カテゴリー:目のことレンズのこと

視力について再び
目のことレンズのこと

16.11.16

ちょっと前に、こんな記事を書きました。

視力についての話(ヤフーニュースから)

最後の結びが良くなかったなと、最近お客さんと話していて、ふと思いましたので書きます。

大人は、視力1.5は要らないとヤフーの記事にあります。それは私もそう思います。生活環境にもよります。

そして子供の例を挙げて、視力1.5の遠視が原因と思われる集中力の低下の例もありますよ、と書きました。原因の全てとは言い切れませんが、可能性はあると思います。

ここからが重要でして、もちろん遠視はいかんですが、子供は視力1.0の完全矯正が良いと思います。ここが抜けていました。

以前のブログでは、大人は0.7〜0.9くらいで筋肉を緩めましょうという話でした。なのでその流れですと、子供の遠視もちょっと心配ですよ→子供も視力0.7〜0.9くらいが良いという記事に読めてしまいますね。0.7〜1.0の判断は子供だと難しくなりますが、言い換えればちゃんと矯正してあげるのが良いということです。キツかったらダメですが、ちょっと緩めるとかは不要では無いかなということです。

視力の形成は、おおよそ8歳で完成すると言われています。とくに5歳くらいまでがキーとなっていて、この時までに焦点を網膜の中心窩(一番正しい位置)に当ててあげて、ちゃんとした像を脳みそに覚えさせてあげることが重要です。そうしてあげないと、矯正してもくっきりした像が認識出来なくなってしまう可能性があります。

子供の場合は、検診等々で判明してお医者さんからメガネが要るor要らないの判断をもらうと思います。その値でいきましょうというお話でした。一番後ろの席からも黒板が見えないといかんですし、高校卒業くらいまでは完全矯正なのかなと思っています。高校生の受験シーズンで目が疲れるなら、デスク用のレンズを使う手もあります。

早いもので目の筋肉のピークは12歳頃なので、筋肉の衰えが徐々に出始める頃から、クッキリさよりも緩やかさを重視するのが良いのでは?というのが前回同様の考えです。もちろん、完全矯正の方が眼球運動がスムーズになり、良いという主張もあります。

眼位も関係してきますので、各人にそれぞれの処方があるとしか最後には言えませんけどね。そんなことを考えながら検眼等々を行なっております。

メガネも大分お手軽なイメージがついてきましたが、お手軽出来ない要素やお手軽ではダメなこともあります。

忘れないうちに
目のことレンズのこと

16.11.08

目とレンズの距離について。

本日お客さんで、他所でメガネを買った際に、まつ毛がレンズに当たると店員に言ったら、

「高さを出すと、目が小さく見えちゃうから…」

と言われて、購入時の鼻パッド等々のフィッティングをしてもらえなかった方がいらっしゃいました。まさかのフィッティングの断られ方?避けられ方?でしたので、忘れないうちに見解を記しておきます。

様々な流派がありますので断定は出来ませんが、目とレンズの距離で望ましいとされている数値は13ミリくらいです。測定後の仮枠の距離がそれくらいです。そこそこ離れている感じに見えます。

なので13ミリは、若干教科書的な数値でして、実際はメタルの鼻パッド付きフレームで目とレンズの距離が10ミリ、プラ枠ですと8ミリくらいでしょうね。ちなみに、目とレンズの距離は頂間距離と言います。

頂間距離は、物理的な要因を全く無視すれば、近ければ近いほどいいです。収差ですとか、目に対しての悪い要素が減ります。ただし、無視すればという仮定です。基本、まつ毛が当たらないように近づけてあげるのがベストでしょう。くどいですが、まつ毛に当たらないことが前提です。不快感もそうですが、レンズのコーティングが早く摩耗しちゃうのも理由です。

遠く用のレンズは頂間距離が開けば、目はより小さく外部からは見えます。ただ、1ミリ2ミリの差では、さほど変化は感じられないのでは無いでしょうか?ある程度、メガネをかけた段階で小さくなるのは決定しています。ちょっと離すくらいで、もはや大して変わらないと思います。

 

フィッティングを直すことでしたら、その場で直して差し上げられますので、まだいいですけどね。その方は、力の入ったまばたきがかなり多かったので、目が疲れているのでしょう。今日は、外で撤収作業をしており、パソコンのような近業ではないと仰っていました。なのに相当な回数のまばたきでした。まばたき、両眼の動き等々も観察しています。重要な情報です。おそらく、レンズも良く無いのでしょうね。

⑴度数が強めで、フレームの大きさが50ミリなので、おそらく1.74の非球面レンズを使っている様子。目の位置とレンズの位置を合わせていない(芯取りしていない)ので、収差が出て使いにくい。

⑵左右とも球面度数のみで乱視無し。乱視が全く無いというのは(処方するかしないかは別で)わりと稀です。おそらく乱視が未補正、そのかわりオーバーマイナスで、ちょっと無理して視力1.0という感じに仕上げている。その為、夕方しんどい。前回のブログの内容に近い話。

⑶2階の柔らかな光でもそこそこ瞬きがありましたが、一階の蛍光灯の白い光に晒されたときに、身体・視線の移動ごとに瞬きがバチバチしていたので、パソコン用コーティング(ブルーミラー)の反射がチラついて疲れる、鬱陶しく感じている。

それなりのお値段のメガネ屋さんで作られています。それなりのお値段のお店でも、こういう事例がますます増えてくるんだろうなと考えますと、相当に凹みます。そりゃ結果、量販でいいやになっちゃうよねと。

ちなみに
目のことレンズのこと

16.11.03

医学的な視力のマックス値は、視力2.5です。これは、視力の定義と、網膜上の視細胞の太さ(隣合う間隔)から算出されます。それ故、おおよそ視力表は2.0までです。いま店の壁にあるのは、視力2.5の欄は無いです。

アフリカの方ですと、視力5.0とかいます。どの定義を用いるか?とかあれこれあります。手が右左向いているとかではなくて、切れ目の認知が、現代の視力の大まかな定義なので、測定差異のようなものはあります。ただ、心理的な何か、現代人が眠ってしまっている野性の何かがあるのかもしれません。視力2.5付近かそれ以上あるのは間違い無さそうです。

獲物を探しに遠くに視線を持っていくことが多いと思いますので、それが彼らにとっての快適な視力なのでしょう。そう考えますと、現代日本人のある程度の近視は、あらゆるものが手元で完結出来てしまう環境への適応とも捉えられます。

視力についての話
目のことレンズのこと

16.11.03

ちょうど、ヤフーニュースで視力についての話が出ていました。

「視力1.5で体調不良!?疲れ目の原因は“見えすぎ”にあった〈週刊朝日〉」

ヤフーの記事のページ

難しくあれこれ書いてあります。絶対的な正しさが無い世界なので断定は出来ませんが、メガネ屋として回答は無いといけませんね。以下に記します。

記事のはじめの方は、考え方が一致しています。視力1.5というのは、あくまで遠く(外の木々とか)がくっきり見やすいのであって、近くは見づらいです。歳をとるほど見づらいです。

例えば、20歳のときの目の瞬発的なパワーは、単位は言いませんが10くらいです。40センチの距離にある物を見ようとすると、2.5のパワーを使います。全体の25%です。へっちゃらですよね。

40歳のときのパワーは、平均4.5です。同じ40センチ前方にあるものを見るときには、全体の56%の力を使います。力んでいる実感はあるかもしれませんが、まだ余裕です。

50歳のときの目のパワーの平均は2.5です。つまり100%の力が必要です。毎回、手元40センチを見るのに、全力応戦な訳です。そりゃ疲れます。パワーが回復しきらない、パワーゲージの少ない夕方以降は、パワー不足で手元が見えなくなる訳です。

特に日本は室内等々、40センチ近方とは言わないまでも1メートル〜2メートルくらいの距離で物を見ることが多いと思います。視力1.5からすると、最低でもパワー1以上は入りっぱなしです。先の例で、20歳としても、四六時中10%位の力が入りっぱなしというのは、じわじわ疲れることもあるでしょうね。無意識に身体に支障が出るかも“しれない”というのは、考えられます。自律神経云々と記事に書いてありますが、簡単にはこんな感じで思って頂いて、大きく間違っていないです。筋肉の使いっぱなし。生活の中で、常に力んでいる目が視力1.5です。

ただそこで、遠近両用に直ぐ移行するというのは、100%賛同しかねるところもあります。視力1.5は、よっぽど要らない数値なのかな、というのは一致しています。全体の視力を落とせばいいのかなという考えです。もちろん年齢よりけりです。

困ったことに視力を落とすと、眼位という視力ではない要素が関連してきますので、単純に視力を落として筋肉を弛緩させれば良いということでもありません。この辺りは検眼になった際にお話します。

小学生で勉強に集中出来ない理由が、視力1.5くらいだから(つまり遠視)というのは、業界の中ではよく聞く事例です。机に向かって字を見続けるのがしんどいのでしょうね。

視力の“数値”が高いということが、必ずしも目の良さとは限らないということのみ覚えて下されば幸いです。

日本人の眼
目のことレンズのこと

16.09.30

装丁がきれいです。後ろは、縦半分が布で、半分が紙です。前と後ろでパターンが違います。

目について、一般向けにちょっとだけ詳しく書かれた本です。現在でも通用する内容です。この時代に、ある程度視力についての理解が形成されていたということが分かります。

ただ、乱視に関しては「病的眼」という記述があり、そこはどうかなと思います。水晶体の歪みによる乱視は、普通に起こりえます。水晶体は柔らかいので、完全に乱視が無い人がそんなにいないくらいです。特に倒乱視と呼ばれるものの場合、英語では with the rule と呼びます。ここで言う rule とは、重力の自然法則です。年齢とともに、ある程度形が球体から潰れることは自然に起こりえます。

メガネ屋さんそれぞれの考えがあり、どれが正しいとは言えません。ただ、ブルバキとしては乱視は割としっかり矯正したいですね。近くも遠くもはっきり濃く見えます。その上で、遠く近くの球面度数を落としてあげて、眼の調節力を緩ませてあげたいなという感じです。球面度数が下がれば、レンズは薄くなります。仮枠の時間を十分にとって、空間等の歪みを感じないか、十分にチェックすることが大事になります。

ガラスのレンズ
目のことレンズのこと

16.09.23

スターリングシルバーのメガネに、ガラスのレンズを入れるところ。ガラス・フラット・ノンコートです。

ガラスのレンズですが、面取り(レンズ角の出っ張りを擦り落とすこと)と、コバ磨き(レンズ周辺をツルツルにすること)を行います。特にコバ磨き。そうしないと、知らないうちに、使っていてレンズにバリが入ることがあります。衝撃とかで欠けないように摩擦を減らしてあげることが大事です。

この仕上げがしていない物を見かけますので。手元にありましたらご相談ください。

今読んでいる本
目のことレンズのこと

16.09.10

お客さんから、仏教の良さを教えて頂いたのがきっかけです。岡潔の話題から仏教に繋がったことがきっかけなので、割とハッキリと分からないなりに読めています。

さっきのモノかコトかの話は、縁起周辺の話に近いんだなと。融けているとは思うんですけどね。

訂正
目のことレンズのこと

16.09.07

フランクリンの時に紹介したエックスブリッジのフレームですが、業界でそう呼ぶかはわからないです。なんとなくで勝手に呼んでいました。

日本名は「撫松葉型」だそうです。カッコいい…。

歴史としては、明治元年〜明治19年の間でした。

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(日本の眼鏡 1967年 長岡博男著 東峰書房刊 p.34)

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(同書 p.42)

これらからおそらく、さっきのフレームは1886年以前ということになります。そして一山は、明治20年以降(1887年)でした。東京の松島眼鏡店さんが開発と書いてあります。別名松島型と。銀座のあの松島さんですよね。やはり歴史は重みが違うと感じさせます。

引き続きフランクリン
目のことレンズのこと

16.09.07

今年になって、初めて当時モノのフランクリンを手に入れました。ガラスのレンズが入っています。エックスブリッジからすると、1920年より前だと思われます。

フランクリンバイフォーカルの歴史は、250年くらい前からあるそうで、最古の二重焦点レンズです。

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(メガネ博物誌 1972年 R・コーソン著 梅田晴夫訳 東京書房社版 p.113〜114)

案は1716年に別の人からも出ていたそうですが、1760年のベンジャミン・フランクリン以前に実用したという証拠がない為、フランクリンが世界初で作って掛けたと記述があります。

未だに通用する仕組みというのが感動です。

フランクリンバイフォーカル
目のことレンズのこと

16.09.07

レンズの形状のご紹介です。フランクリンバイフォーカルという物があります。写真のように、上下で違う度数のレンズを誤差無く継ぎ合わせています。写真は、70年代のヴィンテージフレームに、自分の度数でプラスチックレンズでやってみたものです。

昨今は累進レンズの性能が上がってきたので、フランクリンと言わなくとも、読書用の小玉がついたレンズとか見る機会が減りました。ですが、まだあります。ガラスもあります。ちゃんと作っています。

すでに淘汰されてはいるので、それでも尚残る理由となる利点のみ。

・遠く用と近く用の焦点が2つバシッとあるので、くっきりそれぞれが見える。

・累進レンズと比べて、目を下に向ける距離が半分くらいで済む。

・(フランクリンは)上下で違う設計のレンズを入れられる。例えば、目を内側に寄せるのが苦手な目なら、下の手元用だけプリズムを処方出来る。

などなど。最新なら絶対良いというわけでもないのが、レンズの面白さの1つです。レコードとかカメラとかと近いですね。

私なんかは、フランクリンとか小玉とか、EXでも何でも、逆にカッコいいと思っちゃいます。レンズにデザインが入ったみたいで。

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