アーカイブ:6月2019

かれこれ6年くらい
メガネのはなし

19.06.08

自分用です。かれこれ6年くらい使っています。サラリーマンの時から。いくら業界で内勤とはいえ、このメガネはサラリーマンとしてどうなんだ?みたいなことは裏で思われていたかもしれませんが、挫けずに掛けていました。

度数を変えたので、今までのメガネも全部使えなくなり、資金面もあるので少しづつレンズ交換です。度付きの場合は、これがネックですよね。プリズム入れたらより一層。

経年変化と使用感をお伝えしなくてはいけませんから、銀無垢2本は真っ先に変えています。ヴィンテージはようやく変えられました。どれから変えるか色々迷いましたけど、これが一番好きかもしれませんね。ということで、マロンの25%全面染色にて交換です。もちろん、シルバーミラーかけています。

そういえば、デザインが過ぎる物はすぐ飽きる説がありますが、あれはいつ頃から言われるようになったんですかね。逆に、シンプルだと飽きないというのもいつからか。チープシックが死語になっている現状を眺めますと、どっちも一緒な気がします。あんなにシンプルな概念なのに。

ちょっと前に、zozoの社長さんが「どんなモチベーションで働いたらいいの?」という質問に「それはあなた次第ですよ」みたいな返事をしていたと聞きました。そのときに、確かにそうだなと、そして今回の飽きる飽きない、派手は飽きやすくてシンプルは飽きにくい説のことを考えました。似たようなものを感じます。ただ、飽きやすさは性格の違いの話であって善悪の話ではありませんから、最終楽しければどっちでも良いかなという考えに至りました。

全部おもしろい
雑記

19.06.08

昨日、店を休んで病院行ってました。意外に早く終わってしまい、結局暇だから店でも開けようかなと考えていましたが、本当にこういうことってあるんですね。車が水溜りをはねて、下半身ずぶ濡れになりました。そこで意気消沈し、予告通り休みました。

で、頂いたコレを読んでいました。ちなみに、村上春樹さんはグレートギャッツビーの翻訳と、どっかのカフェで読んだ、僕らの言葉がウィスキーだったら的なエッセイしか読んだことが無いです。

この本も、「ナイキの本社に呼ばれたのに、持って行った靴とウェアがニューバランスだったというエッセイが至高」というので、もう既に面白いなと思って、ありがたく頂戴しました。とにかく全部面白かったです。

とくに前書きが良かったです。ビールは嫌いだけど、ビール屋の作る烏龍茶は好きな人もいて、それでもいいかな的な、自身の書くエッセイの立ち位置の説明があり、この部分で既に心を掴まれた気分はしていました。

最近つくづくダメで、メガネ以外は全部他人からの提案だったりします。メガネは本業ですし、自分なりに究めるという姿勢でやっておるつもりですから、楽しいかどうかは良く判っていないけど自分からのスタートということに満足出来ています。ちなみに、楽しいかどうか判っていないというのは、他人から「好きなことを仕事にして、楽しそうですね」的なことを言われると、そう言われればそうかもしれませんねぇという気分になるからです。

そうなりますと他のことは究める気もそぞろで、むしろ程々の心地良さを求めている以上、詳しいひとに教えて貰ったそれが、やっぱり総合的に良いよねという考えが染み付いてしまっています。それで困ったことも無いので、いまはその方針のまま生きております。

この前のスニーカーも、そのブログで書いたか忘れましたが決め手は店員の若い男性の「お兄さんはそっちっスね」でした。おそらく20代だったら、それに何となくイラッとしてどっちも買わないという捻くれをかましていたはずです。いまは捻り過ぎてブチっと千切れまして、少しでも優しくされるとそれで良いかなーという風になりました。本当はヴェイパーマックス2019を買うつもりでした。

予想以上に今週は銀無垢の話をしていました。さすがに驚き。

あと検眼の話も。その小休止に持ってこいの本でした。

金曜日は休みます
営業案内

19.06.05

諸事情で、今週の金曜日は休みます。土日はちゃんと開きます。

準備
ヴィンテージのメガネ

19.06.04

顔の小さい女性の為にと思って仕入れしていましたが、そういえば女性のお客さん少なかったです。準備は整っています。

元々キッズ用なんですけど、腕の長さが130とか135で、それぞれ50□14と52□15です。小顔の女性に良いかなと。

もちろん、デザイン的にブルバキの願望が濃すぎるのは承知ですけど、こういうめちゃくちゃ鈍臭いメガネを掛けて、大きい書店で辞書みたいな分厚い本を2・3冊抱えながら過ごしていたら、かなりグッときます。という妄想です。ファンタジーです。とか、このメガネに、白Tにジーパンで、白のレペット的なぺたんこな革靴履いて、暑いから髪は縛っちゃって、31アイスクリームでアイス食ってたらカッコいいなとか。そういう妄想がね、止まらないので仕入れました。

20歳前半の男性で、顔の小さい人がふえている気がします。側頭幅140ミリくらいの方もちらほら。上のツーブリッジは、男の人でも良さそうですね。生地の透明感が強いおかげでツーブリッジのコッテリ感よりも爽やかな雰囲気が勝っている気がします。

大事なアレ、伝え忘れていました
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

19.06.04

銀無垢ですが、スタート価格で今一番イケているアレよりも1.5倍くらい値段します。あーブルバキあれだわ、所謂あれだわ、ぼったくりだわ。

少し前にも書きましたが、個人的には本物の職人物の金無垢や、現行の金無垢を使ってきまして、100万ちょいのメガネは使用経験ありです。それよりも、この製造の作る銀無垢の方が、付き合いやすさやフィッティングのし易さ、掛け易さ、作りの精緻さによって満たされる所有欲等々、総合的に良かったなというので唯一現行品で取り扱いをしています。製造メーカーさんも、160万円くらいのフレームを在庫で持っているのは見たことがあるので、それは素材がプラチナでしたが、そういう価格で通るところの作る10万越えのメガネって、私的には気になるアイツのパターンだったりします。クロムハーツの作る鉛筆削りとか、ティファニーのヨーヨーとかに近い感覚です。

私が初めてこのメガネを見た時のことを思い出してみます。メガネと対峙しますと、美しいなと感じた次の瞬間には何でだろう?とか、どういう感じのメーカーが?みたいな所謂背景を探すいつもの癖が出てしまっていました。多分、このときに西田幾多郎が居合わせたら、バカモノと怒られていたでしょう。ベルグソンであれば、オシャレな皮肉かもしれません。

そう、よく考えれば、私が背景云々を気にしようがしまいが、このメーカーもこの物も、既に存在していて尚且つ既に成立しているわけでして、その上でここに輝かしく存在しています。全てが、いまこの眼の前の物に含まれているはずです。であれば、あとは自分の眼を試すのみ、目の前の物に気を全て向けて、味わうことに全力を注ぐべしと感じたのは確かです。見るとはそういう事だったのかと、いままでの反省もしました。

製造メーカーから直接のお値段でアレの1.5倍くらいですから、驚きますよね。私も初めてのときはそうでした。初めては、何でも、そしてみんなそうでしょう。そう、何でも。

それに、高ければ良いってもんでも無いですしね。私も、メガネから逸れれば、夏はゴワゴワの白Tシャツしか着ないし、靴下はwigwamだし、短パンはワークのやつだし。マック大好きだし、コンビニのめちゃくちゃ甘いみたらし団子が止められないし。それぞれの方に、それぞれの配分があって、メガネにどれくらい大事なお金と精力を注ぐか?という違いがあります。どれくらいの力加減が快適か?というのもそれぞれですから。そして良さの違いも。

ただ私は、メガネが好きだったんで、メガネはやり切りたかっただけです。やり切るとは、自分で考えられる全ての解決、つまりはメガネで形にすることです。結果、本当にとことんやり過ぎてしまいました。そして、ああいう値段になってしまった感じです。

なので、とくに難しい話では無くて、そうだよね、予想より高いよねごめんなさいという大事なことをお伝えするのを忘れていました。

コク出し
目のことレンズのこと

19.06.02

久々に真面目なことを書いて、店にコクを出そうと思います。

皆さんも、何本かメガネを所持し始めると感じたことがあると思います。同じ度数、同じ芯取り(光学中心を適切にフレームにセットする)でも、使用感と見え具合に若干の差があると。

よくあるのがセルフレームとメタルフレームの掛け替えの時で、セルの方が総じて眼にピッタリしますから、度数効果で強く出る場合です。セルのフィッティング不良で、メガネが下がった状態が恒常的であれば、度数は弱く出ます。これはコンタクトの話にも繋がります。

今回の考察したいケースは、それとは異なります。2本ともメタルフレーム、おそらく頂間距離も傾斜も殆ど同じ、瞳孔と光学中心の関係も同じ、レンズ設計も球面設計で屈折率も同じで、長く使った時に、集中力や眼の疲れ方に差があるケースです。

この2本とも私が加工したので、残すはアレしかありません。アレとはレンズの中心厚です。プラス処方の方でした。中心厚の違いで生じる、像の拡大・縮小効果の差でしょう。業界用語では Spectacle Magnification と言います。略してS.M.と表記します。

1本目は、フレームからご購入頂きレンズはコーティングまでしっかり拘って、どうせ特注ならと、ついでに外径指定をしてプラスレンズの中心厚を削りました。2本目は、既に持っていたフレームのレンズ交換でして、費用の面もあり、在庫レンズから交換しております。

ちなみに、球面度数は+1.00です。レンズが小さい場合は、プラス度数のみ外径指定で薄く出来ます。費用も安いです。

外径指定前。屈折率1.60選択で中心厚2.7ミリ。ごめんなさい、こっちが2本目
屈折率1.60選択、外径55ミリ指定。0.7ミリ削れます。こっちが1本目

今回の状況ですと、1本目は中心厚が2.0ミリで、2本目は中心厚が2.7ミリです。ここで注意しておきたいのは、“屈折率、レンズ設計、度数”は、同じという点です。

では、度数も屈折率もレンズ設計も同じレンズ、異なる条件が中心厚のみという条件で、像の拡大効果にどれほど差があるかを調べていきます。ここまで読んでくださった皆さん、お気付きの通り、森道とサカスプと日曜日という条件が重なって、ブルバキは暇です。

まずは、S.M.の式を調べます。認定眼鏡士であれば一度は計算をしたはずです。流石に私も公式は覚えていません。資格は、必要なときに必要な箇所が引き出せることが肝心だと、個人的には考えています。

眼鏡光学Ⅲ (キクチ眼鏡専門学校) p.31

こういう式が出てくると、それだけで確かにコクが出そうですが、実際は難しくはありませんしコクはまだまだこれからです。複雑さに惑わされずによく見ると足し算・引き算・掛け算・割り算しか含まれていない、簡単な構成です。それに、大人になれば、こういうのは得意な人に任せればO.K.でしょう。

計算は得意な人に任せるとしても、この式の大事な心は掴みたいところです。それはS.M.がM1とM2の掛け算でわかることです。そしてM1を形状要素倍率と呼び、M2を度数要素倍率と呼びますが、つまりレンズを通って出来る像は、レンズの形(厚みや前面のカーブ)でも、レンズの度数でも、どっちでも変わりますよと、伝えてくれています。何となく自然な認識通りで良くて、レンズのアレコレが変わるとやっぱり連動して像も大きくなったり小さくなったりしますというわけです。

おそらくM2の方は、何となく皆さんご存知なはず。強い近視の人は、レンズ越しの眼が小さく見え、逆に遠視や老眼が強いとレンズ越しの眼が大きく見えます。それです。

そして、馴染みのないM1、今回はこれを比較することで1本目と2本目の像の大きさを比較出来ます。念のため、両者M2は同じですから。

ちなみに、D1という項は、とりあえず共に+3.00にしています。外径指定によって前面のカーブに変更があり、若干差が出ているかもしれません。むしろそう。ただ無視できる差として仮定し、レンズの中心厚の差が、像の大きさにどれくらい影響を及ぼすかのみに絞って計算してみました。

M1(t=2.0)=1.0389 裸眼より3.9パーセント像の拡大

M1(t=2.7)=1.0533 裸眼より5.3パーセント像の拡大

およそ、1.4パーセントの差でした。うん、思ったより小さい。ただ、これくらいの差でも、使用感の違いを感じる場合もあるようです。統計を取った訳ではなさそうですが、本の例題に近いものが載っていました。そして、1%の差も侮れないですよの警句も載っており、実際にそういう症例がぼちぼちありそうなことが読み取れます。あるから例題なんでしょうね。

レンズの値段について、やっぱり皆さん気になりますしブルバキでも沢山尋ねられます。物の違い、経営状況の違い等々の沢山の違いがあって簡単には返答できません。他所の値段を聞いても、そうでしょうねぇくらいしか反応出来なかったりもします。まあでも、差について、自分の中から言えることの一つは、こういうコクの違いです。あんまり自分から言うことではないんですけど。ほとんど自慢ですし。

そしてブルバキも、まだまだ足りていないです。もっとコクを出したいなと、いつも考えています。ちょうどお客さんに使用感の違いを教えて頂いて、その疑問にお答えしたかったので書いてみました。

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