カテゴリー:無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

3年物
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.10.19

名古屋に構えて最初の年の年末に入荷して販売した分なので、もうすぐ3年経ちます。くすみ具合とか経年変化の具合が何となく伝わればと。

ブルバキの銀無垢の1stロットでは無いですけど、豊橋時代に承って、玉型とテンプル長の特注をしたフレームのはずです。懐かしい。

製作例
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.10.14

下から眺めたときの、反りかえりと彫金が合わさって出来る、光の動きと滑らかさがいい感じです。ブリッジがどうしても厳つく強いので、手彫りの唐草パターンによる柔らかさの添加は、厳つい独特な良さを保持しつつ全体を纏め上げるのに最適でした。

腕の彫金の始まりは、楔みたいな感じです。これは、こちらが指定したわけでは無いです。彫った方の今回の気分なんでしょうね。これも良いです。前は、ネジから隙間なくビッシリでした。好き好きで選んだらいいと思います。

パッドも交換しました。ニーシングのバイカラーの指輪の製作例で、ホワイトとピンクのコンビを見たことがあり、その色の組み合わせが綺麗だなと思っていたので、これもそんな感じにするためにローズゴールドのパッドにしました。

結局レンズ形状は、ティアドロップとボストンの中間みたいな玉型にしました。レンズカラーがプラムで紫系だったので、これでレンズが細いと一般的に怖すぎるのかなと。自主規制かけました。

金無垢パッド
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.10.03

工場の在庫を全部買ってみました。そもそも高額なので、そんなにメーカーでストックしていないんですけどね。カッコつけて歌舞いてみました。コロナなんで。

コロナのアレコレで、金価格がしばらく7,000¥/gで落ち着いてしまっている以上、金無垢パッドの次の生産まで間が開きそうだな、需要も無くなると一層リピートが鈍りそうだなと思いまして、エイっと買いきってみました。メーカーさんに対しての出来る限りの協力という側面もありますが、自己本位さも、もちろんあっての買い抑えです。

残念ながらイエローゴールドは、前回(多分一年くらい前)のあれからやっぱり作ってなかったです。なので、ホワイト(K18,K14)と、ローズゴールドのみです。

卑金属のフレームに、鼻パッドだけ貴金属という組み合わせは、AOのコートランドとか、古いフレームにある組み合わせです。よりヴィンテージに近づけるという点でも良いですね。

K18のホワイトとローズは海外輸出向けだったのか、1000分の表示です。しかも文字も浮きなので、さらにカッコいいですね。フレームに取り付けてみたのが、K14のホワイトです。これはレーザー刻印です。

箱に無垢パッドの組み合わせで十分に古っぽく見えてカッコいいと思います。ただ、昨今ですとヴィンテージに更に近づけるために抱きのパッドにしたり、カシメのパッドにしたりしますよね。ただ、カシメは構造上一回キリですし抱きのパッドも、爪を閉じたり開いたりすると金属疲労で爪が切れてしまい、使い物にならなくなります。特に金無垢のパッドであれば、消耗品であってはならないと考えていますので、箱用のもので十分かなと思っています。

玉型変更その3
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.09.29

眼鏡のマイブームがブルバキにきています。おっ、ブルバキが今日も変なことを言っているぞ。というわけで、完全に平常運転に戻りました。

サンプラチナのツーポ、もう一つ玉型変更してみました。ボストンと昨日の四角いアレで、大分満足していました。ところが昨日の夜、布団に入って「もう終わりか?」と、声が聴こえてきました。おそらく、村上隆の芸術闘争論を読んだばかりで、それに影響されたんでしょうけど、もっと圧力をかけたいなと。出来たと思ったところからもう一発、さらに踏み込めと。うーん。

ツーポの玉型変更は、フルリムに比べたら加工の手間もぼちぼち掛かります。穴をあけるので。それ以上に玉型の変更に応じてあれこれのパーツの調子の取り直しがあるので、手間です。だからこそ、そこで億劫がらずにやり切るということで、もう一丁加工しました。

しかし、もう一丁加工するにしても、ブリッジのパーツに合いそうな形で、且つ自分がグッとくる形というのもそうはありません。そこで困ったときの数学的思考とやらですが、定義に還るということをしました。つまり、オリジナルのレンズシェイプを採用してみました。

そもそも、このブリッジを再現した意図からおさらいです。写真上段の80年代のダンヒルのブリッジを無垢で再現し、保存できる形式にするというのがまず念頭にありました。このブリッジには1930年代以前のディテールに、80年代特有のカクカクした意匠が含まれております。数多のメガネを見てきましたが、一番好きかも的な非常に感動するブリッジでした。ですからそこに不変性を加えることで、消耗品から昇華させたかったというのが、この再現の意図です。不変性に寄って帯びる美しさがありますから、それを見てみたかったわけです。

ブリッジに対してはそういう想いだったんですが、フレーム全体の雰囲気は、どうもゴージャス過ぎて、個人的にはいまひとつな感覚でした。このフレームが生まれたタイミングがそうさせたんでしょうけど、もう少し今の流行りといいますか、クラシックな要素、漢字だと普遍の方の要素を加えることで(普遍も、もちろん不変であるから普遍なんですが)、折角ブリッジ単体がそれを成し得ているわけですから、フレーム全体でも融合してオールラウンドな雰囲気に振ることが出来ないかなと考えていました。それで昨年からアレコレ様々な箇所を操作して、今年は問い合わせが多かったツーポでさらにレンズシェイプを操作をしています。そして、それがマイブームです。

それで話を戻します。そもそもオリジナルのレンズシェイプの何がいかんのだと、改めて観察することで思い至りました。その時代の雰囲気に沿って、ややレンズが大きいだけで、この形自体がゴージャスさを醸し出している訳では無いなと。ゴージャスさは、智とプレスの装飾に依るなと。そこで、レンズ幅を45ミリに縮小して用いることにしました。元は49ミリなので、オリジナルからマイナス4ミリ縮めています。

トップの写真が完成品ですが、パーツとの相性等々、やっぱりオリジナルレンズシェイプが一番バランスが良い気がします。どうでしょうか?バランスが良いこととカッコ良いことは、上層部の方で一致しないことも多々ですから、玉型変更した中でどれが優れているのか、つまり総合的な一番はどれかという、その決断は下し難いところです。しかしバランスのトップは、昨日の四角でも、ちょい前のボストンでも無く、コレでしょうね。それを確認出来て、本当に良かったと思います。確認しないといけなかったんだと、分かりました。

オリジナルと比較して。リム上端とブリッジのカクンと落ちるラインのバランスも、今回のレンズサイズの方が良い気がします。ブリッジ上端も、レンズの天地が短くなる関係で一層飛び出ました。これも良いです。三日月メガネみたいな、リーディンググラスっぽい渋さが出ています。

それで、まだ届いていませんが自分のはどうするのって話が、より難しくなりました。

玉型変更その2
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.09.28

完成がこんな感じです。レンズの形状がいまいち分かりにくいので、トップは片眼の接写にしておきました。

おそらく1ヶ月くらい前に、昨日のボストン型への変更よりさらに前に、すでに一回変更をしております。それが向かって左の“405”です。彫金有りのタイプを玉型変更しております。

本当は、そのときは今回の“577”で玉型変更をしようと考えていたのですが、あれこれしているうちに型板がどっかにいき、そしてそのときは見つからず、次候補の“405”にて加工したという経緯が、実はあります。

型板で比較すると、対して差がないようにも見えます。実際は、今回の“577”の方が、四角いです。ティアドロップ感もあります。

また、個人的に玉型に関して好きになる共通ポイントがありまして、鼻側のラインが真っ直ぐだと心臓がトゥンクしやすいです。掛けたときに、スッとして顔全体が綺麗に見える気がするので。あとは、鼻のところに空隙を作りました感が全開で、明瞭なデザインであるということも好きなポイントですね。

ということで、今回の“577”は鼻側が真っ直ぐな玉型なんですけど、これも非常に良い感じに収まったと思います。この“577”とボストンの中間が“405”という雰囲気ですね。

さっそく玉型変更
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.09.27

検眼が夕方からだったので、午前中から昼にかけて作業。さっそく昨日届いたツーポの玉型を変更しました。

それで、今回はこの形にしてみました。

いわゆるボストン型です。採用の理由は簡単で、「A.O.Co.」のロゴ入りということで、アメリカンオプティカルがこのロゴを用いていたのが1853年〜1858年ですから、とても強い、間違えましたとても古い、つまりは由緒と情緒溢れるボストン型なので、これにしました。たしか、1859年からはCの中にOが入って、そのOの中にAが入っているあのロゴになるので、こういった工具類も厳密にそのルールに従っているのであれば、とにかくめちゃ古いということになります。余談ですが、これが1900年以前であることが正しいとしますと、フルビュー登場の1930年に所謂ボストン型が生まれたという説と矛盾しています。この辺は確かめようも無いですし、ロマンとして、ヴィンテージにおける出汁の役割なんだなと、ぼんやりとした認識くらいが良いと思います。

あの向きで、右レンズとしてトレースし、さらに9ミリ大きくしたのが上の画面です。完成のレンズ幅は45ミリとしました。狙ってなのか、狙って無いのか、ある程度大きくすると左右の微妙な非対称性が見えてきます。

あとは、通常のツーポの穴あけ作業をして終わりです。王道は、やっぱり良いですね。そういえば、いままで自分用でボストン型の眼鏡を作ったことが無いです。嫌いとかでは無いんですけど、多分、丸と迷って丸を選んでいるんだと思います。

折角なので手彫り中の自分用は、この玉型にしようかなと今のところ思っています。古いってだけではなくて、絶妙でした。

リピート生産
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.09.26

去年も生産した、サンプラチナのツーポです。ようやく、このブリッジの自分用眼鏡が作れそうです。あれこれ指示すると工場も嫌がりそうなので、全部ツーポにしました。

本当は、巻き弦ではなくて、普通の金手で一旦在庫化したかったんです。金手を切断して、あとから巻きつるに変更が出来るので。しかし、それにはオーダー本数がもっと要るようなので、あっちもこっちも桁が変わるので諦めました。まあでも、巻きつるこそ、一層ヴィンテージに近い風合いですから、これはこれで良いです。

このメーカーさんには、黎明期から、実績もマネーも何もないときから助けて頂いたので、流行りの「施されたら施し返す、恩返し」あれじゃ無いですけど、今年は銀無垢も含めて相当生産しました。それでも個人店の嵩なんて知れているんでしょうけどね。

自分用は、総手彫り中です。また仕上がり次第載せます。多分。

これだけ在庫があれば、ある程度レンズパターンを変えてストック出来るので、そろそろ店も落ち着いてきましたし、在庫分のレンズ替えでもしようと考えております。

銀無垢の手彫り
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.09.19

もともと在庫で銀無垢に手彫りの装飾済みの物も置いてあるんですけど、銀無垢でボシュロムのダイヤ柄を彫ってもらったことがなかったので、やってみました。過去2回とも、SPMで手彫りで再現しております。

いつも載せるこれです。これを柄の見本にしました。優美さでいえば、職人さんの持ちパターンの方がエレガント具合高めであることは何度もアレコレ彫ってみて揺るがなさそうなんですけどね。分かってはいつつ、やはりこの柄はカッコいいので、優美さはカッコ良さでは無いのか、そこが乖離しつつあるのはいつからか?という考えを挟まずに彫ってもらいました。

ブリッジ真ん中は、当時物を真似して「昇る朝日!」みたいなあれです。

さっきの優美さの話に戻るんですけど、素材の柔らかさとシンクロ出来てない感はありまして、個人的にそれ故の物足りなさもあります。

実は、今回は注文分もありました。むしろその、シンクロしたときの優美さが変換されて煌きというアウトプットになったときに、キラキラ過ぎて気になるというご要望がありました。そこで銀無垢でダイヤ柄を彫ることで、総彫りの欲求を満たしつつ、キラキラ主張し過ぎないという両立を目指しました。

それを踏まえますと、煌きも程よくて、柄に歴史的な意味も籠りますし、良い感じに仕上がってきて良かったなという感じです。あとは好みの問題でしょう。いずれにしても、ようこんな細かく彫るなと、いつも感動します。

SPMの36ミリ
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.08.28

特注しました。在庫は38ミリと40ミリしかないので、38ミリを解体して縮めてもらってます。

一応、10月下旬にIOFTは開催されるっぽいですし、そこに向けての追い込み生産があるでしょうから、その隙間で特注してます。やや納期掛かりました。今回は2ヶ月くらいです。

時間があるのでコク出し
無垢のメガネ(925silver,サンプラチナ,木)

20.07.31

流石に、こんなムードなので店が静かになってきました。ということで、前々からやってみたかったレンズ形状の変更をしました。

初めはこんな感じで納品されています。オーバルです。

メーカーさんの提案のオーバルもバランスが良くて、一旦満足していたのですが、月日が経つにつれて、まだあるだろうと。もっといいパターンが存在するだろうと燻りはじめまして、ずっと考えていました。

気になっていた点は2つでして、

⑴ブリッジ全体の位置

⑵ブリッジの縦のラインのソリと、レンズの鼻側のラインの一致具合

この2つです。

まず⑴に関しては

以前の持ち込みのヴィンテージをとりあえず参考に。ブリッジの一番上のラインが、リムのトップラインよりも下であってもおかしくは無いです。歴史的にも、見たバランス的にも。

ただし、元ネタの80年代のダンヒルではどうなっていたかを、もう一回振り返りますと

リムとほぼ同じか、ちょっとブリッジの方が上かなぁくらいです。この、凛々しくバキッと反り上がった感じ、ブリッジが引き起こす目線の移動を考慮に入れますと、確かにブリッジを上の方に配置した方がダイナミック且つ、自然な気もしてきます。

というわけで、ブリッジを上に配置しても不自然で無いレンズシェイプにするという制約条件が、⑴で加わります。

⑵は、元々のブリッジのデザインと他パーツとのバランスに、もっと尊敬を置こうというところから思い至っています。

もう一度、先ほどと同じ写真を載せました。ブリッジのラインが先に決まってレンズの形が決まったのか、レンズの形があってそれに沿うようにブリッジのラインを決めたのかは判別がつきません。一つ分かるのは、写真のこの部分に限れば、やはり元々のラインが一番しっくりときて美しいです。

ただ、アレコレ操作してみると分かるのですが、この鼻側のラインを尊重すると、割とレンズシェイプの変更が効かないです。とにかくいい形が浮かばない、仕上がらない、全然ダメという感じです。なので、ラインの完全一致とはいかないまでも、オーバルよりも、一層ピッタリとブリッジとリムのラインが沿った感じにするという制約を⑵で加えるということにして、最終的に、新しいレンズの形をどうしようかと悩みました。

そこで、今回はこれらを使いました。

前データで頂いた、AOのカタログです。これのS-104が先ほどの条件⑴⑵を満たすかなと思って、手で型板を削ろうと思っていたところに、この鉄の塊を頂き、尚且つラッキーでS-104と近い物がありまして、それからレンズをとりました。

カタログ中のS-104より、全体がウェリントンっぽいです。

ここが、コクの部分です。そういえばヴィンテージの眼鏡屋だったので、それを基にしました。おそらくこのブリッジも、30年代のデザインが基で、それに80年代の雰囲気と技術の飛躍によって加えることができた立体感や鋭さが合わさっていますから、雰囲気は合いそうです。

ツーポのキャッチを弄ってもよいのですが、一旦そのままでレンズの水平が保てる位置で穴あけをして取り付けしました。制約がクリア出来ているかチェックします。

ブリッジのトップはややリムよりも下ですが、ほぼ一直線です。⑴は満たしていそうです。

⑵はどうでしょう。ややブリッジの下端とリムの幅が広がっていますから、ラインの完全一致とはいっていませんが、気になる程度では無いと思われます。どうですかね?ヴィンテージのレンズパターンを弄らずにある程度⑴⑵を満たしているのであれば、今回は個人的には万々歳です。

あとは、これは前も書きましたが手彫りのパターンは、ボシュロムの古いプレスパターンを基に、手で完全再現してもらっています。

鼻パッドのみチタンで、あとはサンプラチナの無垢です。ほぼ、劣化は無いでしょう。手彫りで工芸品のような要素も付加していますから、より保存されやすい形式に変換出来たかなと思っています。そこまでして初めて、何十年後かに次のヴィンテージとして加るのではないかと、そんな風に思うのでそこまでしています。

_170831bk

pageTopLink