カテゴリー:目のことレンズのこと

来ない
目のことレンズのこと

19.08.30

テレビのフレーム待ち。納期遅れ分に、クリアブラウンがあります。それは現行のアセテートです。複数本ありまして、自分用も作ったのですが、かれこれ1ヶ月ほど待ってますね。

先にレンズが届いてしまいました。幼稚園のときに、友達で、スーパーファミコンの本体よりも先に、何故かソフトを買ってもらった子が居て、その子を思い出してしまいました。他人の家でソフト挿してたなあ。

向かって左が見本のネイビー50パーセント、マルチコート。右が自分のレンズ、同じ色味の同じ濃度でシルバーミラーです。ミラーの関係で、やや赤みがのり、非常に妖艶です。奥行きのあるゴツいセルフレームにミラー入れたら、やばい奴かなとも思いましたけど、もうそれも良いかなと。

もはや、これはおそらく真理で、ミラーにしたら何でもカッコ良くなるはず。すでに、レンズがカッコ良くないですか?気のせいですね。枠入れまで分かんないですね。

サーモント3
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19.07.21

最後もフランスのサーモントです。エッセル製です。エッセルは、ナイロールフレームの祖ですから、厳つさが売りのサーモントだろうが、問答無用でナイロールで軽やかにしてしまう感じが最高です。おそらく店頭出しの時にレンズサイズを変更しており、表記53ミリで55ミリのレンズが入っていました。しかもガラス。危ないのでプラスチックにて入れ替え済みです。レンズ縁が智と干渉するので、サイズは53ミリに戻しました。

レンズはもちろん鏡面仕上げです。実はこれ、2年ほど前にドイツから仕入れたことがありました。セルは色違いです。個人的には日本でも仕入れしていたのかと、当時の日本の感覚の豊かさに驚いた次第です。ローデンストックが強かった時代に、対抗馬でこれをあてるかと。サーモントという土俵は同じなんですけど、それぞれの個性が真逆でいい時代だなぁと感じます。

昨今、よく訊ねられるクリアーのセルフレームに通ずる軽快なポップさが微かにあります。

あー残念
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19.06.16

やっぱりガラスのノンコート、単層コート終わってたー。度なしで沢山ストックするのも忘れてたー。

ガラスはマルチだけになってしまったかあ。しみじみ。令和ですね。

コク出し
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19.06.02

久々に真面目なことを書いて、店にコクを出そうと思います。

皆さんも、何本かメガネを所持し始めると感じたことがあると思います。同じ度数、同じ芯取り(光学中心を適切にフレームにセットする)でも、使用感と見え具合に若干の差があると。

よくあるのがセルフレームとメタルフレームの掛け替えの時で、セルの方が総じて眼にピッタリしますから、度数効果で強く出る場合です。セルのフィッティング不良で、メガネが下がった状態が恒常的であれば、度数は弱く出ます。これはコンタクトの話にも繋がります。

今回の考察したいケースは、それとは異なります。2本ともメタルフレーム、おそらく頂間距離も傾斜も殆ど同じ、瞳孔と光学中心の関係も同じ、レンズ設計も球面設計で屈折率も同じで、長く使った時に、集中力や眼の疲れ方に差があるケースです。

この2本とも私が加工したので、残すはアレしかありません。アレとはレンズの中心厚です。プラス処方の方でした。中心厚の違いで生じる、像の拡大・縮小効果の差でしょう。業界用語では Spectacle Magnification と言います。略してS.M.と表記します。

1本目は、フレームからご購入頂きレンズはコーティングまでしっかり拘って、どうせ特注ならと、ついでに外径指定をしてプラスレンズの中心厚を削りました。2本目は、既に持っていたフレームのレンズ交換でして、費用の面もあり、在庫レンズから交換しております。

ちなみに、球面度数は+1.00です。レンズが小さい場合は、プラス度数のみ外径指定で薄く出来ます。費用も安いです。

外径指定前。屈折率1.60選択で中心厚2.7ミリ。ごめんなさい、こっちが2本目
屈折率1.60選択、外径55ミリ指定。0.7ミリ削れます。こっちが1本目

今回の状況ですと、1本目は中心厚が2.0ミリで、2本目は中心厚が2.7ミリです。ここで注意しておきたいのは、“屈折率、レンズ設計、度数”は、同じという点です。

では、度数も屈折率もレンズ設計も同じレンズ、異なる条件が中心厚のみという条件で、像の拡大効果にどれほど差があるかを調べていきます。ここまで読んでくださった皆さん、お気付きの通り、森道とサカスプと日曜日という条件が重なって、ブルバキは暇です。

まずは、S.M.の式を調べます。認定眼鏡士であれば一度は計算をしたはずです。流石に私も公式は覚えていません。資格は、必要なときに必要な箇所が引き出せることが肝心だと、個人的には考えています。

眼鏡光学Ⅲ (キクチ眼鏡専門学校) p.31

こういう式が出てくると、それだけで確かにコクが出そうですが、実際は難しくはありませんしコクはまだまだこれからです。複雑さに惑わされずによく見ると足し算・引き算・掛け算・割り算しか含まれていない、簡単な構成です。それに、大人になれば、こういうのは得意な人に任せればO.K.でしょう。

計算は得意な人に任せるとしても、この式の大事な心は掴みたいところです。それはS.M.がM1とM2の掛け算でわかることです。そしてM1を形状要素倍率と呼び、M2を度数要素倍率と呼びますが、つまりレンズを通って出来る像は、レンズの形(厚みや前面のカーブ)でも、レンズの度数でも、どっちでも変わりますよと、伝えてくれています。何となく自然な認識通りで良くて、レンズのアレコレが変わるとやっぱり連動して像も大きくなったり小さくなったりしますというわけです。

おそらくM2の方は、何となく皆さんご存知なはず。強い近視の人は、レンズ越しの眼が小さく見え、逆に遠視や老眼が強いとレンズ越しの眼が大きく見えます。それです。

そして、馴染みのないM1、今回はこれを比較することで1本目と2本目の像の大きさを比較出来ます。念のため、両者M2は同じですから。

ちなみに、D1という項は、とりあえず共に+3.00にしています。外径指定によって前面のカーブに変更があり、若干差が出ているかもしれません。むしろそう。ただ無視できる差として仮定し、レンズの中心厚の差が、像の大きさにどれくらい影響を及ぼすかのみに絞って計算してみました。

M1(t=2.0)=1.0389 裸眼より3.9パーセント像の拡大

M1(t=2.7)=1.0533 裸眼より5.3パーセント像の拡大

およそ、1.4パーセントの差でした。うん、思ったより小さい。ただ、これくらいの差でも、使用感の違いを感じる場合もあるようです。統計を取った訳ではなさそうですが、本の例題に近いものが載っていました。そして、1%の差も侮れないですよの警句も載っており、実際にそういう症例がぼちぼちありそうなことが読み取れます。あるから例題なんでしょうね。

レンズの値段について、やっぱり皆さん気になりますしブルバキでも沢山尋ねられます。物の違い、経営状況の違い等々の沢山の違いがあって簡単には返答できません。他所の値段を聞いても、そうでしょうねぇくらいしか反応出来なかったりもします。まあでも、差について、自分の中から言えることの一つは、こういうコクの違いです。あんまり自分から言うことではないんですけど。ほとんど自慢ですし。

そしてブルバキも、まだまだ足りていないです。もっとコクを出したいなと、いつも考えています。ちょうどお客さんに使用感の違いを教えて頂いて、その疑問にお答えしたかったので書いてみました。

今日のニュースから
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19.05.26

インスタあれだな、メガネ載せるとフォロワー減るけど、吊革と本栖湖のペナント載せたら4人増えたから、なんかもうあれだなー。前々から感じていたけどやっぱりアレだわー。

本題です。気になるニュースがありましたので。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6b324568

片眼性の内斜視の症例がぼちぼちあるみたいです。非利眼の開散に関係があるようで、なるほどそういうことも起こりうるのか!という印象です。眼はどちらかと言えば開くのは苦手ですからね。この辺の眼の動きの話は、仮性近視云々にも関係してくる内容ですね。

確かに、近視の“内斜位”という今までにない組み合わせが増えているとは聞いていましたが、まさかこういう症例も出てきているんですね。確かに1件だけ、高校生のときにゲーム中に突然複視になったという方に会ったことはあります。少ない症例と言えども無視出来ないですね。

令和は、如何に良好な視覚を保持出来るかにかかっていますね。体調、気分、思考にもある程度、眼が関わってきますので。くどいですが、高い視力の値では無いです。

そういうこと
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19.05.24

この横の、塊による圧迫感がたまらないです。

綺麗な生地の、その綺麗さを活かそうと思ったら確かにこういうフレームになるのかもしれません。

ただ、正面はそれほど重い印象を受けないんですよね。生地の透明感もあるんでしょうけど、やはりこれもボリュームの緩急の妙でしょう。

シューティングの芯も金色で、気が利いています。しゃれてます。

もう少し詳しく
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19.05.08

度数が強ければ、何となく眼が悪そうみたいな認識はあると思います。眼の悪さを視力の数値以外に求める、つまり視覚の良さ(把握の手段としての立体感等々)に求めますと、度数が低い場合でも眼が悪い場合があります。

今回のケースでは、オートレフで片目+0.75くらいの若干の遠視、片目は-0.25くらいの近視です。乱視はそれぞれ垂直方向に近い向きで若干です。数値的な不同視の定義には、どちらでも当てはまりません。まさに今回がそうでしたが、下手すればお医者さんにも眼鏡屋さんにも眼鏡要らないねと言われて、変に売り込まれないあの眼鏡屋さんはいい人だなあと、思っちゃうパターンです。

ちなみに今回は、あれこれその判断に至る経緯をすっ飛ばして書きますと、利き目にだけプリズムの処方です。眼鏡のセオリーでは左右に半分ずつ同量でしょうし、未だに脊髄反射的にプリズムは良くないという方々もいらっしゃるので何とも書きにくいですけど、それで仮枠時にバタフライの点滅が確認出来ました。もちろん、それの根拠もありますけど、書くと長いですし何となく見当つくと思うんで。そして、昨日は立体視が復活しそうな気配まで到達しております。

初めは視野中枢の存在する後頭部が痛くなるでしょうし、眼の周りの筋肉が張る感じや、人によっては眼の奥が引っ張られる感覚があるようです。使えていなかった部分、停止していた機能が戻る時に、まさに整体のように痛みがある場合もあるようです。矯正ですからね。そんなことをぼちぼちしております。

全部本に書いてあります
目のことレンズのこと

19.05.07


ステレオバタフライが見えなかったお客さんの経過観測をしました。両眼視が回復しかかっています。バタフライテストが、ついに見えたようです。本を動かすと点滅するようですが、回復までもう少しでしょう。若いと回復も早いですね。私よりも未来があるわけですから、ただただ嬉しいです。

検眼に関しては、特に秘術は含まれておりません。全部検眼やら眼やらの関係の本に、原理としては書いてあります。あとは時代による解釈の変換と、お客さんの生活とその強度、眼鏡への期待と頻度、、、その他諸々を加味するだけです。測定に関して、特に伝説のほにゃららみたいなレア物は用いず、普通の器具で時間をかけて診ているだけです。そういう質問がありましたので、念のため。

数学の用語だと本当は簡単に表現出来まして、定義と定理は本に書いてあるので系を用いて、はたまた系を模索しながら処方している、と言ったところです。

あとは多分、矯正という言葉が何を指しているのか、ここが異なるのでは無いかなと。例えば近視になった、それは何を意味しているのでしょうか。近視になった眼をもう一回視力1.0にする、これは矯正なのでしょうか。そうなってしまったものを戻すことは、矯正と呼べるのか?そもそもなぜ身体は眼を近視にしたのか?この辺の捉えかた、つまりは意図の違いを常々感じています。同業で戦が起こりそうなときは、とりあえず黙るしか無いですね。

接写
目のことレンズのこと

19.04.27

後期のゴルチエもいい感じです。前期の方が、もちろん力の入り方が凄まじい感じですけど、後期の気兼ねなく掛けられるメガネの限界みたいなデザインも良いです。

チタンの鼻パッドに変えました。プラスチックパッドは黄ばみますし、芯が「JPG」と刻印有りというだけです。個人的にはそこのオリジナル性を尊重するよりも、パッドを変えてスチームパンクの雰囲気を高めた方が好きです。

青のフレームに青のレンズというのも良い感じ。気持ちティアドロップ感のあるオーバルというのも、仄かな変態具合いで絶妙です。細部まで気にしてなければ、オーバルで済む話なので。飾りに目が行きがちですが、ゴルチエはレンズの形も乙ですね。乙ですよ。

春眠暁を覚えずと言いますが
目のことレンズのこと

19.04.02

実は気球のアレは、こんな紙が排出されています。なんのこっちゃサッパリです。視力で記述されず、被検者が欲しそうな度数で記述された紙がペロンと出ます。赤丸の部分はあったりなかったり。眼鏡屋でも、あった方が良いです。

眼科さんで、“不同視っぽいから眼鏡作った方が良いよ”的なアナウンスがあり、お越し頂きました。不同視というのは、左右の視力差が著しい場合を指します。さまざまな流派があるので何とも言いにくいですが、おおよそ度数で1.50くらい離れているときに、不同視を怪しんでいます。

あの紙によると、左右の度数差はおよそ1.00、全乱視は左右とも180度付近で1.00以下。「メガネを作りなさい」では無くて、「あったら良いな」くらいに留まって眼科処方が出なかったのは、おそらく不同視の定義範囲外とデータを読み取ったからだと思われます。全乱視も、値としては軽度です。あとは、両眼での視力が1.0なのが大きいでしょう。しかし、視力だけでは視覚の健全さを指し示していないことに注意しなくてはなりません。視力の高さと視覚の良さは必ずしも一致しません。

左右とも、角膜乱視が2.00付近で遠視気味、角膜は同じくらいの屈折力。ちなみに16歳でピント調節が直ぐに介入してしまう年頃です。あの紙と、(遠方)視力1.0という情報ではそれなりに健康な眼だなと思っちゃいそうでしたが、やはり両眼視異常でした。

年末に投入してからご新規さんも常連さんにも大体試して頂いている「ステレオバタフライ」、あの蝶々が浮いて見える本で確認したところ、蝶々が見えないとの返答でした。内心、焦りMAXです。つまり、片眼の抑制が起こっておりまして、近方での立体感が0でした。ちなみに遠方での立体視は可能です。

近くを見るときの眼を観察し、原因が分かりました。近方視で左眼が外転(寄らずに外に逃げちゃう)していました。やはり、調節障害が起こっていそうです。抑制の程度が軽そうなこと、年齢が若いこと等の諸条件より、回復を目指します。実際、検眼後の仮枠チェックで蝶々が見えそうな兆しがありましたので、これから2人3脚での矯正が始まりそうです。

私の問診が、もっと的確なら早く気付けたと思います。全部終わって帰るまえ、最後の最後に両眼視異常から生じていそうな症状がありました。これを初めから引き出せていれば…。

それは、「異常に眠い」です。夜早く寝ても、朝でも集中すると眠くなるという症状です。お客さんからすれば、眠いからメガネ作ろうとはなりませんし、眠さの全てが眼の所為でもありませんから、判明しにくい・特定しにくいケースです。抑制が起こっている場合に訴えられる症状の1つです。

眠さは他人とは比較出来ないので、主訴になり難いです。被検者から要望として眠さを軽減したい等と、なかなか出てきません。私もステレオテストが無ければ気づけ無かったので危なかったです。

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