アーカイブ:7月2023

最近読んだ本
雑記

23.07.01

もともと、同じ本を何度も読むタイプの人間だったんですけど、昨今はその傾向が強まっていまして、新しい本を読んでいないですね。これは3年ぶりくらいに3度目か4度目くらい。どんどん新しい物に挑戦しなくなったという観点から、歯止めの効かないおじさん化とも捉えられますし、どうなんでしょうね。

ある程度寝かせてから読み返すと、新しい発見があるというのも何度も読むことの良さです。こんなこと書いてあったかな?的な発見です。加えて、ライフステージが変わったタイミングであれこれ読み返すと、発見どころか本の評価とか印象が180度変わっていることもありまして、それが面白いです。

新しい本を挑戦しづらくなった、腰が重くなってきたというのも一理ありますけど、いまは“あのときと、読後の感想が違う”という自分の変化を楽しんでおります。

 

この本に関しては、初めが面白くて終盤は何だか…という感想でしたけど、今回読んでみたら結構終盤にかけてバイブス上げていくタイプの本でした。

引用部分の岡潔は、小林秀雄でいうところの【直覚と分析】に通じますよね。本文でも「小林:お説の通りだと思います。」と書いてあります。

直覚から分析が始まりますが、分析から直覚には至らないというアレです。なぜ銀無垢でメガネを作るのか?究極は分析では知り得ないですよね。直覚を例えば感動という語に置き換えれば、好きだからそうしました、それしか無いわけです。銀無垢で作る理由が100個あったとしても、なぜ銀無垢なのか?この理由は、はっきりと捉えられないわけです。美しいと感動しちゃったからつい出来心で、そんな表現しか許されないわけです。それはあなたの感想ですよね?ということでスタートにエビデンスが無いということになりますけど、だからダメでは無くてそれもまた良いということでしょう。

この『人間の建設』の前に読み返した『中動態の世界』と『暇と退屈の倫理学』と『はじめてのスピノザ』が重なったお陰で、結末がスゲーって思えたのかもしれません。この3つは【自由意志の否定】が根底にありますけど、それももっと理解出来た気分です。

もし自由意志みたいなものを感じたときは、むしろ感じてしまったから個人店を営むに至っているんですけど、それは過去の切断であり、つまり分析の中断・停止であって、今回の『人間の建設』でいうところの「知るためには捨てよ」ということに繋がると感じました。

そこまで書いたところで、それで特に何も無いんですけどね。殊にメガネに関して、ますます自分の感想くらいしか書くことが無いな、店頭では感想を述べるしか無いなどうしようかなと悩んでいます。

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