強度数
修理とメンテ

21.10.03

クラウンガラスの事例として。

アーネルのお持ち込みです。クラウンガラスを入れるということだったんですけど、球面(s)と乱視(c)の合算で-8.00くらいで、cは-2.00以上です。そもそもレンズ作れるのか問題がありまして、そこから確認です。

フラットガラスの製作範囲外なら製作可能ということで、クリアのノンコートで作りました。製作範囲外なら製作可能という意味不明な日本語を書きましたが、業界あるあるでして、レンズの製作表に載っている範囲を超えて作れる場合がありまして、それを範囲外製作と呼びます。限界を超えるみたいな感じですね。どのレンズでも行える訳ではないので、要相談です。

今回のレイアウトはかなり理想的でして、pd≒fpd且つレンズ幅40ミリです。眼とフレームの条件としては、マックスに近いレベルで薄く仕上がる良いものです。そこで屈折率1.52・アッベ数59のレンズを入れてみて、組み上がった重さがどうなるでしょうか、というところが問題です。

右レンズ

ガラスでこの度数でもこんな感じかぁ、予想よりは軽いというのが取り敢えずの所感です。cの軸はともに180度でして、上下に合算の-8.00が来ます。それでこれなら大丈夫そうです。

右レンズの下側。縁厚で3.5ミリ程です。

やっぱりカッコいいですね。

金曜日休みます
営業案内

21.09.29

ワクチン2回目です。朝8時からプスっと打つんで、土曜日には体調が戻っていると良いんですけどね。とりあえず金曜日休みます。

もうこんな季節
雑記

21.09.28

メガネ業界の新年は、IOFTのある10月から始まると勝手に思っています。今年も何だかんだ行く予定です。今年は8月に工場に行っていますけど、東京でもお話ししてこようと考えています。来年の無垢物はどうしましょうね。

今年からついに、招待状にメガネベストドレッサー賞の受賞者が載っていないんですよね。受賞者を拝見して、授賞式のある初日に行くかどうか決めていた人間としては痛いところ突かれました。そして、隠されると楽しみが増幅しますね。

仕上げみがき
修理とメンテ

21.09.27

この写真の状態にするまでに、2日くらいかかっています。傷の凹凸が激しいので、紙ヤスリ当てる前に、棒ヤスリで表面を整えつつ形と面を決めて、そこから紙ヤスリとバフ磨きです。

棒ヤスリとサンドでこんな感じになります。面が多いので難しかったですね。難しいんですけど時間はさほどかからずでして、次工程の紙ヤスリが毎度のこと時間がかかります。粗さで3段階に分けてひたすら紙ヤスリで擦ります。

#600
#1500

間の番手を撮り忘れました、1段階目と3段階目を載せました。粗でどれだけ綺麗にするかが、つるつる光沢面になるかならないかの分かれ道です。粗がしっかりしていれば、間の番手も仕上げも、満遍なくなぞることを意識すれば良いだけです。

トップの画像が、これです。バフも粉と布の硬さを変えて磨き分けます。バフのときに、ヤスリの丁寧さが出てきまして、バフだけで何とかしようとすると、生地表面が熱を帯びて緩くなり、バフの布目が残りがちです。生地を磨いて何十年みたいな方でしたら、バフ作業ををもっと細かく分けて接地圧や接地時間も粉の粗さや布の硬さごとに分けて、より短時間で綺麗にしていくと思いますが、眼鏡屋レベルの設備と腕では、無難に時間と努力で失敗しにくい方法で詰めていく方が良いと思いまして、今もこんな感じで綺麗にしています。

工場から戻ると
修理とメンテ

21.09.26

工場は、使える状態にまで戻してくれます。すごいです。

左右のテンプルの肉付けをしております。透明の樹脂しかないので、えぐれが多い左テンプルは、やや修理箇所が目立ちます。

あとは、フロント側のコマは結局ダメだったらしく、交換で再埋め込みしてもらっています。

ここから先が私の仕事になります。形にはなったので、あとはひたすら綺麗にするだけです。

ぎゃぁあー
修理とメンテ

21.09.26

年一回くらいあります。眼鏡が車に轢かれた案件です。

金具がグニャっといっちゃってて、まずそれを戻して畳みが正常になるようにするまでが一苦労でした。結構な破損に見えますが、レンズ周りが切れていなければ何とかなります。金具は使えなければ、再度埋め込みをしてもらえるので、これは直ります。

一旦、工場送りです。

ツインカラー
目のことレンズのこと

21.09.24

久々のツインカラーでした。色の組み合わせは、アリアーテの前身であるアキュートカラーから。ほわほわ感があるんですけど、いまのアリアーテトレスと違うのは、色の違いをしっかり感じるのに、やっぱりなんだかほわほわしているところでしょうか。

染色見本を2つ送り、ツインカラーの指示を出すと出来ます。あくまでも近似ということですが、パッと見で同じくらいで仕上がってきます。

今回のご要望は仕上がりで上の黄色部分が多めで、ということでした。ツインカラーをそのまま注文すると、光学中心がレンズの真ん中に(幾何中心)あり、色の切り替えポイントもその辺に位置します。一般に遠用メガネをツインカラーで作りますと、ツインカラーの下側に指定した色が多めに表現されることになります。

ツインカラーの上側多めとなりますと、操作が入ります。アイポイントをある程度上下に動かすこともあるでしょう。あまりにもレンズとフレームのレイアウトが崩れるような配分になりそうなときは、注文時に始めからハーフラインの指定をします。

一応7:3で指定した生地がこちらです。6:4にも見えなくないですが、そこまで厳密にはいかないのであしからず。微調整は、枠入れのレイアウトでカバーです。

トップ画像よりも、色の移り変わりが分かりやすそうなので載せます。仕上がりで、上の黄色が7くらいで下の青が3くらいになりました。 この色の組み合わせ良いですね。

雑談
目のことレンズのこと

21.09.19

話のついでに、不同視について。

定義が曖昧で、具体的にどれくらいの左右の度数差を不同視と呼ぶのかがはっきりしていませんが、だいたい絶対値の差で、(2.00〜2.50)離れるとそう呼ばれます。なので、お客さんから検眼前に「私って左右の視力に差があるんだー」的なジャブを頂くことがちょくちょくありますが、基本的にはこの不同視と呼ばれるくらいまで差があるケースに当たることはあんまり無いですね。例えば、人間の顔面も完全な左右対称では無いように、目もそんな感じに多少の差はあるのでしょう。

不同視は、とにかく考えることが増えます。理論をそのまま形に出来ないケースが何パターンもありまして、点の答えが得られないときが多々だからです。領域を示すことで解の存在を述べることは出来ますが、具体的な表示は得られないわけです。絶対的な答えが消失します。この辺にあんな感じのがあるわーというくらいまでしか言い切れない、ここにコレがあるとまでは言い切れないという感じです。

度数に応じて、像の拡大縮小効果の大小があります。プラスレンズであれば拡大効果が、マイナスレンズであれば縮小効果があり、共に数値が大きければ、それぞれの効果も大きくなります。近視の矯正にはマイナスレンズが使われており、程度の差はあれ、目ん玉が小さく見えてしまうことが避けられないのはその為です。

それでですね、他にもまだ考えることはありますが、この拡大縮小効果を取り上げてみます。この効果も、不同視においては数値通りの眼鏡製作で良いかどうかに一石を投じます。

例えば、右s+2.00・左s+5.00として、像の拡大率を計算してみます。初等の光学では、理想的な状態のみを扱って理論を習うことが多いです。薄レンズとして厚みを無視できるものとして習いますが、実際のレンズはもちろん厚みがあり、もう少し複雑です。

レンズの前面カーブの値が要るので、その仮定次第で拡大縮小率も変動しますが、大体右で5パーセント、左で12パーセントくらいの拡大率となりました。この拡大率の差が、今回では7パーセントくらいありますが、大きいのか小さいのかが問題です。大きければ、それは人間が頑張って慣れて、埋めようと努力しても埋まらない差となりますから、度数を矯正しようとして別の問題に直面することとなります。

この差が大きいかどうかは、不同視が絶対値の差で2.00〜2.50以上を指す場合が多いことを鑑みますと、経験的にそして一般的に大きいんでしょうね。一般的には大きいんでしょうけど、当たり前ではありますが個々人にとって大きいものであるかどうかは、分からないと言う方が正確だと思います。科学というものは、どこまで分かってどこから分からないのかを明瞭にすることを目的としますから、ちゃんと科学的なステップを踏んで、分からないに到達すること自体はネガティブで落ち込むようなことでもなかったりします。ですが、最後は物として販売する以上、分からないままは許されません。許されないと言いますか、分からないままどれかの方針に決定をし、アウトプットをしなければなりません。また、例えば臨界期というような不可逆な時期であるというような条件が加われば、その決定の重みは増します。重みが増すので、慎重になって考えれば考えるほど分からないが増えますし、それぞれの方針が対立してきてしまい、製作者は迷宮にはまります。

不同視をキーに、雑談してみました。デザインと葛藤みたいな話もあると思いますが、科学とか医学とかの領域の、それこそ絶対的っぽい度数にもありますよというだけの話でした。

次の火曜日も休みます
営業案内

21.09.19

昨日の台風は尾張では何も無くて、ただ休んでしまっただけになりました。その状況で申し上げにくいのですが、次の火曜日も休みます。

一応言い訳としましては、ただのホリデー野郎ということではありませんでして、眼科さん出張販売分の個別のフィッティング対応をしてきます。緊急で先渡し分がありました。

臨界期くらいで、不同視のパワー差が+3.00以上ということでして、大人用の眼鏡とは勝手が違ってきます。不可逆なことも多々なので、緊張しっぱなしでした。

思わず唸っちゃう
メガネのはなし

21.09.18

お持ち込みでした。傷取りと、磨きとレンズ交換後でこんな感じです。

Garrett leight という物です。ここ最近のフレームだと思います。雰囲気が、そのまんまイギリスのNHSだったりします。その辺知らなくても、細い且つ薄い繊細な作りで優しい雰囲気の、感じの良いフレームです。

雰囲気の要は、蝶番ですかね。フロントとテンプル、両方カシメのぺったんこな5枚蝶番です。座彫もギリギリぴったりを狙って、キチっとしてあります。ピンもテンプルの方向に準って真っ直ぐ正確です。この手の細いフレームであれば、埋め込みの3枚蝶番を使うのがセオリーなんでしょうけど、それだとフロントもテンプルも細くても“厚く”なってしまいますからね。埋め込んだ金具が安定し、尚且つ端から金具が飛び出さないような厚みを用意する必要がありますから。今回のようにカシメであれば、確かにフロントもテンプルも理論上は細く且つ“薄く”作れるんでしょうけど、製作過程で割れる・欠けるリスクがありますから、現在は製作を躊躇いがちだと思われます。ヴィンテージ以外で、こういう構造の眼鏡が見られるとは思ってもいませんでした。

テンプルの芯はシューティングで入れずに、生地と生地で挟み込んでいるはずです。ヴィンテージっぽい、雰囲気の維持に大事な、細さと薄さを厳密に再現しています。

ちなみに今回のフレームは中国製でした。この前のタイ製のフレームといい、海外のセンスヤバイなと、唸っています。

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