アーカイブ:11月2016

木のフレームのお持ち込み
修理とメンテ

16.11.30

ウッドフレームのレンズ枠入れのご依頼。一回割っているようで、接着面が浮いて表面に段差があります。そして乾燥しきっているのか、ミシミシいいます。一旦、接着面を剥がして綺麗にし、もう一度綺麗に密着させます。そうしないと、レンズを入れたときに結局外れそうなので。

トップの写真は、接着させて全体をヤスリ掛けして表面の古い塗料を落として滑らかにした状態で、オイルワックスを染み込ませています。再着色と、木全体にしなやかさや柔軟さを持たせるのが狙いです。元々は表面の着色のみで、ワックスが木の内部に染み込んでいる様子は無かったです。乾燥したミシミシ感は、おそらくその為でしょう。

ここまでやってレンズ装着時にリムが切れたら、そのときにまた考えます。今日は一旦乾燥待ちです。

(最初の状態)

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製品試験
メガネのはなし

16.11.30

暮らしの手帖(1979年 11/12月号 63)にて、メガネとメガネ店の製品試験が行われていました。古本で見つけました。暮らしの手帖の花形企画に、メガネがテーマとして取り上げられてて嬉しいですね。

正直、その時代の正しいとされていたこととか、諸々現代との差異はありますし、推測でその時代の状況を鑑みても何だかなぁと、思わないことは無いです。ドラマ「とと姉ちゃん」での洗濯機メーカーの気持ちが少し分かりました。

ただし、この暮らしの手帖の問題提起は大事だと思います。例えば、今も同じような提起が出来てしまうメガネ業界の状況は、この雑誌から40年ほど経っていますが、良い方向に全力で向かっていないということの証でしょう。

また、メガネの専門誌も昨今増えてきていますが、メガネ業界への自己言及がほぼ無いような気がしています。それも、この暮らしの手帖を見て感動した理由の一つです。業界外の雑誌の方が切り込みが鋭い訳です。しかも昔の。

ブルバキとしましては、周りがどうこうではなくて、お客さんに助けてもらいながら粛々と精進するのみですね。

個人的に左の男の方の掛けているメガネが、メチャメチャカッコいいと思っています。

最近考えていたこと
雑記

16.11.25

コンセプトが大事なのか、そこから産まれる表現が大事なのか。お客さんからそういう話をして頂き、確かにどちらが大事なのか考えたことも無かったなぁ、、、と、ぐるぐる頭の中で転がしておりました。

どっちも大事という答えで一蹴せずに考えてみると、結構時間が潰れます。そもそも、コンセプトとは何だと、私は先ずそこも怪しいわけです。なので、辞書的意味から探りを入れます。

(デジタル大辞泉)

1 概念。観念。
2 創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。「コンセプトのある広告」

概念や発想なんですね。そうしますと、私的に気になるのはコンセプトの前段階である動機ですね。動機の曖昧なコンセプトが多いのかもしれません。ユニークさの源泉を、そこに感じています。曖昧と言いますか、無機質な感じと表現した方が良いかもしれません。

理想としては、動機とコンセプトを理念と照らし合わせてみて、おおよそ合致させたところから表現を始めてみるという感じでしょうか。

ということで、自分のやっていることの反省を今からします。

ザイル第2章
メガネのはなし

16.11.25

メガネ業界のザイルについて、あれこれ読む側がウンザリするほど書きました。

過去のブログ:アメリカンヴィンテージの素材

あれから

「そういえばアメリカンヴィンテージには、ザイルクラフト(ZYL-CRAFT)というメーカーがあったな」

とか、あれこれ思い出すこともあり、ザイル=セルロイド説が正しいのかどうか、判定がグレーになっていました。とりあえず、ザイルという素材の呼称は、1950年ごろのアメリカにはあったことになります。

そして今回、入荷した商品のペーパースリーブを見て、ザイルとあらためて対面することになりました。

ザイル=ZYLE

ただ、この綴りで検索しても、ZYLで検索したのと変わらない感じでした。ZYLE&materialにて検索しても、結局ZYLで引っかかるので、それ以上の進展はありませんでした。

「メガネ専用で作られた、耐久性に優れた素材」等々の表現をよく見かけますが、だとしたら今も使われているとは思うので、真相は闇のまんまという感じです。何の為にその僅かな差に固執していたのか、自分でも分からなくなってきましたので、この辺で止めておきます。

雰囲気が変わります
ヴィンテージのメガネ

16.11.24

海外からの入荷があります。今は届きまして、洗浄、磨き、型直し、パーツ交換の最中です。土日には完全に並びます。ぜひ、お越しください。

お客さんのメガネ
ヴィンテージのメガネ

16.11.23

80年代の日本のヴィンテージメガネ。それに、緑の50%の濃度のレンズを入れました。度付きのサングラスです。便利ですよ。

バイクに乗る方なので、大きめのレンズは実用的でもあります。冷たい風が目に入りにくいので、涙が滲みにくくなります。薄めの緑が、クラシックな雰囲気を高めています。コーティングも白色の反射のレンズにして、出来る限り質感を高めることに努めました。子供っぽくオモチャっぽくなりすぎずに、いい風合いです。冬は、服が重たくなるので、逆にメガネはこれくらい軽い感じでも面白いかもしれません。

ケースは、レイバンを意識しております。

乱視の乱という字がしっくりこない
目のことレンズのこと

16.11.20

乱視の補正をちゃんとしてあげますと、おおよそ次のような返答が、お客さんから貰えます。

・くっきり輪郭線が見える

・色が濃く見える

どちらもその通りだと思います。各人それぞれの感じ方、表現をされます。特に乱視の性質上、色の濃淡や鮮やかさは顕著ではないかなと思います。メガネ屋さんで比較されると面白いです。

ここからが大事で、つまりレンズの度数一つで、ボヤけるボヤけないの他に、色の濃さとか見るものの見え方が変わります。今日のお客さんは、地図の立体感がもの凄いと仰っていました。等高線につけられた濃淡が、そのまま起伏に見えたようです。

ヒッピーの時代は、クスリで脳の処理に変化を加えることにより、世界の見え方や捉え方を変えていました。サイケデリックアートは、まさにそのように世界が見える結果なんでしょうね。

それと同じように脳の処理を変えなくても、脳への情報、つまり目に入る光をどうするかによって、世界の見え方云々が変わるわけです。

ですから、こちらとしては責任重大ですし面白いところでもあります。レンズを変えたら、例えば木々の葉っぱが風に揺られてうねるように見え始めるかもしれません。今日レンズを試された方は、写真を撮るひとでした。ひょっとしたら、今までは無視してきた物に惹かれるようになるかもしれません。今までと被写体が変わるかもしれません。言い換えますと、世界の切り取り方が変わるということでしょうね。カッコつけて言いますと。すみません。

ちょっと大げさでしたが、レンズも面白い物です。フレームだけがメガネでは無いですし、むしろやっぱりレンズに深い部分を感じてしまいます。

お客さんのメガネ
ヴィンテージのメガネ

16.11.20

90年代の日本のメガネ。ゴーグル型メガネが立て続けに。嬉しい反面、若干コレクションに近いので手元から離れるのは寂しいもんです。

頭部形状の違い
メガネのはなし

16.11.18

昨日、和風総本家の録画を見ていまして。

ケニアかどこか、アフリカの方が日本に来ていました。何に興味を持って、どう国に持ち帰るのか?というような内容でした。向こうのテレビ関係者御一行です。

そのうち男性2人、坊主だったので、職業上しげしげと見てしまったのですが、頭部形状がとても綺麗でした。卵形で美しいとかもそうですが、左右の対象さにおいても美しいですね。耳の奥行きも高さも一緒、歪みのない球体状で、左右眼の高さや眼球の落ち込み具合も同じで、鼻筋もまっすぐでした。(医学的に証明はされていないとは思いますが、耳の高さが違うと、同じように目の高さも違います。教えて貰った経験則です。今のところ、私もそれでフィッティング時の予測が立てられています。)

たまたまテレビに出ていた2人がそうだっただけかもしれませんが、めちゃめちゃメガネの乗りやすい頭・顔でした。赤ちゃんの時に、ほぼお母さんに抱かれて育てらているから、骨が綺麗に形成されているんですかね?理由はよく分からないですが、とても感動したという話でした。

逆に申しますと日本人は大方、程度の差はあれ左右非対称です。フィッティング後のメガネが左右非対称なのは、あるあるです。頭部形状も後ろが短くて正面が広いので、どうしてもテンプルの開きを増やさないといけないですね。特にヴィンテージのメガネ、60年代以前のフロント幅が少ないフレームですと。

掛けられない、掛けられても不快だと、結局カッコ良くてもどうしようもないので、フィッティングはなんとかします。お持ち込みも歓迎です。お待ちしております。

最新テクノロジーについての考察
目のことレンズのこと

16.11.18

メガネ屋さんを覗きますと、次のような謳い文句に遭遇するようになりました。

「420nmの短波長を99%カットする、新しいレンズ」

みたいなやつです。メガネ屋に年始くらいから頻繁に案内が来ています。各社、新レンズ(コーティング技術ではなく、生地への練りこみ)としての打ち出しです。

いまのところ、ブルバキでは推していません。様子見です。それには、以下の考えがあります。

・紫外線(400nmまで)を超えた領域をカットしているということは、可視光線(目に見える光)もカットしているので、確実に色のついたレンズとなる。実際、見た目は各社うっすい茶色のレンズである。濃度で5〜10%くらい。

・プラスチックのレンズは、屈折率1.60以降を採用しており、現代は1.60以降ですとUV400機能は、ほぼ標準装備である。

・つまり、目に見えない範囲の短波長(青色光)をさらにカットしたい場合は、通常のレンズにカラーを入れれば良いと考えている。

 

新レンズ420nmカットは、波長400〜420nmの光を80%くらいカットしており、通常のブラウンカラーのレンズより、格段にカットしています。短波長は角膜や網膜にダメージを与え、白内障や黄斑変性の原因となると言われています。だからこそ原因の除去の為、新技術が登場したのでしょう。メガネ業界の位置付けとしては、ブルーライトカットレンズの第三世代という感じですね。今風に表現しますと。

ここで思い出されるのは「ライフゲーム」です。

Wikipedia:ライフゲーム

生命の誕生・維持・死滅の数学モデルです。以下、記事より抜粋です。

…ライフゲームでは初期状態のみでその後の状態が決定される。碁盤のような格子があり、一つの格子はセル(細胞)と呼ばれる。各セルには8つの近傍のセルがある (ムーア近傍) 。各セルには「生」と「死」の2つの状態があり、あるセルの次のステップ(世代)の状態は周囲の8つのセルの今の世代における状態により決定される…

ライフゲームが面白いのは、次のステップでセルが死ぬ条件でして、自分の周りの細胞が多すぎても少なすぎても死にます。過疎でも過密でもダメなわけで、ほどほどを要求します。周りに人が少なければ孤独で亡くなりますし、多過ぎれば食糧が足りなくて飢餓で亡くなるとか、そういった事象と対応しています。

長々書いてすみません。レンズの話、420nmのレンズをまだ信用しきれていない理由ですね。つまりです、カットしすぎてもいかんのではないか?と思うわけです。ライフゲームからも。

言い換えれば、程々に紫外線で目の細胞にダメージを与えた方が良いのかなと思っているということです。良いという表現がしっくりきませんが、自然なのかなと感じます。

無菌に近い状態で子供を育てると、将来、免疫力が弱い大人になってしまうというのも、一時期よく聞いた気がします。抗菌・除菌のしすぎはどうか?という提起です。それも頭にあります。天然が必ず良くて、人工が必ず悪いとは考えていませんが、そのバランスというのは気にしております。

 

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