カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

Maya
ヴィンテージのメガネ

23.09.02

眉毛が乗っかっているサーモント型が、今に当てはめるとボストン型みたいなそんな時代がありました。何でもイケてるメガネは眉毛付き。

そして、スペースエイジデザインに乗っかって、面白いフレームがたくさんあります。

けっこう構造はギリギリな感じです。眉側の留めは、初期値で首の皮一枚です。

眉毛パーツは、特に上から引っ張るような物でも無いですし、リム全体の摩擦でズレず、ネジに全荷重が掛かる訳でもないです。なのでそういうものとして、やや取り扱いを気をつけるくらいな感じです。

それよりも、眉毛パーツ側の穴がギリギリなのが困りました。

初期値で余白が1ミリも無いくらいです。少しでも厚みと強度を足したいところです。

ツーポ用の穴埋め材を用いました。埋めたあとに、ピンポイントで穴を開けます。

元々はしいたけみたいなネジが入っていました。それの笠が収まるように、大きめの穴が空いていたのでまずは塞ぎ、ネジ径ピッタリの穴を開けました。ネジ径が1.2ミリで、現行のメガネの鼻パッドの取り付けネジと同じ径です。

上が新しいネジ。長いので、緩衝材の意味も込めて樹脂のワッシャーをはさみました。

商品化の為の修理で壊れてお終いパターンもあります。今回はうまくいきました。

眉毛がグラデーションになっているんですよね。それも軽やかでいい感じです。

ダメな例
ヴィンテージのメガネ

23.08.30

何となく凹みが怪しいなあと思って寝かしておりましたが、これは進行してしまいました。色々な力が加わらないように、レンズを入れて無かったんですけどね。

結露みたいな、水っ気が出始めています。撮る前に拭いてしまったんですけど、生地に痕が残っています。酸っぱい臭いも出てきました。販売する前に分かって良かったなと、諦めるしかないです。

シルエットのフレームでした。掛けられる質量のフューチュラって感じのデザインです。かなり気に入っていただけに残念です。

スーパー楕円
ヴィンテージのメガネ

23.08.30

ギリシャ製ってことだと思います。メーカー名やモデル名の可能性もなきにしもあらずなんですけど。

フロントの造形と質感、要所要所の作りからナイロンっぽい気がします。少なくとも磨いたときの手応えとしては、セルロイド・アセテートの類では無い何かです。テンプルに芯が入っていますが、フロントと同じ素材です。

ブリッジの山が綺麗です。谷が鋭く深いです。

 

レンズの形が本当にブラウン管テレビっぽいです。画面アスペクト比4:3みたいです。スーパー楕円っぽさもあります。

カシメが強く、生地が縮むに従って亀裂がすでに入った状態です。とりあえず2年くらい寝かしてみましたが、カシメの緩みは無く、亀裂の進行は無くて、テンプルのガタつきもありません。

星型のリベットあるあるです。ツクツクの先からピキッと亀裂が入りやすいです。

服の場合は、白色は怪しさの無い色なんでしょうけど、メガネは白が一番怪しい雰囲気が出る気がします。60年代か、70年代頭のフレームだと推測出来ますが、まさにスペースエイジデザインって感じを受けます。

これが元のレンズ。ガラスが入っていました。ガタガタなので、プラスチックレンズに変えておきました。

49と48
ヴィンテージのメガネ

23.08.23

久々にALGHAのヴィンテージが入りました。たぶん5年か6年ぶり。ヒルトンクラシック名義の物を入れて以来ですね。これは共にサヴィルロウでした。

この2本の組み合わせが良かったです。この比較で初めて知れたことがありました。年代が微妙に異なっていることが分かります。しかも年代の違いで、金張の厚みが違うんですね。また、キャラット数が同じで、黄色みの調整が入っていることも分かります。

ALGHAって入っています。

となりに、14KT GF(Gold Filled)とも入っています。

まず丸のほうなんですけど、現行のイメージがありましたからロールドゴールド(RG)と思って何気なくテンプルを見たところ、GFの印字が目に留まりました。まさかと思ってフレームを観察したところ、ブリッジにもGFの刻印が。

サヴィルロウ名義で販売が開始された年代と照らし合わせますと、金張の標準の厚みとして1/20基準でした。なのでGFだけとか省略されているときは、とりあえず1/20なのかなと予想が立てられます。ちなみに1/10の厚みとなりますと、厚張とかいわれているみたいです。よりハイグレードなわけですから、1/10は刻印がまず入ると思われます。そんなこんなでGFだけのときは、とりあえず1/20と思っておきます。

次に、ボストンを見ていきます。

こっちは、ブリッジには 14KT RG の刻印です。デモレンズにバンっと“Rolled Gold”と記載がある通り、金張のロールドゴールドということです。

ロールドゴールドということで、金張の厚みが1/30ということが分かります。それがロールドの意味することです。金が少なくなっています。

それでテンプルを見ますと、テンプルには“SAVILE ROW CE” という刻印が入っています。末尾のCEは、ヨーロッパのJISみたいなあれです。ということで95年以降でしたっけ、それが確定します。90年も半ばになって、昔ながらの感じで金張でフレームを作っていたことにそれはそれで驚きました。

鼻パッドの芯は、ALGHAのALGHAのまま出しているときの芯と同じアスタリスクみたいなカシメの鼻パッドがついています。それと智の処理の感じを見て、ALGHA製かなと見当がつきます。ちょっと不安になって現行も調べてみましたが、現行はそもそも抱きの鼻パッドでした。構造から違いましたね。

ブリッジで色味を比べてみましょう。

丸の古い方が、黄色みが強いです。

丸が49ミリ、ボストンが48ミリです。銀無垢やサンプラチナで小さいサイズを定番でやっているので、このくらいのサイズが嬉しいです。ゆったりした丸とかボストンの隙ってなんか良いですよね。

復刻も出ていますよね
ヴィンテージのメガネ

23.06.27

バディ・ホリーな感じですね。この感じのフレームでイタリア製を初めて見ました。

柄は塗装っぽいです。その軽い仕上がりも良いです。スリードットが崩れて正三角形を成していないんですけど、それもまた良いです。しっかり出来ているので、特に問題はありません。ラフな表現の最大値という感じです。

なんかめっちゃ良いです。生地や作りから受け取れる今っぽいライトさと、外観がもたらすフィフティーズのどっしり感のバランスが、たまたま現代の目線で見ると丁度良いのかなと思います。

 

変わり種
ヴィンテージのメガネ

23.05.17

お持ち込みでした。アメリカの“WELSH”って書いてあります。

セーフティメガネなんですけど、これは一味違いました。面白いフレームです。

蝶番とフロントの間に、板バネを挟んで一緒にカシメています。

初めて見たときは、蝶番が浮いているのかなと思いましたが、板バネが見えているだけです。バネがビヨンビヨンするので、フロント側に空隙が作ってあります。

ペルソールっぽい掛け心地です。これは欲しいなあとか思いながら、パッド足の取り付けと枠入れしていました。

ツーポの枠入れ
ヴィンテージのメガネ

23.04.28

お持ち込みツーポの枠入れ。一般的に、30年代の〜と言われている金張りのフレームです。この前インスタにも載せたものですね。

フレームからレンズ掴みが表と裏と2本、レンズを挟む形で伸びているタイプです。掴みの裏側にネジがきってあります。レンズの厚みに影響を受けますし、そもそも保持するために挟む意味ないやーんってなって、今の形式になったんだと思います。

一発どこかで枠入れがしてありまして、そのときに右腕のネジがプラスに変えられていました。この手のフレームの初期のネジは、マイナスの溝が浅かったりネジの頭が脆かったり、加工しているときにアレコレありますから、仕方が無いと思います。

元はこんな感じでした。

すでにネジが1本変わっちゃっているのなら、こちらも思い切れるということで、美観を良くする為に現行のネジに総取っ替えしております。汎用のネジで、それっぽいのがちょうどあります。それに変えることで見た目のみならず樹脂ワッシャーとかナットとか、緩みにくくさせる手段が格段に増えます。相当実用的になります。

テンプルの閉じが微妙に合わないのが気になりましたが、智の部分が左右で形が違いますし、開いてテーブルタッチテストをしてみて、左右レンズと左右テンプルの4点で接地しているなら、この辺は追い込まない方が吉だと考えています。形状を整える過程でメキッと逝くかもしれないですから、フレームの変更は何やかんや言いつつも最小限です。

玉型変更とのことで、手元にあるAOの細長い八角形をもとに製作しております。せっかくのヴィンテージですし、アメリカで揃えてみました。

緑の10%の濃さのレンズです。ガラスのショーケースのこんな感じの雰囲気が足されるので、ツーポに緑レンズはいつ見ても綺麗だなと思います。レンズの濃さ10%の緑なら、正面はほとんど透明に見えます。

サーモント枠入れ
ヴィンテージのメガネ

23.04.28

サーモントの枠入れでした。amorのお持ち込み。

枠入れとなりますとなんともこれは大変で、リムの前面にも後面にも眉毛パーツが掛かっています。例えばフレームが出来立てホヤホヤで、眉パーツのセルがピンピンな当時なら目をつむってしまい、レンズとそれが干渉しようが御構い無しに枠入れをするということも考えられます。ただそれが製造から50年ほど経った現在となりますと、目を逸らすわけにはいきません。レンズと眉毛パーツが干渉し合えば、眉毛パーツ留めのネジ穴付近から亀裂が入りやすくなります。加工の理想像としましては、レンズと一切干渉させず、眉毛パーツの見た目通り、フレームに乗せるだけということになります。眉毛パーツは添えるだけです。

当時の精度なのか意識の問題なのか判然としませんが、とりあえず眉毛パーツがリム側に被さった原因は、眉の取り付け位置が左右非対称です。比べますと、右レンズはリムにかかり、左レンズはほとんどリムにかかりません。原因が分かったところで、フレームのカーブが強いこと(7カーブくらい)、今回の処方のレンズが左右とも単性であることを考慮して、眉毛パーツの前面は削らないことにしました。リムにかかる部分だけ眉毛パーツの前面を削ると、完成を正面から見たときに眉毛パーツの形がモロに左右非対称になってしまうので。まず後面で何とかします。

例えば、処方が強めの凹レンズの場合、ベースカーブが1とか2とかほぼ平らに上がってくると思います。レンズ端の厚みがあるため薬研のデザインで、ある程度は薬研のカーブをフレームカーブに近づけることも可能です。それをやると、今度はレンズの端っこが眉毛の前面に当たります。

 

なんやかんやありますけど、完成はこんな感じです。

後ろをキッチリ合わせました。リムにはみ出していたのは右レンズ側でしたが、左レンズ側もちょっとだけ綺麗に整えております。

それでは枠入れしていきます。

薬研位置は限界まで前側にして、レンズの厚みは全て後ろに持っていきました。とりあえず綺麗に入ったので安心しました。

眉毛パーツを付けたり外したり、アレコレ干渉し合っている状態で行うと、ネジに変なテンションがかかっている為に、真っ直ぐ入らなくてネジ穴を壊したり、ドライバーがなめてフレームやレンズを傷つけたりします。

この辺の段取りをしておくと、ネジがスッと入っていくのでドライバーも逃げにくく、最終の仕上がりも綺麗になります。

暗黒面
ヴィンテージのメガネ

23.04.14

いままで見過ごしてきた気がします。加飾してあるフレームたちが急にめちゃくちゃカッコ良く見えてきています。80年代のエアコンとか扇風機と同じで、カッコ良く見せようとした一手間がやっぱり良いよねっていう感覚がじわじわと。

どうやってセルフレームを彩ろうかなとなったときに、何だかんだブランドロゴがカッコ良かったりしますよね。ヴィンテージですと例えば古いディオールのロゴとか、ロゴ自体もロゴの大きさも質感もアレコレ凝っていたりして、ちょっとネガティブに「ブランドロゴだけ」とは言われがちなものの、かなりの意思決定がそこにされているわけですから、会社にとって大事なロゴですし、やっぱり良いですよね。

それでこれはといえば、ロゴがきそうな部分に金属パーツがありまして、日本製の純朴なロゴ無しフレームなんですけど、この加飾が80年代に各所で想い描かれていた未来感があってカッコ良いです。郷愁を誘います。

台紙が残っていました。モデル名が「マーシャル」で、意味を調べると“元帥”とか出てきます。妙に納得できる名前でした。

カラー名が“ダークサイド”ということで、それも何だかじわじわきます。

柳に雪折れなし
ヴィンテージのメガネ

23.03.11

エッセルホヤのツーブリッジです。

私はいつもレールと呼んでいましたけど、HOYAの資料によると、異形線と呼んでいました。

1978年7月号。

 

結構多くのモデルが、この異形線メガネの構成のメインに持ってきています。異形線にレンズをぶら下げるような形式のフレームが多く、ぶら下げる際に糸でつる(ナイロール)方式を採用しているのが特徴です。

単に立体感を出すために、異形(五角形)にしているわけでは無く、正面や上から加わる力に対して、曲がりにくい特性があります。

ある特徴に自分なりに真理の一端を見出して、そこから気がすむまでひたすら繰り返している感じがエッセルホヤからは感じ取れます。トム・フォードのメガネの、フロントからテンプルに伸びるTマークも天才ですし、あれも続けば続くほどカッコいいですよね。例えば違う業種だと画家の方もそんな感じを勝手に抱いているんですけど。みんな飽きたかもしれないけど、俺はまだ気が済んでいないぞ!と。そういう姿勢に憧れて、自分も銀無垢ではひたすらテンプルエンドはバチ先で統一しているというのはありますね。

模擬接客がおしゃれ。柳に雪折れなし。使います。

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