カテゴリー:修理とメンテ

下準備
修理とメンテ

23.09.19

サーモントの枠入れです。CEマークあるので、それなりに新しい物ではありますが眉毛パーツがリムに掛かっています。鼻側の引っ掛けるためのピンが斜めにズレているので、生地が縮んでインコースにはみ出した感じでしょうね。

上が処理後、下が処理前の写真ですね。

いまのところs-7.00くらいの強い、縁が厚いレンズが入る予定ですから、先回りで対処しておきます。

反対側の処理後です。

鼻側もハミ出しの処理後のみ載せています。

とりあえずはここまで。これでうまく入れば良いんですけど。元のフレームカーブが4か5カーブくらい、おそらくレンズのベースカーブが0.5か1.0カーブくらい。リムへのはみ出しを削りつつ、フレームカーブもついでに落としています。眉毛パーツがそこまで柔軟に真っ直ぐならないんですよね。それに真っ直ぐにしすぎると、フレーム側のネジ穴と眉毛側のネジ穴がズレますし。今回は頑張って3カーブくらいまで落とせたと思います。

ベースカーブが1カーブくらいのレンズを3カーブくらいのフレームに枠入れすること自体は簡単で、どこでも行われていることなんですけど、眉毛パーツのことまで考慮してとなるとやや難しいです。

ヤバい図ですみません。青が理想的な切削のラインですかね。

もしフレームも真っ直ぐで眉毛も真っ直ぐなら、レンズの薬研も真っ直ぐ削って、その薬研位置は出来るだけ前面にしておけば良いです。厚みを極力後ろにもっていくという方が分かりやすいかもです。今回の下準備で、眉毛パーツの“後ろ側”のリムへの干渉は取り除いています。

眉毛パーツの後ろ側のみ干渉しそうな部分を取り除いているのは、眉毛パーツの前側を削る行為にフレームの雰囲気を変えてしまう恐れがあるためです。最終的に必要であれば行いますが、最小限にしたいです。

レンズの縁厚があるので、フレームを鑑みて実際に削るのが赤いラインです。車のout-in-outみたいに、後-前-後の軌道をとれば、レンズ前面が平らでも問題なくカーブを描けます。例えば加工機のオートモードも、多分レンズとフレームの良い塩梅くらいでこういう曲線を描くと思います。そうしますと、レンズの縁同士、赤いラインからレンズ前面にかけての余白が多くなります。つまり、レンズの前面も干渉するかもという懸念が湧きます。湧きますけど、先ほどの通り眉毛パーツの前面の切削は雰囲気を変えてしまいますから、とりあえずは本番のレンズを削ってのお楽しみにしておきます。

極端でめちゃくちゃな図なのであれですが、この差が出ます。

あとは、チルトとか色々あるんですけどそれ書いて誰得?みたいな感じになるので終わります。

フタ
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23.08.09

鼻パッドのアームが折れています。

修理となりますと、まずは元通りに戻すという方針が立ちますけど、アームを溶接しても強度が無さそうなので復元は諦めます。次に、アームを取り外していい感じの新しいアームを取り付けることを考えてみます。

ただ、アームの取り付けは一回限りの想定です。張り出しのある杭の埋め込みですから、取り出すときにえぐれます。おそらくガバガバ。穴を塞いで、そこにまた適切な大きさの穴をあけたうえで再度アームを埋め込むとなりますと、結構大がかりです。時間とか手数が増えれば費用もかさみます。

そもそも、ある程度使用したセルフレームという条件を鑑みますと、再度の穴明けでの予期せぬ亀裂が一番怖いです。より壊れちゃうみたいな。俺がトドメをさしておきましたみたいな。ということで、今回はアームの取り替えをやめました。

前々から考えていた手法ではありますが、実際にやるのは初めてです。修理でというより、セルのフロントで鼻パッドのアームがあるのが気に入らない方に対して、セルフレームっぽい見た目に改造出来ますよと。

結構土台の余白が少ないかつ、元々のえぐれが広範囲な為、穴埋めをしつつ鼻盛りを被せていますけど、上の付け根からちょっとだけ元々の穴のあった痕跡が見えています。それだったら金属の土台を引っこ抜かずに、アームをニッパーで除去した後に金属の残りとセルの土台と面を合わせておいても良かったですね。

枠入れ
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23.07.12

お持ち込み。レンズは入るんですけど、1発踏んでしまっているのかリベット周辺に亀裂があるのと傾斜が左右でズレています。反対側のテンプルは、近いカラーの別フレームから移植されたテンプルでした。

テーブルタッチテストをして、とりあえず4点がついているので水平には戻せました。

凝りに凝っている
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23.06.16

ジュニアゴルチエの枠入れ。ワンオーナーでした。みんな良いもの買ってそのまま持っていますね。羨ましいです。

ベースのメタルフレームもゴツくてカッコいいですね。セル部分は、ねじ止めでメタルフレームの裏にくっついています。セル巻きでは無いです。あまり使用していなそうでしたけど、それなりにくすみがあったので磨いてみました。手で持っている方が磨き前です。

横も良いですよね。カットリムの薬研っぽい処理になっています。ちょっとヴィンテージメガネ好き向けの解説になりますけど、この辺の意匠がAOのコートランドを彷彿とさせますよね。ブリッジが上にあるのもそうですけど、特にこのリムの感じが。

 

いまのところベスト
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23.06.12

フルビューのニューモント型のお持ち込み。

このレンズ掴み部分は、現代的な硬い掴みのときの距離感で合わせると、レンズがガタついてすぐに緩みます。板バネでしなるんです。もっとブリッジ側にベタ付けがナイスです。今回はレンズ交換とのことで、ついでに直せました。

このニューモント型は、ネジの入りが3パターンありまして、前から、後ろから、そしてカシメて外せないの3パターンです。何となく、後ろからネジを入れて、フロント前面に切ったネジ先が見えていることが多い気がします。中古を探すときは、レンズの固定方法にご注意を。

それで、そもそも長期の使用や何度もレンズを入れ替えて使用することを想定していなかったと思われますが、とにかくネジの頭が飛ぶ、受け側のネジ穴が広がって締め込みきれない、レンズの厚みが増してネジが足りない、何かしらのハプニングが起こるのがこのフレームです。もはや期待してしまう自分がいます。

 

最近ようやく、これが一番見た目が良い修理ではないかと、たどり着いたのが上の写真たちです。度付きの透明なレンズを入れました。

ふつうに供給されている、1.2ミリのヨーロッパ規格のツーポネジに、1.2ミリの底付きナットで締める方法です。そもそも、ネジ切りがドンピシャでスクリューが全く面から出ていないと、それも緩みやすくなる原因だったりします。例えネジ頭が飛ばなくとも、元のネジ穴が生きていても、その緩み易さやレンズの脱落に先回りで対処したいなぁということで、ネジは交換しておきたいところです。二重に締め上げれていれば、さらに緩みにくいですからね。

あれこれ書きましたが、でもそれはメガネ屋の都合だったりしますので、まず大事なのは見た目が崩れない変更なのか?ということが心配かなと思われます。写真を見てみますと、裏のネジ頭の収まりもなんだか妙に合っていますし、フロント側は少し底付きナットが飛び出ますけど、そんなに気にならないと思います。ヴィンテージの風合いが崩れていないので、オススメです。

 

 

ペルソール
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23.06.05

保管していて、枠が広がってしまったとのことで、型直しとレンズサイズの修正をしております。

印字も綺麗に残っているくらいなので、そこまで使っていないはずなのに蝶番がパタパタする、ネジを締めてもパタパタするということで、コマの具合も調整しました。

とりあえず、幅を140ミリまで戻してみました。撮り忘れましたが、生地が縮んで変形し、薬研とかレンズカーブの具合で腕が閉じることも開くことも共にあり得るんですけど、今回は開ききっちゃうタイプでした。180ミリくらい開いていました。

これくらいの幅にしておけば、平均な150ミリ〜160ミリの側頭幅で、程よくテンプルがしなり、バネによる密着感を味わってもらえるんじゃないかなと思います。

リム切れ寸前なのでは?というくらいにキツくて、レンズを割って取りたいくらいでしたけど、やっぱりレンズの純正の刻印は捨てがたいよねってことで頑張ってみました。

 

コマのガタつきは、何でなのかようわからんですね。そんなに使って無さそうですし、減ったとかそういうことでは無さそうです。

ある程度、蝶番をコネコネして隙間を埋めてみて、これ以上はコマ同士が水平に当たらなくなっちゃうなということで、ワッシャーを入れてみました。

そのままでは径が合わずに入らなかったので、ドリルでツンツンして穴を広げて、すぽっとワッシャーがハマるようにしています。

上の写真で、コマが5個重なっているんですけど上から1個目と2個目の間にワッシャーが入っています。

なんか引っかかっている感じもありまして、蝶番のあがきが優良可の良くらいなんですけど、ネジを締める手応えとガタつきの無さは優という感じなので、これで完了とします。

黒セルへの鼻盛り
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23.04.29

ルノアの鼻盛りしました。

昨年、当店で枠入れしており、やっぱりまつ毛がレンズ後面についちゃうよねってことで、今度は鼻盛りしました。

幅はあまり変えずに高さだけ出したいので、外側いっぱいに取り付けて、はみ出した部分は削るとこんな感じです。

細くて華奢な感じを邪魔せずに盛れたかなと思っています。鼻盛りの主張が強いと、鼻!!って感じのメガネになっちゃいますからね。

J.M.M.
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23.04.03

ついにここにも運び込まれましたね。ジャックマリーマージュです。

色々コンテクストがありますけど、そこに怖気付かずに物を見て触って、直接感じるべきことは、要は日本製のアセテートフレームということです。ここはひとつメガネ屋としてドシッと構えまして、フィッティング上、鼻盛りが必要であればいつも通り取り付けを行います。

 

 

 

取り付け前。モデルによっては、鼻盛りパッドが散斑で本体と共色だったりします。そうしますと、流石に鼻盛りは勿体ないなあと思うところです。今回は、透明のバージョンでしたので、そこは未練なく着手出来ました。

鼻盛りが終わりました。総重量がなかなかありますから、鼻の乗り具合は重要かもしれないですね。例え幅が合っており、オリジナルで下げ止まっていたとしても、もとのパッド面が小さいため圧を感じるのであれば、交換するのも手でしょうね。

カッコ良さの感覚としましては、車のレクサスとか新型のクラウンに近いものを感じました。元々のフレンチヴィンテージのクラウンパントは、角が立ってパキパキで、あれはあれで物の質量が際立ってカッコいいんですけどね。いま作るとなったときに値段なりのゴージャス感が欲しいなとなりますと、エレガントな感じも欲しいよねということになりまして、そうしますと曲線の優美さの出番なんでしょう。そういう、直線的な質量の表現と曲線的な流動体のような表現と、対極の融合が一つのフレームの中で起こっているように感じました。

ここからは余談で。触ったときの勘だけの話ですけど、クロムハーツのメガネと工場が一緒なのかなと思いました。いまはブルバキとして川下の産業に従事しておりますから、本当に触った時に感じた何となくの感想なんですけど。

作りがどうとかいうよりも、例えばメガネに対しての目の付け所が一緒な気がします。この前の話みたいに、ラグジュアリーなメガネを作るとなったときに、着手としては細部の作りからコツコツと積み上げるということになるんでしょうけど、その細部の組み合わせと言いますか、メガネに向ける視線が同じな気がします。同じ目線の違う表現みたいな。もちろん企画の会社が違うんですけど。製造が一部重なるとか、人間で言うところの癖が似ている感じがしたんですよね。まあ気のせいですね。

どちらのブランドのフレームも、是非他所の店頭で見てみると面白いですよ。

鼻盛りの追い込み
修理とメンテ

23.03.24

お持ち込み。既に鼻盛りの改造済みでした。それのブラッシュアップです。

かなり綺麗で、水平面もキッチリですし接着面に気泡も無いです。工業製品の観点からキッチリ綺麗ということですけど、確かに正面視の鼻パッドの迫り出しや、顔につける側の接着剤による面の揺らぎが、気になるといえば気になります。

となりますと、僕みたいな存在の出番と申しますか、時間かけ放題の店ならではの処理を施していきます。

こんな感じです。鼻パッドの余りを削り落として、あとはひたすら磨いています。

607
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22.12.13

カザールのレジェンズです。MOD.607です。自分用で7年くらい前に買って、そのままでした。カザールのレジェンズって良いですよね。現代のメッキの技術は凄まじいので、金具の心配が全く無いわけではありませんが、プツプツしたメッキの浮きとか緑青が少ない気がします。カザールのレジェンズもナイキのエアジョーダンみたいな感じで、ずっと続いて欲しいですね。

削る前を撮り忘れました。これは鼻の部分を削って、鼻盛りの土台を作った状態です。削る前はもっと尖っていまして、鼻盛りの接地面が無かったんですけど、深さ0.5ミリか1.0ミリか、それくらいヤスリで削ると、幅1.0ミリくらいの接地面を設けることができました。この607も問題なく鼻盛り出来ますね。

結構違和感なく仕上がりますね。鼻盛りしないと、鼻に乗せる部分が広すぎて下がり、頬でメガネを支える感じになります。それが不快で、結局使わずに寝かせていました。

もっと早く処置していたら良かったです。鼻盛りしたらいけます。トップ画像に載せましたが、レンズ込みで50グラム超えていますけど割と調子良いです。テンプルの幅が広いお陰で、摩擦でしっかり止まっている感覚があります。ということで607も全然違和感なく掛けられます。

ちなみに、テンプル長が140ミリ表記ですがヨロイが長いので、テンプルも実際は長いです。ネジ穴中心から終端の長さなのでそうなります。普通のフレームだと150ミリくらいの感覚です。まず長さが足りないことは無いと思います。

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