自分用で使っている銀無垢のサーモントのレンズを変えてみました。
変える前はこんな感じでした。原因不明ですけど燻されるスピードが速いみたいで、同じく4、5ヶ月使っている方と比較してもブリッジやリム周りの黒ずみ方が著しくて、それによる重厚感の演出もちょっとだけ多いなあと思うようになりました。
対処としては2つ。フレームを磨いて綺麗にするか、レンズの色を変えてG.I.グラスのイメージを取っ払うかです。せっかくのエイジングを無くしてしまうのももったいないので、今回はレンズの色を変えてミリタリー感を減らすことにしました。
今まで、サーモントが主流だった60年代〜70年代におそらく行われなかったであろう色にして、とにかくサーモントの醸し出す威厳みたいな雰囲気をふにゃふにゃにしてみようというのも狙いの一つです。その成果がトップ画像のあのピンクです。ピンク色で、最後どかーんと威厳も重厚感も全て、壊れちゃうとそれもいけないから壊れる手前で共存出来ないかなと思って、あんな感じです。
ちょっとまえに、度無しのクリスタルピンクがどうのこうの書いたと思います。多分2、3ヶ月前だと思いますがあれくらい前から探していました。妖艶な感じの少ない、ポップなピンク色です。この前のお客さんの表現が的確でそのまま貰っちゃうと、オレンジ色っぽいピンクを探していました。それなら銀無垢のサーモントにもギリギリ合いそうだなと。オレンジ色っぽいピンクの着想は、アメリカンヴィンテージの、フレッシュ(flesh)カラーなんですけどね。レンズカラーでヨーロッパ式のサーモントフレームに、アメリカを混ぜることを今回も念頭においています。且つポップで軽やかにしたいということで、オレンジっぽいピンクです。
クリスタルピンクの弱点は、度無しオンリーなんです。度付きの場合は、それを元に見本染色で近似色で染めることになるんですけど、薄いカラーは特になのか都度微妙に変わりますし、仕上げのコーティングによってもズレます。どの光が入射して、どの光が跳ね返るかが色の理論なので、コーティングでもズレますし、なんなら完全には予測不可能なズレがそこで生じます。
そんなわけで、メーカー独自の何かしらのピンク色で、毎回安定したクリスタルピンクの近似色が無いかなと探していました。いつものこの店のこの味的な、そういう色を。それがようやく見つかりまして、今回のレンズ交換に繋がっていきます。そのピンクは、HOYAのレイガード435のピンクです。盲点でした。名称がレイガード435のスイートでして、そのスイートに惑わされていました。ピンクの中では、スイート感少なめのピンクだと思います。
比較で置いたクリスタルピンクとほぼ同じ色味だと思います。しかもヴィンテージメガネが好きな方なら、なんとなくアメリカンヴィンテージのフレームのあのピンクっぽくないですかね?ブルーライトカットの一環で出た色でして、青をカットしたピンクということで黄色っぽい、黄色とピンクが混ざってオレンジっぽさが出ています。
最終、コーティングで少し赤っぽさが出たかなとも思いますが、オレンジっぽいピンク感は健在です。フレッシュカラーのセルフレームはとてもカッコいいんですけど、例えばピンクのフレームにグレーのカラーだと、やっぱり仕事に依ってはダメかなとか、さすがの僕でも考えてしまいます。そこでグレーのフレームにピンクであれば、ピンクが薄くて肌に馴染む黄色っぽさがあればいけるかなと思って、見本をとりあえず用意したいという狙いもあって作ってみました。
レイガード435の濃度としては、15パーセントくらいでしょうか。手に置いた感じで、日焼けが少し濃く見える程度の、おそらく掛けた状態ではレンズに色が入っていますと言われないとわからない程度の濃さです。横から見たときに、コバの発色が綺麗でメガネ全体が一層綺麗に見えていい感じです。ロレックスのミルガウスの緑の風防も綺麗で素敵で憧れるんですけど、ああいうさり気なさもあって個人的には満足です。