タクシードライバーvintage

19.07.24

デニーロの映画の方です。あのサングラスについて。特に形状について実験してみます。

イージーライダーとタクシードライバーは、今もサングラスの問い合わせが多いので、さすがに見とかないとそれはヴィンテージ眼鏡屋としていかんなぁという動機で見ました。ともに面白いです。あとは、タクシードライバーでいえば、M-65の着方とかアルミジップって良いよね的な方面も面白かったりします。

それで、冒頭のアレになるわけです。普段は積極的に扱っていないアメリカンヴィンテージの、ランドルフのフレームです。ちなみに積極性が無いのは、他がやっているのと、店頭に出した時の価格のバランスと、あとはこれが一番だと思うんですけど、これまでのカッコいいの蓄積がありすぎて新規参入のブルバキがいまさら言わなくても…というところです。ブルバキで付け足せるカッコいいの余地が無かったです。

とか言いつつですね、訳あって手元にランドルフがあります。ちなみに、デニーロはランドルフなのかAOなのか論争等々あると思うんですけど、そこには触れません。今回考察したいのは、形状です。

ランドルフだろうが、AOだろうが、レイバンだろうが、ジェネラルだろうが、比べてみてもさほど変わらず、上のようなツーブリッジです。注目したいのは、レンズとブリッジの関係で、レンズは耳側に釣り上がり、上段ブリッジは水平かやや反り上がっています。

検索で「タクシードライバー サングラス」とか「タクシードライバー デニーロ」で調べると、モヒカンにしてサングラスを掛けたデニーロが画像で出てきます。それを詳しく見ますと、レンズ耳側が水平もしくは垂れ気味で、上段ブリッジはやや膨れ上がってアーチを描いているように見えます。角度によってそれぞれの具合が変わってきますが、やはり全体の雰囲気はティアドロップのような、程よく垂れ目のように見えます。

さらにその周辺を調べますと、曲げてフレームにオリジナリティの味付けをした説が出てきます。たしかに、私より上の世代になりますと、フレームをわざと怒らせたり(ツリ目にさせる)泣かせたり(ティアドロップぽく垂れ目に)して、改造する方もいらっしゃいます。セルフレームは基本、全部怒らせちゃうみたいな。デニーロがそうしたかどうかは不明ですが、真正面を捉えた写真を見ますと、下段ブリッジが斜めにひしゃげており、味付けというよりキャっ!と尻で軽く踏んだ的な、ハズキなら防げたであろう単なる歪みというだけの話かもしれません。

そんな話をしていましたら、おそらく80年代のランドルフが貰えました。レンズサイズが57ミリだからだと思います。ブルバキに期待されていることはただ一つ、眼鏡屋として綺麗に、下段のブリッジを歪めず垂れ目の味付けが出来るかどうかです。改造しろと、誰も居ないのに聞こえるわけです。デニーロに近づくには、おそらく味付けが不可欠です。

(味付け後)
(味付け前。トップ画像と同じ)

結果を先に貼っておきます。出来ました。コツとしては、レンズを掴んでそのまま曲げるとロー離れ、または下段ブリッジの型崩れを起こしますから、レンズを外して行うことです。

変更の順番としては、①下段ブリッジの横の開きを2度ずつくらい閉じる②上段ブリッジを真ん中で摘んで引っ張り、アーチを整える③リムの形が①と②の影響で崩れている為、ある程度整える、です。③に関しては、そもそもアメリカのフレームは左右非対称なことが多いので、神経質になる必要も無いです。大体で良いでしょう。ちょっと気合い入れ過ぎて、垂れ目にし過ぎました。

ただ、それによる代償もありまして、レンズがリムに沿わなくなります。周径が一緒なので嵌らなくなることはありませんが、微妙にフカフカ浮きます。面取りとコバ磨きをしっかりして、欠けが生じないような配慮は欠かせません。

外れることはなさそうなので、レンズはとりあえずそのまま。グレーが入っているので、G15のガラスに替える際にキッチリしたレンズにし直せば良いでしょう。

雰囲気は、中々近いのでは無いでしょうか。腕組んでニヤニヤしたい感じのサングラスになりました。

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