カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

ジェネリックカールトン
ヴィンテージのメガネ

22.12.02

レンズは、ブリーズグリーンの35パーセントです。

先セルの感じとかで気づかれる方もいらっしゃると思いますが、本家のローデンストックではありません。ドイツが世界標準だった時代の、日本製のカールトン(Carlton)タイプのヴィンテージメガネです。ボクシングがズレていて、55.0□15.5位です。テンプル長が140ミリと、現代の男性向けフレームの標準的な長さがあり、そこも魅力です。本家のヴィンテージだとレンズ56サイズでも、テンプル135ミリです。

素材はサンプラチナです。デザインの堅さに対して、素材の持つ硬さがめちゃくちゃあっています。カチッとした雰囲気が凄まじいです。おそらく作りはツーリングです。

物の作りの良さは、むしろこっちの方が良いかもです。処理が綺麗です。特に蝶番部分、横から見て面があっているのでシャーリングが途切れていません。また、蝶番部分を上から見たときに、フロント側とテンプル側の開きが一直線になるように合わさっています。そのおかげで、もう一度テンプルを横から眺めてみますが、シャーリングの光り方が均一で、眉からテンプル先に向けて美しく流れていくように見えます。

サンプラチナ(SPM)の刻印入っています。

インターネットミームとか言われますけど、誰もがネットのお陰であれこれ調べたり映像で比較しやすくなっただけで、昔からそういうことはあったんでしょうね。少なくとも、メガネはヴィンテージもそっくりさんだらけです。そっくりさんもあるからこそ、一つのスタイルに昇格していくのかもですし、どっからどこまでが…という線引きは難しいですよね。現代で言えば、アーネルとかクラウンパントのスタイルが該当すると思います。みんなが一斉にやることで、その時代のスタイルになりますね。

確かに今回のメガネでいえばカールトンタイプとメガネ業界は割と呼んでいますけど、カールトンはそもそもローデンストックがこの形のモデルに付けた名前なので、ミームのおかげで商品名からスタイルになっています。眉毛メガネのサーモントもそうでした。

242
ヴィンテージのメガネ

22.11.25

先日のドイツ仕入れから引き続き。カザールの242です。

この辺も、店を始めてすぐのときは日本から出てきていたんですけどね。めっきり日本からは出なくなりまして、それでたまたま声が掛かったドイツから仕入れました。

ツーブリッジなんですけど、ミリタリー感パイロット感ゼロです。しかも200番代は元々は女性用だったというところでレンズが小さめ、フロントが小さめです。小さめと言っても男用のカザールに比べてです。レンズ幅は51ミリでして、現行のボストン型とかのメガネよりレンズは大きく、それなりにゆったりとしています。いまの観点からすると、大き過ぎないメガネということになります。

ツーブリッジで程よくゆったりなので、掛けると意外にもふにゃふにゃ野郎な雰囲気が出まして、90年代のエイリアン系映画で初めに食べられちゃう人みたいな雰囲気も出ます。だけどカザールなのでちょっとだけ強いゴージャスな雰囲気もあって、このmod.242は本当に万能なおもしろメガネだと思います。

宿命なんですけど、テンプルが短いです。いつの決定かまでは分かっていないんですけど、ボクシング表記におけるテンプル長は、ネジ穴中心から先セルの先端までを指します。ですので、カザールは智が長かったり色々なので先ずはそこは気にせずの方が良いです。130ミリでも、普通の135ミリくらいの感覚です。でも確かに短いので、足りなければ先セルを替えて、延長するなりで対応します。

フロントの彩色が赤とか緑っぽいマーブルとかは良く見ましたが、今回はベージュでした。なんだかこの色も今っぽいです。

これは!!
ヴィンテージのメガネ

22.11.22

おそらく、marwitzと言っても、いまの日本では名無しフレーム扱いに近いと思います。名無しフレーム扱いなら、それの方が都合が良いかもと思い始めまして、今回のこのフレームは特に先入観無しにインパクトが強くて面白いと思ってもらえるんじゃ無いかなと思っています。

ハイブリッジで、輪郭は六角形で、でもレンズの玉型は正方形で、リム周りは奥行きが出るように削り込みしてあって、まさにブラウン管時代のテレビっぽいです。色々な要素を詰め込みまくっていまして、メガネ界のおせち料理みたいになっています。それでいて破綻せず、めちゃんこカッコ良いので仕入れてみました。

60年代後半から70年代前半くらいなんですかね。オプチル素材が出ている時代であれば、そっちで作りそうなくらいに削りによる手間が掛かっています。

レンズサイズが先ほどに引き続き良くて、48□24です。レンズは小さめで、ブリッジを広く取ってFPD稼いでいます。ブリッジは広めですが、キーホールみたいにキュッとした部分が狭いので、十分掛かります。

クリアレンズだと、正方形のナードな感じが際立って使いやすいかもです。テレビジョンカット系のフレームは、目が見えないくらいの濃いレンズを入れるとたちまちモードの極み的な雰囲気が出ます。そんな感じにイメージを振っても良さそうです。

ヴィンテージフレームも、しばらく見ているとそれなりに既視感だらけになったりするものなんですけど、久しぶりにこれは!!ってなった1本でした。自分用もどれどれと思って2本入れたんですけど、そのうちの1本、グレーの方が検品の結果ダメだったのでショックです。

872
ヴィンテージのメガネ

22.11.22

店で取り扱うのは初めてです。カザールのmod.872です。

玉型とかプラスチック部分のバージョン違いがあと2型あって、型違いの方はレジェンズとして復刻もあります。これは復刻されていないはずです。このmod.872はオーバルで、玉型も90年代感が強めです。しかもサイズは53□15なので、レンズとブリッジの関係だけでいえば、中間くらいのメガネサイズです。カザールにしては大きくないという方が伝わるかもです。

物の満足感が凄いです。指示書とかどうなってるんですかね。セルの切り出しと、中のメタル枠の正確さと、ネジ穴の為の爪の取り付け位置と全部が正確でないと、セル枠に対して均一に余白が出来ないです。このデザインでこの作り込み具合は、後にも先にもやっぱりカザールくらいかなと思います。物のパワーは凄まじいです。

おそらく、茶色の目が見えないくらいに濃いレンズを全面で入れるとカッコ良いと思われます。

250
ヴィンテージのメガネ

22.11.21

海外からの入荷は、あとはカザールとカザールに準ずるものです。時間があるときにぼちぼち載せます。

カザールのmod.250です。カザールの200番代で、一番好きかもです。これがリストにあったので、今回の仕入れを受けたと言っても過言では無いです。4年ぶりに入りました。待っていれば、まだ何とかデッドストックで出てくるもんですね。メッキも、塗装も、印字も全部かすれていないなかなかの美品です。

値段はまあまあいきまして、ブルバキではこれで最後かもとか思っています。もう本当にドイツでも見つからんのかなと思っています。

赤黒のカラーは初めて。力強くてカッコいいです。

出典が見つからないんですけど、岡本太郎が「個性的な物の方が、普遍的である」みたいなことを何処かしらで述べているはずです。とりあえず載っていた本が見つかっていないんですけど、カザールはまさにそれを体現できたメガネだと思います。初めてみると、斬新さとか、作り込み方の尋常じゃない感じとか、とにかく感動します。一度見たフレームでも、時間を置けば新しくまた見え始めたりして、常に鮮度を保っています。常に鮮度があるという普遍性を持ち得た珍しいブランドです。

カザールといえばヒップホップという方もいらっしゃるかもしれません。おそらくそれはレジェンズとして復刻がされている600番代のゴツいやつかと思います。特にヴィンテージのカザールで200番代となると、意外に線が細くて装飾もコッテリしておらず、イケイケ感が少なかったりします。それも良いんですよね。

「何掛けているの?」と聞かれて、カザールと答えたときに

「マジか!?」とか言ってもらえると、

ちょっとだけ気持ち良くなれます。あまりにもカザールとヒップホップが結びついて、実際のフレームのラインナップとは離れてイメージが固定されてしまっているので、そこをちょっと裏切るだけで人に驚いてもらえます。

ほかの仕入れもそんな感じで、ナードなのにゴージャスみたいなやや捻れた属性のカザールをチョイスしております。

入荷その2
ヴィンテージのメガネ

22.11.18

ティファニーのセルです。これも90年代とクレジットが付いていましたが、CEのマークはやはり無いので93年以前かと思われます。

サイズは45□20です。フレンチヴィンテージやその周辺に近いサイズです。今っぽいサイズ感です。クラシックな雰囲気になる、セルでは小さめのサイズです。これが作られた時代、80年代後半から90年代頭となると、52□18とかもっとレンズが大きくてもおかしくないです。ティファニーの他に、アルマーニもこの時代はクラシックテイストで、当時としてはレンズが小さい、それが今となっては丁度いいサイズ感みたいなことが起こりがちです。

しかもストレートテンプルです。何だかんだストレートテンプルで太いと、それだけでカッコよく見えます。これも手元用だからレンズが小さくて、着脱しやすいようにストレートテンプルなんでしょうかね?用途と一体化しているかどうかまでは判然としませんが、ストレートテンプルだとカッコいいです。ストレートテンプルで企画してくれてありがとうです。

メタルの蝶番になっておりますが、これがフロントが狭いことに対しての対策として働きます。このメタルパーツの曲げを開いて側頭幅まで合わせれば良いので、フィッティングは簡単です。カザールの607とか、80年代のフレームにはよくあるセルフレームの蝶番への装飾方法なんですけどね。

金属はシャーリング加工がされていて、ピカピカではないです。生地の綺麗さを邪魔しない程度に光沢を放っている感じです。

生地の色も透明感もフレンチヴィンテージっぽくて、30年前もあの辺のクラシックは参照されていたんだなと感じ取れます。ティファニー名義なので、アメリカで言えばF.D.R.とかですよね。何度もおんなじこと言っちゃいますけど、時代はグルグル回っているんですね。

入荷その1
ヴィンテージのメガネ

22.11.18

久々に、海外の業者から仕入れてみました。手直ししながら、順次載せていきます。

ティファニーです。いまもありますけど、昔のティファニーのメガネの方が力んでいる気がします。ロゴのプリントとか、そういう感じではなくて、全体を隈なくデザインしています。この感じが好きです。

カルティエのメガネの勃興と同時期かと、推測です。さらに同じ時期のフレッドとかあの辺と同じように、ちょい高級なメッキフレームという位置付けだったのかなと思います。これも23Kの貴金属メッキです。テンプルのどこにもCEマークがないので、93年以前かと。ゴージャスで力んだ感じの同じようなティファニーでも、テンプルにCEマークが付いている場合があります。それらと比べると、割と初期のモデルなのかもしれません。

逆ナイロールのラウンドです。サイズは36□30ミリです。デザイン的には、リーディンググラス用によくある、鼻の下の方で掛けて通常の目線ではレンズが視界から外れるタイプかと思いきや、自然に掛けてレンズの上3〜4割あたりに目が入ります。近視系で普通に遠用で使うこと可能です。むしろ日本で販売するならそれの方が助かります。

このあとにもう一つティファニーを載せますが、それもこれもレンズが小さめでとてもクラシックなデザインです。80年代後半から90年代頭となれば、バブリーな時代でメガネもそれを反映して、レンズはめちゃデカイことが常です。同時期のカルティエもフレッドも、基本はレンズがデカイです。その為、作りや装飾やメッキ処理の力みと合わさると、ひとによってはtoo muchだったりします。

ということでこの感じであれば、今の日本のメガネの流れに沿いながら、でも実はちょっと外れているみたいなことが力まずに出来そうです。現代の感覚では、色はベージュとかオリーブとか暗めの中間色で、質感ならキラキラよりちょっとカサついていたりマットが喜ばれる時代なんでしょうけど。どこかしら1点だけ、そこを裏切るくらいが良いのかなと思いまして、キラキラなメガネを入れました。

本べっ甲
ヴィンテージのメガネ

22.11.02

本べっ甲です。兆番金具からすると、イギリスかフランスか。ヴィンテージです。

軽さ、柄の感じからおそらく本べっ甲だろうなと予想しつつも、磨いてみないとという感じでした。これくらいのかすれで光沢が甘く、かと言って使用していないので等高線のような斑紋が出てない状態は、まだ疑う余地ありだと思っています。

面を整えるために、ちょっとヤスリをかけました。たまたまですけど、等高線のような斑紋が浮き出てきました。亀の甲羅が大きくなるメカニズムによる、独特なモヤモヤ模様です。プラスチックやバッファローホーンでは出ません。

また、ネットでは確認できない判別として、臭いがあります。製品としては臭わないんですけど、ヤスって粉状になるとフワッと香ります。亀を育てたときの、水槽のあの臭いがします。水槽のあの臭いは、亀由来だったんですね。

短い経歴のなかで、今のところ本べっ甲ですよと言われているもので、おそらく本べっ甲ではなかったケースは今のところゼロでして、意外にやさしい世界です。とか言いつつやっぱり運がいいだけで、べっ甲となると古美術の世界に入りかかるわけで、魑魅魍魎の険しい世界なのかもしれません。

綺麗にするとこんな感じ。光沢の出具合、ヌメヌメ感がよく写っているのでこのアングルで載せてみました。

サイズが50□22で、べっ甲界ではレンズが小さめです。古の政治家っぽさが無いです。

日本のべっ甲フレームでは見かけない意匠があります。耳側の側面をスパッと切り落としてポリゴン感を与えつつ、フロント面と側面の間をなだらかに磨き落としています。

このアングルが見やすいかもです。その処理によって側面に、スタッズみたいな凸が出来ています。べっ甲で遊びがちょっと効いているのがいいですね。日本のべっ甲のヴィンテージでは見かけないです。

フロントがほぼフラットです。現代の度付きのレンズとなりますと、凸も凹もベースカーブ3くらいでしょうか。フラットレンズが似合うフレームかどうかイマイチ判断がつかないので、デモレンズとして3カーブを入れました。温めつつカーブをつけますけど、パキッたらおしまいです。

横もカッコいいです。

カザールではない
ヴィンテージのメガネ

22.10.25

ディオールです。オプチル素材のディオールで、オムでは無くてムッシュでした。

素材の軽さを活かした、肉厚の迫力満点のフレームでした。オブジェの観点で、もっと造形がすごくて見ていて気分がいいオプチルのディオールも沢山あるんですけど、気負いなく掛けられそうな感じのギリギリでここまでカッコいいフレームは無かったなと今でも思っています。オプチルカッコいい部門、歴代1位です。

オプチルは、古いとやってみないとわからない度が高まっています。特性上温めていない状態が一番切れやすいので、ゆるゆるのレンズだとしても温めてトロトロにしてレンズを外します。今回も無事にレンズが入っていますが、レンズが入るとよりカッコ良いですよね。

これもなんか良いです
ヴィンテージのメガネ

22.09.20

パッドがフロントと同じ生地から作られていますし、ほっそいテンプルでカシメ蝶番ですし、60年代かもです。レンズが大きめなので、CR39の誕生以降かなとか考えますと、70年代の読みもあり得ます。サイズはボクシング表記で55□19.5です。

見所は、やっぱりここかと。フロントのリベット付近にあるピヨっと突き出した意匠です。

レンズの形も、微妙に一番外側の輪郭と変えてあり、それがまた良かったりします。変え過ぎると面白メガネ寄りになってしまうんですけど、その手前な気がします。

大きめだと、掛けるとふにゃっとした印象になるメガネなんですけど、この意匠やレンズの形のおかげでキャットアイメガネ的な、軽快で妖艶な感じもあります。

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