925のチェーンの加工の話その2。
前編では、燻し液にドボンと漬け込んだだけでした。次はデストロイ加工編に突入します。
届いた状態がこれです。ピカピカ好きな私でも、確かにこれは何とも表現し難い、あともう一歩感を覚えました。
細長い、インディアンジュエリーにあるようなタイプのチェーンはメガネにどうかなと思い、そういうのを仕入れてみましたが何かが足りない。おそらくですが、ピース毎の出来が不均一なのにも関わらず、カットの切断面は工作機械を使っているためかスパッと正確です。その切削痕も強く残っているため、ラフなのかキリッとしているのか、手作りの大味だけど人間味のある優しい雰囲気なのか機械の画一な無機質な感じなのか。そういうどっちつかずなのがあともう一歩の原因なのかなと分析。といことでどっちかに振る改善をします。
このピースの出来がまばらというのは、考えようによっては最高です。シルバー製品を使い込み、凹んでまちまちになっていく過程をすっ飛ばせる可能性を孕みます。ということで、チェーンに施す加工の方向性は定まりまして、使い込んだような当たり+燻しをしていきます。
まずはチェーンに当たりをつけます。
こんな感じで当たりをつけました。2枚中の下の画像は、傷のバリを取るためと機械の切削痕を薄めるために、ペーパーヤスリを程よくかけた後に、ムラが出るように適当にバフを当てた状態です。自然な傷加工を目指す為にはある程度の適当さが大事です。無為自然を目指します。
ちなみに、ランダムに程よい傷や凹みをつける為に、今回はこうしました。
道路に打ち付けています。ちょっと古い凹凸感が強めのアスファルトがオススメです。店の裏の駐車場前で、20回ほどチェーンを握りしめて思いっきり地面に叩きつけておりました。側から見ると、ちょっとヤバい奴だったと思います。程よく尖り、尖り方もまばらで大小さまざまな道路がベストです。打ち付ける行為は繰り返し同じですが、当たりにランダムさが生じます。それが傷のまばらさに繋がります。真のストリートとは、こういうことです。
燻してすぐ。銀らしさが欲しいので、ちょっと磨きます。
いかがでしょうか?結構良い感じにめっちゃ使い込んだような雰囲気が出て、カッコよくなったと思います。めっちゃ使い込んだメガネチェーンって何だ?メガネチェーンを使い込んでもこの量の傷はつかんだろと、冷静になってはいけません。ウォレットチェーンやキーホルダーを使い込んだときの雰囲気が、メガネチェーンに足せたということで捉えていただけると嬉しいです。
金具は歪むと後々面倒なので燻しだけにして取り付けました。
今回も燻し液は温泉の素です。燻す前にペーパーをかけて、燻した後はクロスタイプのシルバー磨きで拭きました。例えば、アスファルトでデストロイ加工をしたのち、燻し専用液でしっかりと黒くして、そのあとにペーパーをかけると、またそれはそれで結果は変わると思います。