カテゴリー:メガネのはなし

めっちゃ面白いすてき
メガネのはなし

25.05.12

お持ち込み。超面白いです。唇みたいなバージョンは何となく知っていましたが、こういうウェリントンもあるんですね。

触っていたら自分も欲しくなってきて、ちょっと調べてみました。レンズシェイプも様々あるようなんですけど、金具が付くのがこのレンズパターンのみっぽいです。この全体が膨らんで金具がムチっとめり込んでいる感じが、風船感を一層強調させています。この金の金具が大事ですね。

それで、フィッティングが超難儀です。難儀と言いますか、出来ないものを無理やり合わせにいきます。結局、下がったり痛かったら長い時間かけられないので。

ということで、合口とフロントの接地面を削ります。そうすると、合口の溝とフロントからの出っ張りも内部で接地していることが判明します。そこも削らないと、接地面を削るだけではフロントとテンプルの隙間が出来るだけで、テンプルが開いていきません。隙間と開き具合の両方を確認しながら、面と溝を交互に削ってなんとか150ミリまで開いています。顔面160ミリの私がかけて、とりあえずキツめでいけそうなところまで開けました。

まだ難所はありまして、とりあえずレンズは外せたものの、上手いことはめられるかなと。とりあえずレンズ待ちです。

サイクルが早い
メガネのはなし

25.05.09

ついこの前まで、ツーポの玉型変更は天地を増やしてボストン型に近づけるとか、天地を増やしつつ角を出してクラウンパント風にするとかでした。

今回は横幅を2ミリ足して、なおかつ等倍で天地が増えないようにとのことでした。なので、手作業でレンズ型から作ってみました。横長感の強調です。

濃度10%でコバのアクセントは変わらずです。

モンスターの自炊
メガネのはなし

25.02.28

まな周作的な、メガネの幅知っとけってことでユニクロのサングラスです。今年の春夏で出たこれが、めっちゃカッコいいので買ってみました。

目尻の、カクッとした意匠が効いてます。

この値段ならめっちゃ遊べるなぁということで、自分用に改造です。ユニクロということで、GENTLEの成分は摂取できるのですが、MONSTERが入っていないんです。ということで、MONSTERの自炊をしました。上手くできるかどうか、カッコよくなるかは不明ですが、とりあえずKIND GOBLINくらいの物になるように頑張ってみます。

何事にも犠牲は必要で、はめ殺しのスタッズは全然ダメでした。布や革では無いので、セル生地に噛まずに回転してしまいます。同じような素材のメガネであれこれ試して、「…シテ…コロシテ…」状態になっています。

ネジ締めこみタイプのスタッズで、尚且つ回転しても気にならない円形の物を選びましたが、今度はネジの長さが足りず…。フレーム側を1ミリほど掘ればスクリューが引っかかりそうなので、それで対処することに。自分用ですし、ちょっとでもスクリューがかかれば、あとはアロンタイトでとりあえず何とかなります。

この作業の為に、ルーターの先っぽも探して新しいのを買いました。にしても、スタッズを一列に真っ直ぐ打つのは難しいですね。右テンプルはやや下がり気味で、左テンプルは上がり気味に仕上がってしまいました。

いつもは絶対やらないのですが、自分用ということで気が緩み、基準線のマーカーを消そうとサッとアルコールで拭いたところ、バッキバキに亀裂が入りました。とりあえず首の皮一枚。怖いですね。セルフレームはやはりアルコールNGですね。

ネジの圧迫があるので亀裂に拍車がかかったのだろうと予測して、こうなったらトコトン実験です。対照実験として反対のテンプルはスタッズを外してアルコールで拭いてみましたが、亀裂は入りませんでした。いずれにしてもセルフレームは、アルコールはNGとして避けた方がいいことを改めて認識するという副産物を得ました。

穴をあけますし、ネジが掛かるように生地を薄くしておりますので強度に難ありかも。そのままでカッコいいので、気になった方はそのままでどうぞ。

久々の登場
メガネのはなし

24.06.17

お持ち込みでした。拝見するのは2回目。タイの feaw handcraft のバッファローホーンのフレームです。

めっちゃカッコいいです。たしか2、3年前に初めて拝見して感動して、セル顔のフレームの中で世界で一番カッコいいと思いましたみたいな話を方々でしていたんですけど、それで買ってみたとのことでした。

前のは黒でした。この半透明な茶色も良いですね。層状になっているのか、透かさないと乳白色っぽい、微かに光沢があるような面になります。それが良いですね。

ハーフミラー
メガネのはなし

24.05.25

いまのMATSUDAのお持ち込みがありました。

紫っぽい色で、というご要望を頂きまして、あとどうしようかなぁというのでハーフシルバーミラーのレンズを入れてみました。

度なしのサングラス用レンズは面白いものがたくさんあって羨ましいです。

グレーっぽくなっている部分にシルバーミラーがコーティングされています。

もっとスチームパンク的な厳つさがあるイメージでしたけど、このフレームに関してはそれが控え目。メガネでの使用が想定されているためでしょうか。

引き戻すために強い印象のレンズにしてみました。それでミラー。あとは、大きいレンズのサングラスということで、ミラーでスポーツの要素を加えて、リックオウエンス的なかっこよさの付加が出来ないかなと思いまして、これにしてみました。

街ですれ違うくらいなら、多分わからない
メガネのはなし

24.02.21

TR90のアーネル風のレンズ交換しました。グレーの50パーセントです。

やはりアレみたいですね。初見では「ん、あれ?え?ん、ん??」みたいな反響が多いみたいですね。そうですよね。

その反応の後に、ディテールのチェックと正誤確認を経て、これはヴィンテージちゃうわみたいなことになるみたいですね。

ここからブルバキの製作に繋げるのであれば、細部の手を抜いて良いということでは無くて、まずは大枠を掴むことが大事で、ディテールの追求はその後ということでしょう。むしろ大枠を掴んでいなければ、ディテールの追求が意味を成さない可能性もあるということでしょう。

フロントだけでいえば、ダイヤのリベットでは無いので即時にアーネルちゃうわと認識出来るんですけど。復刻とかそういうことになったときに大事なのはどうやらそういうことではなくて、局所の分析とそれらの統合では掴めない何かが大事っぽいですね。

年明けから木のフレームを始めました。黒檀でイギリスのヴィンテージフレームを再現してラインナップに加えております。何を再現するかの選定の時点で、実際は目と手をすぐ離せる題材を選ぶというのも、ちょっと理由としてはありました。めちゃくちゃあのフレームが好きなのは大前提で、補足として木で再現してもっとよくなりそう、そんな読みがありました。

木で再現すると、フロントからテンプルにかけてのボリュームや立体感が足されます。木の材料でそれらの要素が足されると、完成品は物凄く高級感が出そうというのはすぐにイメージが湧きました。そうイメージしたときに、例えばアメリカンヴィンテージの類を題材に持ってきてしまうと、その雰囲気が再現に際して足され、結果違うものになってしまうのかなと懸念されます。欲しかったカッコ良さはそこじゃないみたいな。そんなことも考えてイギリスのフレームを、木で再現することの第一弾の題材として選んでいます。

なので、物凄くコントロールしたら黒檀アーネルみたいな物が作れるのかもしれませんが、なんとなく想像の産物のような気もします。今のところブルバキではアメリカンヴィンテージやその周辺は、木で作ることは無さそうです。木で作るという選択が、アメリカンヴィンテージの大局を掴むには適していなんじゃないかなという素材からの予想と、やはり日本はキッチリカッチリな製作が得意なので、そうじゃないものを無理して掴もうとしなくてもいいかなと、今のところ思っているからです。掴みやすいところを掴めば良いでしょうし、それは楽しているとかでは無いじゃないですか。緩くラフな時代なのは承知で、緩くラフに見てもらえるような工夫は込めて、作るものはキッチリカッチリ続けたいですね。

 


メガネのはなし

23.12.10

木をはじめます。

今まで銀無垢だ不変だなんだかんだと言いながら、木もめっちゃ好きです。家具に近い感覚をメガネに接続させるなら、木でメガネが出来たら最高ですよね。

お金が高い物となりますと、ヴィンテージとかあれこれ背景やら文脈やらストーリーやらソフトな部分も大事ですけど、まず物質として良い素材が欲しいところです。とりあえずヒュレーです。だから銀無垢でしたし、これからも銀無垢ですし、今後は木もやります。

 

インスタの2019年の2月6日の投稿にも、木は載せています。

一番上のモデルが、トップ画像と同じモデルです。工房樹さんの凛之十七です。木も選べて、以前拝見したときは黒檀でした。今回の入荷は黒柿でした。真ん中の丸メガネは、樹之十九というモデル名で、これも良いですよね。王道のセル風の丸メガネ。

突然のアレでしたので予算の都合で今回は見送りました。仕入れ出来るように頑張ります。これこそ、黒檀で作ったら藤田嗣治であり、デイヴィット・ホックニーであり、わくわくさんでもあると。知的にも見えて、でもクール過ぎずにややイジられつつ笑いも取れる万能なメガネになりそうです。個人的には、この前の銀無垢のファイヤーパターンにも通ずる話なんですけど、メガネはちょっと笑われるくらいが丁度良い気がしています。だからわくわくさんという構成要素は大事です。とりあえずまた手元に届きましたら載せます。

 

ちなみに2019年2月のブルバキの状況を思い出してみますと、銀無垢のサーモントの開発がどちらも一切進行していない状況でした。そもそも開発が出来るのかどうか何も分からない状況でした。もし開発出来そうとなり、ことが進んだときにお金がどれだけ必要となるのか未知という状況のため、あれこれ手を出すことが出来ず、あのときも当店へ紹介があったのにも関わらず“ごめんなさいnothingで”と、なっていました。それと新品は、銀無垢だけじゃ無いとブレるかな?とかその辺も気にしていたと思います。

セルの一番厚い物くらいの厚みがあります。結構迫力があるんですけど、木の風合いで威圧感が抑えられ、最後はほっこり感が勝ちます。

フレームにナイロールのガイドが取り付けてあります。レンズはナイロール加工で枠入れです。これが天才のひらめきで、美観としては外付けのネジや切れ込み等々が無く(フロント裏面に、ナイロールガイドを止めるネジが左右1本ずつあるのみ)、ほとんどセルのフルリムに見えます。

バネ蝶番です。バネ蝶番の埋め込みも綺麗です。メガネを畳んだ姿がとても美しいです。置いた時のメガネの佇まいも、なんだかんだ大事ですよね。

セルフレーム的な鼻盛りっぽい木片を取り付けてあるパターンもありますけど、とりあえず店頭はアーム付きにしました。このアームが嫌いとか意見が分かれるところですけど、木の鼻パッドがかわいくないですか?本体とおなじ黒柿で合わせてありますし、これかわいいんですよね。とりあえずアーム有りが店頭にあります。

 

ちょっとまだ時期とかあれこれ決まっていないんですけど、丸っこい何かをオリジナルで作っていただく話をしています。それで一旦、既存モデルのまん丸をパスしています。

デザインソースのフレームは、私が消費者だった頃に買ったフレームです。もう10年以上前ですね。そのときから眼鏡業界の人間ではありまして、工房樹さんも存じ上げておりました。当時からアレは木で作ったら最高なんじゃないかと思っていまして、使わないのに青田買いしたフレームでした。まず図面の確認があるんですけど、とにかく図面が待ち遠しいです。

ソースはイギリスのフレームです。昨今の銀無垢の開発のときに「アメリカがアメリカが」言いすぎて、そんなにアメリカ好きなんですか?と訊ねられるくらいなんですけど、メガネで言えばアメリカのヴィンテージはほとんど買ったことがないです。金張が2回くらい。セルは店でもオークションでも買ったことないですね。

銀無垢のサーモントの開発において、どこかにアメリカの要素を組み込むというのは、ルールに従ってみようという試みでした。論文は英語で書くみたいな感じです。ルイヴィトンやその他諸々がアメカジの時代ですから、メガネもやるべきだなと思ってアメリカを要素に、特にカジュアルになる方向で組み込もうとしたのが銀無垢のサーモント2型でした。ということで、どこの国が好きとか嫌いとか考えたことないですね。そして今回は、あれこれ文脈無視して一番自分の好きなセルフレームを木で作ってみる予定です。

こってり感が良いです
メガネのはなし

23.04.14

リザードの型押しのケースが、いつものよりさらにウルトラギリで入庫って感じです。

今日も算数
メガネのはなし

23.02.03

金張りの厚みって実際どうなん?ぶ厚いとは言うものの。気になりませんか?

後世の資料の為にと思いまして、電動カッターで切断しようと思っていました。ところが、気づけばこんなところに切断面が…というのでインスタにも載せております。ヤスリで整えて、バフで面を綺麗にしました。

母材、銀ロウ、ニッケル、金の順番に層状になっているので、上の写真で爪くらいの薄さに見えている層が全て金とは限らないでしょうね。また、メッキと違って取り上げる箇所によって厚みも異なり、一定ではありませんので。とりあえず母材との境目ははっきりと写せました。

そういえば、重さを計ったことがありませんでした。ネジ無し、パッドはカシメなのでそのままにして、7.4グラムでした。

刻印があり、“AO 1/10-12KGF”とあります。結局、どれくらいの金(24金換算)を使っているんでしょうね。計算してみます。

またまた70年代のHOYAニュースから。これに則って計算すると…

0.37g(24金換算)

となります。ちなみに、金は1㎤あたり19.32gですから、体積だと

0.01915㎤

になりまして、これは一辺が0.2675㎝の立方体です。つまり、一辺が2.7㎜のサイコロをイメージすればよく、それかちょっとデカめの鼻くそ(すみません)くらいの大きさということになります。改めて、金って物凄く延びるんですね。これは1/10の厚みの算出なので、70年代頭の1/20や、70年代後半の1/30の厚みになれば、それに準じて少なく・軽く・小さくなります。

 

Pierre Marly
メガネのはなし

22.10.31

書いたかどうだか忘れてしまったので、ひょっとするともう一回です。

70年代のHOYAの広報誌をずっと見ていまして、フレームの年代がざっくり70年代でちゃんと合っていたなとかあれこれ裏が取れて嬉しかったんですけど、全く知らなくて驚いたのはこれ。ピエール・マーリー(Pierre Marly)のメガネコレクションが日本に来て巡回していたことです。

1975年4月号

Amazonでローラーかけても、メガネ関連の図鑑は10個あるか無いかだと思いますが、そうして集めた図鑑のどれを見てもだいたい海外の図鑑のクレジットでピエール・マーリーに遭遇します。いまいちよく分かっていませんでしたが、コレクターのトップだったんですね。日本にも関わりがあって、しかも実物見られる機会がかつてあったとは。いまはエシロールの博物館にピエール・マーリーコレクションとして収蔵されているみたいです。

愛知は名鉄が会場でした。照明かわいい。

編集後記がすごい良くて沁みます。先を急ぎすぎたので後ろのことが気になってきましたという表現がおしゃれです。

「クラシック、ベイシックなものが、どのように生まれ、育ち、消えていったのか、確かめてみることは、むしろ必要な作業といえるでしょう。」

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