カテゴリー:修理とメンテ

日本製のおかげ
修理とメンテ

21.03.17

クロムハーツですね。日本製のおかげで、あれこれメンテがしやすいので助かります。

おそらく前のレンズの枠入れの段階で、結構引っ掻いていたようです。私の仕事と思われても嫌なので、普通のアセテートですし削ってラインを整えて、これから磨きます。

ゴツいパーツが付いています。ここが銀ですね。フロント側はステンレスのコマっぽいです。

テンプルにパタパタの症状があります。ネジを閉めても直らない場合は、無理しない方がよいです。プラスネジはナメやすいですから。ネジの緩みとは別に問題があります。

今回はヒンジにワッシャーが噛んでいまして、それか土台のどちらかの摩耗でした。これの交換も、日本製の日本の規格のパーツなので簡単です。助かります。

普通の段付きワッシャーです。厚みを0.1ミリから0.15ミリに変更しています。そうすることで、ネジが閉まりきる手応えを得られます。パタパタが解消されます。

あとは、最近のクロムハーツの眼鏡も、樹脂が巻きついたレッドネジが差してありました。緩みにくいネジです。そこで今回はついでにそれに差し替えています。

レンズが届いたら枠入れです。枠入れ前の準備の方が、作業時間としては長いかもです。

フランス物はこうやってこうです
修理とメンテ

21.03.17

70年代のフランスのです。今っぽい多角形です。そもそも今が、ヴィンテージの流れを汲んで多角形を出し始めたんですかね。今の多角形系の元ネタと言う方が良いかもです。まあ、どっちでも良いことですね。

金張りがどうのこうのとか、この時代のフランスのエスプリがどうのこうのは、おそらくネット上に数多散見しておるはずなので割愛です。

この年代のこの手のフレームあるあるです。今の日本のフレームの規格のような鼻パッドの角度・向きに合わせることが販売側に求められます。フィッティング前のスタートラインに立たせるのに苦労します。そうしないと、お客さんが楽に掛けられないので。

(パッド面を上に広い、逆ハの字に直した後です。たまに、今回のもでしたが、八の字になっているときがあります。どういう鼻が顔面に付いている想定なんだ??と、突っ込みたくなります。)

とりあえず、これくらいで顔に乗りはじめると思います。あとは本番のフィッティングで触ればよいです。

あと困るのは、大体テンプルが謎に短いです。現行の先セルで伸ばしてあげると、男の人は掛けられるようになると思います。

クリアのタイプもあります。今回は、ガラスのブラウンのレンズに合わせて、クリアブラウンの先セルを選択しました。変色が気になりにくいのがミソです。

ここに流れ着きました
修理とメンテ

21.03.17

タートのアンバーの44□22でした。お持ち込みだったんですけど、値段が値段なので、流石に緊張します。

プラス度数を所望で、非球面でも4カーブくらいです。リム曲げたくないなぁということで、レンズの切削でなんとかしました。ヤゲンのレイアウトを変えて、頑張って2カーブまで落としてはめ込んでいます。

リムが曲がってフロントが縮こまると、後のフィッティングが大変です。コマから削って側頭幅を稼ぐときに、削る量が増えるのでフロントは真っ直ぐでいて欲しいというのは、こちら側としてもあります。お客さんとしても、出来るだけあれこれ触りたくないでしょうしね。

早く着手出来て良かったです。初めのプラのデモレンズが、緩く入れてあるということだったんですけど、微妙に違うっぽかったので。リムとレンズの間を透かすと隙間が見えている為にそうっぽく見えましたが、実際はリムに対してレンズの形が合っていないだけでした。尚且つ片当たりしている状況は、点でリムを内側から押すので、不要な力が加わりやすいです。

左が当店で磨き後、右はお持ち込み時。右も傷の上から光沢が出ている感じはするので、ミニルーターで磨いているとは思います。どれくらい傷を消すかというのも難しい話ですが、ヴィンテージの生地の光沢は云々…を味わってみるには、まず真っさらが良いかなとは思っています。

卵甲
修理とメンテ

21.03.03

前もガラスレンズの枠入れで扱ったフレームです。今回は、お客さんが家で鼻パッドをいじいじしてパッド足を折ってしまったということでした。工場にてレーザー溶接出しています。早くて綺麗です。

よく分からないですけど確かに素人玄人抜きにしてピピッとタッチするくらいでメキッと嫌な音がして折れることもあります。とにかく、パッド足のお触りは難しいです。

今回、着目は別にありましてパッドいい感じじゃないですか?と、そこがメインです。ヴィンテージのフレームですけど、修理で風合いが崩れていないと思いました。どうでしょう。

1回目のお持ち込みの段階で、すでに箱のパッドに取り替え&フルメッキの修理済み品でした。それで今回の修理はそれをもう一回付け直すという、そのままではお客さんにとってはテンションの上がりきらない修理です。なので、ネジ類を全部マイナスに変えて、パッドもそれっぽいのに変えて元のセッティングに近づけておきました。これは擬似鼈甲である卵甲の擬似です。プラスチックパッドの卵甲カラーです。

箱のネジと、眉パーツの固定するネジが既存の修理でプラスに変更された状態で私のところに来ています。私も、物として維持が難しそうであれば積極的にタップ切ったりネジの長さを自前で整えたりしながら、現代の強いネジに変えてしまいがちです。ただし、何となくマイナスネジの方がカッコいいよねという感覚は同じく持っていますので、出来るだけまずマイナスで探し、無ければプラスで直しています。残念ながら、日本はやっぱりプラスネジの方が種類も長さも素材も豊富です。

眉の止めるネジ周りには、AOの場合シリコンのチューブみたいな物がささっています。そういえばツーポの段付きポリカワッシャーがピッタリでした。ちょっとゴツく出っ張りますけど、良さそうなのでこれからそう直します。

パーツメーカーの一般供給品の場合、抱きのパッド・はめ殺しのパッドの種類は少なくプラスチック部分の色味は透明1択です。今回の修理を見まして、それならいっそ箱パッドにしてチタンパッドの装着も良しですし、この卵甲カラーのプラスチックパッドの装着もいいなと思いました。

ただこの卵甲カラーはやや危険です。なにが危険かと申しますと、業界人の私ですら同じ業界の人に「パッド黄色くないっすか?」と言われたことがあります。ですから、汚くて古くて黄色いと思われてしまうこともあります。場所が変わると評価が一変する可能性はありますが、個人的には大好きですね。

初お持ち込み
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21.02.16

ギュパールのお持ち込み。電話でもフラットレンズ入れれますか的なお問い合わせ増えたんで、そろそろかなと思っていましたが何だかんだようやくです。

ガラスのフラット入れています。削りの粗なのかフラットのプラスチックを入れる際の加熱のし過ぎでたるくなったのか、今回のお持ち込みは初めからリム周りがふにゃっとなっていたので、その辺も修正をしています。

リムのぐるりは#600からスタートして整えています。それで、角を残した磨き云々が大事みたいな話のはずなので、フロント面の歪みもサッと取っています。なんて言えばいいのか表現に困りますが、xyzの軸を意識して磨いてこんな感じです。ここからバフをかけて艶を出し、パコッと枠入れするとトップの写真のようになります。

バッファロー
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21.02.01

問い合わせ自体はそこそこありますが、店頭受付のみなので実際の加工までとなりますと結構久しぶりですね。バッファローホーンです。

セルフレームの上位互換で買うとなかなか大変ですよ的なことを書いた気がしますが、やはり大変だと思います。確かIOFTでも、山羊かなんかの骨をテンプルに使ったフレームがナントカ部門の大賞をとっており、フレームがどうこう骨がどうこう動物の種類がどうこうではなくて、業界として細やかに救って掬っていくのかどうか、それが大事な気がしていましたが、旧態依然っぽいです。いろいろしょうがないにしても、値段が高いからという理由だけで、とにかく最高峰だからみたいな販売の仕方は何だかなと考えてしまいますね。

今回のフレームは、メガネルートではなくてアパレルルートの物でした。ブリオーニのバッファローホーンです。ブリオーニもメガネ作らせているんですね。今回の見所は、フロントのカーブにありまして、なんと6カーブという深さでした。初期レンズも6カーブです。顔面にピタッと張り付くようにサングラスが掛かるのがカッコいい感じです。

こういうところが値段に繋がるのでしょうけど、おそらく何度も不良を出して、振り絞って1本の眼鏡が出来ているはずです。バッファローホーンくらい硬くて、収縮性なくて、粘りもなくてとなりますと、このフロントのカーブを深く付ける際にも元の状態や毛細血管の入り方次第では割れていそうですし、メタルのバネ蝶番の取り付けでネジ穴切るときも亀裂が入ってダメになることもありそうですし、製作過程のあらゆる箇所で、コントロール出来ない破損リスクを抱えながら加工して出来ているはずです。最後は、いろんな汗と涙とパワーで乗り切っているのだと思います。

バッファローホーンで6カーブは初めてです。それが効いていて、凄くて強いペルソールみたいな雰囲気です。こういう粗野な天然素材は、エレガントな雰囲気に持っていったほうが良いですね。とにかくかっこいいのは確かです。

レンズを外しました。外す方が怖いです。どれくらいの溝の深さで、どんな感じの処理がしてあるレンズが入っているのか分からないので。なんとなくリムとレンズを摘んだときの感覚で探ります。今回はレンズがキツイのか、フレームが縮んでパツパツになったのか判明しかねますが、とにかくバッファローホーンで怖かったので、元レンズを駄目にしてレンズ毎加熱しています。そうすることでリム全体が均一に温まり、外す際のリム切れを防いでいます。写真では分かりませんが、左レンズに熱クラック入っています。やっぱりダメになりました。

ちなみにネットで調べたところ、某ファッション雑誌ではガラスのレンズと書いてありました。嘘ぴょんでプラスチックでした。

溝が深いのと、薬研ではないことから察するに、あまりレンズ替えを想定していないっぽいですね。正直、初期レンズが本当にパツパツだったので、私が上手く外せたのも運かもしれないですね。この深さは、後から見ると割とゾッとします。先にこれを見ていたら、はじめから割って外していました。

度付きの枠入れ完了するとこんな感じです。今回は、強めの近視の方で通常レンズだと2カーブほどの平らなレンズになってしまうので、ハイカーブレンズを使っています。あとは、元レンズと同様の裏面マルチコーティングで、白い反射をキラリとさせています。サングラスを度付きに変えると何か雰囲気が変わっちゃうんだよなといつも感じている方は、カーブとコーティングを変えると良いですよ。今回は、フレーム保護の観点と美観の維持という二つの観点から、ハイカーブレンズを選択しています。

一応2、3日置いておいて、リムの亀裂がないことを確認してお渡しです。

再メッキ例
修理とメンテ

21.01.24

白山眼鏡の古いのの持ち込みでした。元々は、925シルバーのような黄みがかった銀色でしたが、今回の再メッキによってこんな感じになりました。これは、色味としては「ホワイトゴールド」だそうです。銀色の再メッキは、真っ白な銀とorホワイトゴールドの2色しか無いです。ホワイトゴールドよりも、9Kのイエローゴールドに近いと思います。

レンズはマロンの10%です。

下がもとのレンズです。玉型変更もしています。玉型は、上のめっちゃ古いサンプラチナのフレームからトレースして、40ミリに変更して組んでいます。

先セルも交換しましたが、たまたま発注ミスで手元にあった先セルを使ってみました。これかっこいいですね。これからは積極採用します。

はむはむ
修理とメンテ

20.12.22

この前インスタに載せたコルベアですが、問い合わせ多かったですけど両方お持込です。ごめんなさい。

バリバリに金張りが剥がれていなければ、鼻パッドと先セル交換である程度綺麗に見えます。アレくらい綺麗になっていれば外出先で外しても、全然問題なしではないでしょうか。

本体は、インスタに載せてあります。今さらなんですけど、インスタ便利ですね。元々の先セルはこんな状態でした。それを黒に交換しました。合うのが黒しか無かったので。

消耗品に関しては、オリジナルパーツかどうかあまり気にしていません。感覚としましては、予備であればラッキー使っておこう!くらいです。ちなみにこの頃のローデンであれば、中央産業の正規輸入の場合はクリアのブルーグレーの先セルに“csc”が入っているパターンが多いです。今回持ち込まれた二本は、共にクリアなのか生成りだったのか分かりかねますが、刻印なしの物でした。並行輸入で一旦バラした際に変わったのか、洋モノの正統な先セルなのか不明です。そういう状況ですと、そもそもどれが本物かみたいな話もありますので、つまり清潔が一番という結論です。

はむはむを忘れていました。簡単に抜けるかなと甘くみていまして、接着剤も流しているのか、外すのに苦労しました。結局、ニッパーでベースを傷つけないようにはむはむ甘噛みして除去しました。そのはむはむです。

お渡し済み
修理とメンテ

20.12.15

この前の、外に出て依頼を承ったやつです。親戚の知り合いのなんやかんやの色々あって、つまりは私にとっては他人なんだけどなぁという心持ちで、特別に受けました。

お受けした理由は他にもありまして、それが上の写真の通りです。使っていたべっ甲のフレームをもう一度使いたいなぁという話でして、詳しく伺うと他所で断られたということでしたから、眼鏡界の近藤産興である私、ブルバキの出番となりました。貸さないけど、何でもやります精神です。

行く前は、散斑のオール甲かななんて思っていたら、まさかのフロントk18の腕が白甲だったので腰抜かしました。やっぱり、ちゃんと買える人が日本にはいるんだなと、こんなに持ち物の差はあれど私たちはみな同じ大地を踏みしめているんだなと、なんだかしみじみしましたね。それなりのお店で一旦診てもらい、枠入れ不可と言われたらしいですが、基本はただのナイロールフレームですから、使用済みのオール甲の枠入れよりレンズ交換の作業は楽です。

20年以上前でうん十万円、今だとどうですかね3桁かもしれませんね。それを一回きりの消耗品にしてはいかんなと、私で食い止めれて良かったなと思います。おそらく、似たようなケースで食い止まらないことも多いのでしょう。そこが時計と眼鏡を分けた差かなと感じました。

そういえば、無垢パッドのときに引き合いに出していた、芯金がk18のパッドとはコレです。これは見た目には殆ど関与しませんから、エチケットみたいな感じです。

原因不明
修理とメンテ

20.10.14

それなりにお店を続けてることが出来ておりまして、こういう機会もポツポツ出てきました。プラス度数(遠視系)の方の度数変更に伴う、再枠入れでした。弛緩してくると、潜伏していた遠視がグツグツ炙り出てきますからね。目が悪くなって度数がドンドン上がるのではなく、元々あったものが顕在化してきたという感じです。

始めは、懐かしい1.50のガラスのノンコートを入れていたんですけど、無くなりましたしプラスチックで。結局レンズの見た目も、材質の差よりもコーティングが主で、白い反射であれば、白い方がそれだけでクラシックでカッコ良くないですかね?ということで、昨今はめっきりガラスが減って、プラスチックが増えました。ガラスで推す場合は、いまはフラットのノンコートだけですね。

ヴィンテージ界隈で、正確に原因を把握しているのは皆無だと思っていますが、使用による劣化はやっぱり防ぎようがないです。スニーカーでいう加水分解的な、使ってもつかっていなくても劣化が進行する原因や決定打は、本当は何なんでしょうね。

やや臭いが出ているなと思って、全体をバフがけしながら診ていましたら、やっぱりありました。リベット周りのヘタれです。

この症状も、感覚としてはあるあるです。例えばデッドストックで購入して、ちょっと水につけて爪でしごくと、リベット周りがボソボソと日焼けしたあとの皮膚みたいに落ちるなんて、割とあります。

今回の物は、そこまで弱ってはいませんでした。ただ、バフに負けてしまいます。ピカッとならないです。水につけると、ボソボソ剥がれはしませんが、爪に僅かな引っ掛かりをおぼえます。

何となくですが、やっぱり圧が主な要因な気はしています。レンズとリムの関係もそうですし、今回の生地とリベットもそうです。あくまで予想です。しかもリベットに関しては、その仮定を採用しますと、緩ませようがないので仕方ないしか答えられないです。

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