アーカイブ:3月2021

新たなる闘争の火種
ヴィンテージのメガネ

21.03.13

ヴィンテージ眼鏡の新しい仲間です。

アメリカ物の値段の高騰と、スニーカーに負けないくらい盛んになってきた個人売買の加熱で、値段が高いヴィンテージ=強くてカッコいい!を、ひっくり返すような物のお持ち込みがありました。

外国の囚人用らしいです。軍モノの次はそれかー。そうきたかー。

NYLONとバチっと入っています。ナイロン素材ということで素材の質感、加工の感覚としては現代の超弾性フレーム的な感覚です。それがカシメで作ってあるのが良いですね。フロントの形も、タートのカウントダウンみたいで何だか洒落ています。

お持ち込みして下さったかた曰く、中に芯が入っていると危ない環境の為、芯なしナイロンの眼鏡が支給されているらしいとのことでした。確かにそれはそうかもですね。喧嘩が起きれば武器になりますし、とりあえず針金の類はプリズンブレイクにも使えそうですしね。

合口開くのはちょっと難しいです。ナイロンはアセテートやセルロイドみたいに、ヤスリでゴリゴリ削れていかないですね。電動のカッターで溶かしながら削る感じで合わさる部分を削り、テンプルを開いてみました。そもそもフィッティングという概念が組み込まれていなそうなフレームであり、現代に、現代の日本人に合わせようと思うと一手間いります。

古着のカレッジプリントのスウェットを着ていると、

「あなた、どこの出身?」

みたいに訊ねられることがあると聞いたことがありますが、これもそうかもしれませんね。

「おまえ、どこの出だ?」

と。

シルエット追加
ヴィンテージのメガネ

21.03.05

シルエットのメタルが面白いです。店の在庫をローラーかけたら、2本出てきたのでインスタに載せておきました。

正直、仕入れのタイミングでは「あぁ、シルエットだな。とりあえずピックしとくか」程度のテンションだったと思います。すっかり忘れていましたね。それがこうも変わるとは。きっかけは、お客さんが教えてくれたギーク(geek)という語のおかげでしょう。

めっちゃ眼鏡に詳しい、めっちゃファッションに詳しい、だけど今のファッションの観点からみてカッコいいかどうか微妙に判断つきかねる…くらいのこの感じが、めっちゃ個人的には今カッコいいなと、掛けていて気分良くて楽しいなと感じています。

本筋ではないところ
雑記

21.03.03

この前の本『認識と反省性 ピエール・ブルデューの社会学的思考 磯直樹 法政大学出版局 2020』から抜粋です。本筋ではなくて、準備の部分ですし何ならブルデューの言葉ですら無いんですけど載せておきます。どこまでも先回りされている感覚です。よく使う言葉を基に、自分の思考をも分析の対象として認識が出来ているというのが、プロの技ですね。

「(p.308)…みずからが大衆(mass)を構成する一員にすぎない存在である、と考えたがる人間はだれもいないのであり、したがって、じつのところ大衆(masses)などというものは存在せず、他者を大衆とみなす方法のみが存在するということを、わたしたちは認識し他者に礼をつくすべきなのだ」

マスを敵対視していないと宣言するだけではダメで、マスを想定した時点でその眼差しが、相手にも自分にも向けるそれがアウトということでしょう。大反省。

卵甲
修理とメンテ

21.03.03

前もガラスレンズの枠入れで扱ったフレームです。今回は、お客さんが家で鼻パッドをいじいじしてパッド足を折ってしまったということでした。工場にてレーザー溶接出しています。早くて綺麗です。

よく分からないですけど確かに素人玄人抜きにしてピピッとタッチするくらいでメキッと嫌な音がして折れることもあります。とにかく、パッド足のお触りは難しいです。

今回、着目は別にありましてパッドいい感じじゃないですか?と、そこがメインです。ヴィンテージのフレームですけど、修理で風合いが崩れていないと思いました。どうでしょう。

1回目のお持ち込みの段階で、すでに箱のパッドに取り替え&フルメッキの修理済み品でした。それで今回の修理はそれをもう一回付け直すという、そのままではお客さんにとってはテンションの上がりきらない修理です。なので、ネジ類を全部マイナスに変えて、パッドもそれっぽいのに変えて元のセッティングに近づけておきました。これは擬似鼈甲である卵甲の擬似です。プラスチックパッドの卵甲カラーです。

箱のネジと、眉パーツの固定するネジが既存の修理でプラスに変更された状態で私のところに来ています。私も、物として維持が難しそうであれば積極的にタップ切ったりネジの長さを自前で整えたりしながら、現代の強いネジに変えてしまいがちです。ただし、何となくマイナスネジの方がカッコいいよねという感覚は同じく持っていますので、出来るだけまずマイナスで探し、無ければプラスで直しています。残念ながら、日本はやっぱりプラスネジの方が種類も長さも素材も豊富です。

眉の止めるネジ周りには、AOの場合シリコンのチューブみたいな物がささっています。そういえばツーポの段付きポリカワッシャーがピッタリでした。ちょっとゴツく出っ張りますけど、良さそうなのでこれからそう直します。

パーツメーカーの一般供給品の場合、抱きのパッド・はめ殺しのパッドの種類は少なくプラスチック部分の色味は透明1択です。今回の修理を見まして、それならいっそ箱パッドにしてチタンパッドの装着も良しですし、この卵甲カラーのプラスチックパッドの装着もいいなと思いました。

ただこの卵甲カラーはやや危険です。なにが危険かと申しますと、業界人の私ですら同じ業界の人に「パッド黄色くないっすか?」と言われたことがあります。ですから、汚くて古くて黄色いと思われてしまうこともあります。場所が変わると評価が一変する可能性はありますが、個人的には大好きですね。

念のため
営業案内

21.03.01

今月は眼科さん出張が無くなったので、明日の第1火曜日は通常営業です。念のため。

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