スペースエイジvintage

19.07.16

雑誌の昭和40年男だと、パストフューチャーと呼ばれていました。個人的には60年代ごろの、宇宙船っぽいデザインがたまらなく好きでして、店もちょいちょいそんな感じの物を、棚やらペンダントライトに用いています。

それで、メガネとなるとどうかと言えば、やっぱりメガネもその辺りが好きです。ひょっとすると一番。ゾーンとしては60年から、70年代のオプチル黎明期くらいまででしょうか。未だに見たことのないデザイン、今にない作り、そんな珍品のオンパレードだったりします。シナプスがバチーンってきます。

ということで写真のこれ。推定60年後半です。オーストリア製。

写真が全てですから、特に言えることも無いんですけど、絶妙におじさんメガネっぽく、絶妙に宇宙船っぽい、未来感があります。眉の部分の侘び寂びを見てください。裏から止めて、正面から見たときにチラリと覗くだけです。だったら無くても良いじゃん、と思うかもしれませんが、そんなことはありません。初めから無いことと、消去ということは違いますから。

レンズを囲うリム、どうですか、おかしいでしょう。上下と左右で厚みを変えた、カットリムの中でもやや特殊なやつです。シートメタルには出来ない、奥行きのある柔らかい曲面がもたらされ、有機的な印象を与えます。つまり、掛けた時に冷たい印象になり過ぎないと言いますか、ロボットぽくなり過ぎない感じです。カットリム自体は失われた技術では無いんですけど、コストが高く、まず意匠がふんだんに盛り込まれたフレームに対して採用されることが無いと思われます。

散々言いましたがあれですね、なんといっても一番はブリッジの唐突さですね。何でここだけデザインを諦めた?みたいな、ただの棒がくっついているのが見所であり、一番目を惹きますね。棒というか、グラタンのチーズの溶ける前みたいな、はたまた千切れたうどんみたいな、謎の偏平が真ん中に鎮座しています。リムと違って艶ありですから、明らかに目線をここでストップさせたいという意思を感じます。自信がありそうです。

でも確かに、不思議なことに見ればみるほど、これしかブリッジとして合わない気がしてきます。これ以外、そしてこれ以上のものは浮かびません。むしろ、デザインをしないというデザインを最後にブリッジに施し、全体にダイナミックな躍動感を足したのでは無いでしょうか?そんな気さえしてきます。

そして、なんといっても、何だかんだ遠目はサーモントだったり、カールトンぽくも見えたり、普通の四角い銀のメガネに見えますから、現在のファッションとの親和性が高いところもポイントが高く、なかなかの一本でした。

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