アーカイブ:10月2022

読書の秋
雑記

22.10.16

肉とか魚とか野菜とか米とかバランス良くみたいな話で、言語とか理性とかロゴス全般では偏ってしまうのでヴァージル・アブローの次は横尾忠則のエッセイを読んでいます。

言葉を離れるというタイトルですが、エッセイを通貫しているのは本を読んでこなかったんですよねという回顧でした。逆に読書の秋におススメです。読書をしてこなかったというエッセイの中に、ちょっとだけそのロゴスではなくて肉体でいけ感覚でいけみたいな叱咤激励があります。

肉に対しての野菜的感覚で、ヴァージル・アブローに対しての横尾忠則でしたが、やっぱりどっちも天才すぎてため息です。むしろ、どっちも肉でした。

銀無垢の使用例その2
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

22.10.16

その2ということでサーモントを3ヶ月間、ほぼ毎日使った例がこちらです。名古屋は16日日曜日の段階でも昼間は25度を越えています。暑いです。でも、汗が滴り落ちるまではいかなくなってきまして、そうなると銀無垢のメガネも、そろそろエイジングの速度が遅くなってきます。しばらくは、下の貼り付けた画像くらいの燻され度で過ごすことになりそうです。フロントの智の部分は、個人差あると思いますが私は全然触っていないようです。いい具合にムラのある燻され方がしてあって、正面のピカピカ感は初めの頃より大分抑えられました。

あとブリッジですが、かなり力強い雰囲気が燻されることで足されています。

もっと傷が入ったり、欠けたり凹んだりの荒々しい要素が足されると一層カッコいいのかなあとは思いますが、値段が値段ですし、やっぱり勇気なくて自主的なハード使用は出来ないです。普段通り使ってこんな感じです。ひどく傷なり何なりが付いた時に、落ち込まないように心の予防線を張っておくくらいにしています。

銀無垢の使用例
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

22.10.14

店を始めた年に製造された初号機なので、そうなりますと5年か6年くらい使ったことになります。銀無垢の丸メガネです。昨年に引き続き今年は、銀無垢のサーモントを使用してみてその変化を調べている最中ということもあり、丸メガネは家に寝かしがちではありました。なのでこの2年の使用頻度は低めです。

はじめ3年くらいは、磨いて常にピカピカをキープしていましたが、今は丸メガネに関しては磨かないことにして燻し続けています。とは言いつつ、気になる箇所は手で擦りまくって光沢を復活させている為、銀と黒ずみのグラデーションになっています。

メガネに限らずの感覚だとは思いますが、使って傷ついたら、使って汚れたらおわりみたいな雰囲気が年々増している気がします。微弱ながら抗いたいとはずっと思っています。最近驚いたことは、スニーカーの洗浄の専門店が続々と出来ていることで、オジサンからしたら汚れたら汚れるほどカッコいいと思っていたのでショックでした。おニューの靴とか言われると恥ずかしく感じるタイプのおじさんです。おニュー、、、それも死語かもしれません。

店を始めた当初は、抗い方としてそもそも変化しない、さらには劣化という概念が無いぞということを前面に出していた気がします。今ももちろん変わりはなく、銀とかサンプラチナとか金とか、無垢の素材の普遍性に惹かれ続けています。その中で銀は、やっぱり黒ずんで馴染むのが魅力だよね的な、シルバーアクセサリーの愛され方のスタンダードに還った気がします。そういう心持ちにしておくと、傷も汚れも全て加点で毎日加点で、やや気持ちが楽です。

Dialogues ヴァージル・アブロー 平岩壮悟訳 アダチプレス(2022)

最近読んだばかりのあの本です。強烈すぎて、今日も引用です。このこと自体は、ヴァージル・アブロー以外にもあれこれ言及があると思います。村上隆の超芸術起業論とかにも、ほとんど同じ構造の議論があったはずです。コンテクスト勝負とか、そういう表現だった気がしますが、忘れました。

この話は、ハイブランドにおける戦術のはなしだから、ノンブランドな私には関係ありませんと言いたいところですけどそんなことも無いぞと、この2年くらいは強く感じるようになりました。情報というのかコンテクストというのかストーリーというのか気にしませんが、もはや物が添え物、オマケになってしまっているように感じるときもあります。ブランドの方が、静かに物を販売しているようにも思えてきます。

引用箇所にラグジュアリーとありますが、現在のラグジュアリーと核となる“垂涎の的”の感覚とはズレているが故に、銀のメガネもくすんだり傷ついたりして各人が使用した痕跡がつくと金銭的価値が減ります。でも使ったら終わるんじゃなくて、使ったら始まって欲しいですよね。昔から使い込んで味を出すと表現しますけど、自分の為に消費することはとても贅沢ですしね。

円柱の傾き問題
雑記

22.10.12

まさか、こんなことを考えるとは思っていなかったですし、けっこう長い時間ずっと考えるとも思っていなかったです。テーブルの上に棒があったとして、どれくらい傾いているかってことなんですけど。

実際の物で用意してしまったので、柔らかいイメージのみ受け取って下さい。棒というのは理想的な円柱で向きをつけらるような目印が無い物を想定しております。

傾きということで、どこからの傾きなんだという話になりまして、それはいつものカッターマットが分かりやすく可視化しています。横といってもいいし、水平線からのズレでも良いんですけど、その角度が、パッと思いつく棒の傾きですよね。この写真だと45度です。

すこし天邪鬼に225度傾いていると言われても、大人な私はうんうん頷けるつもりでした。眼鏡屋を営むなら乱視の軸とか度数変換に関わる部分なんですけど、ここまでの理解で十分です。慣習で、軸は180度までに範囲を絞って記載します。225度って言ってもいいけど、45度とぴったり一致しているよねという判断で、そうします。

もう一度写真を見ておきます。傾きというのは一点(原点)で固定された回転の動きです。まずそのように捉えたのが角度による把握でした。ここで原点から伸びる方向で傾きを表現してみます。すると、原点から45度方向に伸ばすのと、原点から225度に伸ばすのでは、伸ばす運動が正反対です。45度と225度の違う角度を同じとみなすのも納得いかない人もいるとは思いますが、あれは頭で棒を各々の角度に回転させてみれば一緒かなぁって思えます。それか、0度に傾いている棒を180度の傾きにすると言う方が分かりやすいかもしれません。傾いていない棒を、これまた傾いていない180度に傾きを直すという、もはや棒の回転だけです。

話を戻しまして伸びる方向で表現すると、向きが正反対です。光と陰、天と地です。傾きの表現の違いで、そんなことが生じてしまって良いのでしょうか?もう一度写真を見ます。1本の棒が、(変な表現ですが)1つの様態で傾いているだけです。やっぱり2通り傾いているようには見えません。

実は私は、先にそういうのを使ってあれこれ書かれた論文をいただいていまして、その中で円柱の傾き問題が既知として応用されているのを見てから、上記の問いといいますか、傾きの意味を考えてみました。それでも相当感動しました。乱視の軸は実務で使いますが、円柱の傾き具合を深く考えたことはありませんでした。円柱の傾きの表示問題は、もしかすると工学部では当たり前なのかもしれないです。カッコ良く言えば、円柱の傾きをベクトルで表現したいってことになるんですけど。解決法はとても単純そうにみえますが、答えを知らない状態からだとパッと思いつかないです。暇つぶし用の考え事には最高かもしれません。

分散
修理とメンテ

22.10.07

トップ画像は、あれこれ調子をとって、眉パーツが完全にレンズと干渉しないようにした後です。セルはどうしても経年変化で縮みます。今回は、穴を埋めてからあけなおしました。それでも穴が半個分ズレています。

調子をとった後に半個分のズレということで、穴あけの前に一箇所、プラスチックの厚みがある部分で削りを入れています。

ブローチネジが収まっている箇所を、削っています。はじめの画像で、元々穴の開いている箇所は、上下には余白があっても、左右にはあまり余白が無いです。なので、新たに穴を作り直すにしても、上下の移動だけにしたいということで、横の縮みに対しては別の箇所で調子を取っています。

横を合わせて、大体の穴の位置を決めてから、リムの裏側にくる眉パーツのはみ出しを削っています。黄色のラインに沿って削り、メタル枠に沿わせています。近視の強度ということで、きっちり処理しました。

リム側に、はみ出た部分を削る前です。案の定、メタル枠にきっちり入るレンズが眉毛パーツがあると全然きっちり入りません。耳側のセルが割れている中古品をよく見かけますが、多分干渉したまま枠入れを終えて、いつか脆くなって割れてしまうんだろうなと予想しています。ということで、あれやこれやの修正が入りました。

向かって左側が未処理で、向かって右側が修正済みです。どっか一点で調子を取りすぎると、眉毛の印象が変わるので、あれこれ分散させているというのも理由です。削る手前、どうしても華奢になってしまいますが如何でしょうか?一回り、なんだかスリムかな?くらいの違いに留められたのではないかと思っています。

このタイプのサーモントの枠入れは毎度不測の事態で悩んでいる気がします。右眉を穴埋め中で、もう少し作業は続きます。

明日は休みです
営業案内

22.10.03

10月4日(火)は、月例の眼科さん出張のため店は休みです。

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