アーカイブ:10月2016

お客さんのメガネ
メガネのはなし

16.10.31

コレクションに近い物でしたので、お客さんの元へ行くというのは、とても嬉しい反面、ちょっと切ないです。

度付きのサングラスの予定です。女性のお客さんに買って頂きました。センスに脱帽です。シュッとした格好に、メガネだけスチームパンク、最高です。

ファッションに於いて、ハズすという行為が、昨今ではリラックスという解釈な気がしています。カットソー、スウェットパンツ、ジョガーパンツ等々が主流になっていますので。それも好きですが、ちょっとした違和感で遊ぶというハズし方が個人的にさらに好きです。

1960年の様子
メガネのはなし

16.10.30

雑誌 男子専科 “近代人の背広読本” 38 特別増大号(昭和34年発行)

昭和34年ということは、西暦で1959年ということですね。大卒サラリーマンの平均初任給が(男)¥16,115の時代です。60年代は一括りに出来ない時代です。1965年で¥24,102,、1970年で¥40,961なので、恐ろしい上昇を遂げております。大卒は現代よりは少ないはずなので、初任給としてはちょっと高い数値なのでしょう。(参考:WEB金融新聞>お金の雑学>大卒初任給の推移)

写真に話を戻します。メガネのページが見開きでありました。すでに、ファッションとしての捉え方もあったということです。まだまだ視力矯正器具としての認知が高いとは思われますけどね。

一番上のフレームは、AOのブローです。アメリカンヴィンテージ好きにはたまらない、マルコムXモデルです。今は、BJクラシックで復刻しています。¥3,200。

そして、興味深いのは一番下、おそらくタートのF.D.R.が載っています。¥1,350。リバティですとか、様々なメーカーも似たような形を作っているとは思いますが、スモーキーグレーという表記と、3ドットに見えるので、恐らくという感じです。

エンパイアのオリジナル、日本製のセルフレームが¥1,350です。各ヴィンテージの当時の位置付け、特に日本から見た位置付けというのを初めて知ることが出来ました。

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実際には、単純に平均初任給の値を利用して当時の物の値段を、現代のその物が属するカテゴリーの平均価格帯に当てはめて考察することは出来ないです。例えば、エンパイアのオリジナルが¥1,350で、平均初任給が¥14,000くらいなら、今で言うところの¥20,000くらいかという考察は、物価指数等々の関係で正確ではありません。

ですが、正確な把握は必要としていないので、大体そんな感じという認識でも良いのかなと私は思っています。としますと、写真中央のドイツ製は相当高いですね。

延々と悶々と
雑記

16.10.28

美しさとか良さがその物に内在しているのか、はたまたそういったものは自己の判断でしかなくて、物には内在しておらず、見る際に、自ずから価値を投影して見てしまっているのか。どっちつかずで前回のブログは終わっていますし、結論は出ない問いでありますから、日々、延々と悶々と過ごしております。

ここ数日お客さんや周辺のひとに、たて続けに言われて気づいたことがあります。ヴィンテージということは、一点物である確率が高いということです。皆さん、結構その点を言ってますので、改めてやっぱりそこが最大の良さなのかと思った次第です。

自分の買い物、そしてヴィンテージのメガネに没入していく変遷を辿ってみたのですが、そこまで一点物ということを意識していなかったですね。ひょっとしたら、自分も何か物を買うかどうか迷っている時に、ひと押しで言われたことがあったかもしれません。ただ、決め手になった記憶はちょっと無いです。

悩んでいるそのものが、世界中で一個かどうかということは、それが美しいとかキレイとかカッコいいとかとは、別の要素です。ですから出来るだけ、目の前にあるものに対して、美しいかどうか等々のジャッジに専念したいという考えです。言い換えますと、美しさとかではない要素を極力除いたうえで、最大限目の前の物に惹かれたいという感じでしょうか。それが没入でしょうね。

ただ、所有した後に手元にあるものは世界に一個くらいしか存在していないかもしれないと思うと、しみじみと嬉しさを感じることはあります。

いずれにしましても、皆さんがそれぞれに楽しみを見つけて下されば嬉しいですね。解釈の多さが面白さでもあります。

触発されました
ヴィンテージのメガネ

16.10.27

ブルータスのファッション特集より。2011/2012年秋冬は服のアーカイブあれこれでした。モードとトラッドが融合していた、個人的には大好きな時代です。

黒ぶちメガネのアーカイブという記事があり、読み返してみるととても面白いです。確かに2016年の現在でも、デザイナーさんやファッションの巨匠さんは、メガネの流行が細いフレーム、メタル、メタルとプラのコンビネーション等々のボリュームダウン傾向であるのにも関わらず、変わらず黒ぶちメガネとか、セルフレームというイメージがあります。

フランク・リーダーさんのチョイスが面白いですね。雑誌の12番のメガネです。服はジャーマンレザー等のゴツくて男臭い印象ですが、 メガネは80’sのデカセルとは意外です。確かに、フランク・リーダーの服に如何にもクラシックなメガネですと、今の時代感なら良しとしていますが、冷静に俯瞰しますとコスプレ感が出ていることは否定出来ませんので、メガネの抜け感でバランス取っているんでしょう。

マネしたくなりましたが、手元に同じ物がありません。いつも通り、自作でレンズシェイプを変えます。

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始めの状態。ボストン型でした。ちょっとかわいい感じです。

熱で、欲しい形を先ずは作ります。

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右レンズ(向かって左)を変えました。角が出るように引っ張った感じです。

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型板にトレース。ニッパーで大雑把に切って、後はひたすらヤスリで合わせていきます。

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左右を比べると、結構違いがわかります。あとは、右の型板を用いて左レンズも形を整えれば完了です。

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完成です。

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結構、近い感じに仕上がりました。フランク氏カッコよすぎます。

話は変わり、トム・フォードのメガネも、セルフレームは、黒色でなんだかんだボリュームがあったり、細くて大きかったり、70年〜80年デザインに近いものを感じます。顔になるようなメガネがいいということでしょうね。

カッコいいケース
メガネのはなし

16.10.27

村井がライセンスでゴルチエをやっていた時の付属ケースです。スチームパンク感バチバチの時です。付属ケース史上、一番カッコいいと思っています。

金型作るのにいくらかかるのでしょうか…。こういうの作れたらいいなと思います。

社長繁盛記
メガネのはなし

16.10.24

森繁久彌さんの映画。10年以上続いた人気シリーズです。通称社長シリーズ。

1968年の社長繁盛記は、明治村が出てきます。名古屋駅とバスターミナルの様子も出ますので、そういうところもご覧頂きたいところです。50年の重みを感じます。

加えて、森繁久彌さんのメガネがカッコいいんですね。昨今は、メガネのボリュームが落ち始め、洒落ているのはプラスチックとのコンビネーションか?メタルか?という風潮ですが、やはりプラスチックオンリーもメガネのパワーがあって洒落ています。

メガネの細かいところで言いますと、フロントにリベットが無いです(鋲のこと)。70年代から大量生産時代に入り、メガネの作りとしては、写真のような埋め込みに式になると言われていますが、この映画を見て覆りました。68年の段階で埋め込みの蝶番です。

その後、社長行状記(1966)も見ています。もちろん同じメガネでした。ちなみに、こちらはオフィスがめちゃめちゃ宇宙感の漂う感じでカッコいいです。

映画自体、コメディなので面白いですよ。

曖昧な差
雑記

16.10.24

私の言葉の感覚でしかないのですが。

均整と調和は若干感覚が違うんですよね。どちらも、辞書的な意味では

「ものごとの間に釣り合いがとれていること。」

等々だと思います。

均整の場合は、どの要素も大人しい場合でも成立するイメージでして、調和はそれぞれが激しいか、大人しいと激しいの混ぜこぜじゃないと成立しないイメージです。

となりますと、今は均整を求める時代でしょうね。均整は綺麗で調和は美しい感じ。そうなりますと調和は均整の上位というニュアンスが出ますが、そういう実感もないので、私の考えは矛盾なりご都合主義的なものだなと感じます。

広告
メガネのはなし

16.10.23

30年前のメガネの広告。

メガネの時代感は、結局デザインよりもレンズのサイズと縦横比で醸し出されるのでしょう。それをどのように今のファッションに組みこんでいくのかが面白いところです。

ポパイ
メガネのはなし

16.10.22

ポパイは偉大でした。シャディ・キャラクターを紹介している記事がありました。

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1984年 9/25 183号 「この秋、めいっぱいに男前」

日本にもシャディ・キャラクターはちゃんと入っているんですね。ただ、価格的には、店頭に吊り下げでまとめて展示するようなサングラスの価格帯ですので、廃棄されている可能性が高いですね。店内の平置きでしたら残る可能性がまだ高いですが…。

 

良さはどこにあるのか
メガネのはなし

16.10.22

昨日の続き。ヴィンテージの物の良さはどこにあるのかというところで終わっていました。思考実験として、ヴィンテージと、そっくり同質の現行の物があったとして、それでも尚違う何かがあるのか無いのかというところまでがおさらいです。

私自身もそうですが、古いということで価値を感じる方は、価値があると投影しますので、現行の物との差異は必ずあります。ここに、ヴィンテージの良さが隠れていそうです。

古いから良いというときの「良い」とは何かと考えると、これは中々難しいです。質感と言われればそうかもしれませんが、ほぼ同質の現行品の場合はどうでしょうか?また、古いものは作りがしっかりしていると言いがちですが、現行の物もしっかり綺麗に作ってあります。金属の物の場合は、熱とか圧力で鍛えないといけませんので、今のものの方がしなやかで頑丈な事もあります。

今のところ、私なりのヴィンテージの良さとしては、イマジネーションが湧き出るからでしょうね。この年代に、このデザインは果たして受け入れられたのか?そもそも当時のファッションは?社会情勢は?ムードは?当時のメガネ周辺の状況は…そういった様々な疑問、イメージ、妄想が膨らむわけです。手仕事なんてキーワードが、そういえば飛び交う昨今です。物の背景をイメージさせるキーワードとして耳にしますね。やはり良さは、脳に拡がる豊かさでしょう。

あとは、同質の物があると仮定した上であれこれ考えましたが、ロットとか生地の問題で現行で出来ない雰囲気の物が多々です。仮定にやはり問題があるとしますと、見た目の違い、雰囲気の違いも、もちろん良さですね。

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