どの姿勢で、どの作業距離で、どれくらいハッキリクッキリ見たいかということに依るんですけど、遠近ズバッとクッキリ&クッキリということで、久々のバイフォーカルです。
最新の累進には無い利点がもちろんありまして、それで今でもちゃんとあります。ただ単純にレトロということでは無いです。むしろその理由だけだと入れないかもです。
ガラスでも何社かありますけど、確かマルチコートしかどこも出ないと思います。プラスチックの1.50だと、ハードコートが選べるので、ヴィンテージの美観を追求出来るのも確かに良いです。
検眼では、遠方(#12)とか近方(#18)で垂直方向の動きをみます。問診にもよりますけど、(#12)で問題無ければ、遠方の上下開散を省略して(#18)もまるごと省略することも多いです。
その検査でも調べられますけど、大体どのひとも上下の像が分かれる限界が3プリズムくらいです。それは火事場の馬鹿力的な最大値でして、特殊な状況で無ければ上下は1.0〜1.5プリズムくらいで違和感を強く感じるか像が分離します。この辺りは特別な話ではなくて資格上の一般論です。数学Ⅰ・Aみたいな話です。
視線を落として近方視をするときにメガネゆえの問題として、どれくらい右目と左目を上下に離そうとしちゃう力が産まれちゃうのかみたいなことは、バイフォーカルに限らず累進でも、とにかく遠近両用となれば常に気にしています。数値だけ言われても何のこっちゃなんですけど、例えば片目だけを意識的に上げ下げするって難しいよねって話が遠近の難しさの根底にあります。そういう色々で、バイフォーカルにしても累進にしてもこれだけレンズの設計で手数があるというのは面白い話だと感じています。人類の見ることへの格闘の歴史が、レンズ設計のバリエーションと繋がっています。バイフォーカルは、それが外観にもろに表れているので、本当に素敵な見た目のレンズだと思います。
以下、今日たまたまこのメガネのお渡しの方とは別に聞かれたので余談ですが。ドラえもんポケットタイプの、これはB型とかカーブドトップタイプと呼ばれるもので、マイルド系です。何がマイルドかと申しますと、像の転移(イメージジャンプ)がマイルドです。このちょっとした山が大事で、プリズム作用が必ず発生することに対しての助走みたいな役割です。
ストレートトップタイプとかA型と呼ばれる、スパッと上が直線もあります。こんもりとした山が無い分、手元度数がより少ない下方視で入ります。近方重視タイプです。その代わり、助走がなくスパッと度数が入る為、像のジャンプも突然スパッといきます。
どちらにしてもイメージジャンプはビュンっと起きるので、階段を降りるときに注意です。