カテゴリー:メガネのはなし

こってり感が良いです
メガネのはなし

23.04.14

リザードの型押しのケースが、いつものよりさらにウルトラギリで入庫って感じです。

今日も算数
メガネのはなし

23.02.03

金張りの厚みって実際どうなん?ぶ厚いとは言うものの。気になりませんか?

後世の資料の為にと思いまして、電動カッターで切断しようと思っていました。ところが、気づけばこんなところに切断面が…というのでインスタにも載せております。ヤスリで整えて、バフで面を綺麗にしました。

母材、銀ロウ、ニッケル、金の順番に層状になっているので、上の写真で爪くらいの薄さに見えている層が全て金とは限らないでしょうね。また、メッキと違って取り上げる箇所によって厚みも異なり、一定ではありませんので。とりあえず母材との境目ははっきりと写せました。

そういえば、重さを計ったことがありませんでした。ネジ無し、パッドはカシメなのでそのままにして、7.4グラムでした。

刻印があり、“AO 1/10-12KGF”とあります。結局、どれくらいの金(24金換算)を使っているんでしょうね。計算してみます。

またまた70年代のHOYAニュースから。これに則って計算すると…

0.37g(24金換算)

となります。ちなみに、金は1㎤あたり19.32gですから、体積だと

0.01915㎤

になりまして、これは一辺が0.2675㎝の立方体です。つまり、一辺が2.7㎜のサイコロをイメージすればよく、それかちょっとデカめの鼻くそ(すみません)くらいの大きさということになります。改めて、金って物凄く延びるんですね。これは1/10の厚みの算出なので、70年代頭の1/20や、70年代後半の1/30の厚みになれば、それに準じて少なく・軽く・小さくなります。

 

Pierre Marly
メガネのはなし

22.10.31

書いたかどうだか忘れてしまったので、ひょっとするともう一回です。

70年代のHOYAの広報誌をずっと見ていまして、フレームの年代がざっくり70年代でちゃんと合っていたなとかあれこれ裏が取れて嬉しかったんですけど、全く知らなくて驚いたのはこれ。ピエール・マーリー(Pierre Marly)のメガネコレクションが日本に来て巡回していたことです。

1975年4月号

Amazonでローラーかけても、メガネ関連の図鑑は10個あるか無いかだと思いますが、そうして集めた図鑑のどれを見てもだいたい海外の図鑑のクレジットでピエール・マーリーに遭遇します。いまいちよく分かっていませんでしたが、コレクターのトップだったんですね。日本にも関わりがあって、しかも実物見られる機会がかつてあったとは。いまはエシロールの博物館にピエール・マーリーコレクションとして収蔵されているみたいです。

愛知は名鉄が会場でした。照明かわいい。

編集後記がすごい良くて沁みます。先を急ぎすぎたので後ろのことが気になってきましたという表現がおしゃれです。

「クラシック、ベイシックなものが、どのように生まれ、育ち、消えていったのか、確かめてみることは、むしろ必要な作業といえるでしょう。」

昨今のねじ事情
メガネのはなし

22.09.14

びっくりしました。クロムハーツのメガネもトルクスネジになっていました。たしかに、クロムハーツで言うところのスター(六芒星)でしたっけ?アレに見えるので、美観の相性めっちゃいいですね。すごいカッコいいと思いました。

メガネに対してトルクスネジが要るのかどうかは、おそらくまだ決着が付いていないです。もっと増えそうな予感はしています。

ネジ頭を舐めずに締め上げしやすいということは、トルクスネジ自体のデザインでして、メガネのデザインになるかは別です。蝶番に頭が舐めにくいネジが入ったときに、メガネ全体としてどんな良さが付加されるのかを考えてみなくてはいけません。そもそも蝶番はそんなに締め上げるものかと言われれば、そうでは無かったりします。

ネジ製造の仕事をしてないのであれですが、ネジはキツく締めれば締めるほど緩みにくくなるわけではありません。私も、つい2年くらい前まではそう思っていました。ぎゅっぎゅしていました。絞めすぎで起こる非回転緩みにも気をつかわないといけないです。何事も共通して、過ぎたるは猶及ばざるが如しということなんでしょうか。とにもかくにもネジを緩ませる要素は多々で、締め上げ量に比例して緩みにくくならないのが何とも腹立たしいですね。

ここまで考えておいて、今回のお持ち込みのメガネの蝶番が実際は緩まないのか、はたまた何年かで緩むのか分かっていないですけど、レンズ枠入れと鼻盛りでブルバキとしてきっちり関わった以上、いつかの緩みに備えてトルクスドライバーを常備しました。多分、みなさんのご家庭に無いですよね?しかも大きいトルクスネジのt8くらいからなら100均でもドライバーが手に入りそうですけど、t3やt4くらいのメガネに使う小さいネジ用だと100均では無さそうです。ちなみにモノタロウで500円〜1,000円くらいなので、ホームセンターでも多分それくらいです。

ひょっとしたら、10年後の日本製メガネはトルクスネジが主流になっているかもしれません。今のところは業界でも普及していないことも重なって、ユーザーとメガネの関係において何が具現化されたのか、まさにそれがトルクスネジをメガネに使用することで得られたデザインということになるんでしょうけど、ちょっと弱い気もします。メガネ屋に行くのは面倒且つ買い替え接客されそうで億劫であり、家でパッとネジくらいは締めたい派の方も多いと思います。まさに自分も家でちゃちゃっと締める派だったので、強く締め上げられることが緩み止めに必ずしも直結していないのであれば、現時点で色々な面でお手軽なプラスかマイナスで良いかなと思っちゃっています。

ネジ自体がカッコいいのでデコレーションとしてトルクスネジを使い、細部までカッコ良さを追求する姿勢をデザインしましたという意味合いっぽいクロムハーツはとてもいい感じでした。実際、持ち込んでくださったお客さんも、トルクスの使用をご存知でなかったので。サラッとトルクスを使っているみたいでした。

せっかくなので、ネジのデザインをメガネのデザインにもっと乗せようとするには、他に何が考えられるかと想像を膨らませてみます。膨らませると言っても、メガネのネジはあとレンズ留めか鼻パッドしか無いので瞬時に終わります。

レンズを留めるリムのネジ(たしかブローチネジ)を、トルクスネジにするのは良いかもですね。深く考えていないただの思いつきではありますが。ユーザーがなかなかリムを開けられず、レンズが脱落しにくいように適切に締め上げやすく尚且つドライバーが逃げにくいのでレンズを傷つけにくく、ネジが舐めにくいのでレンズの交換も何世代もしやすく真のSDGsです、みたいなことがネジの特性と結びついて謳えそうです。

加工する側になって分かりましたが、ネジの頭だけみて、パッとT3かT4か判別つきにくいですね。実は今回、それで目測外してドライバーを2本買っています。

カラー35% 見本
メガネのはなし

22.06.27

たまたま手元に揃ったので載せます。ともに、カラー“ブリーズグリーン 35%”です。向かって左が度付きで右が度無しということもあって、縁の色合いが違って見えるというのもあるんですけど、レンズの真ん中で比べても左が青っぽい気がします。おそらくコーティングの差で色の差も出たのかなと。どの波長が返っているかどうかの話なので、それがよく分かるケースということで載せてみました。

ということで銀のサーモント、まだ本当に届いてないです。この気配は、7月になりそうです。

やっと掴めました
メガネのはなし

22.06.18

金張りの1000分率の表示について、ちゃんと書かれているものをようやく見つけることが出来ました。厚み(1μ=0.001㎜)表示ということもあるそうですけど、金張りは金メッキと違って各パーツ毎に厚みが一定では無いので、総重量に対しての何かしらの金の割合で表示されるべきということを前提とした、1000分率の場合の説明が無いかなと思ってぼんやり過ごしていました。やっぱりありました。ぼんやり待ち続けた甲斐がありました。

微妙に違いますし、金においては大事な差かもです。どちらの表示も、メタル部分の総重量に対してという基準の設け方は同じです。ですが1000分率の方は、純金(24K)で換算です。張ってあるものが例えば14Kでも、換算は純金で行います。一方で、アメリカのよくある表示では「1/20 12K GF」とあったときに、12Kで使用量を換算し、張ってある物も12Kです。プラクティスが載っていまして、それが参考になります。

『1/20 10K GF を1000分率表示に直す』

途中に分母と分子に2.0833を掛けており、これが意味不明さを少々招くかもです。紙面の行数に制約があったのでしょうが、要は分母と分子にそれぞれ(1000/480)をかけているだけです。あるあるで、分数の割り算が意味不明すぎて分数全部が、分数の存在が嫌いになる場合がありますが、最後の計算まで分数のままの方が大体の場合、計算も理解もスムーズです。結果の量的感覚を掴むときに、最後に少数に直せばいいと思います。

演算結果が、20.833…/1000(10K GF)です。プラクティスが表記の違いによる意味の差を鮮明にし、理解を深めてくれます。

以下、同じように計算してみます。

『1/10 12K GF → 50/1000 (12K GF)』

『1/20 12K GF → 25/1000 (12K GF)』

結果を眺めてみますと、30/1000と40/1000の金張りの言いたいことがぼんやり分かってきます。

大歓迎
メガネのはなし

21.12.19

お持ち込みでした。ゲルノットリンドナーです。実物みるの触るの初めて。

このフレームに限った話ではなく、チタンのフレームでも多々遭遇する話ですが、フィッティングポイントを作るのやや大変。バチの部分の切断面が正方形のパターンです。おそらくですが、絞って作り込むかプレスで抜くかの違いで、切断面が丸か正方形か違いが出るのだと思います。正方形のタイプだと、対角方向の曲げが硬くて動かしにくいです。フィッティングの用語では、頭部への添わせが難しかったりします。添わせないと、摩擦が生じないのでメガネが下がります。とりあえず頑張りで曲げます。銀は頑張りです。チタンは硬すぎて諦めるときもあります。あとは、ひとそれぞれですが耳の付け根の後ろ辺りに骨のくぼみがあったり無かったりです。くぼみが有るとメガネとしては好都合で、圧迫ではなくメガネがスポンと引っかかるので下りにくくなります。上の写真はいまの要点を作り込んだ後です。

自分のところの銀のメガネと記念撮影。並べると分かりますが、結局どっちも細いんだなと。インディアンジュエリーや、クロムハーツその他諸々のシルバーアクセサリーの作り上げてきた銀の価値観と言いますかルールに則って試合をしようと思うなら、もっと質量を!ということなんですね。

ドイツもこいつもイタリアも
メガネのはなし

21.12.19

ローデンストックジャパン閉鎖と、今知りました。卸からエクスクルーシブモデルの新作カタログの案内が届いた時に、デリーゴジャパンのローデンストックから新作が…という文言になっており???状態でした。絵型だけの案内でしたが、リチャードの改変が出るので楽しみです。

ドイツのメガネをイタリアが販売するってことなので、『マーサの幸せのレシピ』じゃんって勝手に思っています。大学のドイツ語の講義のときに、ドイツ人とイタリア人の関係がよく分かるってことで観た記憶が残っています。

すごい本が出ましたね
メガネのはなし

21.11.06

福井県眼鏡協会が企画監修ということで、作っている人々から直に「眼鏡ってそういうことじゃないから」というような見解が出されたことになります。他の分野で、あんまりそういう本を見たことが無いので、よっぽど現在の眼鏡のフォーカスのあたり方や、これぞメガネの真髄的な我々販売側の伝えている内容がトンチンカンだったのかなあと予想されます。わたしも読んで反省をしたいと思います。

結構まえに、このブログで書いた内容もより詳しく載っていました。この辺は公式見解と相違がなくて安心しました。もうさすがに、7枚蝶番じゃないっていうだけでダメなフレームとか判断する人も減りましたね。確かに、太い黒セルが席巻した時代にそういう風潮があった記憶があります。

あとは、ガラ入れも載っています。角を残した磨き云々は、ガラ入れをしていない未処理であって、生地の光沢を引き出す上でも必須の過程という印象をうけました。2、3日間、ガラガラ回し続けるのは、この本で始めて知りましたね。

工業製品ですから、やはり基本は進歩史観に沿っている気はします。ベトナム戦争あたりでそういった歴史観や人類の歩み方に疑義が呈されたりもしますが、日本の眼鏡に関しては81年にニコンブランドからオールチタンのフレームが出てからもずっと進化は止まらずということでしょう。今はビヨンビヨンでバインバインな、踏む以外で壊れないくらいの、そして錆びない緑青でない永く美観をキープ出来る、恐ろしい代物になっています。そういった頑張りの下地があって、供給が安定しているからこそ、ヴィンテージを嗜むみたいなことが出来る余地が生まれたのかもしれません。

思わず唸っちゃう
メガネのはなし

21.09.18

お持ち込みでした。傷取りと、磨きとレンズ交換後でこんな感じです。

Garrett leight という物です。ここ最近のフレームだと思います。雰囲気が、そのまんまイギリスのNHSだったりします。その辺知らなくても、細い且つ薄い繊細な作りで優しい雰囲気の、感じの良いフレームです。

雰囲気の要は、蝶番ですかね。フロントとテンプル、両方カシメのぺったんこな5枚蝶番です。座彫もギリギリぴったりを狙って、キチっとしてあります。ピンもテンプルの方向に準って真っ直ぐ正確です。この手の細いフレームであれば、埋め込みの3枚蝶番を使うのがセオリーなんでしょうけど、それだとフロントもテンプルも細くても“厚く”なってしまいますからね。埋め込んだ金具が安定し、尚且つ端から金具が飛び出さないような厚みを用意する必要がありますから。今回のようにカシメであれば、確かにフロントもテンプルも理論上は細く且つ“薄く”作れるんでしょうけど、製作過程で割れる・欠けるリスクがありますから、現在は製作を躊躇いがちだと思われます。ヴィンテージ以外で、こういう構造の眼鏡が見られるとは思ってもいませんでした。

テンプルの芯はシューティングで入れずに、生地と生地で挟み込んでいるはずです。ヴィンテージっぽい、雰囲気の維持に大事な、細さと薄さを厳密に再現しています。

ちなみに今回のフレームは中国製でした。この前のタイ製のフレームといい、海外のセンスヤバイなと、唸っています。

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