フィッティングでのお持ち込み。増永さんのチタンフレーム。抜群に綺麗です。写真はレンズ交換後です。ガラスのハードコートです。
フィッティングとのことでしたが、あれこれあって、検眼も行いました。フィッティングの観点から、実際には検眼の時点でフィッティングに向けての考察が始まっています。
元々、ガラスのレンズが入っていました。球面レンズ、大変な重さから、おそらく屈折率1.70以上でしょう。今回、球面値がs-3.00程度、フレームサイズが52□19、瞳孔間距離が64ミリなので、縁厚を気にしての薄型化を選択されたと推測出来ます。ただ、s-3.00は、そこまで強度数とは言えないと私は思います。また、1.70以降のガラスレンズの比重は相当ですから、縁の厚みだけ気にすれば良いってものでも無いのが、ガラスの屈折率の決定の難しいところです。この段階で、ガラスの1.60で何とか出来ないか?という着地点が見え始めます。
問診と検眼から、そもそもが過矯正であったこと、外斜位がやや多め、ピント調節を緩めたときの目の開きの増分が多め、ピント調節過多の傾向があると判明し、度数を下げて、尚且つプリズムの処方をしました。プリズムとは、目のズレに対するアプローチのことです。
その際にレンズにプリズムを組み込むのでは無く、光学的に同値な、レンズの平行移動にてその処方をすることにしました。交換レンズもガラスをご希望でして、球面設計であることを最大限に活かす為の選択です。もちろん試験枠での心地よさから、プリズム処方の最終判断は下しております。
結局、処方は光学中心間距離が68ミリでした。これで、レンズの中心がフレームの中心に近づきました。より厚い部分が削れて、度数は弱めましたから、一層軽く薄く仕上がります。検眼・レンズ選定から、フィッティングは始まっています。プラスチックならそこまで気にかけなくても良かったのでしょうけど、ガラスレンズに対して、そこそこの大きいレンズのフレームという組み合わせが、検眼等々を神経質にさせています。もちろん過矯正の改善と、目の疲れを改善するといった主訴も、検眼をした大事な要因です。
実際の枠入れは、相当難しいです。普通のフレームであれば、例えばフレームにアールをつければ済みます。これは眉部分がチタンの塊ですから、硬すぎて曲げられません。そして、フレームがレンズに沿うということも無いです。逆に、望ましい例では無いですが、プラスチックレンズの場合に起る、レンズが歪んでフレームに沿うということもないです。カーブしていないフレームに、カーブしたレンズを組み込まなくてはいけません。少なくとも、オートモードでボタン1つでは加工出来ないです。
とりあえず組み込めて一安心です。計っていませんが、3〜4割くらいは軽くなったと思います。フレーム全体の重量バランスが、智から少し後ろで取れますので、何とかいけそうな気配は感じます。このタイプのフレームにガラスを組み込んだことは無かったので、大変勉強になりました。