厳密の果てzakki

19.11.11

私の左眼の話です。左眼に、プリズムを入れるという話なんですけど、特注指定でプリズムを処方するのではなく、レンズの平行移動で、同等の作用を出すというを目指します。別にこれは、特別な話ではないですし、理論と精密に形にすることとのギャップが垣間見れるので書いておきます。

s-4.50 c-1.00 ax165というのが、私の度数です。左眼の。ざっくり、横は -4.50の近視、縦は-5.50の近視という感じです。それが正確には、15度ずつ傾いています。

それで、いつもはそこまで影響無いだろうとおもい、(1.00/4.50)*10=2.22㎜ 瞳孔よりも外側にレンズを平行移動して、プリズムを処方しています。そういうもんなんです。ですが、本当は15度傾いているので、本当にそれでいいのかなと、一回くらい計算してみました。

ほぼ、三角比の定義を当てはめるだけなので、特に難しいということではありません。作図で言えば、O’の位置が第2象限の方が正しかったですね。ごめんなさい。それに、いまは特注でプリズムをレンズに組み込む方が一般的なので、やらなくても良さそうな気がだんだんとしてきました。

結果は、177.6度方向に2.21㎜偏心でした。はぁ?という感じです。ちなみに、

cos(177.6度)=-0.99912283…

sin(177.6度)=0.041875653…

です。ざっくり、先ほどの177.6度方向に2.21㎜の移動を縦と横の移動に言い換えますと、

縦に0.093㎜移動し横に2.208㎜移動する、と表現出来ます。横だけではなく、縦にもおよそ0.1㎜の移動が要ることが分かりました。横の移動も連動して減っています。この0.1㎜は、どう捉えたらいいでしょうかね。

例えば加工、フレームと削り終わったレンズの関係に於ける0.1㎜は大事です。レンズの径の指定は0.05㎜単位で指定します。ですから、眼鏡屋にアルチザン風味を足すのであれば、技師が0.05㎜を見極めて、最適なサイズ感でレンズを入れていますと、そういう話になります。ブルバキも黎明期はそんなことを言っていたかもしれません。まあでも、実際の手順としてはボタン一つです。

光学的にはどうか?削る前のレンズに、加工の基準点を設ける際の0.1㎜です。割と、感覚にお任せになってしまいます。例えば、毎度お馴染みの私が3年半使っている銀無垢のメガネは、レンズ径が36㎜です。

こういうフレームに対しては、枠心という一手間があって、ちょっと特殊な下拵えでレンズの加工に入ります。その際に、下の器材を用いますが、そのピッチは1.0㎜です。半分の0.5㎜とか、その半分の0.25㎜までは実現出来そうですが、そこから先は、気分次第っぽいですよね。

なので結局、今回きっちり値を出してみましたが、まんまと厳密性が最後で崩れてしまいました。縦方向は無視出来るものとして、横方向にしても、2.22㎜の平行移動が本当は2.208㎜であるということなんですけど、もはや誤差な気がします。

昔、メガネは突き詰めるだけで成り立つから良いなぁみたいなことを言われて、はあそうですかと聞き流していたことがありました。今回はレンズの話だったんですけど、例えば検眼は、もっとエクストリームの連続です。メガネだって厳密さだけでは無いし、おそらく他も全部そうなんだと思いますけど、最後は思考では敵わないというのが現れて、ボカーンと崩れたときが一番面白いなと思います。

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