カテゴリー:修理とメンテ

気合その2
修理とメンテ

22.06.22

こっちになると、気合レベル8くらいです。ひたすら時間を掛けて磨くのみです。

捨てずにとっておくと、良いことあるかもですね。さすがにこの感じですと、バフだけでは光沢が見込めないのであの手この手です。

気合その1
修理とメンテ

22.06.22

フランスのヴィンテージのお持ち込み。もともと、フランス物は生地が固い印象でして、使用済みになりますと、も一つ固いですね。バッファローホーンの枠入れに近い感じでした。度無しから度付きに交換の依頼でした。

枠入れ前に磨きも行なっています。これくらいだと気合レベル2くらいです。

レッドドット関連
修理とメンテ

21.12.15

USSのお持ち込み。AOロゴでした。

そういえばですけど、AOはレッドドットという特殊な蝶番とネジを推していました。レッドドットは、1958年以降です。つまりベトナム戦争前です。緩みにくい、フロントとテンプルが離れて何処かにいかない新機構は、割とメンテが行き届きにくい戦地に向いてそうですけどね。メガネはとにかくコストを抑えてって感じだったんでしょうね。レッドドットでは無い、素朴なメガネです。

最後、前回ブログのモダンタイムズよりレッドドットネジを載せておきます。こうやって比較しますと、同一メーカーのほぼ同じ時期のセルですけど、処理の具合の差がよく分かりますね。

骨が見えている
修理とメンテ

21.12.15

修理でした。エクストリームな壊れ方をしていまして、ごっそり抜け落ちています。まずは工場で肉を盛ってもらい、磨き等の調子とりはこっちで行うことに。

骨が見えなくなりました。綺麗でいい感じに直っています。

磨きは店で。ブリッジとリムの下側をガリッとやっちまっていたので、まずは棒ヤスリで面を整えました。

あとは、サンドとバフで仕上げます。リベットもガリガリだったので、どれくらい傷を落とすのか迷いましたが、元の凹凸が判別できる程度にしました。3割くらいは傷が残っています。

AOのモダンタイムズでした。

強度数
修理とメンテ

21.10.03

クラウンガラスの事例として。

アーネルのお持ち込みです。クラウンガラスを入れるということだったんですけど、球面(s)と乱視(c)の合算で-8.00くらいで、cは-2.00以上です。そもそもレンズ作れるのか問題がありまして、そこから確認です。

フラットガラスの製作範囲外なら製作可能ということで、クリアのノンコートで作りました。製作範囲外なら製作可能という意味不明な日本語を書きましたが、業界あるあるでして、レンズの製作表に載っている範囲を超えて作れる場合がありまして、それを範囲外製作と呼びます。限界を超えるみたいな感じですね。どのレンズでも行える訳ではないので、要相談です。

今回のレイアウトはかなり理想的でして、pd≒fpd且つレンズ幅40ミリです。眼とフレームの条件としては、マックスに近いレベルで薄く仕上がる良いものです。そこで屈折率1.52・アッベ数59のレンズを入れてみて、組み上がった重さがどうなるでしょうか、というところが問題です。

右レンズ

ガラスでこの度数でもこんな感じかぁ、予想よりは軽いというのが取り敢えずの所感です。cの軸はともに180度でして、上下に合算の-8.00が来ます。それでこれなら大丈夫そうです。

右レンズの下側。縁厚で3.5ミリ程です。

やっぱりカッコいいですね。

仕上げみがき
修理とメンテ

21.09.27

この写真の状態にするまでに、2日くらいかかっています。傷の凹凸が激しいので、紙ヤスリ当てる前に、棒ヤスリで表面を整えつつ形と面を決めて、そこから紙ヤスリとバフ磨きです。

棒ヤスリとサンドでこんな感じになります。面が多いので難しかったですね。難しいんですけど時間はさほどかからずでして、次工程の紙ヤスリが毎度のこと時間がかかります。粗さで3段階に分けてひたすら紙ヤスリで擦ります。

#600
#1500

間の番手を撮り忘れました、1段階目と3段階目を載せました。粗でどれだけ綺麗にするかが、つるつる光沢面になるかならないかの分かれ道です。粗がしっかりしていれば、間の番手も仕上げも、満遍なくなぞることを意識すれば良いだけです。

トップの画像が、これです。バフも粉と布の硬さを変えて磨き分けます。バフのときに、ヤスリの丁寧さが出てきまして、バフだけで何とかしようとすると、生地表面が熱を帯びて緩くなり、バフの布目が残りがちです。生地を磨いて何十年みたいな方でしたら、バフ作業ををもっと細かく分けて接地圧や接地時間も粉の粗さや布の硬さごとに分けて、より短時間で綺麗にしていくと思いますが、眼鏡屋レベルの設備と腕では、無難に時間と努力で失敗しにくい方法で詰めていく方が良いと思いまして、今もこんな感じで綺麗にしています。

工場から戻ると
修理とメンテ

21.09.26

工場は、使える状態にまで戻してくれます。すごいです。

左右のテンプルの肉付けをしております。透明の樹脂しかないので、えぐれが多い左テンプルは、やや修理箇所が目立ちます。

あとは、フロント側のコマは結局ダメだったらしく、交換で再埋め込みしてもらっています。

ここから先が私の仕事になります。形にはなったので、あとはひたすら綺麗にするだけです。

ぎゃぁあー
修理とメンテ

21.09.26

年一回くらいあります。眼鏡が車に轢かれた案件です。

金具がグニャっといっちゃってて、まずそれを戻して畳みが正常になるようにするまでが一苦労でした。結構な破損に見えますが、レンズ周りが切れていなければ何とかなります。金具は使えなければ、再度埋め込みをしてもらえるので、これは直ります。

一旦、工場送りです。

すげー
修理とメンテ

21.09.13

特に何も書かなかったら、パッと見でフランスのヴィンテージかなーとか、そんな印象を持たれるでしょう。カッコいいですよね。

お持ち込みだったんですけどコレ、現行品です。バッファローホーンのオーダーメイドです。

見れば見るほど良い感じです。

こういう状況なので、オーダーメイドといいつつオンラインであれこれ条件を指定して作ったみたいでして、仮縫いみたいなのが無くていきなり完成品という感じらしいです。ということで私の出番です。

鼻パッドがロケット型で、目頭に刺さるみたいなのでそれを直しました。

ちなみにこれ、タイ製です。こういう状況ですしなかなか海越えられないので、いきなり完成品ってなってしまったみたいです。今まで見てきたヴィンテージの再現品の中で、一番再現性が高くて尚且つカッコ良かったです。ビビりました。

某トリニティ感があって良いです
修理とメンテ

21.08.17

枠替えのご依頼でした。

「この中から使えそうなものがあれば…」と、3本ほどフレームを持参していただき拝見したところ国産チタンフレームに混ざって、明らかに光沢が違うものが1本混ざっていまして、それがこのフレームでした。金無垢のナイロールです。腕の飾りが凝っていまして、K18YG・K18PG・K14WGでネジってあります。これがトップの画像の某トリニティ感な部分なんですけど、華やか過ぎずいい感じでした。玉型次第では、男の人でも違和感なくかけられて、エレガントな感じをちょい足しできる、良い装飾だなと思いました。

いまから20年〜30年前の金価格が落ち着いていた時代に、やはりそれなりに金無垢のフレームは売れていますね。出張するようになってお持ち込みの枠替え案件は、もう3本目かそこらです。それを、結局は3〜5年で使い捨てっぽく販売しちゃっている結果、眼鏡が10年かそれ以上漂流してしまい、眼鏡界最果てのブルバキに辿りついてしまっているわけですから、色々事情はあれどいかんなあという気がします。販売するときは、おそらく一生モノとか言っているでしょうしね。

これが、お持ち込み時の状態です。使用感はありますが、そもそも錆びる金属ではありませんから、基本は使えるという態度で臨むべきかなとは思います。もちろん腐らないですし。先セルはヒビ割れがあり、汎用品で交換です。パッドは今買うと高いですし、白化が進んでいないのでバフがけで対応します。

レンズ下端を吊る、ナイロン糸は交換です。特別な話でも無いんですけど、レンズ上端のガイドももちろん交換できます。何パターンかありますが、だいたい日本のは金属の溝に、ダルマ型のナイロンレールを噛ませています。これも念のため交換です。

完成が上二枚です。三枚目は、レールと糸を変えてレンズを嵌め込む前の段階です。皮脂を除去して、糸も時間が経つと黄ばみが出ますから、透明な新品に変えることで眼鏡全体の光沢を蘇らせます。

ちなみに。パッドのセルとナイロンレールが含まれていますが、大体の重量で14グラムです。やっぱりフルリムで20グラム前後、ナイロールで15グラム前後という感じです。これは、例えば金の使用量と上代の関係で、だいたいどんなフレームもこれくらいの金の使用量でこれくらいの値段で、金の眼鏡の世界は足並みが揃えている・揃ってしまっている、そんな風にも説明出来そうです。あとは、眼鏡の設計の観点からしますと、81年にチタンのフレームが誕生してから“良い眼鏡”の観点として軽さが登場し、尚且つ普及してくるわけです。「とにかく軽い眼鏡下さい」という要望は、結構あると思います。それか、なんでその眼鏡買ったの?という質問の答えに、「軽いから!」という返答がまず返ってくるとかですね。軽さは、今も眼鏡フレームにおける強烈な価値の一つです。

そうなりますと、貴金属の良さの観点のひとつ「重量がある」というところと反発し合います。どっちを重視したら良いのか?煩悶しつつ時代が流れて悪戦苦闘しているうちに、これくらいの重量なら違和感なく掛けられるだろうということで、先ほどの数値に様々な商品の重量が収束していったのかもしれませんね。重量バランスも大事なんですけど、そもそも総重量があり過ぎる場合には、顔面に乗せた時のバランスという議論は立ち込めることも無く、ただ不快で痛いということになります。ですから、一般的な金無垢の眼鏡がこの重量なので、それより重い眼鏡を作りましたというだけでは、即座に凄い!みたいにならないのが眼鏡における強い制約条件でして、時計やジュエリーと違って表現が多種多彩にモリモリ増えていかないのは、そういう難しさがあるからかもしれません。

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