カテゴリー:修理とメンテ

ようやく現物見れました
修理とメンテ

21.07.27

AOのライセンスの銀無垢です。存在はだいぶ前から把握しておりましたが、ようやく持ち込みがあり、現物を拝見することが出来ました。丸の42ミリです。

白さとくすみの無さから、おそらくロジウムメッキがしてあると思います。

やはりメーカーは違えど、銀という素材の柔らかさを気にかけながらフレームの製作をしていたようです。全体的に線は太く、ブリッジは2ミリ超えています。

リム周り、腕にプレスで模様が入っています。

ネジはステンレスです。ネジ周りはステンレスでは無く、銀にそのままネジのタップが切ってあります。

抱きの鼻パッドです。厚みがあってカッコいいです。

おそらく10年くらい前だと推測していますが、いつの商品なのかは不明です。持ち込みも始めてでしたし、流通量が少なかったのかもしれません。

先セルの無いままお持ち込みでした。ややムリ言って、いつもの銀無垢等を作ってもらっているメーカーさんに、ケーブルテンプルに改造してもらいました。

ピタッと収めるために
修理とメンテ

21.06.16

お持ち込みでした。超カッコいいですね。ミッドセンチュリーのカッコいい家具みたいな雰囲気出ています。

横のリベットも、カッコいいの付いています。

何だかんだ私もガラス信者だったりしますから、これに先日紹介したガラス1.52の単層コートのレンズをはめていきます。

今回のブツは、2つ難しかった点があります。一つ目は、察するにこれくらいの精度だったのかなと、古い物だからしょうがないかなという感じですが、スタートからリムのネジが潰れていました。

傷も全く無く、メッキが剥がれていないのでおそらく初めからこんな感じだったのかなと。このフレームに限らず、何度か同じようなネジで同じような溝の処理が甘いネジを見かけたことがあります。グッと押し込んで回すと、頭が飛ぶことがあるので、出来るだけオリジナルパーツを残すためにも超音波洗浄かけたり温めたりしてゆっくりと回していきます。

もう一つは毎度おなじみの、眉パーツがリムに被さってしまっている点です。度数が低ければ問題なしですが、度数が高ければ眉パーツと干渉してしまいます。

今回は遠視系の方で凸レンズ(真ん中が一番厚く、縁が薄いレンズ)でしたが、実際に加工機から上がってきたレンズを見ますと、それなりな縁厚です。よって、干渉してしまいました。

右側の眉がパシッとハマった状態と比較しますと歴然です。左側の鼻付近、パーツが3ミリほど浮いています。これくらいの干渉となると、レンズ周囲の面取りを増やしても干渉を回避できそうにありません。そこで眉パーツをリムのラインにはみ出さず合うように削り、全てがキッチリカッチリ収まるように調整します。この作業がひたすらに長いです。全部が上手くいくと、トップ画像みたいにピタッと決まります。

あまり何度も書くと根に持ち過ぎだろと思われてしまうのでアレなんですけど、サーモントの枠入れ時に眉を外す必要無いでしょと言われたことがありました。確かに仰る通りで、はめるだけならそうです。

例えば今回の場合、眉を外さずに枠入れをしますと、レンズ上部はフレームの金属部分が保持するのではなく眉部分がレンズに接地して保持することになります。また、はめ込んだレンズがガタガタ動かないためにはコンマ何ミリのレベルでレンズが大きい必要があります。それにより内側から枠を圧迫する必要があります。今回のケースにおいて干渉がそのまま未処理の場合、上部の眉パーツを内側から圧迫することになります。眉パーツはプラスチックです。固定するためのネジ穴付近は余白も少なく、どう見ても脆弱そうです。中古のヴィンテージ眼鏡のサーモントを観察しますと、ネジ穴付近が割れてダメになった物が多いです。そこでその原因に対しての推測をして、眉パーツへの干渉を0にした状態に持っていこうと考えて、いつもパーツを外して枠入れをしています。それだけです。

あと眉パーツを外す理由としましては、めちゃくちゃどうでも良いことですが、アメリカのサーモントの試行錯誤が垣間見えるところが面白いです。どういう構造が優れているのか、色々試した形跡があります。特に今回のボシュロムは、耳側が一味違った眉パーツの固定方法でした。おかげさまで、わたしは初めて遭遇出来ました。まさかのスライド式です。

もう、そういう時代でしょ
修理とメンテ

21.06.13

もう引き渡して、手元に無いので書いておこうかなと。金無垢のフルリムの持ち込みでした。使えるかどうかはネジ次第ですし、開かなければネジ抜けばいいです。とりあえずは、食べ物とかと違って腐るものでは無いので、そして錆びるものでもないので、なんとかなります。汎用の金無垢のネジもそれなりにすぐに取り寄せ可能です。

芯金が金無垢のタイプです。上が持ち込み時で、下が磨き後です。金の値段がアレなんで、何だかんだ新品で買い換えるとどえりゃあ値段になりますから、磨いて再利用です。

計りも食品用ですし、鼻パッドのプラスチック部分が入っているので参考値ではありますが、グラムにするとこんなもんです。経験上、20グラム越えると凄いなと思います。現行物だと、同じような形でナイロールにする場合が多いのではないでしょうか。それで大体17グラム付近だった記憶があります。

20年くらい前に買ったというので、ちなみにで購入価格を教えて頂けましたが、なんかほんといい時代があったなあって思ってしまいました。定価なのかセール価格なのかは不明ですが、フルリムで20万円しなかったですって。もうその値に戻りそうに無いですから、悔しがってもしょうがないんですけど。田中貴金属で調べてみても、例えば2000年は平均1,014円/gですから、定価だったのかもです。

外務省のホームページ、キッズ外務省コーナーの世界いろいろ雑学ランキングに、ちゃんと金の年間産出量のランキングもあります。それを見ると、1位の中国が380トンです。グラムにすると380,000,000gです。これだと全然想像出来ないので、金の比重を19.3g/㎤として体積に変換します。これはただ電卓叩くだけなので、19,689,119㎤と出てきます。値が大きすぎるので、19.7㎥とすると何となくイメージが湧くかもです。それをさらに、記号がキーボードに無いのでややこしい書き方しますが、(x)^3=19.7となるようなxを求めますと((19.7)^(1/3)とグーグル電卓に入力です)、およそx=2.7と求められます。つまり、一辺が2.7メートルのサイコロくらいしか採れないということです。同じようにして、世界の年間採掘量が大体3,000トンらしいので計算していきますと155㎥となりまして、それでも大体一辺が5.4メートルのサイコロ程度の大きさしか無いですから、確かに少ないなと感じられます。

察するに、SDGsの流れもありまして1トンの岩石から数g〜程度しか採れない金ってどうなの的な見方もあるんでしょうけど、人間が頑張ってこれだけの量かって思いますと個人的にはやっぱり魅力的です。

ナイロンへの取り付け
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21.06.09

出戻り。ちょっと前に載せた、アメリカの囚人用メガネです。老眼用で、鼻の造りがやっぱり常用をしようとするとダメみたいで、戻ってきました。鼻パッド(メタル足)の取り付けをしました。

実際に、ナイロンのフレームに足を埋め込むのは初めてです。素材としては粘り気があるのか、ヤスリの荒い番手では全然削れていく手応えが無く、細かい番手では薄っすら削れているかな?という反応です。とにかく埋め込む土台となる平面を用意するのに苦労しました。

基本、ナイロン系の素材はバフ磨き出来ないですから、ここからは力技的なやや無理やりな解決をとります。バフの種類とか粉とか回転数とか、あれこれ試行錯誤してなんとかこのレベルまで持っていけました。

蝶番の削りも、ヤスリで削れて開いていかないので大変でした。電動カッターで溶かしつつ削ぎ落とす感じで開きを増やしています。

ここまで整えれば、問題なく装用出来そうです。

さすがにもったいない
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21.05.21

この前の引き上げ品の中に、未修理品が1本ありました。あずかって、修理できずに店でほかることになったのか、見積もり伝えて高いからそれなら要らねと、店で廃棄しといてになったのかは分からないですけど、そういうものが含まれていることは多々あります。

それで今回、一瞬のためらいの後、修理して中古の特価品にしようと決めたのは、それがゴルチエだったんですよね。壊れ方も、バキッと変なところで折れたとかではなく、ただのパーツ同士のロー離れです。

最近は人気も落ち着いてきたように思いますが、一つの地位を築いたので値段がそこまで下がらないです。そもそも各パーツの型代等を考えますと、もう一回今の時代に復活させるのは難しいなあと思いますし、それらを言い訳にして再生させてみました。トップの写真は修理後です。

遠目は分からないくらい綺麗にレーザー溶接されています。部分塗装もしております。

裏は、やや変色も含めて修理跡が残ります。

上からはこんな感じです。次に壊れていなかった左テンプルの様子も載せておきます。

ここまでは工場で直してもらい、ここからは店内での作業です。


すでに鼻盛りしてありますが、張り付けタイプでやや見た目が美しく無いので取り替えです。

ベースごと削り落として、新しく載せ替えました。

あとは、先セルが緑青の付着で汚れているので取り替えしました。残念ながら黄色が無いので、明るいオレンジ色にしてみました。

これで、肌に触れる部分は新品になりましたし、全体の見栄えも綺麗に復活したと思います。金属の腐食が無ければ、ある程度綺麗に戻せます。

よく観察しますと、細かいメッキの剥がれもありましたが、風合いが変わりすぎるのを懸念し、今回はそのままです。時計で言うリダンすべきかどうか、あれに近い感覚だと思います。私の場合は半々で、今回は再メッキしませんでした。

進行中
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21.05.17

とりあえず、本番が届く前にCRで習作です。お持ち込みで、ALGHAのリムウェイでした。

変更後の輪郭がわかりやすい用に、うっすいピンクレンズにしました。元が、それこそめっちゃ垂れ目感のあるティアドロップの54サイズです。今回はヘキサゴナル(レイバンでこんな感じでこの玉型を表現したはず)にしました。30年代のフレームでもよくやる玉型ですし。カッコいいですよね。

一応「50 RIMWAY」と表記されているので、ピンクの習作も一旦50ミリにして作っています。

ちなみにこのピンク、予想以上に良いですね。アリアーテでは無いです。

試行錯誤
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21.04.20

木のケースの続き。

特に塗装も何もしていない山桜のケースです。再掲します。

これが初期値です。削りたてなので、表面がカサついています。使っていくごとにしっとり感が出ますけど、ヴィンテージとかアンティークとかの風合いに慣れ親しんでいますと、ここからの距離が遠すぎて本当に味がでるのかイメージが湧きにくいのも確かです。

ということで、ドーピングしてみます。これに塗り込んでいきます。

店の水屋箪笥は、ワトコとかブライワックスとかいう、オイル系でしっとり感と色の調子を整えました。今回もそうしよかなと思っていましたが、ちょっと足される風合いがファット過ぎる気がしまして、あれこれ探しまして、今回は蜜蝋にしてみました。

これを使ってみました。革のラナパーはしょっちゅう使うのですが、アマゾンを徘徊して木工用なる物を見つけました。

見た目も綺麗です。見た目通りのサラッと感があります。

塗ってすぐがこんな感じです。

一回の使用量はこんな感じです。もっと少なくても良かったかもです。よく伸びます。

乾拭きして比較です。気に入ったので、実はもう一個ケースを仕入れしてから塗っています。比較も出来ますしね。

つい、重くて大っきい方が高いみたいな感覚を覚えてしまいがちですが、私なんかは往々にしてそうなんですけど、このケースには塗りの汁椀みたいな美意識が組み込まれていて、その逆を良しとしています。中のくり抜きが多めで軽いです。ギリギリまで攻めている気がします。

中のスペースが広いお陰で、割とゴツいメガネも収納できるところもミソですね。最後は車の宣伝文句みたいになってしまいました。

鼻盛り例
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21.04.09

久々にのせます。

タートのアーネルです。相変わらず多いですね。むしろ年々お持ち込みが増えている気がします。

特にこのタイプは、真ん中の抜けが大事なので極力小さめのパーツで、でも最大限寄せて上げることを目指します。あとは、たくさん磨いて滑らかな面をたくさん作って、フレームの持ち味を崩さないことは注意しています。

これもそうですが、鼻幅26ミリをある程度何とかするという依頼が増えています。想像するに、激戦区の鼻幅22・24ミリ辺りはすごいんでしょうね。

教えて下さりありがとうございます
修理とメンテ

21.03.29

耐磁ピンセット最高でした。ノミネジのときに威力抜群です。つかみ放題です。

テクニシャンも同様みたいです
修理とメンテ

21.03.29

いまの状況を鑑みますと、DITAのマックスピティオンの復刻は早かったですね。今になって欲しいなという方も多いでしょうね。あれこれ似たような物も出てきているしで、復刻の中でも復刻の元祖つまりは準本物みたいな感じになってます。

磨き後
磨き前
磨き後
磨き前(撮る方向間違えました)
磨き後
磨き前

とにかく、面を意識してそこが崩れないように気をつけて磨いています。中古のお持ち込みでした。この辺も、無くなるとすごい値段になるんですね。頑張って綺麗にして、デッドストックに負けないように仕上げてみました。

元のイメージを保持しつつ、程よく鼻幅が縮まっています。テンプルが細くて曲げ点をちゃんと決めることが可能です。ヘビーなフロントでもフィッティングがしっかり実現できるところが眼鏡としてのポイント高しです。

今回の中古は、残念ながらテンプルだけヒビが若干残っています。フィッティングで完全に亀裂が入るのかどうかは不明です。フィッティングをして、亀裂が入り切らないのであれば、ヤスリでヒビの部分を落としてツルピンにすることも可能です。

ちなみに、politicianは英語の綴りでフランス語綴りはpoliticienでした。政治家がフランス語でポリティシャンじゃなかったら危ないところでした。

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