カテゴリー:目のことレンズのこと

お持ち込み
目のことレンズのこと

18.02.09

フィッティングでのお持ち込み。増永さんのチタンフレーム。抜群に綺麗です。写真はレンズ交換後です。ガラスのハードコートです。

フィッティングとのことでしたが、あれこれあって、検眼も行いました。フィッティングの観点から、実際には検眼の時点でフィッティングに向けての考察が始まっています。

元々、ガラスのレンズが入っていました。球面レンズ、大変な重さから、おそらく屈折率1.70以上でしょう。今回、球面値がs-3.00程度、フレームサイズが52□19、瞳孔間距離が64ミリなので、縁厚を気にしての薄型化を選択されたと推測出来ます。ただ、s-3.00は、そこまで強度数とは言えないと私は思います。また、1.70以降のガラスレンズの比重は相当ですから、縁の厚みだけ気にすれば良いってものでも無いのが、ガラスの屈折率の決定の難しいところです。この段階で、ガラスの1.60で何とか出来ないか?という着地点が見え始めます。

問診と検眼から、そもそもが過矯正であったこと、外斜位がやや多め、ピント調節を緩めたときの目の開きの増分が多め、ピント調節過多の傾向があると判明し、度数を下げて、尚且つプリズムの処方をしました。プリズムとは、目のズレに対するアプローチのことです。

その際にレンズにプリズムを組み込むのでは無く、光学的に同値な、レンズの平行移動にてその処方をすることにしました。交換レンズもガラスをご希望でして、球面設計であることを最大限に活かす為の選択です。もちろん試験枠での心地よさから、プリズム処方の最終判断は下しております。

結局、処方は光学中心間距離が68ミリでした。これで、レンズの中心がフレームの中心に近づきました。より厚い部分が削れて、度数は弱めましたから、一層軽く薄く仕上がります。検眼・レンズ選定から、フィッティングは始まっています。プラスチックならそこまで気にかけなくても良かったのでしょうけど、ガラスレンズに対して、そこそこの大きいレンズのフレームという組み合わせが、検眼等々を神経質にさせています。もちろん過矯正の改善と、目の疲れを改善するといった主訴も、検眼をした大事な要因です。

実際の枠入れは、相当難しいです。普通のフレームであれば、例えばフレームにアールをつければ済みます。これは眉部分がチタンの塊ですから、硬すぎて曲げられません。そして、フレームがレンズに沿うということも無いです。逆に、望ましい例では無いですが、プラスチックレンズの場合に起る、レンズが歪んでフレームに沿うということもないです。カーブしていないフレームに、カーブしたレンズを組み込まなくてはいけません。少なくとも、オートモードでボタン1つでは加工出来ないです。

とりあえず組み込めて一安心です。計っていませんが、3〜4割くらいは軽くなったと思います。フレーム全体の重量バランスが、智から少し後ろで取れますので、何とかいけそうな気配は感じます。このタイプのフレームにガラスを組み込んだことは無かったので、大変勉強になりました。

開散
目のことレンズのこと

17.11.07

アイパッドで書いていますが、開散が一発で変換候補として出ないですね。解散ではなくて、開散について。寄り目から目を戻す、目を開く動作を指します。

私は番組を観ていませんので何とも判別出来ませんが、どうやら朝の番組で「スマホ老眼」の話題があったようですね。

解決策として、

「100均の s+2.00 の老眼を、5分掛けてぼーっとする」

が提案されていたみたいです。屈折系に対して弛緩させるというアプローチです。ただ、問題はそれだけでは無いです。冒頭の開散の問題、つまり目がニュートラルに戻りにくくなっているということも、そういった仮性の老眼に関与しています。

お医者さんの提案なので、もちろん反論は致しませんが、光学的な事実に関してだけ。

安く買える既成老眼の、光学中心がどこにあるのかが、心配な点としてあります。基本は手元用として販売しますので、光学中心の距離は短く取っており、そうそう問題は無いと思いますけど…。長いと心配です。フレームの中心で芯取りしてある場合等々です。

自分の目と目の距離(以降PD)に対して、その光学中心間の距離が長い場合、老眼のような凸レンズですとベースアウトプリズムが発生します。これは、目を内側に寄せる作用が出ます。そして、目を寄せる(輻輳)ことと、目の調節(ピントを手前に合わせる作用)は生理的に連動しております。

つまり、掛けると目の力が弛緩しない状況が発生するかもしれません。むしろその逆が発生する可能性もあります。そもそも、この方法は解決策というよりは応急処置ですしね。とりあえずいいメガネを作りましょうくらいのことを、眼鏡屋としては言って欲しかったところです。

目のポスター
目のことレンズのこと

17.10.03

目のポスターを貼りました。

おそらく、今までの私の目の説明の70パーセントくらいは、

「(こいつ、意味不明だわ…)」

と、なっていたと思います。図が無かったのでしょうがないな、と思いながらいつも話していました。折角来てもらったので、30パーセントだけでも持って帰ってもらえればという思いです。

このポスターのおかげで、60パーセントくらいが意味不明になると思います。10パーセントくらいは、明瞭になるでしょう。

ですから、これからもわかりやすく説明するためにはどうしたら良いか、自助努力を怠らないようにします。

ディスプレイ
目のことレンズのこと

17.09.29

店内で用いているディスプレイ。今回は店頭ではなく、お客さんの注文分です。

部屋にメガネを飾りたいという欲求が出始めたということは、メガネが単なる道具では無くなったサインです。この一歩は相当嬉しいですね。

条件
目のことレンズのこと

17.07.13

明日まで、引き続きお休みします。何卒ご容赦下さいませ。

メガネ屋側の話ですが、プリズム処方の際に、基準みたいなものがあります。その存在も知りつつ、お客さんの状況、主に仕事内容と現在の目の症状を鑑みて、ある程度の量を処方していました。レンズに組み込む場合もありますし、焦点間の距離を操作することで(目とのズレを意図的に作り出して)処方する場合もあります。

例えば基準の一つとして、シェアードの基準というものがあります。こちら側のアレなんで、特に内容は書きません。たまたま、50歳真ん中くらいの方に、「シェアードの基準って、何時くらいからありました?」とお尋ねしたところ、少なくとも専門学生時代から既に存在していたということでした。ということは80年代には、統計的な結果として用いられていたようです。そして、私の認識の仕方がちょっと違っており、あくまでのこの基準は、処方値を決定する際に、上限値として用いるとのことでした。

引っかかるのは、この基準が「80年代」に作られた統計的な基準というところです。全く当てはまらないと思っているわけではなく、当てはまらない事例が増えてきそうということです。パソコンやスマホ等々の電子機器の存在と、仕事の内容も画面を注視する仕事が増えてきたことなど、当時と今とでは生活環境が相当に変わっているはずです。

ちょっと前のブログにも通じますが、答えだけではなくて、プロセスが大事的なことを書きました。数学でも、定理だけが大事ではなくて、どの条件(仮定)のもとに、それが成り立つかが大事なんです。プロセスと、もっと遡って積み上げる土台となる前提条件を重視します。そのときに、条件を緩めたり変えた際に、結果がどのように変容するかが楽しみなわけです。ひょっとしたら、成り立たなくなるかもしれません。

業界の宝としてあの基準があります。同じように、それがどのように変容していくのか楽しみです。前提条件が違ってきています。お客さんの反応からも、何となく変化を感じます。

自作
目のことレンズのこと

17.06.29

両眼がちゃんと働き、それぞれの網膜で処理され、脳で一つの映像になっているか?これがメガネの醍醐味です。両眼視がちゃんと出来ているか。視覚が良好か。これが大事で、視覚の向上がブルバキとしての目標です。輪っかの切れ目が云々という話は、手段であって目的では無くなってきます。つまり、視力至上主義を改めなくてはなりません。ただ見えれば良いという訳でもないのが、メガネの面白さです。それは、人間の目とか人間そのものの面白さでもあります。数値だけでは、どうも上手くいかないのは、目でも何でも同じみたいです。

機械の修理中なので、自作で両眼視機能を把握できるキットを作っていました。一度処方した方も、経過観測として試させて下さい。

結構な額のする機械もあるみたいですが、両眼視の把握は、普段に近い状態のほうが精度が高いという見解もあるようです。機械よりも、割と原始的な器具の方が、お客さんの両眼視の状態を把握しやすいみたいです。とりあえず、作ってみました。

はじめての言語ゲームは、内容も抜群に面白くて良い本です。そして、何故か横書きなので、たまたまこの検眼にぴったりです。どちらもお楽しみに。

眼位
目のことレンズのこと

17.06.07

なぜか、遠視性倒乱視の検眼がつづいています。

視力が1.0とかそれ以上出てて、眼の疲れ(眼の奥が引っ張られる感じとか)や、重たい肩こり等々があれば、結構このパターンが多いです。私のところでも、全く眼鏡を掛けてこなかった、要らないと思っていた人で、実際は、常用が望ましいと判明し着用してもらっています。

遠視性倒乱視の場合、度数の値としては小さく、なおかつ視力検査では1.0以上出てしまって、眼鏡屋でも眼科でも見過ごされてしまうケースが多いようです。

さらに、今日のケースでは外斜位の値が大きく、それが悩ましかったですね。

視力と眼位は連動しています。度数と、眼の位置が連動していることは、あんまり知られていないかもしれません。外斜位(外向き)の力が強ければ、真っ直ぐみようとするときに、内側に力を込めなくてはなりません。つまり、遠くを見るときに、勝手にピントが手前に合います。近視気味に感じるわけです。

遠視の場合、多くは内斜位に振れます。ですが、今回は遠視なのに、そこそこの外斜位でした。ですから、軽い遠視が強い外斜位によって、近視のように見えてしまっていたわけです。眼が見にくくなって、他のメガネ屋で入れた近視の度数が、さらに逆効果だったと考えられます。

そういった症状は、もちろん検眼で判明することもありますが、大方の予想は、商品を選んで貰っているときの目の動きや瞬きの回数、眼があったときの眼位、首の傾き具合などとから予測を立てています。

「目は口ほどに物を言う」

と言いますが、確かにそんな感じかもしれません。

 

検眼について
目のことレンズのこと

17.05.28

眼にも癖があります。

ニュートラルな位置が真っ直ぐではないとか、ピント調節が入りやすいとか、寄った眼が開きにくいとか等々。

遠くが見える見えない、近くが見える見えないだけでは、そろそろ検眼としてどうなんだろうかと、問われている気がします。量販の台頭により、見えるだけの処方は価値が薄らいできたこともあります。ですが、それ以上に、生活環境の変化によって眼の癖が問題として浮上することが増えたことが、要因としては大きいと考えております。

近くを、集中して覗き込むことが増えました。朝起きてから夜寝る直前まで画面を注視する生活の方もいらっしゃると思います。今までなら問題とされなかった眼位や、輻輳・開散といった眼の動きの軽微なズレも、支障になってしまっているのかもしれません。支障まで行かずも、メガネの使いづらさにはなっているでしょうね。眼の癖に沿った処方をせずに、コーティング等々でブルーライトカットのような、“刺激”への対処を施しても、効果はぼちぼちでしょう。

そして、眼の癖に対応する場合には種々のやり方があるわけですが、与える度数との関連もあります。ですから度数というのは、視票がマックス見えるミニマムの度数を探すだけでは物足りないです。少なくとも心地良さは追求出来ないでしょう。

メガネは、最後はやっぱりレンズが面白いですよ。当時普及していなかった処方を、ヴィンテージのメガネに搭載することで、現在と過去が融合する感じが堪らないですね。

集中力に関して
目のことレンズのこと

17.04.20

集中力と目の筋肉の話です。

大人になると、集中力が持たなくなりませんか?高校受験は一生懸命出来たけど、大学に入ると全然勉強出来ない気がします。それは、誘惑の多さのせいかもしれませんが…。

就職してから、専門的な仕事のため、勉強して資格等々を目指すこともあると思います。その時の集中力の短さ。感じませんか?私は感じました。好きなメガネ・レンズの専門的な勉強でも、集中力が途切れやすいと実感しています。すぐ飴とか食べたりして気を紛らわしてしまいます。無駄に立ち上がるとか等々、身体を動かす行為も増えました。結構、作業がぶつ切りになります。

話は変わりますが、目の筋肉のピークは何歳でしょうか?老眼が始まると言われる35歳くらいでしょうか?実は違います。大体12歳です。目ん玉はかなり早熟です。いま、私は29歳なのでピークからそこそこ時間が経過したと言えます。ドンダーズ表を参考に調べると、ピークの半分の力しか私の目には残っていないです。

例えば分かりやすく、重たいものを持ち上げる行為を想像してみます。12歳の時に25%くらいの力で出来たことは、今は50%の力じゃないと出来ないということになるので、昔は片手で持てたものが、今は両手が必要という感じでしょう。要は、結構難儀な行為になったのだなと思えるわけです。

 

今回の集中という言葉は、特に近方視・近方作業における集中を指しています。目の力とざっくり言いましたが、ピント調節機能の他にも、輻輳(内寄せ)と開散の機能も弱まります。手前にピントを合わせ、なおかつ小さい字を捉えるために目を寄せるのが難儀になってきている状態に、無意識になっていたわけです。

小学生とかで、学校の勉強に集中出来ないのは強めの遠視だったという事例を、たまに聞きます。それに近いことが、今まで感じなかったけど、歳を取ることで起きているのでしょうね。なので、集中力が持たなくなってきたのは、誘惑が増えたこともありますが、目が原因の一部とも言えそうだな、という話でした。

 

私ごとですが、初めて手元を見るときにアシストの入るレンズを使ってみました。遠近両用の超入門みたいなレンズです。単焦点として販売しても気付かれないと思います。それくらいちょびっとのアシストです。正直、ピント調節の不具合、タイムラグ等々を感じていなかったので、手元の見易さを実感出来ずにいました。ですがここ最近、勉強したり本を読んでいて、なかなか集中が続いたなと思いました。気のせいかもしれません。本が面白いからかもしれません。ただ、レンズも若干は関係していると、実感から考え始めています。

流行の恐ろしさ
目のことレンズのこと

17.04.13

フラットレンズ(プラスチック)度なし、濃度50%くらいのカラーレンズを沢山入れようと試みております。入荷は5月くらいでしょうか。

フラットレンズが一般的に認知されている、流行っている兆候がメーカーさんにありました。フラットレンズ(プラスチック)の基材が無いみたいです。恐らくですが、トムブラウンの流れでしょう。ティアドロップとかにフラットレンズ(濃度90%くらいのレンズにミラーコーティング)を搭載するメガネが多いのでしょうね。バッキバキに反射しているサングラスを見るようになりました。アレです。

メガネの全体の風合いを高めるために、ブルバキとしてはフラットレンズを使うことは多々ありました。フラットレンズが急速に流行ることによって、来年あたりに時代遅れと認識されるのが怖いなと思いました。フラットのミラーのみ流行りっぽいですけどね。

50%くらいの薄っすらのカラーに、自然な反射くらいがカッコいいと思うので、いつも通りそれだけやります。また届いたら載せます。

_170831bk

pageTopLink