カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

アーノルド
ヴィンテージのメガネ

22.03.09

ローデンストックのアーノルド(Arnold)です。カチッとした雰囲気の極致です。

バラして磨いたあとです。綺麗なデッドストックは、そう言えば久しぶりかもです。あとは、良いサイズです。

ローデンストックは、なぜか16ミリのブリッジ幅に会社のこだわりなのか、当時の真理なのか何かしらのメッセージが含まれている気がします。ツーブリッジやサーモントといった類のフレームでブリッジ幅16ミリが多いです。レンズサイズが変わっても、だいたいブリッジ幅は固定です。レンズサイズは50ミリから2ミリ刻みで56ミリまでのパターンが多いです。

昨今はこの辺りも50ミリか56ミリか、SかXLか、みたいな発掘状況でして、真ん中のサイズは久々です。

ちょうど、ローデンストックのアーノルドの販促ポスターが店にあります。

ちゃんと額装がしてあり、中に新聞が入っていました。チッソ・公害とか、錚々たるワードが並んでおります。ブリッジ幅16ミリは、やっぱりドイツの方には狭い気がしますけど、この眼鏡と顔の隙間の無さがカッコ良さの秘訣でもあります。お面みたいに、顔の一部を超えて顔になっています。ブリッジが鼻に擦りそうですもんね。日本人だとなかなか起こりえない現象が垣間見えます。

1970年の11月28日の夕刊でした。年代の判定として、金張りの厚みとかそもそものフレームのスタイルとか色々あるんでしょうけど、さらにもう一つ補足できる資料が出てくると嬉しいですね。

なんとなく民放のテレビ欄も載せておきます。

フレッド
ヴィンテージのメガネ

22.03.07

フレッドのメガネです。フレッドがジュエリーのメーカーということで、僕には遠い存在だった為、ヴィンテージメガネのネジネジからフレッドの存在を知りました。フォース10というシリーズで、ロープを模したネジネジと、船の金具から着想された金属パーツが決め手だそうです。

80年代の、無垢眼鏡よりお値打ちみたいな位置付けで作られた、貴金属メッキのフレームです。そういう方向性のフレームがフレッドに限らず乱立していた時代がありました。

確か22Kのメッキのはずなんですけど、ギャランティーカード類が無いので正確に申し上げられないです。

メッキの乗り方が綺麗です。メッキに至るまでの各工程の処理が綺麗でないと均一な光沢が生まれません。そもそもの作りが良い上に、良いメッキが乗るという感じです。おそらくその厚みも充分で、光沢の感じとかぽってりとした質感が、ぱっと見で無垢では無いかと思わせるほどです。

ネジネジは、ブリッジはどの方向から見ても縄です。テンプルは、顔側は平坦です。久しぶりに現物をみて、拡大しながら観察してみましたが、プレスによる模様なんでしょうけど細かく緻密で、尚且つ起伏が激しいので、何回も何回も打って少しずつ模様を出しているのだと思います。ブリッジにしてもテンプルにしても、このネジネジが本当にワイヤーと見間違うほど作りこまれています。

並べる
ヴィンテージのメガネ

22.02.25

ローデンストックの CORSAR ってモデルです。すごい前にも載せたはずです。

金色はおそらく同じ時代の、増永の Koki (光輝)です。これに限らず日本の眼鏡が、ローデンストックに追いつけ追い越せの流れがあったのでしょうけど、似ている日本製のフレームはけっこう出てきます。現代で例えるなら、クラウンパントのフレームがあっちもこっちもみたいな感じです。ローデンストックでリバイバルされているレジェンドシリーズ以外でも、探すとそっくりさんが出てくるものです。

本当に CORSAR のブラッシュアップとして、この Koki が存在したのかはわからないですけどね。どちらも、ただのティアドロップ型のツーブリッジと言えばそれまでで、同じ型式を違うメーカーがそれぞれ作ったというだけとも考えられますから。いずれにしても、形状が似ているのであれば、造りの差が比較しやすく、尚且つ造りの差でどういったカッコ良さの違いが生じるのか調べることが容易そうです。ではさっそく。

ブリッジの取り付け位置が微妙に違います。それも気になりますがブリッジ自体の処理の差が比べるとハッキリします。。左の増永は角を落として滑らかに処理しています。ローデンストックは、ブリッジは角を未処理で、トップバーも板状です。

トップバーを上から見ます。バー自体は、ローデンストックの方が板状で立体感は無かったですけど、取り付けの仕方で、バーがやや突出しています。ブリッジの角のゴツさも合わさって、荒々しくてカッコいいです。ドイツ物ですけど、アメリカのレイバン的な、服で例えるなら軍モノっぽいカッコ良さがあります。対して増永は、リムのカーブとブリッジやトップバー近辺の滑らかさが合わさって、全体で柔らかい光沢を放っています。服で例えるならスーツっぽいカッコ良さがある気がします。

横を比べます。同じくヨロイタイプの智です。増永の量産品とは思えない面の合い方が見所です。フロントとテンプルの境目が見えないほど面が合います。増永の方は上から眺めても、ヨロイからテンプルが一直線に開きます。

こうしてみると、確かにローデンストックはこの時代の安い日本製フレームよりも断然出来が良かったりするので、年輩の方が言う舶来の眼鏡が最高というのもある程度分かるのですが、この時点ですでに増永は造りの良さで超えている気がします。1981年のニコンのチテックスシリーズで日本が世界初でチタンの眼鏡を作り、今の「眼鏡は日本」の流れが徐々に出来始めるのですが、このフレームを見る限り70年代にはその萌芽が見られ、これに限れば追い越している印象をうけます。

ここで最後もう一度ブリッジ周辺の写真見て、全体の写真を見て、するとなんだか両者が結構違うフレームに見えてきます。表出するカッコ良さが違うみたいなことを書きましたが、そんなこんなで結構違って見えてきませんかね。不思議ですね。

最近はそういうことを気にするようになりました。今回はヴィンテージを例にしてみましたが、物の作りを精緻化したときに、物の美しさとか実用面では耐久性とかそういった要素を足そうとして精緻化すると思うのですが、それと引き換えになにが無くなるのか、無くなることは他でカバー出来るのか、ようやくそれを考えるようになりました。何でも精緻化していく傾向は、日本のモノづくりの脈々と続く伝統な気もしますし、そこは外せないですし外れてはいけないのですが。

ちなみに私は金物に関してはきっちりしっかりが好みなので、この Koki を使っています。

メタル 舶来
ヴィンテージのメガネ

21.12.20

この手のメタルフレームは、EU内で出てきたとなると、結局何処のものなのか正確に把握しかねます。いまの日本の状況ですと、とりあえずフランスかなぁみたいな判断の雰囲気ですけど、それこそ今のメガネのコングロマリット化の状況を踏まえますと、イタリアってこともありえるよなぁという気がします。

刻印なしの素朴なフレームです。

ブリッジの感じが良いです。線材をプレスして真ん中を平にしただけなんですけど、なんか良いですね。

智の部分は大味な作りですけど、テンプルの開閉でネジも緩みませんし、そのあがきもスムーズで悪くないです。

なぞフレーム
ヴィンテージのメガネ

21.12.01

ぱっと見、esselで作っていた時代のホヤフレームかと思いきや、フランス製ともホヤとも書いてなく、ボクシングによるサイズ表記と先セルNO.20のモデル番号のみ。エッセルの模造みたいなフレームが、国内で作られていたんでしょう。

メッキの浮きが無く、細いシングルブリッジでしたが捻れも少なくてメガネとしてちゃんとしています。

リムネジがテンプルで隠れておらず、繊細なフレームに対してモリッとはみ出ています。蝶番ネジも、下からナットで共締めしていますが細い腕に対して節のようにポコっと出ています。テンプルの装飾が真ん中のプレスのラインのみなので、この二つが目立ちます。こういう、不可欠な構造を剥き出しにしないで収めるという美意識も分かりますが、古ビルの配線みたいに剥き出しでもそれはそれで良いなと思います。剥き出しの極致、むしろ誇張をすることでレジェンドになったのが、ゴルチエのメガネという感じでしょうね。

とりあえず全体のクリーニングと各パーツの交換しました。そもそも汎用品が付いているっぽいので、現行と差し替えても大差ないかと思われます。

クリングスの取り付けがスネークヘッドでした。

悶々MONB!
ヴィンテージのメガネ

21.11.26

前から分かっていることなので、悶々とするというと言い過ぎな気もしますが。インスタでメガネを載せると、フォロワーが大体微減します。

ということで、村井のMONBです。ティアドロップとサーモントを融合させた意欲作だと思いました。眉パーツは極薄で、なかなか難しいことをサラッとこなしています。

眼鏡で品格まで問うのは、さすがに問い過ぎかなーとは思いますが、たしかに上品な感じが漂っています。何気に12Kの金張です。

ちょうど、広告も見つかったので載せます。掲載品とは異なりますが。割と、ファッション寄りのメガネだったんですね。正直、この広告を見つけるまでMONBがどういう位置付けのメガネだったのか分からなかったので、ポパイに載ってるのは驚きでした。オシャレメガネでした。

いつかいつかと思って今
ヴィンテージのメガネ

21.11.16

2020年よりも前であることは確かなんですけど、結構前に大きな仕入れがありまして、そのうちの1本です。内箱で出てきているので同じのが何本かあります。おそらく吊るしのサングラスです。吊るしというのは、私が勝手に使っている用語かもしれませんが、お店にある背の高いクルクル回るサングラススタンドとかで販売する、お値打ち品的な部類の物を指しています。

それで、普段の自分ルールでは、吊るしのサングラスや既成老眼(最初からプラス度数が組みこまれた眼鏡)の類は仕入れをしないです。理由としてはレンズの入れ替えを前提にしていない作りだったりしますので、特にネジとかなんですけど。ブルバキとしてはスルーしています。

それでですね、今回のご紹介は例外です。雰囲気が良かったので、つい、です。

テンプルに芯が入っていないので、オプチルでは無い謎物質のインジェクションかなと思いきや、アセチロイド=アセテートでした。素材がアセテートということが明瞭であれば、劣化がなければレンズ交換も安心安全です。そのおかげで例外的にピック出来たというのも理由としてはあります。

調べると、家庭用品品質表示法が1962年に施行です。それ以降となりますと、デザイン的に80年代かなとは思います。

合口がキッチリあってないではなく、綿密に合わせる行程が組み込まれずに商品が上がっている感じがします。フロントとテンプルで段差があります。吊るしの値段に合わせるために、処理を省いてシューティングの芯入れを省いて…という感じでこの仕上がりになっているのでしょう。でもこのラフな感じが、妙にカッコ良いです。ここにピンと来て仕入れを決めています。この時代にアメリカンヴィンテージを再現していたら、より一層50年代60年代のヴィンテージっぽくなったかもしれませんね。

ちょっと前に『鯖江の眼鏡』という、公式ガイドブックをご紹介しました。画像載せ忘れていたので、今日更新しております。眼鏡の良さの「良さ」の部分を分析すると、あれこれベクトルが異なった良さが噴出してきます。一つまず、工業製品の観点からみた良さ、作りの良さとはみたいなものがあの本でしっかりと提示されました。日本的な“きっちり”とか“しっかり”とかがキーワードになりそうな、カチッとした良さでした。

良さの分析に、ファッションとか様々な観点が入りますと、きっちりとかしっかりとかだけでは無くて、もっと多様化します。それこそラフもオッケーですし、その他もろもろも良いよねということになります。そこで、多様化と何でも良いの違いは何なんだみたいな問題に直面していくことになるのですが、それの深掘りはここではやめておきます。個人の内省やら葛藤として、頭でコロコロ転がして楽しめば良い問題でしょうから。

色レンズいれて、サングラスで提案しようと一昨年も昨年も、たしか今年の夏も考えていたのにストックで眠ったまま何だかんだ今です。今年は、子どもの入院とかあれこれ重なりすぎて、夏が飛んだからかもしれません。今日改めて見て、眼鏡の方がいいかもですね。

無ければ無いで
ヴィンテージのメガネ

21.11.16

レイバンのデコットです。本当にそのように使うかは別として、シューティング用です。詰まった鼻幅と、上側の視界が広いのが特徴です。顎を引いて照準を除くと、ちょうどいい位置に目が来るようなレンズ配置というわけです。そのまま正面から掛けた姿を見ると、ややメガネが上ずっているように見えるかもです。そういうのは知らなくても、ゴツくてカッコいい眼鏡だなという気がします。

ちなみにブルバキは、レイバンの世界に深く踏み込むことをしませんでした。ヴィンテージ眼鏡のカテゴリーの中の一つの要素というよりも、オールドレイバンという別カテゴリーがヴィンテージ眼鏡のカテゴリーとは離れて存在していて、ヴィンテージ眼鏡のカテゴリーと重なる領域が存在するという感覚があり、ヴィンテージ眼鏡のカテゴリーで手一杯な感じだからです。

レイバンはレンズが命だったりもしますが、今回のはレンズが無しでした。デコットは、枠だけの販売があったのかどうか分かりかねるところです。何となくサングラスでレンズ込みで販売していそうですけど。とりあえずレンズが始めから無いなら無いで、いっそレイバンのレンズカラーでは無いカッコいい色でも入れてみようということで、こんな感じになりました。

ベージュ系のレンズカラーです。

黄色とかオレンジだと、まさにシューティンググラスだなって感じなので、その感じを薄めるためにベージュのレンズ入れてみました。車の色で、ブルーグレーやオリーブやグレーの色って増えましたよね。それこそベージュもよく見る気がします。そういう感覚を真似して取り入れてみたいというのもありました。

小箱入り
ヴィンテージのメガネ

21.10.12

卸会社の廃業から引き揚げた物です。小箱入りで出荷することもあったんだなと、まずそこで驚きです。金無垢・鼈甲のような高価格帯のものは入っていませんでした。残念ながら金銀財宝は入っていなかったんですけど、サッパリとしたサーモントが箱に1本ずつ入っていました。

The 日本のヴィンテージという佇まいです。なぜにこれが小箱入りなんだ?みたいに思えてしまいますけど、よくよく観察しますと、ちょい上のグレードっぽい作りが見受けられます。

フレームの形、全体の雰囲気はまさに日本のおじさんタイプなんですけど、真ん中の処理がとても綺麗で、そのお陰でモッサリ感・ボテッと感・それらをおじさんっぽさと見なしているんでしょうけど、それらが少なくなっています。

眉毛のパーツと、ブリッジ上部のカッティングの面を揃えています。ボリュームの調整や、面の光沢を増やして軽い雰囲気にしようと試みてあります。

青の箇所を、面で削ってあります。赤の矢印で目の動きを描きました。反対側の眉のカッティング面に向けて、滑らかな面が続くように眉毛パーツもブリッジも意匠されています。上から見ると削る面の指定がよく分かります。写真だと逆ハの字になっているのが見て取れまして、削ってバランスをとったことがよく分かります。

テンプルの飾りも綺麗です。車のことはよく分からないですけど、雰囲気で、80年代のクラウンっぽさがあります。いまはシンプルが好まれる時代なので、無ければ良かったのにとか言われそうですけど、個人的にはこういうものは、とりあえずあった方が良いと思います。横も飾りたいという心情の芽生えは、それもとてもシンプルだと思われるからです。

この板チョコみたいな飾りは、ロー付けの後乗せではなくてプレスか削り出しているっぽいです。上からテンプルを見たときに、テンプルと飾りの境目が見えません。

これは、他のメーカーの別フレームです。参考に載せてみました。蝶番付近に厚みを持たせて強度を出し、残りは薄くしなやかに作ってフィッティングがしやすいように意図したこのような作り自体は割と一般的です。その厚みを外にもっていき、そこに折角ならと意匠を加えたのが、あの板チョコっぽい飾りの正体です。

こういう感じのサーモントは、仕入れのタイミングで本当によく出てくるんですけど、流石の個包装ということで、なかなかみごどころたくさんの面白いフレームでした。

大きめのボストン
ヴィンテージのメガネ

21.06.27

ついに、販売となりました。70年代のオリバーゴールドスミスの大きめボストン眼鏡です。

毎年これくらいの時期になりますと、大きめのボストンが〜とか、クリアの抜け感の強いボストンが〜とか、最近覚えたての言葉を羅列すればレンズサイズ大き目がギークでカッコいいよね〜的なことを言っていたと思います。なんだかんだ毎年定番が変わってしまい、去年の夏はアレだったのに今年はコレかあ…定番とは???ではなくて、結局しつこいですけど毎年コレです。

ちょっとクリアレンズでは物足りないとのことでしたので、緑の10パーセントの濃さのレンズを入れました。コバにほんのり色がついて、いい感じですね。

こっちが販売となりましたので、ようやくもう一方の全部クリアのボストンを自分用にします。

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