やっと読めました。テレビ番組の100分de名著で紹介されてから、結構時間が経ってしまいました。
側からみればサラリーマンでは無い私は、モモ側の人間ってことになるんでしょうけど、そんなことも無いです。読んでみて改めて、ちょっと期待しちゃいましたけど、そんなこと無かったです。灰色の男たちの一人でした。本を読み進めていきなり第3章でちょっと挫けそうになりました。

本を読む前に、これの要約である冒頭のテレビ番組をみており(なんなら1.3倍速で)、そして児童文学と言いながら大人も読む価値がある、むしろ大人こそ読むべき至高の一冊みたいな刷り込みがある状態でした。この第3章は、主人公のモモとも主要な登場人物のジジとベッポとも関係がほとんどない、街の子どもたちのごっこ遊びの描写だけで終わる章です。ストーリーの進展に関係ないですし、訓示めいたこともないわけです。
この本でいう灰色の男たちであるかどうか、読者を篩にかけるのがこの章な気がします。そして僕は灰色の男として篩に残ったタイプです。ストーリーの進展無いんかいっ!とか、作者の有難いメッセージが潜んで無いんかいっ!と思ってしまいました。直接かつ即時のリターンを求めすぎですね。

この辺なんかは自分のことを言われているようでグサグサって感じでした。昨年末の銀無垢のサーモントが出来たタイミングなんかは、こんな感じに燃え尽き症候群の一歩手前でしたね。
一応小学校5年生から6年生以上が対象みたいです。リアル小学生が読んだらどんな感想なんでしょうね。自分も小学生のときに読んでおきたかったですね。とは言うものの私自身は、はじめにとおわりにを読んで読書感想文を書く、本を全く読まないタイプの小学生でしたし、その行為が当時からすでに灰色の男たちのやり方でした。
スピノザの真理と虚偽の例え“光が光自身と闇とを顕わす”のように、透明な時間を生きている小学生だとしたら、『モモ』はどんな感想になるのでしょう。灰色の男たちとかが理解出来なくて、なんかよう分からんし面白くないなあって感想になるかもですね。面白く感じたら即ち灰色ってことでも無いんでしょうけど、灰色の私は面白く感じました。