木のフレームです。黒檀第一弾の、イギリスのヴィンテージから製作をしたメガネですが、テンプルを変えてみました。
第一弾に、第二弾の腕をつけて頂きました。こちらの方が、美観も良くなったと思います。
第二弾は、智の部分から曲げ点まで幅が一緒です。第一弾は智の部分は木でできる最小に絞って作っています。それにテンプルの始点も合わせてもらいました。こちらの方が、一層テンプルの終点に向けての広がりを期待させる仕上がりです。
日本語訳も出ている、おそらく一番メジャーな図鑑では、同じようなフレームのリアルガチ鼈甲で、なおかつストレートテンプル版が掲載されています。
また、違う図鑑ではフロントがクラウンパント気味ですが、イミテーション鼈甲で(セルロイド?)、私の手元のヴィンテージに近いテンプルの物が50年代として掲載されています。
アメリカのAOの60年代くらいのカタログの中身をみたことがあります。それぞれのモデル(フロント)に、テンプルの提案が5つくらい掲載されておりました。スタンダードなのか幅広のストレートなのかケーブルテンプルなのか、あとは現代におけるチタン的な位置付けの、アルミのデラックス版にするのか大体そんな感じです。当時は各国でフロントがデザイン担当で、テンプルで機能・用途別に合わせる半製品みたいな感覚だったのかなと推測できます。
それで今回のフレームに話を戻しますと、元ネタとは違う形状のテンプルを合わせましたが、あながち当時としても間違いでは無さそうです。図鑑では2パターン確認出来ましたが、鼈甲もやるようなオーダーの眼鏡屋のフレームであることを鑑みれば、今回のような形状のテンプルが取り付けられ、この組み合わせみたいなフレームが存在していたこともあり得そうですね。
木という素材においては、プラスチックとは逆に幅が広ければ広いほどメガネとしては正しいと一年間使うことで体感したというのも、第一弾の改良に至った理由です。摩擦が増大し、且つ接地面が増えてバネ蝶番の圧が緩和されます。ヤスリで削って、顔幅を合わせる工程が不要になりました。
幅広の形状におけるテンプルエンドの不鮮明な曲げ点は、プラスチック素材であれば、汗ばんだときに下を向いてスコンと抜ける要因になりますが、木の摩擦力の前では考慮しなくても良いです。木は後から曲げが出来ませんので、ある程度テンプルがなだらかな曲げであることで、万人の耳に浮かずに収まる利点に変換されています。
当時、これもあったかもしれないということを含みつつ、美観と機能の両方の改善をしております。