カテゴリー:無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

眉の新色
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.09.13

作ってみました。銀無垢のサーモントの新色です。眉が黒マットです。

いまのマットブームにさらに乗ってみました。ただ、銀にしてもサンプラチナにしても、金属の肌理と光沢がやっぱり好きなんだよねってことで、まだまだ金属部分を積極的にマットな質感にするのは私には躊躇いがあります。この前のテレビの『マツコの知らない世界』における金特集も、ピカピカの光沢があるものが多かったですしね。貴金属のマックス光沢の、あの目が吸い込まれる感じが堪らないんですよね。

そんなこんなで、スッとそのまま波に乗らないのがブルバキです。ということで眉だけにしました。眉はプラスチックなので。砂うち加工でマット仕上げに。

現代的なラグジュアリー感がめっちゃ足されました。モノリシックな存在感が出ました。これはこれでめっちゃ良いですね。

 

自転車で通勤しておりまして、行き帰りの往復でジープの四角い車や、ベンツの四角いごっついのをぼちぼち見かけます。気にすれば確かに、あれはカスタムなのか純正カラーなのか、黒マットを見かけます。本当に全てがマットな場合もありますが、金具やらなんやら光沢を残しているバージョンを見かけまして、特にその光沢とのコンビネーションを何台か眺めたときに、黒マットが高級に見えるということが真に納得出来たんですよね。それでメガネも、もっとやってみようと思い立ちました。

直近のインスタの時計もそうですが、基本的には私はスコーンっと軽快にしたいタイプです。ミニ四駆は肉抜きしてなんぼの世代です。そして今回は自分の趣向とは逆をやってみようとしております。ちなみに、この銀無垢のサーモントの初披露時は、慣例通りの黒(光沢あり)と異例なクリアグレーを作りました。軽快さを目指したクリアグレーです。重厚感と軽快感で対比させて、実際にはクリアグレーの軽快感が強く打ち出されるようにしました。

クリアグレーと黒(光沢あり)。

参考にしたのはゴツい四駆でしたが、眉のカッティングが効いているのでメガネ全体としては現代のスーパーカーっぽい雰囲気になったと思っています。重厚感があり存在感強めですが軽快さが全て失われたということもなく、良い感じです。

2年ほど着用したフレームにも、黒マットの眉を乗せました。黒マットにするとあれですね、眉のカッティングのラインが際立ちますね。スッと左右に延びるのがよく分かります。それでスーパーカーみたいに見えるのかも。クリアや光沢ありのときは、ここまで正面視での眉のラインに目が向いていませんでした。

全部重くても軽くても良いですし、どこかを重くどこかを軽くでも良いですし、ぜひお好きにどうぞ。それこそ、上の2年着用のメガネは、眉がクリアグレーのときはライトブラウンのレンズでカッコいいなぁと思えたんですけど。黒マットにした途端、個人的には鮮やかな青とかで軽快さを足したいなと、結局バランス取りたいなぁとか思いはじめています。

 

重い腰が軽くなった今日このごろ
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.09.07

テンプルを交換しました。ケーブルテンプルオンリーで展開しておりましたが、モダン付きのテンプルも作ってみました。とりあえず各1本ずつ製作です。

最近の90年代ブームだったりY2Kブームだったり、何となくざっくりの所感としまして、着想源が古ければ古いほどカッコいいというわけでも無くなってきたということでしょうか。それとも元気なアラフォーの実感のある最も古い着想源としての90年代〜Y2Kということなのでしょうか。個人的にこの流れは、あの頃のミニ四駆がトミカになったり、楽しいことばかりで嬉しいですね。

今回載せました枠無しフレーム、もう4年か5年前?の開発の段階では、まさに古いほどカッコいいという価値に則ることを目指しておりました。80年代のフレームのブリッジからサンプリングをスタートしまして、あれこれ変えながら、完成の雰囲気が30年代のアメリカの枠無しメガネになるように、近代メガネの黎明期にあたる時代のフレームになるように作りました。古ければ古いほどのルールですね。

それから4・5年経ちまして、むしろ4・5年しか経って無いんですけど、世の流れも変わってきておりますし私自身の感覚も変わりました。ケーブルテンプルじゃ無くても良いかなと思えるようになりました。プラスチックパーツがある方が90年代のツーポフレーム感があります。ヴィンテージっぽいガチ感が薄まってライトな感じが今は逆に良いのかなと。そのバンドが好きだからバンドTを着るのでは無くて、知らないくらいで着る方がなんか良いみたいな感じですかね。

余談ですが私は、バンドTは着たことありませんが2年くらい前のユニクロの黒のロックマンTは着ています。でも実は、ロックマンはやったことがなくて、ロックマンX以降しかやったことがありません。

 

まずご紹介するのはブリッジもテンプルもサンプラチナVer.です。レンズは小さめのボストンで、ヴィンテージっぽい雰囲気を完全に除いたわけでは無いです。

特にこの完成が見たくてテンプルの付け替えを行ったんですけど、パッドと先セルをクリアにするだけで、一気に清涼感が足されて良い感じなんですよね。この手法は今年の上半期で925のカットリムに施したあれと同じです。あれの反響が大きかったですし、私もあれはとても良いなと思っていました。思いっきりスコーンってめちゃくちゃ爽やかに軽快にしてしまうのもアリだなぁと、あれで感動したことをこのフレームにも活かしております。

 

K18YGのブリッジとサンプラチナのテンプルVer.です。パッドも金無垢で作っています。レンズの形を細長い、サンプリング元の形に戻しています。ということで全開に90年代〜2000年頭の雰囲気に引き戻したのがこちらです。金と銀のコンビが、バブリーな90年代感を引き立てています。

とはいえ、レンズサイズは元々より横幅で5ミリ小さく49ミリで製作しており、完全に90年代に引き戻す手前に仕上げております。今いる地点がアメリカやフランスの大戦前後のヴィンテージの復刻等々でたどり着いた地点であるということから、レンズが小さくちいさくなりきったところから、さて今後はどうしよう?ということを踏まえての判断でそうしてみました。

K18ローズゴールドのブリッジと、サンプラチナのテンプルのVer.です。

これは、開発時の玉型のままです。ボストンとティアドロップが混ざったような玉型で横幅46ミリです。

趣を変えて、クリアグレーの先セルにしてみました。クリアで揃えても良かったんですけど、ピンクにグレーってメガネに限らず良い感じの色の組み合わせかなと思いまして。ローズゴールドの落ち着いた雰囲気に合わせて、軽くなり過ぎない先セルにしてみました。

もちろん横もピチっと合わさっています。

この前のペルソールと同じで、クラシックに突き詰めるも良し、このモダン付きのテンプルでちょっとライトにするも良しですね。いかようにも出来ますから、あとはお任せします。

リム前面のみ
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.08.10

銀無垢の新製品ですが、当初は2型2色の4パターンでバーンっと発表してインパクトを出す予定でしたけど、塗装がズレて入荷ということと、私も発表を待ちきれない我慢できないということで、順次フワッとぬるっと発表することになりました。それで塗装バージョンが届きました。

銀無垢に対して、初めて塗装をしてみました。お試しで流行りの黒マットです。

製作に関して、メタル版ジャックデュランを作るということが念頭にあったと、以前のブログに書きました。あの記事で6,000字くらいあって、どの辺に書いたか忘れましたが。その要素を強めようということで、リムをマットにすることで光沢を抑え、より控えめなメガネが作れるのかなという算段です。

全体的にぺったんこな作りですが唯一ブリッジに段差があり、リムが落ち込んでいます。塗装でそれを強調してみました。ブリッジは銀無垢(白色)で光沢有り、リムは黒でマット光沢無しです。このアクセントをつけることで、ぺったんこなのに立体的でボリュームを感じられるようになったと思います。色と光沢の二つの対比が上手く作用したように思います。

それに、流行っているなら取り入れない理由はないですからね。ただし、全体を黒マットにしてしまうのは素材と素材を活かした作りであるフレームに対してどうなんだろう…という懐疑がありましたので、リムだけにしております。

せっかくの塗装であることと、せっかくの銀無垢であること、そしてせっかくならリムとブリッジの谷間が燻されていく変化の余地は残したいということで、リムのオモテ面だけに塗装してみました。これは好みで変えられまして、従来通りリム3面全部に塗装も可能です。

どこに着眼するかなんですけど、パーツが強調されて、より力強いメガネになった気もしますし、全体の光沢が抑えられて掛けやすい世を忍びやすいメガネになったのかもしれません。お好みでどうぞ。

薄リム
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.08.09

更新が開いたので、結構忙しかったのかもです。

サンプラチナの比較です。塗装があるので分かりにくくなっていますが、リムの幅が異なります。

上がMI-0901で、下がMI-1076です。この1076が今年出ていたフレームで、玉型とブリッジが同じでリム線が細いタイプです。

細かいところでは、パッド足の取り付けが違いました。

品番忘れてしまいましたが、リム線の比較。細いです。

多角形の場合は、お好みで多角形の面白さを厚いリムでバーンっと主張しても良いし、他人とちょっと違うと薄いリムでこっそりと主張しても良いですね。

チョップドルーフ
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.07.27

銀無垢の新製品ですが、玉型が二つあります。オーバルと半月型です。

有難いことに、元々はオーバルしか考えていなかったものの、ほかの玉型も作りましょうと提案していただきました。そこで、自分から一番遠いメガネを作ろうということで半月型のリーディンググラスにしました。近視の男(自分)のメガネでは無くて、遠視の女性をイメージです。もちろん男性が掛けてもめっちゃカッコいいんですけどね。

あとは、せっかくブリッジがご馳走なわけですから、全部見せたくなるよねって、そんな願望も生まれて当然だなということで半月型にしました。

リムとスタッズの緊密さが際立ちます。強いリーディンググラスってあんまり世に無さそうで良いですね。度数とか用途を無視すれば、個人的には半月型がよりカッコいいと思っています。

あとは、元ネタがラウンドとオーバルの組み合わせで存在しております。

正直、ラウンドもオーバルも人に与える印象としましては結構近いのかなと思っています。新商品で並びで見たときに、もっとインパクトが欲しいなあということで、車の天井を低くするとカッコいいという文化を知ったので、それを転用してみました。チョップドルーフって言うらしいです。オーバルをチョップして、遠近の遠を切り落としたイメージで作りました。

実際には女性の平均pdと近用であること、さらにプラス度数での外形指定で薄型加工を全開にすることを考慮し、オーバルが48ミリで半月型は45ミリです。

新製品(925)
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.07.27

大変長らくお待たせ致しました。銀無垢メガネの新作です。

案自体は割と前から持っておりました。寝かせておいたおかげで良いタイミングでの上梓となったと思います。ブリッジの感じとオーバルレンズのおかげで、フィンチメガネっぽい、今までのメガネの傾向であったクラシックの流れを程々に受け継ぎつつも、ちょっと流れを変えて90年代っぽい大きめなレンズで優しい雰囲気のメガネになりました。今っぽい横長メガネとも捉えられそうです。

装飾は控えめにブリッジ上部とテンプルエンドのみです。掛けると、分かりずらい箇所に意匠が込められています。パッと見て、普通のメガネに見せたかったんです。銀無垢で値段も高いですから、すぐに流されるような物にはしたくないですし、そうしてはいけませんから、その観点からもパッと見で普通を目指しました。

色々な生活があって、色々な職場環境があって、ファッションの要素をふんだんに込めながらも仕事にも使えるメガネを作ったつもりです。例えばオフィス等の内勤でもギリギリバレずに掛けられるのでは、というラインを狙いました。それがちゃんと実現出来ているか、出来上がったいまは心配です。

毎日がオフであるさすがの私も、保育園の送迎やお迎え、区役所に行ったり病気なら病院に連れて行ったり、世間と交わる機会がめちゃくちゃ増えて(それで店を休みまくっていますが)、自分一人なら良いけどメガネが目立って私の近傍にいる人が悪目立ちしないようにしなくてはなぁと思う機会が増えました。休みの日で公園等で遊ぶとなれば、遊びのエクストリーム具合に依っては銀無垢のメガネを掛けることを諦めて、TR90のメガネを掛ける機会も出来ました。

結局、一番自由にメガネが安全に気兼ねなく掛けられるタイミングは仕事中じゃないかなと。そして私を含めた多くの大人は、おそらく仕事の時間が人生で一番長いじゃないですか。そしたら仕事にこそ掛けていきたいメガネが例えばコレであって欲しいですし、所謂オンのときに躊躇なく掛けられるようなメガネにしたいなと思いました。今までの一山のシリーズとそのパッド付きが該当しますが、それよりはやや攻めの姿勢で、でもやり過ぎない、それを狙ってみました。

このメガネのこっそり充実感で、仕事を含む出来れば全ての時間がスペシャルになることを願っております。

 

 

 

出来上がった物が良く見えなくなってしまうかもしれないので、もうこんな感じで書くのをやめようかなとか考えましたが、結局いつも通り以下で残しておきます。実際の開発の動機付けや道のりは以下の通りです。

MIZで出るということで、この数年私はかけうどんを作ることを意識しています。ブルバキらしさの消去です。今回はある感動からスタートして下記で挙げた2方針を満足させつつ、一見普通な感じのメガネを作るということでして、何だかんだでたぬきうどん?くらいなメガネが出来ました、という感じです。しかも今まで携わってきたラインナップに無い、普通っぽいのに、まさにトゲがあるメガネです。

 

一部のお客さんにはお伝えしておりましたが、構想自体は2021年の8月、メガネ大学という鯖江の組合主催の工場見学イベントで、せっかく製作現場を見せて頂いたからとその場で仕入れをした、銀無垢のツーポのメガネからスタートしております。まずは、ここで遭遇したテンプルエンドへの感動が着想源です。

そのツーポのメガネのどこが気に入ったかと申しますと、なんと言ってもテンプルエンドなんですよね。幾何学的な意匠で、なおかつ立体的でめちゃくちゃカッコいいなぁと感動しました。MIZのメガネは、貴金属なのに工業的な仕組み・構造が組み込まれている面白さがありますが、貴金属のメガネにジュエリー的な意匠が乗っかると、改めてめっちゃ良いなぁと感動しました。今までの製作で避けていたことでもあります。そして、このテンプルエンドを活かしたメガネを作りたいとその場で直感し、サンプルが無くなっては困るということもあり、コロナイヤーでめっちゃキツかったんですけど仕入れをして、店で陳列しておりました。

2024年のいまは、ジェントルモンスター的なメガネがファッションのフロントに立つようになり、Y2Kな細くてスタイリッシュなツーポがカッコいいと言って頂ける機会も増えました。ただ2021年の段階では、クラウンパントやアーネルみたいな物のピークだったこともあり、広く多くの方に見てもらうには少しの改編が必要だと感じておりました。この段階では、テンプルエンドにあのブリッジを組み合わせることを思いついておりません。テンプルエンドへの感動と、それを活かしてなんかしたい(未定)くらいな感じでした。

ただ2021年のブルバキといえば、銀無垢のサーモントの開発の話が通ってはいるが、進展がない状況でした。その状況で、このテンプルからなんか開発をしたいという話をしたときに、銀無垢のサーモントの話が後ろに後ろに流れてしまわないか心配になりました。そのため、サーモントの開発が終わるまでは、このゼルダの伝説みたいな(トライフォーステンプルとします)を開発の軸としたメガネの製作の話は一切しませんでした。あのときはカッコいいよりも、まず、大げさに言ってしまえば人類はここまで出来るぞという到達点を示したかったんですよね。銀無垢のメガネの複雑さの極限と質量の極限を実際に目にしたかったんですよね。あと、サーモントが出来たときに書いたブログにあるように、アメカジの文脈云々も理由としてあります。

それで色々形になって落ち着いた2023年の10月、IOFTのときにトライフォーステンプルを活用したトゲトゲメガネの開発を打診しまして、今日に至っています。やりとりがあれこれあり、図面の完成が2023年の11月21日です。

今回の開発は、トライフォーステンプルの感動からスタートしました。それがここまでの内容です。では、そのトライフォーステンプルに何を合わせるか?つまりなぜこの結果としてのトゲトゲメガネという姿になったのかを書きます。トゲトゲブリッジの選択プロセスと、メガネ全体の雰囲気(方針)の決定プロセスを以下で書いていきます。あまり方針なんてものは立ててもしょうがないので、今回は2つにしました。

答えだけ書くと、トゲトゲブリッジを合わせることは、たまたま思いつきました。それで全体の方針はジャックデュラン的かつクロムハーツ的なメガネという相反するような2方針です。

結局2021年にトライフォーステンプルに感動したものの、それをどうしたら良いのか思い浮かんでいませんでした。ちょっと曖昧ですが、確か2022年の8月くらいまで何も思いついていなかったはずです。2022年というのは結構あれこれあった年で、銀無垢の商品でいえば2022年末のオール銀無垢のサーモントの完成の前に、セル眉のサーモントが完成しております。それが2022年の7月です。

それで、セル眉の銀無垢のサーモントを買って頂いたお客さんでしたか、その8月にカットリムの銀無垢を買って頂いたお客さんでしたか、ブルバキの次どうします?みたいなことを尋ねられまして、ヤバイなんも考えていないなぁとか焦っていたところ、なぜかとっさに閃きました。カミナリが落ちて、脳汁が出ました。コレだ!と。

作業場横のショーケースに飾ってあるゴルチエのフレームなんですけど、何度もなんども目にしていますし、レンズも自分で変えて何度も触っています。テンプルの飾りに気を取られてその時まで全く気にしていなかったはずなのに、次なに作るか?みたいな問いかけで「トライフォーステンプルを軸に何かしら作りたいですね」みたいなことを話しながらふと目にした瞬間に、このブリッジめっちゃカッコ良いし、トライフォーステンプルと相性バッチリじゃん、そもそもこれが銀無垢ならそれだけで最高じゃんと、本当にカミナリが落ちたんです。確かお客さんともその場で、それは良さそうと盛り上がった記憶があります。

そうしてブリッジもテンプルエンドもトゲトゲなメガネを作ろうという何となくの概略は浮かんできました。ただ、それだけでは弱いです。もう少しメガネ全体に関する方向付けがなければいけません。その青天の霹靂から開発のスタートまでさらに1年くらいありますが、その間はひたすら頭の中で転がします。転がすというのは、常に考えているわけでは無いんですけど、暇があったらたまに取り出してあーでも無いこーでも無いと、頭の中で会議させておくみたいな感じです。

トゲトゲブリッジを観察して、ざっくり二つの印象を持ちました。それがそのまま2つの方針に繋がっていきます。一つは見た目通りぺったんこだなと。これがジャックデュラン的だなと。そしてもう一つは切断したスタッズの指輪みたいだなと。これがクロムハーツ的だなと。

一つの目のぺったんこな印象を頭で転がしていたおかげで決まった方針として、全体の雰囲気をジャックデュラン的にしようというのがあります。

2023年の4月3日に、坂本龍一さんが亡くなられています。そのときに、水島眼鏡さんのインスタに追悼ポストがありました。それをみて、晩年の坂本さんはジャックデュランのメガネがトレードマークになっている印象がありましたが、MIZのメガネを掛けて欲しかったなぁと思ったんですよね。工場の人間では無い私が勝手になんですけど。そのジャックデュランというのは、フロントがフラットで、テンプルエンドの裏が立体的で畳の姿が綺麗で、装飾が最小限でとにかくカッコいい訳なんですけど。普通じゃ無いのに普通の極致みたいな。だったらそれのメタル版を作ろうじゃ無いかと方針が定まりました。《方針1》

この方針をもとに、レンズシェイプとレンズサイズ、また智の選択とテンプルの装飾の決定が行われております。レンズはサンプルに近いオーバルが、あの雰囲気が出そうということで決めました。オーバルの48ミリです。智はいつもの通りスパルタ智呼ばれるものですが、形状はオーソドックスな丸いものです。一山の銀無垢のフレームたちに組まれている、凹の曲線が美しいちょっと厳つい雰囲気の一個智ではありません。

優しい雰囲気に、そして《方針1》からテンプルは柄なしにしました。智の選択においては、智の部分にスタッズを配置することも検討しましたが、それは《方針1》に反するのと智を飾るのはブランドの仕事であろうと思い至りまして、プレーンにしました。先ほども書きましたがMIZ名義で出す以上、私の役目はかけうどんを作ることです。各方針よりも上層に、かけうどん的メガネを作るという大方針があります。そのため目立つ箇所には何も配置しないことに決定しております。とか言いつつたぬきうどんくらいになってしまいましたが、かき揚げはのせていないつもりです。先ほども書いたとおり、《方針1》と普通を意識してメガネを作るというのは重なる部分があります。

 

もう一つの指輪の切断という印象のおかげで決まった方針として、銀無垢のサーモントに引き続きクロムハーツがこういう銀無垢のメガネ作っておいてくれたら良いのに第二弾を実行しようというのがあります。

2023年の8月末にクロムハーツのフレームで、オールチタンのオーバルのメガネのお持ち込みがありました。それもちなみにオーバルの49ミリで同じくらいのFPDでした。それがすっごいカッコ良かったんです。そして私はスタッズの指輪の切断が、それこそクロムハーツの指輪の切断に見えていたので、じゃあ銀無垢で指輪の切断モチーフのブリッジでオーバルのメガネを作ろうという方針が決まりました。《方針2》

《方針1》と《方針2》は、ちょっと矛盾する部分があるようにも見受けられます。そこをまとめ上げて解決することが、今回のトゲトゲメガネのゴールです。絶対矛盾の自己同一のためには、《方針2》の適用が鍵となりそうです。

《方針2》をどのように適用して意思決定をしたかと申しますと、ブリッジにボリュームを足すということに変換して適用させました。このときに、解決策としてそれっぽい具体的なモチーフをのせてしまうと、ただのニセモノになってしまいます。そして特別な模様等を乗せる行為は《方針1》に反してきます。なので、何か特別な柄をブリッジに乗せるとかでは無い《方針2》の実現が求められます。

そこでクロムハーツの良さといえばということで、あれこれありますけど、一つはとんでもない質量という点が挙げられると思うんです。質量による迫力ですね。ただメガネとしての質量のマックスは前回のオール銀無垢のサーモントで実現しておりますから、ある程度の質量をプラスで持たせるということで、《方針2》を実現します。迫力が出過ぎるとそれで付加される印象だけで《方針1》を脅かしかねません。

ブリッジを単純に太くすべきなのかどうなのか…と考えた末、結局のところ自分では解決策が思い浮かびませんでした。ブリッジを太くすると、リムとの関係を気にしなくてはいけなくなります。リムが太くなると、智との関係が…と連鎖します。下手すると全部が太くボテッとして野暮ったくなり、カッコ良く無くなってしまうことが予想されます。

そこまで考え尽くして自分では思いつかないのであれば、あとは頼ろう(そもそもいつも頼っている)と、2023年10月のはじめての開発の打診の際に「ブリッジに迫力をもたせたい」ということだけをお伝えし、あとは寝て待ちました。その返事がまさに果報でして、上がってきた図面がスーパーウルトラハイパーマーベラスな解決策で、それも感動した覚えが残っています。

端の処理が変わり、リムに覆い被さっています。それだけでゴツさが加わって迫力があります。使用による変化でリムとの段差に黒ずみが加わると、より一層立体感が加わって良さそうです。この解決策のすごいところは、ブリッジの太さ、幅が変わっていないところです。

逆に言えば、サンプリング元の金色の方の凄さは、終端の処理を上手い具合にすることで、細く華奢に見せつつ、最後までスタッズが続いているかのように見せているところです。金色で細くて、ちょっとエレガント路線だけど、上から見るとスタッズで実はちょっぴりスパイスが効いているのが元ネタです。

端の処理を変えたことで、スタッズとリムの間が空いてしまったのでスタッズの数を左右1個ずつ増やしています。リムと飾りが緊密である方が吸い込まれるような感じが強く演出されて、見ていてドキドキするかなと思いまして。それもこれも、あの覆いかぶせる処理を思いついて頂いたおかげです。元のヴィンテージの印象のまま銀無垢になった雰囲気もありますし、ボリュームが増したことでエレガントな感じが薄れて男臭くなった雰囲気もあります。元々上手く処理してあったものを、上手く処理していない風にゴツく荒っぽく、上手ずに解決・処理して頂きました。それがカッコいいのかなと感じています。スタッズのトゲの一つ一つが割と鋭いのもカッコいいポイントだと感じます。

 

おおよそこんな感じで開発が進み図面と言いますかディテールは詰めていきました。2023年の11月に図面のオッケーを出したものの、結局智とテンプルの決定が良かったのかどうか、時間があるとまた頭で転がしてしまうんですよね。ウジウジと悩んじゃうんです。そのときに自分の生活を振り返りつつ、これまでの銀無垢の開発で出来たことと、逆にまだ出来ていないことを考えて、これこそが程よい意匠を持つ普通のメガネだなと思い至り、これくらいのトゲトゲの散りばめ具合で決着しております。

あっさり系
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.07.20

玉型変更と、先セル交換をしてみました。

ヒルトンクラシックの四角から形をとりました。ヒルトンクラシックじゃ無くても良かったんですけど、ちょうどいいサイズのウェリントンの玉型がそれしか無くて、そこから作りました。

前回はオーバルで横長を作りました。それでもっと細長い、カクカクの四角にしようかなとか、キャットアイのツーポにしてみようかなと考えもしましたが、レンズの掴みの問題がありまして断念。そもそも皆んな細長くなりたいわけでも無いので、ウェリントンのツーポにしてみました。

あっさり良い感じです。

訂正と訂正
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.07.16

銀無垢のサーモントの改造で2つ訂正。

一つ目はシープホーンではありませんでした。あまりにも柄が無くてツルッと綺麗で、メーカーさんも私もバッファローホーンで頼んだけどなぁ…みたいなっていましたが、これもバッファローホーンでした。

最初ヒビ割れが起こりにくいシープホーンで話を進めていましたが、最後にやっぱりバッファローホーンでって決め方をしてしまったので、思い返せば私がいかんかったですし、シープホーンもまじまじと見たことが無かったので、それもまあ良いかと思っていたところでした。本日、職人さんに連絡がつきまして、これもバッファローホーンとのことでした。

前回、恥ずかしくも光沢云々書いちゃいましたね。ただ、光沢と関係無いかもですが、バッファローホーンでも黒っぽい柄の多い箇所と今回のつるんと乳白色の柄なしの箇所ではヒビ割れの起こり方が異なるようです。今回のつるんと乳白色の方がヒビ割れが少ないらしく、お気遣いで良い方を使って頂いたみたいです。それがさらに功を奏しまして、題材としたヴィンテージにますます似る結果に繋がっております。

緑のレンズにしたら、先セルや鼻パッドがベークライトっぽく見え始めてきまして、さらにヴィンテージの見た目ですね。ということでつるんと白いバッファローホーンも大変良かったんですけど次こそは、出来るだけ黒かつまだらな“ザ・バッファローホーン”も見たいところです。

シープホーンで一旦検討したのにも関わらずバッファローホーンに変更したのも、逆手にとらえてヒビが入れば入るほど摩擦が強くなってメガネが下がりにくくなるという実用面と、ピカピカの銀とボロボロのホーンとの対比が最終的に美しいのでは無いかという美観の面と、両方で良いことづくしじゃんって思い直したのがきっかけです。

 

いつも来て頂いているお客さんのフレームで、リガースのバッファローホーンで10年以上使用フレームを拝見したことがあります。これは何度も当店でレンズ交換をして、今年の1月末にも交換した際の写真です。

ヒビは多いですし、リムはレンズに沿って裂けている箇所もあります。ただ、変な表現ですが裂け切らない、割れ切らないので、使おうと思えばどこまでも使えるんだなぁと、このとき思ったんですよね。

これは私の、13年くらいほぼ毎日使っているベルトです。年間300日以上は着用していると思いますが、13*300で3,900日くらい使ってこんな感じです。

まぁその、自分以外はきったねーで終わるものなんですけど。朽ちる寸前で粘る革と、いつまでも型崩れせず光る銀の対比が美しいなぁと思っていまして。ふと、これをメガネで出来ないかなと思い、バッファローホーンを選択しております。

 

訂正二つ目は、パッドの取り付け向きが逆でした。本来は下が幅広です。

バッファローホーンで鼻パッドを作る前に、プラスチックで何とかしようとした歴史があります。上のパッドが、汎用品の大きめのパッドなんですけど、どれもパッド下が細くてシュッとしているんですよね。この銀無垢のサーモントを夏にも掛けこなすには、超しっかりとした土台を作る必要がありました。これらパッドではイマイチでした。

70年代のHOYAニュースから。度数s-6.00のガラス1.80の重さ(理論値)で31.2グラムとあります。凹レンズであれば、加工して一番厚い部分から削れていきますから、例えば重さが半分くらいになったとしても、組みで30グラムかそれ以上を着用することになります。そういう時代があったというのは励みになりました。パッドおよび先セルを大きく作れれば、とりあえず解決出来そうだと。まさに銀無垢のサーモントの眉部分の重さが、左右ペアでそれくらいの重さです。

そこであれこれ調べていただきましたが、プラスチックで鼻パッドを新規で作るのであれば、金型+ロット(4桁)ということで、さすがに高すぎて一旦頓挫します。

たまたまプラスチックでの製作の値段が分かったタイミングくらいで木のフレームを扱うことになり、木の摩擦とメガネの掛け心地の良さに度肝を抜かれ、天然素材の良さを実感します。そして、いっそ高いなら天然素材でオーダーで改造をしようということになりました。

元ネタとほぼ同じ大きさです。縦幅が21ミリで、汎用品のマックスが19ミリですから、超デカイです。尚且つ下が広いです。

あれこれフィッティングの向上のために改造しましたけど、見た目がさらに良くなったことが一番嬉しいです。フィッティングの安定感も鑑みて、これでようやく製品になった気もします。

銀無垢のサーモントはかなり高額であったため、参考上代からディスカウント入れて販売しておりましたが、改造を入れて元のそれくらいの値段になりました。

習作 サンプラチナ
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.07.13

サンプラチナのツーポです。パッドとブリッジが続きになった、マンレイ山のタイプです。

トップ画像の上が玉型変更と先セルをクリアに交換して改造した習作で、下がオリジナルです。ざっくりイメージですけど、習作は90年代風でオリジナルはY2K風です。

店は “Yes” か「はい(出来ます)」の二択が基本なので、物理的に無理以外は、まずやってみようの精神です。製作のネタはいつもお客さんから頂いておりまして、30年代のアメリカ的なレトロなツーポではなくて、90年代のツーポが良いなぁというご要望から製作がスタートしております。本番は連休明けに取り掛かる予定です。

このツーポのフレームなんですけど、レンズ掴みの爪がやや太いため、レンズ保持の調節がし難いです。オーバルといえど、カーブの浅い深い様々ありまして、掴みが合致して良いポジションでレンズがセティング出来るかどうか、またそのときのレンズの泣き笑い(角度のこと)が適切に持っていけるのか。あとはブリッジと腕の関係とか、腕の角度とか。あれこれ不安だったので習作を作ってみました。

畳みの姿も綺麗で、そのまま玉型変更がすんなり出来ました。これもめっちゃ良い感じですね。ちなみレンズはAOの古い型板からトレースしています。鉄のがそれで、横幅36ミリです。店の加工機では10ミリの拡大しか出来ないので、一旦46ミリの型板を作り、そこから目標の49ミリを作りました。何度かトレースして形が崩れる、ラインが乱れることを心配しておりましたが、大丈夫そうです。

参考にしたのは金と茶色のフレームです。それこそ90年代のアルマーニのフレームで、サイズ表記は49□20でした。デモレンズがはまっておらず、ややレンズが型崩れしています。それでアルマーニからトレースするのは諦めて、勘で鉄のアレが近いかなということで、あの板から49ミリのオーバルを作っています。仕上がりはアルマーニとほぼ同じ縦幅でして、大きなイメージのズレも無さそうで安心しました。

現在確認中
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

24.07.12

改造されて帰ってきました。

改造の内容としましては、特大鼻パッドと極太先セルの角による別作でした。

バッファローホーンとシープホーンでいけるみたいですが、ちょっと確認中です。今回はシープホーンで届きました。めっちゃ綺麗です。シープホーンは、ヒビ割れが少ないみたいです。バッファローホーンの価格は、製作可否も含めてこれも確認中です。

シープホーンというと、メガネ業界的には中村勘三郎フレームのイメージ。ヒビ割れが少ないとのことですが、たしかに見た目もスジが少なくて滑らかですね。あと、バッファローホーンより光沢が強い気もします。トロトロ感が強いです。銀の燻に注目すればバッファローホーンかも。銀の光沢に注目すればシープホーンかも。

トップ画像の通り元ネタのヴィンテージのアルミサーモントに、極太先セルと超デカ鼻パッドがついておりました。そのイメージで作成していただきました。

そろそろ1年経ちますが、夏場は汗で摩擦がゼロになります。さすがに掛け続けるのはしんどいということで、あれこれ模索しておりました。結果、ホーンでメガネを作る職人さんに繋がりまして、改造出来ました。ズリ落ちは面積と素材による摩擦の増強で。荷重による耳の痛みは、先セルの厚みを増して接地面の増加で解決できました。

めっちゃ掛かります。めっちゃソフトなあたりです。特に鼻パッドの立体形成の吸い付く感じが良いです。あとは、滝汗のときにどうかの確認ですね。それは梅雨明けしてからとなりそうです。

見た目も、太い細いのバランスが取れて一層良くなったのかなと。

ちなみに、バチ先のテンプルエンドで6グラムでした。先発の一山の銀無垢のフレームたちが大体総重量20グラムですから、あれらだと3割くらいがテンプルエンドで締めていたことになります。しかもフレームの下の方にバチ先がありますから、一山のフレームに対してはバチ先の重みの恩恵は大きかったのだと、今回の改造でよく分かりました。

また逆に銀無垢のサーモントにおいては、眉の部分だけで左右合わせて30グラム程度あります。見た目から勿論なんですけど、それが相殺出来るほど重くは無かったということが、改めて判明しました。

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