ブランドロゴの力強さもそうですし、居酒屋の店主が早朝に路上の掃きそうじって、一体いつ寝ているんだ!?というあれこれで、未だに頭に映像がこびりついています。

まあ全然関係ない話だったんですけど、シャネルの黒いゴツいセルはカッコいいです。とくに私の中では記憶の補正が掛かってレジェンドです。

そういえばこういうのあんまり無いですね
ヴィンテージのメガネ

23.09.10

オーバルのフレームなんですけど、鼻側の盛り具合とかレンズをちょっと垂れ目にするだけで、なんとなく素朴なオーバルとは違う雰囲気が出せています。おそらく、鼻眼鏡のフィンチっぽい雰囲気です。

フィンチの形となりますと、ヴィンテージを通り越してアンティークですから、なんだか重たい雰囲気を纏うようなものですが、そこは色でバランスを取ってあって、クリアブルーでめっちゃ軽やかです。

セル手のサーモント
ヴィンテージのメガネ

23.09.02

ローデンストックが続きます。

眉毛の量が少なく、テンプルも厚みがないです。茶色のようなセルも透明感のあるものが使われています。そんなこんなでこのサーモントもさっきのMAYAと同じく威厳がドシンと出るサーモントではないです。きっちり真面目さんくらいな程よい堅さの印象付けができる1本です。セル手タイプのサーモントです。

こっちの方がレストアに時間がかかりました。

隙間の量が微妙に違います。ネジを外してみましたが、やはり左のネジ穴がセルで隠れています。右下方向に0.2・0.3ミリ程度だと思われます。とはいえ眉パーツのネジ穴から下方向の余白が1ミリもないので、穴を広げて対応するというのも何だかなあということになります。

そこでテンプル側から削りを広げてみました。これはこれで極薄なので慎重に削りを入れました。そしてあともう一押しという頃合いで、溝を削ってフロントと眉パーツの位置を合わせました。

眉毛がリムに掛かると、加工したレンズのコバが眉毛パーツに干渉します。無理やり枠入れすると、パーツが穴から切れてしまいます。とりあえず日本人は近視で凹レンズだろうということで、レンズ後面側だけ削り、リムにはみ出さないように処理しています。遠視や老眼で凸レンズの場合は、またそのときに削ります。

これは右レンズ側も行っています。ちなみに写真は左レンズ側で上が削る前、下が削った後です。

朝ドラの舞い上がれで、社長の右腕の笠巻さんがこんな感じのセル手のサーモントを掛けていまして、ちょうど良いなあと思っていたところでした。

Maya
ヴィンテージのメガネ

23.09.02

眉毛が乗っかっているサーモント型が、今に当てはめるとボストン型みたいなそんな時代がありました。何でもイケてるメガネは眉毛付き。

そして、スペースエイジデザインに乗っかって、面白いフレームがたくさんあります。

けっこう構造はギリギリな感じです。眉側の留めは、初期値で首の皮一枚です。

眉毛パーツは、特に上から引っ張るような物でも無いですし、リム全体の摩擦でズレず、ネジに全荷重が掛かる訳でもないです。なのでそういうものとして、やや取り扱いを気をつけるくらいな感じです。

それよりも、眉毛パーツ側の穴がギリギリなのが困りました。

初期値で余白が1ミリも無いくらいです。少しでも厚みと強度を足したいところです。

ツーポ用の穴埋め材を用いました。埋めたあとに、ピンポイントで穴を開けます。

元々はしいたけみたいなネジが入っていました。それの笠が収まるように、大きめの穴が空いていたのでまずは塞ぎ、ネジ径ピッタリの穴を開けました。ネジ径が1.2ミリで、現行のメガネの鼻パッドの取り付けネジと同じ径です。

上が新しいネジ。長いので、緩衝材の意味も込めて樹脂のワッシャーをはさみました。

商品化の為の修理で壊れてお終いパターンもあります。今回はうまくいきました。

眉毛がグラデーションになっているんですよね。それも軽やかでいい感じです。

ダメな例
ヴィンテージのメガネ

23.08.30

何となく凹みが怪しいなあと思って寝かしておりましたが、これは進行してしまいました。色々な力が加わらないように、レンズを入れて無かったんですけどね。

結露みたいな、水っ気が出始めています。撮る前に拭いてしまったんですけど、生地に痕が残っています。酸っぱい臭いも出てきました。販売する前に分かって良かったなと、諦めるしかないです。

シルエットのフレームでした。掛けられる質量のフューチュラって感じのデザインです。かなり気に入っていただけに残念です。

スーパー楕円
ヴィンテージのメガネ

23.08.30

ギリシャ製ってことだと思います。メーカー名やモデル名の可能性もなきにしもあらずなんですけど。

フロントの造形と質感、要所要所の作りからナイロンっぽい気がします。少なくとも磨いたときの手応えとしては、セルロイド・アセテートの類では無い何かです。テンプルに芯が入っていますが、フロントと同じ素材です。

ブリッジの山が綺麗です。谷が鋭く深いです。

 

レンズの形が本当にブラウン管テレビっぽいです。画面アスペクト比4:3みたいです。スーパー楕円っぽさもあります。

カシメが強く、生地が縮むに従って亀裂がすでに入った状態です。とりあえず2年くらい寝かしてみましたが、カシメの緩みは無く、亀裂の進行は無くて、テンプルのガタつきもありません。

星型のリベットあるあるです。ツクツクの先からピキッと亀裂が入りやすいです。

服の場合は、白色は怪しさの無い色なんでしょうけど、メガネは白が一番怪しい雰囲気が出る気がします。60年代か、70年代頭のフレームだと推測出来ますが、まさにスペースエイジデザインって感じを受けます。

これが元のレンズ。ガラスが入っていました。ガタガタなので、プラスチックレンズに変えておきました。

49と48
ヴィンテージのメガネ

23.08.23

久々にALGHAのヴィンテージが入りました。たぶん5年か6年ぶり。ヒルトンクラシック名義の物を入れて以来ですね。これは共にサヴィルロウでした。

この2本の組み合わせが良かったです。この比較で初めて知れたことがありました。年代が微妙に異なっていることが分かります。しかも年代の違いで、金張の厚みが違うんですね。また、キャラット数が同じで、黄色みの調整が入っていることも分かります。

ALGHAって入っています。

となりに、14KT GF(Gold Filled)とも入っています。

まず丸のほうなんですけど、現行のイメージがありましたからロールドゴールド(RG)と思って何気なくテンプルを見たところ、GFの印字が目に留まりました。まさかと思ってフレームを観察したところ、ブリッジにもGFの刻印が。

サヴィルロウ名義で販売が開始された年代と照らし合わせますと、金張の標準の厚みとして1/20基準でした。なのでGFだけとか省略されているときは、とりあえず1/20なのかなと予想が立てられます。ちなみに1/10の厚みとなりますと、厚張とかいわれているみたいです。よりハイグレードなわけですから、1/10は刻印がまず入ると思われます。そんなこんなでGFだけのときは、とりあえず1/20と思っておきます。

次に、ボストンを見ていきます。

こっちは、ブリッジには 14KT RG の刻印です。デモレンズにバンっと“Rolled Gold”と記載がある通り、金張のロールドゴールドということです。

ロールドゴールドということで、金張の厚みが1/30ということが分かります。それがロールドの意味することです。金が少なくなっています。

それでテンプルを見ますと、テンプルには“SAVILE ROW CE” という刻印が入っています。末尾のCEは、ヨーロッパのJISみたいなあれです。ということで95年以降でしたっけ、それが確定します。90年も半ばになって、昔ながらの感じで金張でフレームを作っていたことにそれはそれで驚きました。

鼻パッドの芯は、ALGHAのALGHAのまま出しているときの芯と同じアスタリスクみたいなカシメの鼻パッドがついています。それと智の処理の感じを見て、ALGHA製かなと見当がつきます。ちょっと不安になって現行も調べてみましたが、現行はそもそも抱きの鼻パッドでした。構造から違いましたね。

ブリッジで色味を比べてみましょう。

丸の古い方が、黄色みが強いです。

丸が49ミリ、ボストンが48ミリです。銀無垢やサンプラチナで小さいサイズを定番でやっているので、このくらいのサイズが嬉しいです。ゆったりした丸とかボストンの隙ってなんか良いですよね。

_170831bk

pageTopLink