カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

NICOLE
ヴィンテージのメガネ

22.05.20

ニコルのフレームです。もともとサングラスのレンズが入っていました。メガネっぽい方が良いかなと思いまして、レンズ抜きました。

フロントはマット調のクリアブラウンです。磨いて光沢を出し、クリアブラウンにしてもカッコいいかなと思います。とりあえずはオリジナルを尊重してそのままです。

テンプルが太いです。それだけでも物としての迫力が出ます。

なんでこんなにテンプルが太いのか??と疑問に思いつつ、月日が流れていましたが、ようやく分かりました。模様の深さに差をつける為ですね。中の模様が浅めで、枠線が深めです。そういえば、いまのメガネで深さを分けて模様を入れているものを見たことがない気がします。全部深いとコッテリしますし、全部浅いとあっさりし過ぎて物足りないし、これはこっさりでいい感じです。

先セルは特注で、磨いてみて分かりましたがセルロイドでした。矢印みたいな装飾があるのにも関わらず、どうやってピッチリ差し込んでいるのかは分かりません。意外なところにロストテクノロジーがありました。

模様も、なんだかそれっぽくて良い感じです。何を指してそれなのか分かりませんけど、それっぽくて良いです。銀の燻加工みたいな、アンティーク調の塗装の黒が一部剥がれていますが、ベースとなるアンティークゴールドのメッキの剥離はありません。このやれた感じも中々良かったので、一旦そのままです。

サングラス化
ヴィンテージのメガネ

22.04.20

フランスのヴィンテージ。ギュンギュンな凄い角度のバタフライ型ですけど、レイバンのウェイファーラーくらいな感覚で怖じけずに掛けてみたら男女問わず意外にいける気がして、カラーレンズ入れてみました。

イギリスの古いの
ヴィンテージのメガネ

22.04.09

イギリスのヴィンテージです。まん丸っぽいのによく見るとウェリントンの玉型です。この玉型で、この蝶番で、このテンプルの末広がり方で、テンプルエンドがクルンと丸い感じで、いつも同じ組み合わせでみかけます。特定のメーカーの商品かもです。刻印等が無いので何とも分かりかねます。鼈甲のフレームを作っていたメーカーの廉価版的存在とも言われていますが、それも定かでは無いです。

メガネ業界で有名な図鑑です。みんな持っているアレです。アレの30年代のところに、リアルガチ鼈甲のメガネとして紹介があります。おそらく、年代の判定で30年代とされたり、鼈甲の廉価版的なストーリーが付加されるのはこの辺りも加味されているのではないかと勘ぐっています。

石油化学製品であることから立脚すれば、大戦後の50年代という推定の方がしっくりきます。そのように記載のある図鑑もあります。

下の、クラウンパントです。脚注で Imitation tortoiseshell, 1950s と記載があります。そう言われると、そんな気もします。つまり、あんまりよく分からないということだけがよく分かります。

フロントはフランスのヴィンテージ的な、ガラ磨きが少なくて角が残ったかんじです。鼻パッドも、フランスのヴィンテージと同じような、ベースと同じ色で合わせてあります。

腕が面白くて、蒲鉾みたいな断面です。外側はある程度丸みがついていますが、顔側は何もしていない板状です。

このパターンのメガネでしか見たことが無いのが、蝶番です。たしかに鼈甲のメガネで使われそうな、めちゃくちゃゴツい蝶番です。カシメのピンの面が合わせてあります。とくに珍しいこととしてねじ止めでは無いことが挙げられます。ピンの挿入で留めてあり、それも面が合わせてあります。

磨いたり何だかんだするときにフロントとテンプルが外れた方が便利なので、眼鏡屋泣かせな構造です。

なんか良い感じです。見てもらえると多分、確かになんかいい感じだわってなると思います。

ディオール
ヴィンテージのメガネ

22.03.28

ディオールのムッシュです。ブリッジが上の一本だけですが、なんとなく言わんとするところはツーブリッジのゴージャス化およびエレガント化でしょう。そのちょっとバブリーな雰囲気とムッシュであることも鑑みて、80年代と推定しております。

ブリッジが流線型で優美です。そこを目立たせるために左右の腕の作りはシンプルです。智は直線的でコンパクトにしてあり控えめです。全体としてやり過ぎ感が無くて良い感じです。

コンパクトな一個智です。それだけでも見どころですが、ぴったりテンプルが180度で開いたところで合わさります。しっかりと直線を成しています。おそらくディオールの名を冠しているので、当時はその辺をごちゃごちゃ説明することなく、開いたときに違和感なく完成されるロゴの姿で語っていたのだと思います。

このロゴも天才ですよね。しかもメガネの優れた作りによって、ちゃんとした楕円が形成されてブランドロゴが完成するという工夫が仕込まれており、ディオールのムッシュの中でも一際目立つメガネです。

別注品
ヴィンテージのメガネ

22.03.18

日本に元気な時代があったことは眼鏡からも何となく掴めます。サーモントの、鼈甲への改造品がちらほら出てきます。正規代理が受けていたのかまでは分かりませんが、国内で改造を受けていたような話を聞いたことがあります。スニーカーのクロコダイルカスタムみたいな感じですね。

ローデンストックのリチャードの眉・テンプル鼈甲は以前も遭遇したことがあるのですが、白バラ甲の改造は初めてみました。

品格の
ヴィンテージのメガネ

22.03.18

モン(Monb)です。モン全体がこんな感じだったのかは、数を見て無いので何とも言えないです。ちょっと前に紹介したティアドロップとサーモントを融合させたフレームに引き続き、今回はツーブリッジとサーモントを融合させたフレームです。そして、両者に言えるのは限界までボリュームを落とすことで、サーモント特有の掛けると醸し出しちゃう威厳を払拭した点でしょう。

セルでの眉の取り付けをやめて、七宝塗装です。黒ではなく近づくとほのかに分かる程度のラメです。これが効いています。

現代の眼鏡の雰囲気と、70年〜80年代の眼鏡の雰囲気の中間な気がしています。眼鏡自体が80年代なので、多少おかしな表現なわけですが、80年代の眼鏡にしては小ぶりで、控えめで、ギラついていない感じが、今っぽいなと感じさせます。

アーノルド
ヴィンテージのメガネ

22.03.09

ローデンストックのアーノルド(Arnold)です。カチッとした雰囲気の極致です。

バラして磨いたあとです。綺麗なデッドストックは、そう言えば久しぶりかもです。あとは、良いサイズです。

ローデンストックは、なぜか16ミリのブリッジ幅に会社のこだわりなのか、当時の真理なのか何かしらのメッセージが含まれている気がします。ツーブリッジやサーモントといった類のフレームでブリッジ幅16ミリが多いです。レンズサイズが変わっても、だいたいブリッジ幅は固定です。レンズサイズは50ミリから2ミリ刻みで56ミリまでのパターンが多いです。

昨今はこの辺りも50ミリか56ミリか、SかXLか、みたいな発掘状況でして、真ん中のサイズは久々です。

ちょうど、ローデンストックのアーノルドの販促ポスターが店にあります。

ちゃんと額装がしてあり、中に新聞が入っていました。チッソ・公害とか、錚々たるワードが並んでおります。ブリッジ幅16ミリは、やっぱりドイツの方には狭い気がしますけど、この眼鏡と顔の隙間の無さがカッコ良さの秘訣でもあります。お面みたいに、顔の一部を超えて顔になっています。ブリッジが鼻に擦りそうですもんね。日本人だとなかなか起こりえない現象が垣間見えます。

1970年の11月28日の夕刊でした。年代の判定として、金張りの厚みとかそもそものフレームのスタイルとか色々あるんでしょうけど、さらにもう一つ補足できる資料が出てくると嬉しいですね。

なんとなく民放のテレビ欄も載せておきます。

フレッド
ヴィンテージのメガネ

22.03.07

フレッドのメガネです。フレッドがジュエリーのメーカーということで、僕には遠い存在だった為、ヴィンテージメガネのネジネジからフレッドの存在を知りました。フォース10というシリーズで、ロープを模したネジネジと、船の金具から着想された金属パーツが決め手だそうです。

80年代の、無垢眼鏡よりお値打ちみたいな位置付けで作られた、貴金属メッキのフレームです。そういう方向性のフレームがフレッドに限らず乱立していた時代がありました。

確か22Kのメッキのはずなんですけど、ギャランティーカード類が無いので正確に申し上げられないです。

メッキの乗り方が綺麗です。メッキに至るまでの各工程の処理が綺麗でないと均一な光沢が生まれません。そもそもの作りが良い上に、良いメッキが乗るという感じです。おそらくその厚みも充分で、光沢の感じとかぽってりとした質感が、ぱっと見で無垢では無いかと思わせるほどです。

ネジネジは、ブリッジはどの方向から見ても縄です。テンプルは、顔側は平坦です。久しぶりに現物をみて、拡大しながら観察してみましたが、プレスによる模様なんでしょうけど細かく緻密で、尚且つ起伏が激しいので、何回も何回も打って少しずつ模様を出しているのだと思います。ブリッジにしてもテンプルにしても、このネジネジが本当にワイヤーと見間違うほど作りこまれています。

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ヴィンテージのメガネ

22.02.25

ローデンストックの CORSAR ってモデルです。すごい前にも載せたはずです。

金色はおそらく同じ時代の、増永の Koki (光輝)です。これに限らず日本の眼鏡が、ローデンストックに追いつけ追い越せの流れがあったのでしょうけど、似ている日本製のフレームはけっこう出てきます。現代で例えるなら、クラウンパントのフレームがあっちもこっちもみたいな感じです。ローデンストックでリバイバルされているレジェンドシリーズ以外でも、探すとそっくりさんが出てくるものです。

本当に CORSAR のブラッシュアップとして、この Koki が存在したのかはわからないですけどね。どちらも、ただのティアドロップ型のツーブリッジと言えばそれまでで、同じ型式を違うメーカーがそれぞれ作ったというだけとも考えられますから。いずれにしても、形状が似ているのであれば、造りの差が比較しやすく、尚且つ造りの差でどういったカッコ良さの違いが生じるのか調べることが容易そうです。ではさっそく。

ブリッジの取り付け位置が微妙に違います。それも気になりますがブリッジ自体の処理の差が比べるとハッキリします。。左の増永は角を落として滑らかに処理しています。ローデンストックは、ブリッジは角を未処理で、トップバーも板状です。

トップバーを上から見ます。バー自体は、ローデンストックの方が板状で立体感は無かったですけど、取り付けの仕方で、バーがやや突出しています。ブリッジの角のゴツさも合わさって、荒々しくてカッコいいです。ドイツ物ですけど、アメリカのレイバン的な、服で例えるなら軍モノっぽいカッコ良さがあります。対して増永は、リムのカーブとブリッジやトップバー近辺の滑らかさが合わさって、全体で柔らかい光沢を放っています。服で例えるならスーツっぽいカッコ良さがある気がします。

横を比べます。同じくヨロイタイプの智です。増永の量産品とは思えない面の合い方が見所です。フロントとテンプルの境目が見えないほど面が合います。増永の方は上から眺めても、ヨロイからテンプルが一直線に開きます。

こうしてみると、確かにローデンストックはこの時代の安い日本製フレームよりも断然出来が良かったりするので、年輩の方が言う舶来の眼鏡が最高というのもある程度分かるのですが、この時点ですでに増永は造りの良さで超えている気がします。1981年のニコンのチテックスシリーズで日本が世界初でチタンの眼鏡を作り、今の「眼鏡は日本」の流れが徐々に出来始めるのですが、このフレームを見る限り70年代にはその萌芽が見られ、これに限れば追い越している印象をうけます。

ここで最後もう一度ブリッジ周辺の写真見て、全体の写真を見て、するとなんだか両者が結構違うフレームに見えてきます。表出するカッコ良さが違うみたいなことを書きましたが、そんなこんなで結構違って見えてきませんかね。不思議ですね。

最近はそういうことを気にするようになりました。今回はヴィンテージを例にしてみましたが、物の作りを精緻化したときに、物の美しさとか実用面では耐久性とかそういった要素を足そうとして精緻化すると思うのですが、それと引き換えになにが無くなるのか、無くなることは他でカバー出来るのか、ようやくそれを考えるようになりました。何でも精緻化していく傾向は、日本のモノづくりの脈々と続く伝統な気もしますし、そこは外せないですし外れてはいけないのですが。

ちなみに私は金物に関してはきっちりしっかりが好みなので、この Koki を使っています。

メタル 舶来
ヴィンテージのメガネ

21.12.20

この手のメタルフレームは、EU内で出てきたとなると、結局何処のものなのか正確に把握しかねます。いまの日本の状況ですと、とりあえずフランスかなぁみたいな判断の雰囲気ですけど、それこそ今のメガネのコングロマリット化の状況を踏まえますと、イタリアってこともありえるよなぁという気がします。

刻印なしの素朴なフレームです。

ブリッジの感じが良いです。線材をプレスして真ん中を平にしただけなんですけど、なんか良いですね。

智の部分は大味な作りですけど、テンプルの開閉でネジも緩みませんし、そのあがきもスムーズで悪くないです。

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