先日の講演会の内容を、昨日から自分に試しております。プリズムの処方量に関して、とりあえず怖がらずに100%実施でトライアンドエラーだよ!くらいしかそのときは言っておらず、具体的なデータの読み方は披露されずでした。ベースとなっているであろう米国式の理論から、自分なりに明かされていない真髄にアプローチしてみています。
近視になるメカニズムと、調節と輻輳(寄り目)の関係から察するに、高い次元で弛緩させることを念頭においた検眼だと思われます。その検眼のチェックとして用いるのが、視力によるくっきりさではなく、頭のクリアさや両眼視下での立体感の回復となります。一昨日のペン先の話です。フワッと見る、注視する癖を直すことが、処方度数に対して意識的に矯正しないといけない事となります。それは講演会のときも度々言われていました。つまり何を矯正するか?ここも大きく違います。
カバー法から、目視で遠近両方の斜位量を測り、AC/Aを把握していそうです。つまりそれが分かれば、近視度数を減らしたときに、どれくらい斜位が外に移るかも予想出来るので、合算した量のプリズムをセットすることで、弛緩し開いて安静な位置に達した眼を、寄せ運動で疲れさせないように補足することが出来ます。社会構造が変わっている故、シェアード則が通用しないという前提も垣間見えます。
他にも色々分析して、ざっくり自分に施しています。まずは自分で人体実験です。遠方外斜位(2.5△)、AC/Aが(2.5△/+1.00)ですから、近視度数を3ポイント下げ、代わりに思い切って(4△B.I.)してみました。近視度数を3ポイント下げた理由としましては、視力表の0.7が見えるギリギリを狙いました。運転出来る下限です。ちなみに、オートレフ(気球のやつ)からは5〜7ポイントくらい近視度数が下がっています。
また講演会ではありませんでしたが、#20と#21をその状態で測り、大体バランスが崩れていないのは念のため確認しています。眼を寄せる開く、ピントの調節と弛緩の連動およびバランスを測る項目です。#20と#21の真ん中を狙うと、結局元の処方に戻りますから、今回はやや真ん中くらいであることを確認して終わりです。
結果、どうだったか?ペン先が1つに見える臨界状態で、一昨日の晩飯を考えることが出来ました。脳のしかしか感(奥がイライラする感じ)が減少しているので、個人的にはただならぬ手応えを感じております。
仮枠で試していますが、私個人としては抜群に効果ありです。はじめ掛けた時に、寒気のようなゾクゾク感がしました。おそらくこれが、頭頂から首筋にかけて力が抜けた合図だと思われます。この寒気が最初は気味が悪いと感じました。1時間ほど掛け続けて元のメガネを掛けた瞬間に、頭頂に引っ張られる感覚が生じ、それが抜けた合図だと気づくことが出来ました。新しい処方は頭が軽い。あと、集中の質とスイッチの入りやすさが違います。
見え具合に関しては、掛けて1時間置くことでやや回復といいますか、ボヤけが嫌にならない程度にはなりました。このときに、フワッと全体を見ることを心がけると、たしかにハッキリと見えていないのに、遠くの文字が識別できることが発生しております。眼筋の緊張がより解れれば、もう少し改善があるのかもしれません。ただし、近視の主な原因は眼軸長の伸びでして、それは身体の成長と共に生じる不可逆な事象です。この周辺までしか、近視度数の量が減らせなさそうということも予測がたちます。
とりあえずプリズムに関しては、あれこれ諸説あります。業界側も、足並みが揃っていないのが現状です。そもそも諸説を論ずる前に全く知識がなく、「プリズムは良くない」と、レンズに組み込まれているだけで反論に際しての根拠が無いまま、反射的にダメと言われることもあります。レンズメーターで、持っているプリズムの入ったメガネの度数を取るときに、目と目の位置が全然合ってないね、みたいなことを言われることもあります。ともにお客さんから他店で言われたと、報告があったことです。プリズムの存在自体がダメであれば、いま存在していないはずですが…。
そういえば木曜日にブログを更新しているのは、お店にいたからです。仮枠でその新理論の度数を掛けて更新しています。すでに元の度数で長時間室内にいることが何となく嫌になっております。まだ新しい処方レンズが届かないので、店で仮枠を通して本を読んでいました。店と自分の体を最大限活用して、週末に実感を話せるようにしております。
そもそも、そのような疲れの類は感じておりました。色々なお客さんと6時間くらい対話をしますと、帰りに1時間くらいぐったりして動けない時が増えたり、集中が途切れやすく連続して加工に取り組めないようになってきたりです。オリジナルの製作や店の今後をより真剣に考える機会が増えたことが重なり、年明けから何となく頭が重い気もしていましたが、どうやら勘違いでは無かったみたいです。いつもお客さんに視覚の大事さを伝えている自分が、思った以上に眼から疲れていました。
まとめますと、頭が軽くなった実感があり、チェックとしてはペン先の注視時に深く考えることが出来るようになったことと、近方での立体視を把握できるステレオテストのレベル10が鮮明に浮きはじめたことから、わたしには効果がありそうです。経過観測としては、プリズム処方すると上下斜位が出ることもあるみたいな説もありますから、まずはそこを見張ります。また、外出時は景色を楽しみたいので、サングラスは度数を変えずに、ギンギンに見えるまま度数を使い分ける予定です。
もちろん、その理論で成功している方からお話を聞いたので良い方法であることは間違いないです。ですからあとは自分の実感を基に、考えうる欠点とお客さんの状況等々を加味しながら提案と処方を続け、最後はブルバキオリジナルに到達したいですね。遠いなあ。