カザール、再メッキです。マットブラックの、ハンドペイント部分の剥離が目立つとのことで、綺麗に直しました。
工程としましては、一旦全て剥がして再メッキをし、その後マットブラックでペイントです。ここまで復活するとは思っていなかったです。とても良いです。
テンプルは、ロゴがあるので何も行いませんでした。メッキの金の色味に差が生じてしまいましたが、かなり近い色でメッキをして頂いたおかげで、ほとんどその差は分からないと思います。

19.11.11
カザール、再メッキです。マットブラックの、ハンドペイント部分の剥離が目立つとのことで、綺麗に直しました。
工程としましては、一旦全て剥がして再メッキをし、その後マットブラックでペイントです。ここまで復活するとは思っていなかったです。とても良いです。
テンプルは、ロゴがあるので何も行いませんでした。メッキの金の色味に差が生じてしまいましたが、かなり近い色でメッキをして頂いたおかげで、ほとんどその差は分からないと思います。
19.11.11
おそらく、イギリスから届いて1ヶ月ほど何も出来ずに寝かしておいて、今月も新規の入荷があったので、2回分まとめてレストアし始めました。熟成しています。
色々あるんですけど、これかなと。まず載せるなら。ローデンのロッコ風。ロッコ風というのがポイントで、限りなくロッコ感あるんですけど、ローデンでは無いからロッコ風ということになります。ブランド刻印なし、産地刻印もなし。作りとレンズサイズから、同じ時代に似せて作られたものでしょうね。
カトラーのキングスマンモデルのような、マスク感があります。ブリッジに凹凸をつけていないからでしょうね。それが良いです。
フロント上部の処理が秀逸でした。曲線が優美です。
19.11.11
私の左眼の話です。左眼に、プリズムを入れるという話なんですけど、特注指定でプリズムを処方するのではなく、レンズの平行移動で、同等の作用を出すというを目指します。別にこれは、特別な話ではないですし、理論と精密に形にすることとのギャップが垣間見れるので書いておきます。
s-4.50 c-1.00 ax165というのが、私の度数です。左眼の。ざっくり、横は -4.50の近視、縦は-5.50の近視という感じです。それが正確には、15度ずつ傾いています。
それで、いつもはそこまで影響無いだろうとおもい、(1.00/4.50)*10=2.22㎜ 瞳孔よりも外側にレンズを平行移動して、プリズムを処方しています。そういうもんなんです。ですが、本当は15度傾いているので、本当にそれでいいのかなと、一回くらい計算してみました。
ほぼ、三角比の定義を当てはめるだけなので、特に難しいということではありません。作図で言えば、O’の位置が第2象限の方が正しかったですね。ごめんなさい。それに、いまは特注でプリズムをレンズに組み込む方が一般的なので、やらなくても良さそうな気がだんだんとしてきました。
結果は、177.6度方向に2.21㎜偏心でした。はぁ?という感じです。ちなみに、
cos(177.6度)=-0.99912283…
sin(177.6度)=0.041875653…
です。ざっくり、先ほどの177.6度方向に2.21㎜の移動を縦と横の移動に言い換えますと、
縦に0.093㎜移動し横に2.208㎜移動する、と表現出来ます。横だけではなく、縦にもおよそ0.1㎜の移動が要ることが分かりました。横の移動も連動して減っています。この0.1㎜は、どう捉えたらいいでしょうかね。
例えば加工、フレームと削り終わったレンズの関係に於ける0.1㎜は大事です。レンズの径の指定は0.05㎜単位で指定します。ですから、眼鏡屋にアルチザン風味を足すのであれば、技師が0.05㎜を見極めて、最適なサイズ感でレンズを入れていますと、そういう話になります。ブルバキも黎明期はそんなことを言っていたかもしれません。まあでも、実際の手順としてはボタン一つです。
光学的にはどうか?削る前のレンズに、加工の基準点を設ける際の0.1㎜です。割と、感覚にお任せになってしまいます。例えば、毎度お馴染みの私が3年半使っている銀無垢のメガネは、レンズ径が36㎜です。
こういうフレームに対しては、枠心という一手間があって、ちょっと特殊な下拵えでレンズの加工に入ります。その際に、下の器材を用いますが、そのピッチは1.0㎜です。半分の0.5㎜とか、その半分の0.25㎜までは実現出来そうですが、そこから先は、気分次第っぽいですよね。
なので結局、今回きっちり値を出してみましたが、まんまと厳密性が最後で崩れてしまいました。縦方向は無視出来るものとして、横方向にしても、2.22㎜の平行移動が本当は2.208㎜であるということなんですけど、もはや誤差な気がします。
昔、メガネは突き詰めるだけで成り立つから良いなぁみたいなことを言われて、はあそうですかと聞き流していたことがありました。今回はレンズの話だったんですけど、例えば検眼は、もっとエクストリームの連続です。メガネだって厳密さだけでは無いし、おそらく他も全部そうなんだと思いますけど、最後は思考では敵わないというのが現れて、ボカーンと崩れたときが一番面白いなと思います。
19.11.10
ビジョントレーニングの器具を作りました。手の温もりってやつです。
前から、ブロックストリングスは持っていたんですけど、あれは斜視眼とか、融像力が弱い場合に使うべしということで、新たに作りました。
前回のあれでしっかりお伝えしなくてはいかんかったなというのは、VTは輻輳不全に絞っているということです。決してメガネが要らなくなるとか、そういう類ではありません。屈折異常は、成長期の眼軸の伸びが関係します。ですからある程度不可逆なことであり、戻せない近視の部分もあるということです。その戻せない部分は、メガネやコンタクトを使わないと、しょうがないです。
今回の変更点は、ビーズの小ささです。パステルカラーで女子からのカワイイを狙った訳ではありません。正直、ハッキリとした色味のビーズを探したんですけど見つからなかったので、なくなくこれにしました。ハンズの手作り工房みたいなところで買ったんですけど、店員さんもパニックでしょうね。こんなに少ないパーツで何作るんだろうと。
VTを輻輳不全に絞っていますから、ある程度融像力があることが前提です。であれば、寄り目をより鍛えるために、周辺融像で手を抜かせるのではなく、中心窩融像でシャープに鍛えることが、ビーズを小さくする事で期待できます。なるほどなと思ったので、早速真似した次第です。貸出用も潤沢にあります。
リリヤーンが商品名なのかそういう紐を呼ぶのか知りませんが、なかなかパッと見つからずに苦労しました。
緑黄赤のものが、元ネタです。大体、直径で半分くらいです。
19.11.09
先に言っておこうかなと。どうせ言われるんで。それに、気に入らなければ、この青のあみあみは塗料なので、バフでつるんと落とせます。上のグレーは無理です。入荷時期が異なるんですけど、たまたま同じ品番で色違いがありました。
この前、女性のお客さんに、むしろ冬の方がこういうの掛けたくなると言っていただき、ようやくレストアする気になりました。入荷から9ヶ月くらい経ってますね…。レストア間に合ってなくて、あんまり綺麗な状態で見せれていないときがあってすみません。
おおっ!って、感動したんですよね。そういうこと言ってくれる人が居るんだなと。重たいコートに、思いっきりライトなメガネ掛けて、イメージのバランスを取りたい気持ちは、何となくあります。威厳を出し過ぎたくなくて、ちょっとハズすとかそんな感覚です。
レンズの形をいじっています。元々は、縦長の面白メガネ感満載でした。ドラえもん的な。さすがにそれはダメだなと思いまして、自分でボストン寄りに、横より縦がやや短くなるように変更しております。ブリッジが真ん中にちょこんと付いていて、めちゃくちゃかわいいですね。
元のデモレンズ。レンズ外してマスに入れたら分かったのは、縦と横の長さが一緒でした。掛けたら伸びて見えるのは、目の錯覚です。実際いまのプロダクトでも、例えば丸メガネは、やや縦を潰して正確には正円ではなく楕円にしているのも、この辺が理由です。
19.11.09
ローデンのトロです。これに関しては、ツーブリッジのカテゴリーに入れるというよりも、トロという独立した何か、そんな気がします。その他ツーブリッジのような、かけた時の野暮ったさゼロです。なので全体で見られたときに、相手におじさんぽいね的なコメントが出てこない可能性が高いです。局所的に、ブリッジのディテールのみ知覚されると、何だか古臭いのかけているね、くらいは言われるかもしれません。
19.11.09
国立新美術館の、カルティエのあれ、見てきました。そういえば、95年に日本で初めて回顧展をやった時の図録も何故か頂いて持っています。両方店に置いておきます。
今週の木曜日に、前々からお伝えしていたVT(ビジョントレーニング)の話を聞いてきました。眼鏡店に絞った内容で、輻輳不全に限っています。
トレーニングのレベルが上がると、個人では手に入りにくい機材(価格ではなく、医療道具扱いで税関で没収)があるのですが、結構なレベルまで今の道具でこなせることと、そこまで到達出来ると、とりあえず実感は得られるとのことだったので、有志にはお伝えします。
まずは、いつも通り、自分で人体実験です。まだ3日目ですけど、どういう変化があったのかは、また店頭でお伝えします。
そういえば、今週のNHKのクロ現で、近視特集がやっていました。その辺も合わせて、何か疑問があれば、わかる範囲でこたえます。個人的には、近視も遠視も同等に持ち上げて、単純な眼が悪い=近視という等式を棄却することから始めないと、と思いましたけどね。言い換えれば、視力1.0以上ならば、無条件で眼が良いわけではない、という事なんですけど。
程度や、テレビでも言っていたいつ頃からか?とか、あれこれ複合して悪いかどうか判断します。失明とか認知症というワードで不安を誘うから、ねぇ。だったら遠視との関連も話した方が良くて、この前の+3.00を遠方処方した方もそうですが、50歳くらいまで視力1.5くらいあったんでしょうけど、65歳を過ぎてピント調節力が弱まってきて、“遠くも”近くも鮮明に見えない訳です。そして、どちらの不鮮明さにも負担がかかっています。近視であれば、例えばs-3.00であれば、手元33センチにピントが合っているので、新聞はぼちぼち鮮明に見えます。そのとき、ピント調節は要らず、寄り目だけが介入します。
眼軸が伸びるということは、身体が社会に沿わせようとしているという側面もあります。視力を出すことに躍起になりますと、結局、眼とレンズを合わせた系で遠視ということもあり得ますから、正しい眼というのは本当に難しい、なにか数値というもので固定できるようなものではないということだけが、何となく今になって分かってきたというのが自論です。
19.11.06
サンプラチナのツーポ、お渡し完了しました。こっちは玉型変更です。海外の俳優さんの名前を忘れましたが、とにかく、掛けた時に顔の各パーツにスポッと収まるように、レンズの形を変えるというお題でした。
良さそうなフランスの古いフレームからレンズの形を取り、サイズを変更して、尚且つそのままだと目尻が上がりすぎなので、少し垂れ目にさせてこんな仕上がりです。ちなみに男性が掛けます。
しかも、ちょっとリッチに調光レンズ入っていますので、例えば外で掛けた雰囲気としては標題のように「勝手にしやがれ」みたいな、amorをサングラスでかける感じになります。
ティアドロップフレームのような、荒々しい感じもあり、キャットアイフレームのような妖艶さもあって、まさにこのブリッジが様々なイメージを内包していることとぴったり合わさりました。オーバルも良かった、これもとても良かった。来年、在庫持てたら用意しておきます。
19.11.04
お客さんに、レッドドットちゃんの抜き方を教えてもらいました。ホントだ!感激。ついにバラせましたね。当時の広告から、抜けることは掴めていましたが、それに適した道具が見つかりました。
こうなれば無抵抗ですから、隅の隅までスベスベのトロトロにしてやろうという気概が生まれます。
ちなみに、レッドドットちゃんと個人的に呼んでいるのは、当時のAOのレッドドットの広告に、レッドドットネジに顔がついたキャラが描かれているからです。手足が短くてめちゃカワイイです。50年代後半から60年代をまたがって、新機構として広告で紹介されています。
19.11.03
バネ修理と、レンズ交換でした。バネは交換が出来ず、レーザー溶接でガチガチに固めてもらって、普通の蝶番に改良してしまいました。まあしょうがないですね。
レンズ交換ということで、
・遠視
・老眼になってからメガネを掛け始めた
・65歳くらい
これだけでも、数値がどうあれ考えられることと、お客さんの主訴とメガネへ期待することから、何を選択して何を犠牲にするかが頭を巡ります。もちろん、ブルバキでも累進レンズを処方することはちゃんとあります。ですが物理的に解決できない、ある要求を満足させることが出来ないということもありまして、必ず何が犠牲になるかはお伝えします。
「最新の累進レンズは大丈夫です」、よく言われると思います。確かにある点においてはそうなんでしょうけど、全部が大丈夫になった訳では無いです。この辺は提供する側がいかんですね。
旧処方が、大体左右同じでs+1.50 add+2.50です。ヒアリングでは60歳くらいかそれよりも前の時点での処方です。それと、オートレフでs+2.75位で値が出てくること、自然に手元を見てもらったときに、あんまり下方視出来ていないこと、念の為、実際にミラー法で視線のチェックをした時に、やっぱり下方視が足りないこと。このくらい情報があると、およその道筋が見えてきます。今回特に気になったのは、加入をしっかり体感するには無意識に下げた目線以上に、下をしっかりと見なくてはいけないことに改めて驚いていらっしゃったことですね。教則では、姿勢の指導なんでしょうけど、やめました。球面値のあたりをつけて、遠近の眼位を測り、ESOが残っていないことを確認して、他にもあれこれ逡巡して単焦点にしました。
毎回こうなるわけでは無いんですけど、色々上手く合致して、全部の距離がぼちぼち見えるわーというので掛けて帰って下さったので、嬉しかったですね。
デモレンズも旧レンズも無くて、型板から作っています。