問い合わせ自体はそこそこありますが、店頭受付のみなので実際の加工までとなりますと結構久しぶりですね。バッファローホーンです。
セルフレームの上位互換で買うとなかなか大変ですよ的なことを書いた気がしますが、やはり大変だと思います。確かIOFTでも、山羊かなんかの骨をテンプルに使ったフレームがナントカ部門の大賞をとっており、フレームがどうこう骨がどうこう動物の種類がどうこうではなくて、業界として細やかに救って掬っていくのかどうか、それが大事な気がしていましたが、旧態依然っぽいです。いろいろしょうがないにしても、値段が高いからという理由だけで、とにかく最高峰だからみたいな販売の仕方は何だかなと考えてしまいますね。
今回のフレームは、メガネルートではなくてアパレルルートの物でした。ブリオーニのバッファローホーンです。ブリオーニもメガネ作らせているんですね。今回の見所は、フロントのカーブにありまして、なんと6カーブという深さでした。初期レンズも6カーブです。顔面にピタッと張り付くようにサングラスが掛かるのがカッコいい感じです。
こういうところが値段に繋がるのでしょうけど、おそらく何度も不良を出して、振り絞って1本の眼鏡が出来ているはずです。バッファローホーンくらい硬くて、収縮性なくて、粘りもなくてとなりますと、このフロントのカーブを深く付ける際にも元の状態や毛細血管の入り方次第では割れていそうですし、メタルのバネ蝶番の取り付けでネジ穴切るときも亀裂が入ってダメになることもありそうですし、製作過程のあらゆる箇所で、コントロール出来ない破損リスクを抱えながら加工して出来ているはずです。最後は、いろんな汗と涙とパワーで乗り切っているのだと思います。
バッファローホーンで6カーブは初めてです。それが効いていて、凄くて強いペルソールみたいな雰囲気です。こういう粗野な天然素材は、エレガントな雰囲気に持っていったほうが良いですね。とにかくかっこいいのは確かです。
レンズを外しました。外す方が怖いです。どれくらいの溝の深さで、どんな感じの処理がしてあるレンズが入っているのか分からないので。なんとなくリムとレンズを摘んだときの感覚で探ります。今回はレンズがキツイのか、フレームが縮んでパツパツになったのか判明しかねますが、とにかくバッファローホーンで怖かったので、元レンズを駄目にしてレンズ毎加熱しています。そうすることでリム全体が均一に温まり、外す際のリム切れを防いでいます。写真では分かりませんが、左レンズに熱クラック入っています。やっぱりダメになりました。
ちなみにネットで調べたところ、某ファッション雑誌ではガラスのレンズと書いてありました。嘘ぴょんでプラスチックでした。
溝が深いのと、薬研ではないことから察するに、あまりレンズ替えを想定していないっぽいですね。正直、初期レンズが本当にパツパツだったので、私が上手く外せたのも運かもしれないですね。この深さは、後から見ると割とゾッとします。先にこれを見ていたら、はじめから割って外していました。
度付きの枠入れ完了するとこんな感じです。今回は、強めの近視の方で通常レンズだと2カーブほどの平らなレンズになってしまうので、ハイカーブレンズを使っています。あとは、元レンズと同様の裏面マルチコーティングで、白い反射をキラリとさせています。サングラスを度付きに変えると何か雰囲気が変わっちゃうんだよなといつも感じている方は、カーブとコーティングを変えると良いですよ。今回は、フレーム保護の観点と美観の維持という二つの観点から、ハイカーブレンズを選択しています。
一応2、3日置いておいて、リムの亀裂がないことを確認してお渡しです。