卵甲syuuri

21.03.03

前もガラスレンズの枠入れで扱ったフレームです。今回は、お客さんが家で鼻パッドをいじいじしてパッド足を折ってしまったということでした。工場にてレーザー溶接出しています。早くて綺麗です。

よく分からないですけど確かに素人玄人抜きにしてピピッとタッチするくらいでメキッと嫌な音がして折れることもあります。とにかく、パッド足のお触りは難しいです。

今回、着目は別にありましてパッドいい感じじゃないですか?と、そこがメインです。ヴィンテージのフレームですけど、修理で風合いが崩れていないと思いました。どうでしょう。

1回目のお持ち込みの段階で、すでに箱のパッドに取り替え&フルメッキの修理済み品でした。それで今回の修理はそれをもう一回付け直すという、そのままではお客さんにとってはテンションの上がりきらない修理です。なので、ネジ類を全部マイナスに変えて、パッドもそれっぽいのに変えて元のセッティングに近づけておきました。これは擬似鼈甲である卵甲の擬似です。プラスチックパッドの卵甲カラーです。

箱のネジと、眉パーツの固定するネジが既存の修理でプラスに変更された状態で私のところに来ています。私も、物として維持が難しそうであれば積極的にタップ切ったりネジの長さを自前で整えたりしながら、現代の強いネジに変えてしまいがちです。ただし、何となくマイナスネジの方がカッコいいよねという感覚は同じく持っていますので、出来るだけまずマイナスで探し、無ければプラスで直しています。残念ながら、日本はやっぱりプラスネジの方が種類も長さも素材も豊富です。

眉の止めるネジ周りには、AOの場合シリコンのチューブみたいな物がささっています。そういえばツーポの段付きポリカワッシャーがピッタリでした。ちょっとゴツく出っ張りますけど、良さそうなのでこれからそう直します。

パーツメーカーの一般供給品の場合、抱きのパッド・はめ殺しのパッドの種類は少なくプラスチック部分の色味は透明1択です。今回の修理を見まして、それならいっそ箱パッドにしてチタンパッドの装着も良しですし、この卵甲カラーのプラスチックパッドの装着もいいなと思いました。

ただこの卵甲カラーはやや危険です。なにが危険かと申しますと、業界人の私ですら同じ業界の人に「パッド黄色くないっすか?」と言われたことがあります。ですから、汚くて古くて黄色いと思われてしまうこともあります。場所が変わると評価が一変する可能性はありますが、個人的には大好きですね。

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