彫金欲が再燃です。あれも彫りたいこれも彫りたい。
一昨年の銀無垢サーモントの開発決定から昨年末にかけての2連発新作完成まで、なかなか身動き取れなかったです。そこが一段落つきまして今年はどうしようかなと考えていた矢先に、年明けからポツポツと彫金の依頼を頂いておりました。それを眺めていたり、お客さんにお渡ししたときのリアクションを拝見しまして、自分も彫金欲が再燃した次第です。やっぱり彫金だなと。無垢の金属の塊、迫力とボリュームというムーブメントがこの2年ありましたけど、それが落ち着いて精緻で美しいの方に、またまた傾倒してきています。
ということで、彫金パターンの新ネタです。試しに作ってみました。
トップ画像では分からなかったはずです。今回は控えめに、フロント側は何も彫らずに、横だけでこっそり工芸性を足してみました。工芸性を足すんですけど、今までは唐草模様やヴィンテージのダイヤ柄でしたり、精緻な柄を入れて華やかさだったりたおやかさを足すことを試みることが多かったんですけど、その美しくて柔らかい感じがあまり付加されないような柄を選んでみました。素材と形状と柄と、三位一体でめちゃくちゃ堅い雰囲気でパキッとしてカッコいいです。基盤みたいな、直線的でいまにも線に沿って光が走り抜けるような、そんな雰囲気がカッコいいです。
このネタ自体はずっと寝かしていまして、ただそのときはテンプルが真っ直ぐで起伏のない物が店頭にありませんでした。潔い平面が用意できるフレームが、銀無垢もサンプラチナもありませんでした。構造のこともそうですし、この柄にたいしてはプレスの模様くらいが丁度良いのかなという考えもありました。手彫りで角がバリバリに立ったときに、果たしてカッコいいのか?みたいな不安があって躊躇していたわけです。
これがネタ元です。実は80年代のフレームの何かではなくて、30年代の金張フレームの柄を手彫りで再現しています。アール・デコもその前後らしいので、それを踏まえますとその極致みたいな柄だなぁと思えてきます。
寝かさずに、もっと早く手彫りで再現すればよかったですね。めっちゃカッコいい且つ、キラキラとエレガントな感じが殆ど付加されないので、どんなときも掛けやすそうです。でも手彫りで自分だけ工芸性を味わってこっそり嬉しいみたいな。そんな感じに仕上がりました。