カテゴリー:目のことレンズのこと

かゆい
目のことレンズのこと

23.03.08

いろんなレンズメーカーさんがありまして、いろんなコーティングの名称がありますけど、総称としましては“帯電防止”コーティングと呼ばれるものがあります。ホコリが付きにくいということで、花粉もつきにくいということになります。

資料を下さったのがHOYAさんだけですし、これがまた良い資料で、数字で分かりやすいです。代表してHOYAさんのヴィーナスガードコートを、インスタでも載せてみました。花粉でお困りの方どうぞ。

帯電防止コーティングとなると、コーティングの種類としましては割と上位グレードになると思われます。上位グレードのコーティングとなりますと、いつも店頭で説明します単焦点の松・竹・梅のレンズグレードにおいて、梅は不可のメーカーさんが多いはずです。竹から選択出来ますよ的なところが多いです。なので、お店によってはレンズグレードの変更とコーティングの変更で、そこそこお値段が嵩むかもですね。

付属のレンズです。一年でこんな感じでした。いまの花粉メガネは、破損のリスクを考えて、衝撃に強いポリカーボネートのレンズが多いと思います。で、このポリカーボネートが傷には弱いんですよね。

よくある花粉メガネを度付き化しました。

帯電防止コートがつくレベルのコーティングは、“超撥水”と呼ばれるコーティングも付いていることが多いです。汚れがつきにくい、油汚れも水流でけっこう吹っ飛ぶコーティングです。それで小まめに水洗いすることで、レンズが綺麗で花粉がついていなくて、痒さがマシになるのかもですね。

今日も手前味噌。ブルバキの単焦点では3年くらい前から標準でついています。でも今年はかゆい。

痒くてたまらん方でまだお試しでは無い方は、全国の眼鏡店で帯電防止コーティングを選んでみても良いかもです。かゆみが変わらなかったらごめんなさいですけど、汚れにくさと拭き残しの無さは凄いのでいずれにしてもオススメです。

B型
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23.02.18

どの姿勢で、どの作業距離で、どれくらいハッキリクッキリ見たいかということに依るんですけど、遠近ズバッとクッキリ&クッキリということで、久々のバイフォーカルです。

最新の累進には無い利点がもちろんありまして、それで今でもちゃんとあります。ただ単純にレトロということでは無いです。むしろその理由だけだと入れないかもです。

ガラスでも何社かありますけど、確かマルチコートしかどこも出ないと思います。プラスチックの1.50だと、ハードコートが選べるので、ヴィンテージの美観を追求出来るのも確かに良いです。

検眼では、遠方(#12)とか近方(#18)で垂直方向の動きをみます。問診にもよりますけど、(#12)で問題無ければ、遠方の上下開散を省略して(#18)もまるごと省略することも多いです。

その検査でも調べられますけど、大体どのひとも上下の像が分かれる限界が3プリズムくらいです。それは火事場の馬鹿力的な最大値でして、特殊な状況で無ければ上下は1.0〜1.5プリズムくらいで違和感を強く感じるか像が分離します。この辺りは特別な話ではなくて資格上の一般論です。数学Ⅰ・Aみたいな話です。

視線を落として近方視をするときにメガネゆえの問題として、どれくらい右目と左目を上下に離そうとしちゃう力が産まれちゃうのかみたいなことは、バイフォーカルに限らず累進でも、とにかく遠近両用となれば常に気にしています。数値だけ言われても何のこっちゃなんですけど、例えば片目だけを意識的に上げ下げするって難しいよねって話が遠近の難しさの根底にあります。そういう色々で、バイフォーカルにしても累進にしてもこれだけレンズの設計で手数があるというのは面白い話だと感じています。人類の見ることへの格闘の歴史が、レンズ設計のバリエーションと繋がっています。バイフォーカルは、それが外観にもろに表れているので、本当に素敵な見た目のレンズだと思います。

以下、今日たまたまこのメガネのお渡しの方とは別に聞かれたので余談ですが。ドラえもんポケットタイプの、これはB型とかカーブドトップタイプと呼ばれるもので、マイルド系です。何がマイルドかと申しますと、像の転移(イメージジャンプ)がマイルドです。このちょっとした山が大事で、プリズム作用が必ず発生することに対しての助走みたいな役割です。

ストレートトップタイプとかA型と呼ばれる、スパッと上が直線もあります。こんもりとした山が無い分、手元度数がより少ない下方視で入ります。近方重視タイプです。その代わり、助走がなくスパッと度数が入る為、像のジャンプも突然スパッといきます。

どちらにしてもイメージジャンプはビュンっと起きるので、階段を降りるときに注意です。

 

291
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22.11.21

商品名が「くもり291」で曇りにくいということで、291は福井でもあるなあとか思いつつ、HOYAの防曇コートです。インスタでハァハァ言ってたあれです。

曇にくさは予想を超えていました。私のマックスのハァハァで曇らなかったですからね。

基本的には各社とも防曇となりますと、それしかレンズにコーティングされないことになります。傷防止とかのハードコートとかも掛けられていないので、傷に弱いです。

防曇も、こんな世の中なので進化しました。第1世代は専用クロスで1日一回レンズを拭かないと防曇効果が持続できないとかでした。それが無いので、曇るのが一番煩わしいのであれば有りかなと。

あとは、メーカーさんの提案まで気づいていませんでしたけど、度付きで染色でノンコート(防曇のみ)で出せる唯一の方法です。レンズの反射光が真っ白になります。ヴィンテージのフレームに相性が良いです。それは盲点でした。向かって左のレンズが、ブラウン10%の染色です。右のクリアも両方、LED(昼白色)の白色を白色のまま反射しています。

ただ、現代におけるハードコートは生活で言うところのインフラみたいな位置付けでして、ハードコート無しのプラスチックの傷つきやすさは中々だと思います。曇ることが一番の主訴であれば是非。

動く飾り
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22.11.07

ゴルチエです。ヴィンテージメガネの世界に限れば、ある程度の価値が確立した存在になりましたので、カザールとかアメリカンオプティカルとかローデンストックとか、ブルバキが特に何か言わなくても既に伝わっていることが多いと言いますか、言うと逆に購買意欲下がるわーみたいなことになりかねないメガネです。

でもこれは、数あるゴルチエの中でも特に面白いので、レストアするにつれて言いたい欲が止められ無くなったので書きます。

正面は、まさに前回のビジョメガネ的なあの時代の素朴なオーバルメガネです。サイズは52□18で、メガネ界の標準オブ標準サイズです。それはつまりユニクロのMサイズみたいな感覚です。

横がゴルチエらしさ全開でゴツイです。

上から下から横から、様々に撮ってみました。針金がグルっとテンプル上のコマみたいなパーツを経由して1周しています。バネ蝶番を剥き出しの構造にした感じにみえませんか?実際は違いまして、ただテンプル上のコマが動くだけです。バネ等のメガネの機構に対して何も関与していません。純粋に飾りです。でもそれを侮ってはいけなくて、混じりっ気無いただの飾りなんですけど、これは動く飾りなんです。動く飾りは、身に付けるものでは珍しいと思いますし、その動く動力がメガネの腕を開く動作に連動しており、飾りを動かす為だけに何か特別な操作を要していません。自然な動作の中に、“で、なに?”の極みみたいな飾りがついたフレームです。そんなメガネはこれが初めてです。

もう90年代といえども20年以上は経っているわけで、ナイロン系のパーツは取っ替えです。強度もそうですけど黄ばみも気になりますからね。あとは柔軟性が無くなって硬いんです。

鼻パッド変えました。元の物もお渡しできるように保存してありますが、ちょっと表面が滑っています。デッドストックなんですけど、パッドだけが先にダメになっているケースは多いです。使えるっちゃ使えるくらいの状態でしたが外しました。あとは、チタンパッドにするだけでカッコ良さが倍増します。ゴルチエの時代にはまだチタンパッドは存在していなかったはずで、フレームの意図するところからすると、むしろチタンパッドとかの金属の塊の鼻パッドの方が統一感が出てカッコいいです。

このゴルチエはサングラスラインでした。薄い色レンズが入っていましたが、濁っていたので透明に変えております。レンズは特に何の刻印もない、汎用のCRレンズだと思います。

好みの問題ですけど、なんとなく超普通のメガネ然として佇んでいるほうが面白くてカッコいいと思ったので透明にしました。せっかくのナイロールフレームで横と下にレンズのコバが出ますから、濃さ10パーセントくらいの色レンズも良さそうです。それくらいの濃さですと、掛けても正面は普通のメガネに見えて、色が入っていると他人から認識されずらくて、横から見たときにコバが綺麗に発色して気分が良いです。

飾りの動きは、インスタに載せます。

バイフォーカルのハードコート
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

目のことレンズのこと

22.08.13

バイフォーカル(二重焦点)です。銀無垢の丸メガネに入れてみました。

30年くらい前は、私が幼稚園児のころは近所のスーパーへ買い出しに行くと見かけた記憶が薄っすらあるんですけど、昨今はほとんど見かけなくなりました。今もちゃんとあります。CR39のハードコートもまだ製作しているため、こういった一山のメガネに入れてみると、ヴィンテージ感が強く出ます。ガラスは調べてみないとですけど、マルチコートは製作していたはずです。

遠近両用のレンズとなると、一般的には累進タイプと呼ばれる、境目のないレンズが主流となりました。そんななか、バイフォーカルやEX等々境目のあるレンズたち、用途が見た目にダイレクトに反映されたやや原始的なレンズはどうなんだ?ただの退行か?みたいに思ってしまうかもしれません。実際にはそんなことはなく、最新の累進レンズでも克服出来ない利点がちゃんとあって、まだ残っています。レトロだから良いよねにプラス、光学的な特性が付加されてもうちょい良い感じになります。

従来の認定眼鏡士では、色々なタイプの遠近レンズの光学的な長短を考察し、主訴に合わせた提案をしましょうというスタンスです。ということで、主訴・ご要望次第ですけどバイフォーカルもアリですよ。フレームのレトロブームに乗っかって、レンズもレトロブームが来ると良いですね。バイフォーカルを見たことがない人が増えたときに、それが新鮮に見えてカッコいいとか。レンズに境目があるということが、美観に於いてネガティブな評価が下されやすかったんでしょうけど。そもそもそれって何でだっけ?境目があると何でカッコ悪いんだっけ?みたいになって、あっても良いじゃんみたいな風潮が出来ると、眼鏡屋としては主訴に対してのアプローチが増えるといいますか教則本通りに戻るといいますか、色々と解決がしやすくなって良いことだらけです。

認識
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22.08.01

周りから野菜を頂く機会が増えました。私も大人になってしまったなあと感じます。

7月はジャガイモ強化月間で、これで方々から頂いて3回目です。コロッケを作ってクリンナップしましたが補填されましたので、また作ろうかなと思います。

コロッケを作ったことってありますか?ジャガイモから。特に牛肉コロッケを。私みたいに、たまにしか料理しない人間こそ、牛肉コロッケを一度作ることをオススメします。私は今のところ、世界で一番面倒くさい料理だと思っています。

料理レシピをのぞいても、工程数は少なく、パッといけそうな雰囲気を出していますけど、そこは魔宮です。安易な心持ちで挑むと、返り討ちにあいます。ちなみに、ジャガイモを茹でずにチンすれば時短で簡単よねって感覚だと返り討ちです。そんなもんじゃ無いですコロッケとは。ちなみにちなみに、遠足が帰り道を含むように、料理は調理器具の洗い物を含むと個人的には思っています。コロッケも、そこまで含んだコロッケをここでは指しています。

いまちょうど、一年ぶりくらいに三島由紀夫の『金閣寺』を読み直しました。世界を変えるには行動か認識かという相克に主人公が悩まされるんですけど、そうそう認識を変えるにはコロッケを作ることを私はオススメします。コロッケを作っていれば、主人公の溝口は金閣寺を焼かずに済んだのかもしれません。ともだちの柏木が小難しく言うから、あぁなってしまった訳でも無いんですけど、優しく「そうだ、コロッケを作ってみたら。」と言うだけで良かったのかもしれません。

一度作れば、スーパーのお惣菜のコロッケ、冷凍のコロッケ、なぜこんなに安いのか感動するようになります。そして、お惣菜の中でもやや控えめで位が下っぽい雰囲気で佇んでいる様子をみると、ニーチェが馬に抱きついて泣いたように、パックやフィルム越しにコロッケに頬ずりして泣きたくなります。

もちろん大人なので分かっていますよ。海外産のアレを使って…とか、工場で大量に作って…とか。効率化合理化の先に、惣菜のコロッケがあるんでしょうけど、そういう字面にちかい知識の話では無いんです。自分の経験を基にした実感をもってそれらを眺めると、そうだとしても凄いなとしみじみ思うようになります。この値段でこのクオリティかぁとか。効率化合理化に対しての、インディビジュアルなコロッケに向けられる努力とは違う種類の、凄まじい努力を感じることになるはずです。

クリピのダブル
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22.07.19

スカッとした、エロい雰囲気の無いピンクのレンズを探していました。それがようやく見つかりました。

欲しかったイメージとしては、オックスフォードシャツのピンクが帯びている、あの感じです。男が着ても甘過ぎな雰囲気が出なくて、良い感じなお父さん感がプラスされるあのピンクっぽいレンズカラーを求めて、求めてとか言いつつ特に何もせず日々過ごしていましたが、急に見つかりました。

乾レンズのクリスタルピンクです。ちょっとオレンジっぽいのかもしれません。それか赤強めのピンクでは無くて黄色強めのピンクという表現が良いかもです。そのクリピを重ねて、見本色で作ってみました。ヴィンテージのアメリカやフランスフレームにある、fleshカラーみたいですね。

まさにfleshということで、肌にはぴったり。ピンクが勝たないです。日焼けが強化されるように見えます。

クリピはなんと言ってもコバが綺麗です。ツーポでは無くても存在感ありです。

銀無垢のサーモントのときに、こんな感じのカラー見本を作ってインスタに載せています。あれは調べたらヴァイオレットでした。あれも良かったんですけど、もっとしっかりピンクと認識出来て、なおかつ掛けたときにピンク感が強く出ないということで、いまはコレがオススメです。

可視光調光
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22.05.06

4月27日から受注開始で、昨日届きました。HOYAの可視光調光レンズです。

いままで、眼鏡業界の調光ムーブメントに乗って来なかったですけど、今回は乗ります。理由は一つで可視光調光で緑のラインナップがあるからです。それがカッコ良さそうだったからです。そしてカッコ良かったです。

結局、調光の色抜けがどうのこうのとかありますけど、本当に瞬時にしっかりと抜けないと嫌だという感覚が強いと、眼鏡とサングラスの二個持ちになると思います。調光を使っていて、色が抜けているのか不安になって眼鏡を都度外して確認しているのであれば、二個持ってパパッと変えた方が、「色の眼鏡のままでどうしよう…」的なソワソワした気持ちもパッと切り替え出来ますので。

そこで“可視光”調光です。光があれば、基本色が入りっぱなしです。色が入りっぱなしというマインドが先に立っていることが大事です。色が抜けることを期待しない、期待しないことは心の平穏の基本です。

色抜けを期待しないとか言いつつも、結構濃度変化はありました。晴れた日(5月4日)の日中の店の中でこんな感じです。南側の窓全開で、作業机の周辺で濃度15%くらいでしょうか。窓に近づくと35パーセントくらいまで発色します。ある程度の光の強さはいるので、太陽の光が入らないLED照明下で、ほぼ透明でした。

外に出したらこんな感じです。30秒くらいで70パーセントくらいまで発色したっぽいです。結構暗いですね。

緑色の具合が、アリアーテトレスよりも青味が強く、涼しい感じです。一個前のアリアーテのアイスグリーンぽいです。そこも推しです。

今回は、フレームの難点を回避する為にも可視光調光にしております。たまにある、畳むとテンプル先がレンズに直撃するパターンです。そこで、掛け替えなく過ごせるように可視光調光にしてみました。

レンズもごちそう
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22.02.04

ペルソールのメガネ化でした。近視のs-6.00付近で乱視もあり、クラウンガラスで製作出来なかったので、今回はガラス1.70の非球面、アッベ数52の良いレンズ入れました。基本的には、高屈折になるほどアッベ数が落ちる傾向にありますが、1.70のしかも非球面のみアッベ数52が存在します。特異点的存在です。

80年代ブーム、シティ・ポップブーム、色々あるんでしょうけど80年代に対するイメージとしてフワッとしていて丁度良い感じとか、優しい柔らかい印象を抽出しているっぽいですけど、意外にメガネは真逆のしゃきっとした雰囲気があります。スクエアのフレームとなったときに、タートとかモスコット的な柔らかい雰囲気のスクエアフレームをあまり見たことが無いので。この年代のスクエアフレームのキリッとした感じが、それだけで新鮮に見えます。

さすが高屈折、枠内に縁が収まります。比重が大きいので、それなりに重みはあります。

フラット
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22.01.21

プラスチックのフラットレンズの改編がありまして、ようやく価格も決まりました。遅くてすみません。

今まではフラットCR(屈折率1.50)のみでしたが、新たにフラット60(屈折率1.60)とフラット67(屈折率1.67)が増えました。住宅ローンみたいな名前ですね。

改編のポイントは2つで、1つは度数に応じて屈折率を上げるようになったことです。度数が低い方は関係ないですけど、s-2.00,s-4.00の区切りで高屈折を選択することになりました。ざっくり、度数が強い方は薄くなる代わりに価格が上がる感じです。

もう一つポイントは、度無し(業界では平面と呼んでます)のカテゴリーが増えました。グッと値段が下げられます。これは嬉しいですね。

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