アーカイブ:9月2019

修理
修理とメンテ

19.09.21

この数日は、これに掛り切りでした。破損なく終わり、良かったです。

ローデンのアーノルドです。リチャードがやたら有名になりましたが、アーノルドも捨て難いです。やや柔らかい印象です。

当時使っていて、また使いたいというご要望でした。直す側としましては、一番やりがいのある状況です。

この変色は、時間をかければいいだけなので、序の口です。ロゴの「ARNOLD」もなんとか残りましたが、それよりも「csc」のマークが残ったことがミソです。正規代理店の中央産業の証なので。由緒正しいってことです。

難しかったのは、眉でした。右眉のみ縮みが著しく、片方のネジ穴同士を合わせると、片方のネジ穴は全く重ならない程縮んでいます。ネジ径が1.4ミリなので、それくらいの縮みです。

かつて無いほど削りました。穴二つの拡張と、それだけでは足りないので、リム留めネジが収まる部分をギリギリまで薄く広げて、何とかネジと眉パーツが干渉しないところまで持っていくことが出来ました。

写真だとちっさくて分かりにくいですが、鼻側二箇所のネジ穴には、段附ワッシャーを挟むことで引っ張りに対処しています。耳側は、引っ張る方向に力を加えた場合、金具が残っているため強度を保ったままです。では、上から眉パーツを押し込んだときにはどうかと申しますと、そもそもリムと眉パーツがピッタリと沿っているため、押し込む方向に力を加えてもパーツは動きません。ややネジ穴付近の隙間が気になるところですが、とりあえずは安心です。

修理完成後、レンズ入れる前の左右の写真です。眉パーツからのリム留めネジのはみ出し方の差が、眉パーツの縮みの差ということです。

メタル部分、金の剥がれがありませんでしたから、結果として物凄く綺麗になりました。

ギャップ萌え
ヴィンテージのメガネ

19.09.20

チョロ出しの2本目はこれです。皆さま、もうお気付きの通り、このデザインでフレーム名が「strong」という、出落ち感が全てです。大体、この手のデザインだと「elegance」とか日本人は好きなんでしょうけど、まさかの「strong」、強さでした。名前で最高だなと思ったのは初めてです。

とは言うものの、デザインもなかなか良いです。タートのlady・ann的な、モードな感じが滲み出ています。確かに、強いと言いますか、凛とした女性像が、このメガネから湧いてくる気がします。凛というのが英語で分からないので、まいっかstrongで、的な名前の決定だと嬉しいなと妄想しております。

良すぎるってことは無いんですけど
ヴィンテージのメガネ

19.09.20

インスタに、先行して物をチョロ出ししたんですけど、日本の仕入れがありました。先行分は、ボシュロム名義のフレームです。映画、タクシードライバーで、ダイナーにいる葉巻を加えた黒人が掛けているあれです。確か5秒くらいしか映らないんですけど、衝撃的にカッコいいのでそれだけでも見て下さい。オススメです。

せっかくブログで紹介するなら、無名のフレームが良いなぁと思うので、取り急ぎ60本のうち2本だけチョロ出しします。

まずはメタルフレーム。

ぱっと見、普通の男性用メガネです。業界では紳士フレームとか言ってます。でも、3秒くらいしますと、異変に気付くはずです。そう、ブリッジの気の抜け方です。

円柱のパイプが、レンズとレンズを繋いでいます。おそらく当時も製造メーカーには、ブリッジの汎用の型があったはずです。もっと普通にできたはずです。そう考えますと、このなんとも脱力感のある円柱のブリッジは、意図してここに鎮座しているということになります。

私はこれを見たときに、恐れ多くもtoo goodみたいだなと思ったんですよね。あぁ、ごめんなさい。よくわからない誰かに謝っておきます。

私がネットで見たのはコートで、焼き物で作ったボタンがごつんと付いていました。コート自体はウールの、大枠は綺麗な一般的にコートといったらまず頭に浮かぶような形で、唐突に、ボタンだけが陶器でデカイわけです。形と厚みは、まさにすいとんみたいな感じです。何をもってプリミティブとするかは、以前に書いたのでやめておきますが、都会的なものにそのプリミティブなものがごつんとあって、違和感が消去出来ない仕組みを内在していたことを覚えております。それと、革ひもで繋いだ、陶器の犬みたいなネックレスは、お客さんが着用しており、現物を見たことがあります。そもそもそれがtoo goodを知るきっかけだったと思います。その犬も、横幅10センチくらいありまして、土器を身にまとっているかのような、違和感の圧を感じたことを覚えています。

洗練され過ぎていない、そのような方向性を強く感じないという点において、このメガネは良すぎるということは無いと思います。頑丈に作ってありますが、精密さからくる上品さに掛ける部分がありますので、やはりtoo goodには及ばないのかもしれません。しかしあの円柱、図形としては小学生で習うくらいのものですし、立体物としてはまさにプリミティブな図形が(むしろ、正しくはプライマリーと称するべきかもしれませんね。)、何気無くメガネに添えられることで、いつまでも新鮮な違和感を醸し出していることは間違いです。それは、全てが普遍化する流れの中で、普遍化を拒む特異点のような存在であるということでして、それについては両者、同じような気もします。

ということで品番しか書いていない、日本の名無しのメガネでした。でも、わたしには素晴らしいフレームに感じられましたので、まずここに真っ先に載せました。先セルはバリバリに割れてしまうので、新品に交換予定です。長くなったので、2本目は次のブログに載せます。

サングラスの未解決問題
雑記

19.09.17

差し入れで頂きました。下北沢のイベント中、お天道様の下で夢中で読んでいました、ごめんなさい。

これはすごくてですね、1967年の日本で既に、しかも男性においてサングラスのオシャレが考察されていたという証拠が得られたということになります。どうなんでしょう、50年前より我々のサングラス観は進歩しているんですかね?

診断者に石津謙介が含まれております。超豪華です。読んでみるとわかるのですが、結局、どうとでも言えるよねって感じです。つまりは観測者次第という話で、それだったら好きなものを自信をもって掛けるだけかなと思います。ブルバキとしては、楽しいという感覚が、こうしなくてはならないという理性的な作法によって消えないことを願うばかりです。

この部分は、サングラスどうのこうのは別として、大事なことを伝えてくれていました。

石津氏「…サングラスのおしゃれが身についていれば、常識的な批判など問題じゃないと思う。」

この、「常識的な批判など問題じゃない」瞬間が存在し得るということが、なんだか心強いなと。何時も常識的な批判を無視することはもちろんナンセンスでしょうけど。大人がこう言ってくれるのは凄いですね。VANがブームになった理由が垣間見れました。

眼鏡屋の観点からの指摘もすごく良い。めっちゃ分かります。

まつ毛が付きますし、ズルッと下がりますから、当店でも鼻盛り等々行います。高さは出し過ぎないのが鉄則です。頂間距離と言いますけど、割とカッコよさに繋がる部分というのは同感。顔に近い方が、何となく外人ぽくて、かけた姿がカッコよく見えます。

⑩の褒め方も良いです。いま、こんな褒め方する雑誌無いなあ。表情とあってるとか良いですね。

セル磨き
修理とメンテ

19.09.17

下北沢での依頼分です。いつもは店頭のみ受付可にしています。出張販売時でも、修理可否が判断出来れば、今後も承けたりうけなかったり…どうしようかなという感じです。

使用感はややありですが、概ね良好です。ただし、リムが弛んでいますから、nosでは無さそうです。ガラスレンズを外すときに、グイッとやっちゃったパターンかと。

ということで、折角ブルバキに任せて頂いた以上、ただ磨くだけではつまらないので、これは消しておきたいところです。

こういうときは、勢いで棒ヤスリでグイッと、こちらもやり返しちゃいます。紙ヤスリでは埒があきませんから、棒ヤスリで水平面を拵えるのです。

あとは、いつも通り耐水ペーパーで水研ぎです。

仕上がりはこんな感じです。

東京で感動したこと
雑記

19.09.16

下北沢から、なんとか線で乗り換えなしで新宿まで行けるので、14日は新宿のビジネスホテルに泊まっていました。洗面所、トイレ、風呂、全部共同の簡素なところです。あの立地にしてはおそろしく安いのにも関わらず、設備は古くても清潔なので、何だかんだリピーターです。

イベント終わって(正確には終わる直前、最後のDJイベントは参加せず帰りました。なぜなら、そのビジネスホテルは風呂の時間と門限が決まっているからです。付き合い悪くてごめんなさい。)、ホテルに向かうため新宿の南口に出たところ、ネットで有名になっている人が路上ライブしていました。出口を出た瞬間に、このリズムは!!となり、人だかりを目指して行ったところ、一心不乱にリズムを刻んでいました。チャパディジュリドゥさんです。バケツドラマーMASAさんという方と、一緒に夢中になって演奏しておりました。たぶん豪華版なはず。たまたま生で拝見出来たということ、ややイベントでフワッと軽やかに立ち回れない・立ち回りたくない駄目さと意固地さの葛藤を抱えてオーバーヒート状態となっていましたから、あの周りが見えないくらいに没入している二人の姿とその出来上がった物に、ひどく感動をした次第です。対立する片側の消去、対立の融合ではなくて、葛藤の消去なのかと。

反復と増幅で気持ちよくなっちゃってグルグル回って踊っている外人さん達と、グッと聞き入っている方と、アレは何なんだとややおぞましく眺める方と、混ぜこぜなのも良かったです。

ドラマーの方の紙は、個人名とケータイ番号もろ載っているので、載せるのはやめておきます。店にカード置いておきます。

ありがとうございました
雑記

19.09.14

ほぼ組織票でした。ありがとうございました。ソーシャビリティと言うんですかね、それとコミュニケーション能力の差が如実に分かった1日でした。

明日はどうしようかなと。色々疲れたので、国立博物館で、とりあえず何かしら国宝でも見て、大丸で芋きん買って、すぐ帰るかもですね。

レクサスは1回だけしか見なかったので、名古屋の異常さにも気付けた1日でした。

考えることの延長
雑記

19.09.14

書いてるいま、新幹線です。

昨今は、自転車通勤になりました。音楽を聞く機会が減ってしまいました。今回、下北への移動で久々に2時間ほど手持ち無沙汰な時間が得られましたので、アイポッドで小林秀雄講演第2巻を聞いています。チャプター『「考える」ということ』が、さらりと身体に入る瞬間がありました。

他のヴィンテージメガネ店に通っている方の出入りが増えました。それはそれでありがとうございます。おそらく、大きな違いは、この、考えるということの違いだと思います。

考える、つまりは見ると言い換えても構わないと思います。それが観察ではなくて、講演の言葉を借りれば、交わることを意味しています。様々な要素、ラベル、観点、それらの消去を目指し、自分に取り入れることをしてみたい衝動が無いですかね。アノニマス自体が標語となりブランド化していく中で、それは非常に難しいことなんですけど、もし出来たら、そこにかなり純度の高い自己が顕在化するのでは無いかなと思っています。信ずることと考えることの同一化が、そこに成されます。何を信ずるか、自分自身です。

ちょっと前の「変態」にも通じますが、考える=観察する=見るという等式において、変態というシャッターは発生すると考えています。個人個人に容量がありますから、全部には交れ無いですしそれで良いんですけど、今日も散々言われるんだろうなと。その中で一人だけでも、別にブルバキの存在と交わる意思はあってもなくても構いません、持っていったメガネと交わろうとして下さる方がいらっしゃれば、今日はそれだけで救われるだろうなと予感がしております。

これ持っていきます
ヴィンテージのメガネ

19.09.13

ヴィンテージのメガネなんですけど、foster grant です。前も載せたかもしれません。

このメーカーは現存しております。ちゃんとインスタやってまして、その紹介文は「Stylish eyewear at an affordable price since 1929」となっています。カッコよくて安いと宣っています。業界では「吊り下げサングラス」と言ったり言わなかったりしますが、例えば回転ディスプレイに掛かっているタイプのお値打ち価格のサングラスを作るメーカーです。

それは、作りからも明らかです。

はめ殺しタイプです。ネジ留めではありません。ただし、今回もリムをこじ開けずに、傷だらけのアクリルレンズをCR-39に交換しております。やり方はひみつです。

色々ありまして、めっちゃカッコいいけど、ブルバキが販売していいクオリティなのか?とか、度付きは厳しいなあとか、鼻パッドが一体物でカッコいいんですけど、フィッティング不可だなとか。店頭では隠していました。まあでも、とりあえず難しく考えずに持っていきます。

こういう、ギリギリのきわっきわ、本物のチープさも良いですよね。そもそも、この手のものは遺そうと思う人もいなかったでしょうし、デッドストックにしても多くは湿気で緑青が浮いてダメになっていたりしますから。チープな作りであるからこそ、残っているということが奇跡なわけです。うーんたまらないです。

土日休みです
営業案内

19.09.13

予告通り、土日は休みです。土曜日は下北沢で行商です。

裏メガネ、お声がけください。今回初めて、銀無垢を2本だけ外に持っていきます。ちなみに19.8万円です。

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