サーモントの枠入れでした。amorのお持ち込み。
枠入れとなりますとなんともこれは大変で、リムの前面にも後面にも眉毛パーツが掛かっています。例えばフレームが出来立てホヤホヤで、眉パーツのセルがピンピンな当時なら目をつむってしまい、レンズとそれが干渉しようが御構い無しに枠入れをするということも考えられます。ただそれが製造から50年ほど経った現在となりますと、目を逸らすわけにはいきません。レンズと眉毛パーツが干渉し合えば、眉毛パーツ留めのネジ穴付近から亀裂が入りやすくなります。加工の理想像としましては、レンズと一切干渉させず、眉毛パーツの見た目通り、フレームに乗せるだけということになります。眉毛パーツは添えるだけです。
当時の精度なのか意識の問題なのか判然としませんが、とりあえず眉毛パーツがリム側に被さった原因は、眉の取り付け位置が左右非対称です。比べますと、右レンズはリムにかかり、左レンズはほとんどリムにかかりません。原因が分かったところで、フレームのカーブが強いこと(7カーブくらい)、今回の処方のレンズが左右とも単性であることを考慮して、眉毛パーツの前面は削らないことにしました。リムにかかる部分だけ眉毛パーツの前面を削ると、完成を正面から見たときに眉毛パーツの形がモロに左右非対称になってしまうので。まず後面で何とかします。
例えば、処方が強めの凹レンズの場合、ベースカーブが1とか2とかほぼ平らに上がってくると思います。レンズ端の厚みがあるため薬研のデザインで、ある程度は薬研のカーブをフレームカーブに近づけることも可能です。それをやると、今度はレンズの端っこが眉毛の前面に当たります。
なんやかんやありますけど、完成はこんな感じです。
後ろをキッチリ合わせました。リムにはみ出していたのは右レンズ側でしたが、左レンズ側もちょっとだけ綺麗に整えております。
それでは枠入れしていきます。
薬研位置は限界まで前側にして、レンズの厚みは全て後ろに持っていきました。とりあえず綺麗に入ったので安心しました。
眉毛パーツを付けたり外したり、アレコレ干渉し合っている状態で行うと、ネジに変なテンションがかかっている為に、真っ直ぐ入らなくてネジ穴を壊したり、ドライバーがなめてフレームやレンズを傷つけたりします。
この辺の段取りをしておくと、ネジがスッと入っていくのでドライバーも逃げにくく、最終の仕上がりも綺麗になります。