SPMの無垢のメガネです。お客さんの度数を入れ終わりました。テンプルが細く、顔に対して粘らないので、低度数で重みは出なさそうでしたが、念のためプラスチックのレンズを入れました。
裸眼で視力0.5前後は出る方です。主訴は無く、度数の処方の狙いとしては、視力の矯正は二の次です。今回の狙いは、姿勢の矯正です。
主訴は無いと言いましたが、実際にはありまして、「高校生くらいから、本を読むと字が傾いて見える」という訴えがありました。
傾いて見えるという訴えから、廻旋斜位または上下と水平斜位の組み合わせ等々の原因が考えられます。近方のみ生じるということから、調節と輻輳および両眼視の質の低下が疑われます。また、高校生くらいから生じたということで、先天的ではありませんから、頑張れば治せるかもしれないという希望があります。あくまで希望でありまして、なかなか辛く大変だとは思います。
処方値とプリズム量を決め、仮枠で試しました。本を読み始めて1分ぐらいは、いつも通り首が傾いていました。ただ、1分後、本の位置と姿勢を正したときに首が真っ直ぐに戻りました。本人としては読み続けて違和感があったので、首を傾けたつもりであったかもしれませんが、それによって真っ直ぐに戻りました。ここまで顕著な反応は初めて見ましたので、驚きと感動です。視力の値だけでは、視覚が健康かどうかは一般には判りかねるという話です。
せっかく良いフレームを買って頂きました。そうなりますと、出来るだけ掛け続けたくなるものです。さらに掛けることに意味が加われば、メガネとして一層愛着が湧きます。今日の鉢の話にも通じますが、例えば伊達メガネも、個人的には大歓迎です。まず掛けることに慣れていたり、掛けていないけど憧れているだけでも、処方する側としては大変助かります。デザインも機能です。