カテゴリー:修理とメンテ

根性入れ
修理とメンテ

24.05.31

アルミのフレームの枠入れでした。フルリムなんですけど、リムが開かない、初めから開く構造を持ち合わせていないツワモノでした。

メタルのフルリムは、開かなくても根性で枠入れ可能です。可能なんですけど、カットリムで梨地だとさすがにレンズがするんっと全然滑って入っていかないので苦労しました。高屈折の1.60材だとそんなことは起こらなかったかもしれませんが、CRで-0.70ミリくらいで弛ませて枠入れしていたらレンズがパキッと割れました。私が根性で押し込み過ぎたのか、レンズが耐える根性を秘めていなかったのか。結局、サイズ-0.85で入りました。

ヤゲンが1.00ミリだとすると、例えば-0.80ミリで仕上げたときには、大体0.10ミリしかレンズがフレームに掛かっていないことになります。

そうなりますと、レンズの抜け落ちも心配ですし、枠入れ後のレンズがカタカタ鳴ります。

ということで今回はヤゲンの方にひと手間。まずは粘着付溝セルを埋め込みます。細い両面テープです。

次にこれ、溝セルです。メガネ業界はなんでもセルと呼んでしまいますが、半分に切ったビニールパイプみたいな物です。

レンズにネチョっとなにかしらが着くのが何となく嫌というのと、先ほどのサイズの話を思い出して、埋めるべき溝はおおよそ0.40ミリであり、おそらく粘着溝セルだけでは足りないという二つの理由でこれを埋めています。

見た目も良いんですよね。

カタカタ鳴ることなく、無事に枠入れが終わりました。表から溝セルが見えることもなく、良い感じに仕上がったと思います。さすがにカットリムでフレームがカチコチだと、レンズをいつもよりも小さくもっていくしか無いですね。

普通の、潰したハリガネみたいなあのリムで極端にカーブが付いていなければ、±0.00ミリでリムを開けずに枠入れ可能なときもあります。さすがに今回は難しかったです。例えば度付きで1.60材で、カタカタを気にしないのであれば、溝セルなしで-0.60ミリくらいで枠入れするというのもありでしょうね。

ギークシック
修理とメンテ

24.05.10

前回載せたのが初回の組み上げたときで、たしか2021年の1月あたりかと。あれから3年で、まだまだ3年しか経っていませんが、評価がガラッと変わったフレームタイプでは無いでしょうか。もともと男性向けのカッコいいフレームという認識ですし、いまも私はそうなんですけど。この前、高校生の女の子がこれに似たフレームをカワイイと評価してくれました。歴史の転換点を目の当たりにし、衝撃を受けました。

ちょうど2・3日前に、ギークシックという言葉を聞きました。その時は知らなくて、調べたらまあそういうことらしいです。メガネに限ってですが、ギークが仮想的な古のイメージとしてあるのではなく、現実から要素を得ているのが面白いです。

テレビ露出の多い政治家さんはオシャレに気をつかっています。気がつけば細長いメガネからウェリントンやボストン型のセルのコンビフレームの方が増えました。このタイミングで、若い人が逆に天地浅めで細長いメガネになっていくという。いまも細長いのは、パッと思いつくのは岸田総理ですね。

ただ戻るだけなんでしょうけど、別に戻ったっていいわけで。3歩進んで2歩下がるくらいがちょうどいいかもしれないわけで。それに単純に戻っただけということでも無さそうなのは、細長くてカクカクのメガネがシャープでカッコいい評価と共存するかたちで、カワイイと評価されるようになったことに表れています。

ちなみに今回は、バーベキューの翌日に視界が曇るということで、割と典型的な熱クラックによる視界不良でした。それでレンズ交換をする際についでに載せました。

フレームがチタンで硬いので、踏んだりするとネジが曲がります。本来はネジ頭が正方形で、パーツにすっぽり収まる特殊なネジでした。泣く泣く交換しました。

ラッキーなことに(メーカーさんが交換を見越して、店でメンテしやすくする為にネジ頭の幅を合わせているのかもしれません)汎用品の六角ネジの横幅とぴったり一致したので、あまり美観を損なうことなく交換できています。

ネジ抜き
修理とメンテ

24.04.19

お持ち込みのフレーム。ネジ抜きからでした。

本当は、初期のサングラスレンズが入っていましたが、それは問診のタイミングで抜いています。ネジが開かなくてもレンズは外せます。

そこからはケースバイケースです。ネジ抜かずに、開けないままレンズを入れることも可能です。メタルフレームでも実際はリムを開かずにレンズは入ります。やや無理矢理ぎみですが。

今回は、問診のタイミングでグネグネしていたら外れました。それで外れなければ、残ってしまっているネジを抜かずにレンズを嵌め込んでしまい、取り敢えず使ってみることも可能です。

下が外れたことで、ネジ抜きの土台が綺麗に収まった状態でセッティングすることが出来ました。下に完成品を載せました。表側に瑕疵なく折れているネジを抜くことが出来ています。

 

はじめての加工
修理とメンテ

24.04.03

実際に加工までしたのは初めてでした。お持ち込みで、フィンチでした。フレームがAOだったので、せっかくだからAOの型板から選びました。オーバルの45ミリにしました。

ネジの上にツマミがくる構造です。ネジの仮合わせのときに、毎回パチンパチンと閉じるため、レンズに開けた穴とフレームのネジ穴の確認が難しいです。穴2つ開けるだけですし、テンプルの閉じの綺麗さを考えなくて良いし、加工は簡単かなと甘く考えていました。何だかんだ、度付きでガタつきなくある程度の精度みたいなことを考えますと、そこそこ難しかったですね。

バネの引っ掛け方は、上はレンズを固定するための爪に絡ませています。下は鼻パッドのアームに絡ませてあります。

レンズの取り付けで干渉して外れてしまうのかなと予め危惧しておりましたが、干渉しても外れることなく留まっています。

レンズに穴を開けて、チェーンの引っ掛けを作る予定です。事前に伺ったものの、それなら当日に即興で開けれるよなぁと思い直しまして、とりあえず開けずにいます。

便利グッズ
修理とメンテ

24.03.27

レンズ交換と諸々。久々のマルクスTの一筆書きバージョンでした。

炙ってナイロン糸の玉を作って引っ掛けています。それをブリッジに引っ掛かるように通して、反対側の智も同じように玉で引っ掛けています。マルクスTの天才なところは、フレームにナイロンを引っ掛ける・絡ませようとしたところです。そして、レンズの保持にはそれで十分だと示したところです。このモデルには溝が無いです。

前回の加工時には存在していないコレが活躍しました。昨年発売されていたはず。スタンガンみたいな仕組みの、ナイロン糸のバーナーです。想像を超えて便利でした。ライター等の炎でナイロン糸を炙る場合、けっこう玉の大きさと縮む長さにバラツキが出来てしまいます。これはかなり細かくブレなく調整出来ます。

普通のナイロールフレームと違い、構造上ピシッとレンズとフレームと糸が仮合わせ出来ない場合はあらかじめ用意するナイロン糸の長さが加工の勝負になりますが、かなり簡単に狙った長さの玉留めを作った糸を用意出来ました。めっちゃ時短だったはず。前回はここでけっこう苦戦した記憶がありましたが、克服出来ました。

めっちゃカッコいいやつ
修理とメンテ

24.03.25

お持ち込み。アーレムでした。鼻盛り完了で、レンズが届き次第枠入れ予定です。見本染色の上がり待ちです。

切削痕を装飾に取り入れていまして、それがめっちゃカッコいいんです。鼻盛りとなりますと、ちょっとのヤスリやら溶剤やらなんやらも触れたらアウトなので緊張しました。

 

ケースバイケース
修理とメンテ

24.02.19

持ち込んで頂いたときに、正面のネジ頭が浮いていました。トップ画像の通り、裏からネジを入れるタイプでした。ネジはそのまま活用して、スッキリ収まりました。

裏からネジを入れるパターンは表に出たネジをぴったりカットしていることがありますが、これはカットされる前でした。それを今回の加工でカットしてしまうのは、なんとなくもったいないので、現行のハットナットを被せて誤魔化しています。因みに1.2ミリのハットナットは入らないので、1.4ミリのハットナットを被せています。これは本来ならネジと径が合わないので抜け落ちるはずですが、あれこれ適当に試していき、それなりに引っかかるものを選んで被せています。ナットの1.2ミリを無理やり共締めしたときに、ネジのスクリューが浅くなるのは良くないので、ガバガバのナットで程よく被さるものを選んでいます。

仕上がりはこんな感じです。

未処理
修理とメンテ

24.02.19

2月の振り返り。

トップ画像は加工後です。加工前はこんな感じでした。

ブリッジが16bitみたいな感じです。色々なフレームを持ち込んでいただいておりますが、初パターンでした。金具があって不安でしたけど、確かに未処理にも程があるので頑張って削りをいれて磨いてみました。

ちょっとキーホールのカーブが「くの字形」ぽくなりましたけど、追い込んで変な風になるとアレなので、こんな感じで終えました。

蝶番の修理
修理とメンテ

24.01.12

この前みたいに、蝶番の真ん中が無い云々でしたら店でアレなんですけど、このレベルは無理なので工場送りになります。右蝶番は一番上のコマが無いです。ネジの頭ごとコンビで無くなっており、ネジ抜きしないとテンプルが外せません。ただ、蝶番の上という大事な部分が吹っ飛んで無くなっており、工場へ送る前の時点で、おそらく蝶番ごと交換だろうなということでテンプルはプラプラの状態で送りました。左蝶番は一番下のコマが無くなっており、ネジの締め上げが出来ません。

フランスとその周辺のヴィンテージフレームは、けっこう生地が硬くてリム切れも多いイメージです。カシメの再打ち込みに際しては、一回り太いピンを打ち込むことになります。工場の技術があることは前提に、こればかりは亀裂が入らないようにお祈りしかありません。最後は生地のポテンシャル頼みです。

工場から上がってきたのがこちら。無事に蝶番を替えて頂けました。毎晩の祈りが通じて、亀裂もありません。めちゃ綺麗です。

全体の磨きと、テンプル側の真ん中のコマの磨きは当店で。修理がめっちゃ綺麗な仕上がりだったので、最後の一押しでほとんど修理した痕跡が無くなりました。

以下は、あくまで予想なんですけど。

裏面のピンの再打ち込みの形跡は1本です。磨く前にテンプルを外したところ、コマとコマの間にカシメてはいないピンの頭が垣間見えます。

パーツの返却を見ても、左右同じ仕上がりで外したピンが2本です。次はフロントを正面から観察します。

向かって右、耳側が新しいピンです。そして、かなり分かりにくいのですが、向かって左の鼻側のピンは一回り細いため、多分これは修理前の元のピンです。

 

おそらく、元の蝶番を外す際に鼻側のピンはそのまま残して再利用しています。これは、新しい蝶番が横並びで2本ピンを打ち込むにはスペースが足りない為でしょう。そのままでは、元の間隔で2本のピンを打ち込むことが出来ません。そこで、コマとコマの間に穴を開けて、残してあった鼻側のピンをその穴に通しています。空きスペースには、ピンを抜き去った耳側の穴と位置合わせをした新しい径の太いピンを打ち込み、蝶番をしっかりと保持することが出来ています。蝶番側の穴が片方は余白側で、もう一方こんな感じでコマとコマの間にある物は見かけたことが無いので、おそらくこういうことだと思いますけど、標準でそういう蝶番が鯖江に存在していたら、褒めすぎですみません。

ただでさえ、生地が痩せたりピンが緩んだり何だかんだで、蝶番金具はガタつきをおこします。ピンが1本だと、さらに回転の動きが生まれてしまいます。よりガタつき易く、緩みが進むとくるくる回ります。古い鼈甲のフレームでピンが1本のものを見かけますが、基本はモーメントが生じないように、2点以上で蝶番は保持するのが良いでしょう。特に今回の修理品は、蝶番を取り付ける際にあらかじめ生地側に蝶番金具が収まる窪みをつくる“座ボリ”の工程が飛ばされているフレームです。ピンを打つ前の金具が、生地の上で安定していない訳です。座ボリがあり、それで仮固定されてモーメントが生じなければ、ピン1本の打ち込みでも良かったのかもしれません。

緩みにくくする配慮として、足りないスペースで2本留めを実現させていまして、さらにそこでは修理の際のフレームの負担も同時に減らす配慮がなされております。それが先ほどの鼻側のピンをそのまま再利用しているということです。それによってピンを打ち込む回数を減らしており、最小タッチ回数で直っています。

仕上がりを観察しての、工場での修理内容のあくまでの予想ということになりますが、大きく外していないんじゃ無いかなと思います。それにしても、さすがにあの状態からここまで戻るとは私も予想出来ていませんでした。この修復内容には大変感動しました。

セル巻きと七宝
修理とメンテ

23.12.06

修理のセル巻きと、七宝塗装の在庫が同時に届きました。ちょうど良い機会なので並べておきます。

ヴィンテージのアルガのセル巻きの交換をしました。アルガとかヒルトンクラシックでいうところの、チェストナットというカラー名の巻きです。割と近い色と柄の物で新品に変えられます。

仕上がりはこんな感じです。

 

七宝塗装のブームの為かどうかはさておき、納期が結構かかったのがこちらのフレームです。

これは、もともと在庫で店頭にあったサンプラチナのクラウンパントに七宝塗装を施しております。この前のお客さん受注分のクラウンパントに七宝塗装のこのパターンがとても良かったので、店頭在庫も作りました。

こっちの加工の方がボリュームは少なくて、セルっぽい雰囲気があまり足されないです。パッと見で、やっぱりメタルフレームだなとなるのが七宝塗装です。セル巻きは、コンビフレームかな?と一瞬思わせてくれます。

セル巻きよりリムの飾りが脱落しにくい利点があります。

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