カテゴリー:修理とメンテ

枠替え
修理とメンテ

19.12.27

黒から茶色へ、レンズを移植です。界隈では枠替えというやつです。

この黒の方も、もとはこちらで入れたガラスのフラットです。サイズ感とコバの処理は怠っていないので、割と外すのは簡単です。ガラスだから割らないと外れないとかは無いです。むしろ、今回はそもそもノンコートでしたが、コーティングごとヒーターに掛けられます。それのおかげでリムの温まり方が均一で、するんと外しやすい気もします。

枠替えは、物理的にレンズが大きい方から小さい方への入れ替えが可能です。可能なんですけど、レンズの大きさ、鼻幅、天地幅、それぞれの条件が異なりますから、光学中心がドンピシャにその人に合うかどうかは、移し替え先に依ります。

今回は、44□22から、42□24に入れ替えです。つまり、fpd66で同一かつ、レンズ幅が2ミリ小さいのに対してブリッジが2ミリ長いというのがミソで、光学中心もそのままの配置でいけました。

光学中心がズレちゃう場合も、どの方向にどれだけズレるか、元の度数はいくつか?とか色々考えるんですけど、若い人は、それなりにいけるでしょうね。

入れ替え前のはじめ。茶色の方は、テンプルが二段階の曲げになっています。曲げ点が不鮮明で時間経過とともに下がりやすいです。その場合の耳の痛さは、上部付け根がヒリヒリ痛い感じです。ですから、トップの画像では、一旦真っ直ぐ気味に戻して、これからのフィッティングに備えています。

なんとか形には出来ました
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19.12.10

テンプルの磨きも終わりました。パッと見た予想以上に、クラックは深く、広範囲に及んでいましたね。取り敢えず、思い切って全体を棒ヤスリで慣らしてから、ツヤを出す為の磨きに取りかかりました。

大分やせ細ってしまいました。金具と合わせると、段差が出来てしまいます。さらに、シューティングの芯が、薄っすら見える箇所もあります。今回の救済で最後でしょうね。もう、削る余白は残ってなさそうです。

あれこれやってみて、バフに負けてすぐ生地が溶けるとかはありませんでした。水につけるとネチョネチョするとか。中身は丈夫でした。あと5年くらいいけそうですね。

そういえばの話
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19.12.08

空き時間でぼちぼち作業中です。大体10年くらい使ったメガネのレストアです。

表面の白化なら序の口なんですけど、細かいひび割れが全面にありまして、そうとう時間をくってます。冒頭の写真は、とりあえずフロントだけ終わりましたの画像報告です。

ここからが、そういえばの話なんですけど、多分メガネだけじゃ無いかな、職人物が使い捨てなの。職人物がすぐ、フルモデルチェンジしちゃうの。今回、それは構造からも言えて、セルを固定する部分がネジでは無くて、はめ殺しでした。取り外し不可で、例えば黒のセル部分だけを取り換えるという思想がフレームに宿っていないことを意味します。それでめちゃくちゃ時間かかりました。でも、それで磨けないというのも癪なので、何とかしました。

もともと、メタルの部分はシャーリング加工がしてあったんですけど、セルを磨く時に一緒にツルっとしちゃいました。やろうと思えば、ここから番手の高いヤスリで表面をなぞると、ある程度マットな質感が戻るはずです。セルのところどころに、バフが入りきらずに完璧にピカピカに出来なかった箇所があります。その為、ややムラがあるので、メタル部分はピカピカで清潔感あっても良いのかなと思って、磨いたままにしています。

今週で、テンプルを磨ききる予定です。

鼻盛り
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19.12.08

エフェクターの鼻盛り。触ってみて、改めて随所に気の利いた意匠が施されたフレームだなと感じました。フィッティングがめちゃくちゃ難しいんですけど、手を加えれば、しっかりと下がらず掛けられます。

鼻側の溝に汚れが溜まっているなと思っていたのが、実際は溝セルでした。つまり、サイズが緩くてレンズがガタついたので、専用の両面テープで埋める処置がされていたということです。

個人的には溝セルは極力回避したい派です。なぜ耳側では無くて、両眼とも目立つ鼻側にテープを貼ったのか分かりかねますが、除去しました。写真は鼻盛り後、テープ除去後です。

ちなみに、レンズがガタつくということは、おそらくレンズサイズを-0.10ミリ程度小さくし過ぎたという話なんですけど、それくらいならフレームを縮めれば済みます。

再メッキ
修理とメンテ

19.11.11

カザール、再メッキです。マットブラックの、ハンドペイント部分の剥離が目立つとのことで、綺麗に直しました。

工程としましては、一旦全て剥がして再メッキをし、その後マットブラックでペイントです。ここまで復活するとは思っていなかったです。とても良いです。

テンプルは、ロゴがあるので何も行いませんでした。メッキの金の色味に差が生じてしまいましたが、かなり近い色でメッキをして頂いたおかげで、ほとんどその差は分からないと思います。

宿敵、レッドドットちゃん
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19.11.04

お客さんに、レッドドットちゃんの抜き方を教えてもらいました。ホントだ!感激。ついにバラせましたね。当時の広告から、抜けることは掴めていましたが、それに適した道具が見つかりました。

こうなれば無抵抗ですから、隅の隅までスベスベのトロトロにしてやろうという気概が生まれます。

ちなみに、レッドドットちゃんと個人的に呼んでいるのは、当時のAOのレッドドットの広告に、レッドドットネジに顔がついたキャラが描かれているからです。手足が短くてめちゃカワイイです。50年代後半から60年代をまたがって、新機構として広告で紹介されています。

修正前と後
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19.09.29

同じデッドストックなんですけど、上の黒が綺麗にする前、下が綺麗にした後です。インスタの黒は、上のを直した後に載せました。

主には在庫のスレと、型直しが基本です。この手のナイロールは左右の傾斜がズレている可能性もあるので、そこもチェックします。

すごく優美で良かったです。おそらく、以前のニョロニョロが女性向けで、こっちは男性向けだと思います。レンズもカチッとしていますし、こっちはテンプルが145ミリなので。

修理
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19.09.21

この数日は、これに掛り切りでした。破損なく終わり、良かったです。

ローデンのアーノルドです。リチャードがやたら有名になりましたが、アーノルドも捨て難いです。やや柔らかい印象です。

当時使っていて、また使いたいというご要望でした。直す側としましては、一番やりがいのある状況です。

この変色は、時間をかければいいだけなので、序の口です。ロゴの「ARNOLD」もなんとか残りましたが、それよりも「csc」のマークが残ったことがミソです。正規代理店の中央産業の証なので。由緒正しいってことです。

難しかったのは、眉でした。右眉のみ縮みが著しく、片方のネジ穴同士を合わせると、片方のネジ穴は全く重ならない程縮んでいます。ネジ径が1.4ミリなので、それくらいの縮みです。

かつて無いほど削りました。穴二つの拡張と、それだけでは足りないので、リム留めネジが収まる部分をギリギリまで薄く広げて、何とかネジと眉パーツが干渉しないところまで持っていくことが出来ました。

写真だとちっさくて分かりにくいですが、鼻側二箇所のネジ穴には、段附ワッシャーを挟むことで引っ張りに対処しています。耳側は、引っ張る方向に力を加えた場合、金具が残っているため強度を保ったままです。では、上から眉パーツを押し込んだときにはどうかと申しますと、そもそもリムと眉パーツがピッタリと沿っているため、押し込む方向に力を加えてもパーツは動きません。ややネジ穴付近の隙間が気になるところですが、とりあえずは安心です。

修理完成後、レンズ入れる前の左右の写真です。眉パーツからのリム留めネジのはみ出し方の差が、眉パーツの縮みの差ということです。

メタル部分、金の剥がれがありませんでしたから、結果として物凄く綺麗になりました。

セル磨き
修理とメンテ

19.09.17

下北沢での依頼分です。いつもは店頭のみ受付可にしています。出張販売時でも、修理可否が判断出来れば、今後も承けたりうけなかったり…どうしようかなという感じです。

使用感はややありですが、概ね良好です。ただし、リムが弛んでいますから、nosでは無さそうです。ガラスレンズを外すときに、グイッとやっちゃったパターンかと。

ということで、折角ブルバキに任せて頂いた以上、ただ磨くだけではつまらないので、これは消しておきたいところです。

こういうときは、勢いで棒ヤスリでグイッと、こちらもやり返しちゃいます。紙ヤスリでは埒があきませんから、棒ヤスリで水平面を拵えるのです。

あとは、いつも通り耐水ペーパーで水研ぎです。

仕上がりはこんな感じです。

青春
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19.08.27

一般的な意味での青春は無かったです。そういう面においては、茶秋か灰冬って感じでした。

大学生の時に服を気にしだしたわけですが、その服の青春時代に、私もかけていましたね。これじゃなくてディストーションの方を。

側頭を目一杯開きました。おそらく、それをしないと太くて弛まないテンプルによって、メガネが押し出されてしまうので。販売する方は、難しくて堪らんですね。昔も今も、どうしてるんでしょう。そういえば、バイトの皿洗い中によくメガネが流しに落ちかかったなと。今思えば、多分側頭に触れまくってましたね。

問答無用で蝶番にヤスリを入れております。レンズが大きいので、初期値で側頭幅150ミリは稼げていますが、もう少し欲しいところ。

アメリカのデザインと当時思っていましたが、宣伝文句もそんな感じでしたし、今になって思うのはめちゃくちゃイギリスやフランスのノリですね。サングラスに変更するというご依頼で、濃いめのスモークかつシルバーミラーのレンズにしましたが、60年代のヨーロッパサングラス感が溢れ出まして、これこそ一番カッコいい掛け方かなと感じました。すごく良い、ちょっと見違えて感動。ブリッジの位置と太さ、レンズの形の野暮ったさがチャーミング感出してて良いです。

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