ルノアの鼻盛りしました。
昨年、当店で枠入れしており、やっぱりまつ毛がレンズ後面についちゃうよねってことで、今度は鼻盛りしました。
幅はあまり変えずに高さだけ出したいので、外側いっぱいに取り付けて、はみ出した部分は削るとこんな感じです。
細くて華奢な感じを邪魔せずに盛れたかなと思っています。鼻盛りの主張が強いと、鼻!!って感じのメガネになっちゃいますからね。
23.04.29
ルノアの鼻盛りしました。
昨年、当店で枠入れしており、やっぱりまつ毛がレンズ後面についちゃうよねってことで、今度は鼻盛りしました。
幅はあまり変えずに高さだけ出したいので、外側いっぱいに取り付けて、はみ出した部分は削るとこんな感じです。
細くて華奢な感じを邪魔せずに盛れたかなと思っています。鼻盛りの主張が強いと、鼻!!って感じのメガネになっちゃいますからね。
23.04.03
ついにここにも運び込まれましたね。ジャックマリーマージュです。
色々コンテクストがありますけど、そこに怖気付かずに物を見て触って、直接感じるべきことは、要は日本製のアセテートフレームということです。ここはひとつメガネ屋としてドシッと構えまして、フィッティング上、鼻盛りが必要であればいつも通り取り付けを行います。
取り付け前。モデルによっては、鼻盛りパッドが散斑で本体と共色だったりします。そうしますと、流石に鼻盛りは勿体ないなあと思うところです。今回は、透明のバージョンでしたので、そこは未練なく着手出来ました。
鼻盛りが終わりました。総重量がなかなかありますから、鼻の乗り具合は重要かもしれないですね。例え幅が合っており、オリジナルで下げ止まっていたとしても、もとのパッド面が小さいため圧を感じるのであれば、交換するのも手でしょうね。
カッコ良さの感覚としましては、車のレクサスとか新型のクラウンに近いものを感じました。元々のフレンチヴィンテージのクラウンパントは、角が立ってパキパキで、あれはあれで物の質量が際立ってカッコいいんですけどね。いま作るとなったときに値段なりのゴージャス感が欲しいなとなりますと、エレガントな感じも欲しいよねということになりまして、そうしますと曲線の優美さの出番なんでしょう。そういう、直線的な質量の表現と曲線的な流動体のような表現と、対極の融合が一つのフレームの中で起こっているように感じました。
ここからは余談で。触ったときの勘だけの話ですけど、クロムハーツのメガネと工場が一緒なのかなと思いました。いまはブルバキとして川下の産業に従事しておりますから、本当に触った時に感じた何となくの感想なんですけど。
作りがどうとかいうよりも、例えばメガネに対しての目の付け所が一緒な気がします。この前の話みたいに、ラグジュアリーなメガネを作るとなったときに、着手としては細部の作りからコツコツと積み上げるということになるんでしょうけど、その細部の組み合わせと言いますか、メガネに向ける視線が同じな気がします。同じ目線の違う表現みたいな。もちろん企画の会社が違うんですけど。製造が一部重なるとか、人間で言うところの癖が似ている感じがしたんですよね。まあ気のせいですね。
どちらのブランドのフレームも、是非他所の店頭で見てみると面白いですよ。
23.03.24
お持ち込み。既に鼻盛りの改造済みでした。それのブラッシュアップです。
かなり綺麗で、水平面もキッチリですし接着面に気泡も無いです。工業製品の観点からキッチリ綺麗ということですけど、確かに正面視の鼻パッドの迫り出しや、顔につける側の接着剤による面の揺らぎが、気になるといえば気になります。
となりますと、僕みたいな存在の出番と申しますか、時間かけ放題の店ならではの処理を施していきます。
こんな感じです。鼻パッドの余りを削り落として、あとはひたすら磨いています。
22.12.13
カザールのレジェンズです。MOD.607です。自分用で7年くらい前に買って、そのままでした。カザールのレジェンズって良いですよね。現代のメッキの技術は凄まじいので、金具の心配が全く無いわけではありませんが、プツプツしたメッキの浮きとか緑青が少ない気がします。カザールのレジェンズもナイキのエアジョーダンみたいな感じで、ずっと続いて欲しいですね。
削る前を撮り忘れました。これは鼻の部分を削って、鼻盛りの土台を作った状態です。削る前はもっと尖っていまして、鼻盛りの接地面が無かったんですけど、深さ0.5ミリか1.0ミリか、それくらいヤスリで削ると、幅1.0ミリくらいの接地面を設けることができました。この607も問題なく鼻盛り出来ますね。
結構違和感なく仕上がりますね。鼻盛りしないと、鼻に乗せる部分が広すぎて下がり、頬でメガネを支える感じになります。それが不快で、結局使わずに寝かせていました。
もっと早く処置していたら良かったです。鼻盛りしたらいけます。トップ画像に載せましたが、レンズ込みで50グラム超えていますけど割と調子良いです。テンプルの幅が広いお陰で、摩擦でしっかり止まっている感覚があります。ということで607も全然違和感なく掛けられます。
ちなみに、テンプル長が140ミリ表記ですがヨロイが長いので、テンプルも実際は長いです。ネジ穴中心から終端の長さなのでそうなります。普通のフレームだと150ミリくらいの感覚です。まず長さが足りないことは無いと思います。
22.11.29
お持ち込み。チタンフレームに七宝塗装が施されていました。使用して3年ほどで塗装が一部剥離とのことで、装飾がダメになった程度で捨てるのも勿体無いので、いっそ七宝塗装を全剥がしして、チタンの素朴なメガネにしてみました。
写真撮るのを忘れていたんですけど、リムの鼻側に剥離が小さくあって、そこからペリペリ落としました。リムの上側に、七宝がまだ残っています。
基本的には、やり方が分からない場合はまず根性でいくんですけど、2時間で左右のリムの下側の七宝が剥がせれた段階で、爪が死にました。このあたりで根性論が間違っていたことにようやく気づきます。いつも気づくのは遅めです。七宝を剥がしてもっともっと長く使いましょうと、こちらから提案した手前、諦めることも出来ないんですけど想像以上に七宝塗装を落とすことは困難でした。
とにかく塗装が脆くならなくて、熱加えようがアルコール振りかけようが全然ビクともしないんですよね。あれこれ薬品使って、メッキが痛んでもダメですし、想像以上にペリペリ剥がすのに苦労しました。全部塗装を落として、ピカールで軽く磨いて上の感じです。母材がチタンですし、日本製であればメッキの下処理も綺麗なはずなので、やはりベースは全然ダメになっておらず綺麗でした。
鼻パッドとか、先セルとかネジとか、汎用品だと都合がなおのこと良くて新品同様に戻せます。元々はリムのデミブラウンに合わせて先セルもデミブラウンだったんですけど、今回はフロントのシンプルさに合わせて先セルもクリアにしてみました。
ちなみに、切羽詰まるとあれこれ試行錯誤するようになりまして、最終的にはメッキを傷めず高速でガリガリ削ぎ落とす道具としてテレカが適していることに気づけました。メッキの質や状態にも依ると思いますが、今回は小傷も付いていないくらいガリガリ削ぎ落としていまして、一応ピカールで肌理を整えましたという感じです。
22.11.15
鼻盛りの完成です。
これが、昨日の段階です。本当は4・5時間で固まるはずですが、念のため一晩寝かせて固まってから磨きます。今回は幅をさらに狭めたかったので、内側ギリに設置しています。その関係上、透明がはみ出しています。このアングルから覗かれることもないので、このまま磨いても良いのですが、物としてはあと一息欲しいところなので、はみ出した透明を削ってから磨きます。
無事に仕上がりました。良い感じに出来たので、今日もドクター・キャピタルを1つ見て気分よく眠れそうです。
22.11.14
近所で新築を建てている人がいるんですけど、毎週か隔週末くらいな感じで現場を見に来ていて、そうだよなぁ家となると不安だよなぁと思っていました。
今回、一回ほかで鼻盛りしたけどあれこれということで、鼻盛りのご依頼を頂きました。ここに載せずにスッと終わらせようかなと思っていましたけど、その新築のひとが頭に浮かんで、透明性だなぁとか開示だなぁとか思っていたタイミングなので、載せます。
とりあえずあたらしい鼻パッドを乗せたところです。もう一回、水平面を作って乗せます。乗せるときに、どこかを基準点にする場合もあるんですけど、この場合だと画像からも何となく分かるように、キーホールをキーホール然とさせるキュッとしてパッとする部分と(すみません言語化しにくいです)そこにパッドの先を揃えたくなります。それでオッケーな場合もあるんですけど、今回は違いました。
上の写真は、フロントの顔側から写した写真です。本物のキーホールブリッジの為、表から裏にかけて末広がりな削りが施してあり、鼻がキツイということを緩和しようとしています。日本人では鼻がキツイということは起こりにくいんですけど、海外のフレームなのでちゃんとスムースな処理がしてあります。
そこで、もう一度上の写真をみます。キーホールの左右のアーチとかそのキュッとしてパッとする部分を観察しますと、左右の高さが違うことがわかります。多分1ミリくらいなんですけど、キュッとしてパッの部分も細かく削りが施してあります。よく観察しますと、左右差もあって、なおかつキュッの先端付近は曖昧ということで、ここをパッド取り付けの基準点とするのは、基準たる安定性を満たしていないです。擁護するわけでは無いんですけど、ここで左右のパッドがズレたんだと思います。
ちなみに表からみると、キーホールのキュッとしてパッとする部分は左右対称です。つまり、裏側にかけて末広がりに削って鼻への当たりをマイルドにするという作業で裏面に左右差が出来ています。この辺の話は長くなるのでまたいつかにしますが、「こんな感じになるようにこんな風で…」みたいな指示があると思うんですけど、人に依存すること(こんな感じのこんなの部分の解釈のズレ、技量)とか、素材もアセテートかセルロイドか柔らかくて削れやすくて、切削や磨く作業を重ねるとズレやすい場合、数値化できないことは指示書に載せられないこともあると思います。そこは工業製品としてどうすべきかと葛藤を生み出しやすい部分でもありつつ、なんだかんだメガネは他のプロダクトよりもエイっとやってしまうことも多くて、これはエイっと調子をとることが多めなプロダクトかもしれません。それは全体にも波及するので、今回は鼻の部分、キーホールブリッジを端緒に大らかな雰囲気が垣間見えました。実際そういうフレームは、今回はお客さんがフレームを出して頂いたときに一瞬でも「ヴィンテージかな」とか頭の中でよぎります。全体が優しいんですよね。
明日からは、はみ出した透明な部分を削り落として磨きます。
22.10.07
トップ画像は、あれこれ調子をとって、眉パーツが完全にレンズと干渉しないようにした後です。セルはどうしても経年変化で縮みます。今回は、穴を埋めてからあけなおしました。それでも穴が半個分ズレています。
調子をとった後に半個分のズレということで、穴あけの前に一箇所、プラスチックの厚みがある部分で削りを入れています。
ブローチネジが収まっている箇所を、削っています。はじめの画像で、元々穴の開いている箇所は、上下には余白があっても、左右にはあまり余白が無いです。なので、新たに穴を作り直すにしても、上下の移動だけにしたいということで、横の縮みに対しては別の箇所で調子を取っています。
横を合わせて、大体の穴の位置を決めてから、リムの裏側にくる眉パーツのはみ出しを削っています。黄色のラインに沿って削り、メタル枠に沿わせています。近視の強度ということで、きっちり処理しました。
リム側に、はみ出た部分を削る前です。案の定、メタル枠にきっちり入るレンズが眉毛パーツがあると全然きっちり入りません。耳側のセルが割れている中古品をよく見かけますが、多分干渉したまま枠入れを終えて、いつか脆くなって割れてしまうんだろうなと予想しています。ということで、あれやこれやの修正が入りました。
向かって左側が未処理で、向かって右側が修正済みです。どっか一点で調子を取りすぎると、眉毛の印象が変わるので、あれこれ分散させているというのも理由です。削る手前、どうしても華奢になってしまいますが如何でしょうか?一回り、なんだかスリムかな?くらいの違いに留められたのではないかと思っています。
このタイプのサーモントの枠入れは毎度不測の事態で悩んでいる気がします。右眉を穴埋め中で、もう少し作業は続きます。
22.09.14
ケーブルのへたりでした。以前、別のフレームでへたった部分をロウで固めて修理したこともありますが、修理あとがどうしても目立つのと、巻き直しより強度が劣ります。ロウで固めるので、弾力性が無くなってしまうんですよね。なので今回は、巻き直しを依頼しました。
中が折れてプラプラしています。
ケーブルの巻き直しは、中々お値段の掛かる行為です。物と修理のイメージと相談になりまして、勘案してとりあえずロー付けで済ますというのも、もちろんあり得ます。今回のメガネは20〜30年前に村田眼鏡舗(日本橋)で購入された物ということで、気合い入れた修理方法をとりました。ケーブルは金属が細いのでへたりもしょうがないですけど、さすがの無垢物でほかの各パーツは全くもってダメになっておらず、まだまだガシガシ使えそうです。
今回、巻き直しを依頼する際に、ちなみにもともとの製造って…みたいなことを聞きました。なるへそこれがそれねとなりました。こんな店ですけど、是非繋げる一助はしたいと思っています。
22.09.14
なんかアレですね、鼻盛りムーブメントがメガネ業界にありそうですね。フィッティング不良=鼻盛りで解決と、決めつけすぎな気がします。何だかんだオリジナル性は保存すべきですし、その上で必要であれば最低限の変更を加えるということで、フロントへのアプローチとして鼻盛りはあるんでしょうけど…。他所で鼻盛りしているけど当店で再フィッティングというときに、この鼻盛り要らなかったですね実は、、、みたいなケースが8月は4件くらい重なりました。鼻盛りのせいで、メガネが上ずってしまい、掛けたときに瞳が真ん中より下にある場合もありました。メガネが上にかかりすぎているということです。でも結局、根本が解決できていないのでメガネは徐々に下がるみたいな。確かにブルバキでの鼻盛りだけのオーダーは減ったので、色んな店で実施するようになったことは良いんでしょうけど。今の状況ですと、提案されても一回保留も良いかもですね。基本は新品やヴィンテージに関わらず、改造は避けたいですよね。
と、前置きした上で鼻盛りのせます。必要だったケースとしてです。クロムハーツのメガネでした。クロムハーツのメガネは、取扱店は画像掲載がダメみたいです。ブルバキは取扱店ではありませんが、ブランドや取扱店の意向を尊重し、重要な箇所だけ載せます。各所から怒られた訳では無いんですけどね。
このフレームですけど、テンプル内側に寄せがあるんです。この寄せの顔に近い部分が、条件次第で目尻やこめかみ付近に当たります。当たると顔を押すので、メガネは前にぴゅっと出ます。
鼻の前に、まず側頭幅です。腕の開きを最適にし(今回は開く)メガネを押し出す力が無い状態で安定して顔に乗るか?をみます。安定していなければ鼻盛りです。
上の写真はレンズの入れ替えをしてあります。始めのレンズよりもフラットな物を採用して、フロントからある程度開きを増やしています。レンズ加工の段階でフィッティングに向けて狙えると最高です。かなり綺麗にいけます。たまたま入れ替えレンズが近視系の度付きだったので助かりました。スタートが150ミリくらいで、165ミリまで腕と腕の距離が開きました。それでも微妙に寄せの部分(テンプルの茶色の部分)が目尻にかすりそうです。
もしここまでで、前方にメガネを押し出すような要素が無ければ美観的にも光学的にも、そして物理量のモーメントが減るということでフィッティング的にも鼻盛りが無しでいけるということになります。むしろ鼻盛りが無い方が上記3つの観点から望ましいとさえ言えます。今回は側頭幅を広めに調節しても尚、押し出す力がもしかするとゼロに出来なさそうであることを加味し、フロントと顔の距離が少し多めに開いた状態でメガネが掛かるようにするため、鼻盛りをしております。ですので、鼻幅があってない訳では無い為、取り付け位置を変えて鼻幅を縮めずに高さだけ出るように配置しております。それがトップ画像です。いつもそうしていますけど、クリアフレームなので特に綺麗に処理することに気をつけました。
蝶番がトルクスネジで、相当な締め上げだったので慎重にネジを緩ませたところ、ネジが抜けませんでした。ネジ頭が浮くだけでした。樹脂コーティングのしてある、緩みどめのトルクスネジなのかもしれません。フロントとテンプルを離すにはこのネジを蝶番から引っこ抜く必要がありますが、無理やり引っこ抜くと蝶番の中に樹脂が残ってしまい、折角の緩みどめ機能を失ってしまいます。まだトルクスネジもトルクスネジの樹脂ネジも、一般供給がありません。ということで今回は、テンプルを外さずに鼻盛りしております。傷つけてはいけない装飾だらけなので、緊張しました。
サングラス用だからとか、ファッションのメガネだからとかは関係なく、掛け心地は結構なんとか出来るもんです。さすがに、この辺りの金額の物が使えないと悲しいのもう一つ上の感情が発露しそうです。自分の所のメガネがどうのこうのは置いておいて、まずは業界としてメガネの優先順位を高めに考えて頂きありがとうを年々強く思うようになりまして、この度も総力戦で挑みました。