発想は私からではなくて、お客さんからでした。手彫りでファイヤーパターンです。
レンズはグレーの35パーセントに、シルバーミラーです。
銀無垢のサーモントが完成したときのブログに、日本が日本を題材にして日本を伝えるのも良いんですけど、日本がアメリカを題材にして日本を伝えることの方が、広く伝わるのでは無いか?みたいなことを書いた記憶があります。服でいう、日本人がアメカジを作ったみたいな話とリンクさせて、つらつら書いた気がします。
頭で分かったつもりでした。これは思いつきませんでした。彫金でもっとアメリカをやると。案を聞いたときは、今年一番で脳汁が溢れ出たと思います。これだ!!!と。
一気に軽快になりました。そして和彫りでファイヤーパターンという未だかつて存在しなかった違和感の小気味良さ。最後に足りないのはこれでした。
見本となる図柄をお渡しして、完成は輪郭の線だけになるかなと思いきや、画像の通りそうではありませんでした。職人さんの即興で炎の内側と、炎と炎のユニットの間が上手く描き分けられています。鎚目みたいな彫りの使い分けで実現されており、特にそれが素晴らしいです。その描き分けが全く無ければ、仕上がりは線だけで物足りないでしょう。しかし描き分けをはっきりくっきりやり過ぎると、華美になり過ぎて、なぜファイヤーパターンを選んだのか?という意味が薄れてしまいます。
ファイヤーパターンの醸し出すアメリカらしさと、日本の美しさが上手く融合していい具合で上がってきました。尚且つ絢爛で重厚感が足されるという結果にならずに、躍動感のみが付加されるというファイヤーパターンである意味が尊重されています。
何だかんだで私はチキンなので、テンプルの表はやめて裏に彫ったんですけど、畳んだときの壮大なおバカ加減が最高です。
もちろん、今までの緻密で美しい手彫りも最高です。最近は私も、この2つばっかりですし。型通りも型破りもどちらも美しいということでしょうね。
12月の頭くらいまでに40本くらいレストアと枠入れという案件がありまして、昨今はブログを書かずに引きこもっていました。その間にもこういう仕込みはしておりまして、疲れのピークでドバッと脳汁出ましたね。これで元気出ました。