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22.02.25

ローデンストックの CORSAR ってモデルです。すごい前にも載せたはずです。

金色はおそらく同じ時代の、増永の Koki (光輝)です。これに限らず日本の眼鏡が、ローデンストックに追いつけ追い越せの流れがあったのでしょうけど、似ている日本製のフレームはけっこう出てきます。現代で例えるなら、クラウンパントのフレームがあっちもこっちもみたいな感じです。ローデンストックでリバイバルされているレジェンドシリーズ以外でも、探すとそっくりさんが出てくるものです。

本当に CORSAR のブラッシュアップとして、この Koki が存在したのかはわからないですけどね。どちらも、ただのティアドロップ型のツーブリッジと言えばそれまでで、同じ型式を違うメーカーがそれぞれ作ったというだけとも考えられますから。いずれにしても、形状が似ているのであれば、造りの差が比較しやすく、尚且つ造りの差でどういったカッコ良さの違いが生じるのか調べることが容易そうです。ではさっそく。

ブリッジの取り付け位置が微妙に違います。それも気になりますがブリッジ自体の処理の差が比べるとハッキリします。。左の増永は角を落として滑らかに処理しています。ローデンストックは、ブリッジは角を未処理で、トップバーも板状です。

トップバーを上から見ます。バー自体は、ローデンストックの方が板状で立体感は無かったですけど、取り付けの仕方で、バーがやや突出しています。ブリッジの角のゴツさも合わさって、荒々しくてカッコいいです。ドイツ物ですけど、アメリカのレイバン的な、服で例えるなら軍モノっぽいカッコ良さがあります。対して増永は、リムのカーブとブリッジやトップバー近辺の滑らかさが合わさって、全体で柔らかい光沢を放っています。服で例えるならスーツっぽいカッコ良さがある気がします。

横を比べます。同じくヨロイタイプの智です。増永の量産品とは思えない面の合い方が見所です。フロントとテンプルの境目が見えないほど面が合います。増永の方は上から眺めても、ヨロイからテンプルが一直線に開きます。

こうしてみると、確かにローデンストックはこの時代の安い日本製フレームよりも断然出来が良かったりするので、年輩の方が言う舶来の眼鏡が最高というのもある程度分かるのですが、この時点ですでに増永は造りの良さで超えている気がします。1981年のニコンのチテックスシリーズで日本が世界初でチタンの眼鏡を作り、今の「眼鏡は日本」の流れが徐々に出来始めるのですが、このフレームを見る限り70年代にはその萌芽が見られ、これに限れば追い越している印象をうけます。

ここで最後もう一度ブリッジ周辺の写真見て、全体の写真を見て、するとなんだか両者が結構違うフレームに見えてきます。表出するカッコ良さが違うみたいなことを書きましたが、そんなこんなで結構違って見えてきませんかね。不思議ですね。

最近はそういうことを気にするようになりました。今回はヴィンテージを例にしてみましたが、物の作りを精緻化したときに、物の美しさとか実用面では耐久性とかそういった要素を足そうとして精緻化すると思うのですが、それと引き換えになにが無くなるのか、無くなることは他でカバー出来るのか、ようやくそれを考えるようになりました。何でも精緻化していく傾向は、日本のモノづくりの脈々と続く伝統な気もしますし、そこは外せないですし外れてはいけないのですが。

ちなみに私は金物に関してはきっちりしっかりが好みなので、この Koki を使っています。

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