カテゴリー:目のことレンズのこと

何が観えるのか
目のことレンズのこと

17.01.22

たまにはちゃんとメガネの話をしようと思います。

写真に、3枚の紙があります。長いのが2枚、ちっこいのが1枚です。

長いの2枚は、道路と気球の絵を覗く機械で出てくる数字です。くっきり見えたと思ったら、すぐボヤけてまたくっきり見えるやつです。あのボヤかしているのが大事で、それについては、またそのうち。

左の長いのは裸眼での数値、右の長いのはコンタクト着用時の数値です。

一番下のちっこいのは、着用中のメガネの度数です。

この数字から、過矯正の内斜位ではないかという見当と、検眼での方針が付きます。数字から、眼のニュートラルでの位置が、内側に向いているのではないかというイメージが想起されます。そうではない場合もありますが、何れにせよ検査でハッキリさせます。調べるというよりも、霞をハッキリさせるのが検眼のイメージです。

この眼の位置、眼位というのがポイントでして、掛け心地なりの重要な要素となります。そんなことをイメージしながら、人の眼を診ております。

ドーパミン
目のことレンズのこと

17.01.15

昨日のNHKの番組で、「達人達・スウィッチインタビュー」を見ました。各界の有名人、凄い人同士がタイマンでインタビューをします。毎週、組み合わせが面白いです。

今回は、脳科学者と、競技飛行の方同士の対談でした。そこでメガネ的に興味深い話がありました。飛行機の方からの発言で、

“大会のとき、一番集中しているとき、一番調子が良いときは景色が鮮やかに見える。”

のような発言がありました。色が濃く見えると言ってたのかな。それに近い表現をされていました。これに対し、脳科学者は

“興奮状態ですと、ドーパミンが出ますが、それによって瞳孔が開きます。瞳孔が開けば、光の入る量が増えますから、脳へ伝わる情報量も増えて鮮やかに見えるのかもしれませんね”

のような返答でした。

集中と視力と認知。この観点は、わたしは今までに無くて、非常に面白いなと感じました。

瞳孔が開く(散瞳)ということは、実は視力としては下がります。それで調節が抜けて、生理的に連動している眼の内寄せが緩まり、眼位が整ったことで認知力が増したのでは無いかと予想しております。

あくまで推測なので、実際のメカニズムはどうだか掴みきれていませんが、集中しきっているときの風景というものを、今後は注意して眺めてみようと思いました。

結局違う
目のことレンズのこと

16.12.29

前回のブログの裏面UVカットのレンズについて。反射光が白に近いと書きましたが、違いました。

結局、加工中にレンズが軸ズレしないように特殊コーティングがさらにかけてあって、それが反射光を白く見せていました。加工後にそのコーティングを拭き取ると、結局緑の反射光でした。

なので、UVカット特化するときのみ使っていこうかなと思います。

レンズの今
目のことレンズのこと

16.12.26

お客さんから聞かれまして。裏面UVカットについてです。レンズ前面によるUVの吸収のみではなくて、裏面に入射した光に含まれるUVも、裏面で吸収するレンズ(コーティング)です。

レンズとしては、2年くらい前に発売されたと記憶しております。お客さんから訊ねられるということは、ようやく認知されてきたということでしょう。

積極的にやらなかった理由は、前回のライフゲームのブログに近い理由です。吸収し過ぎるのは、あまりにも人工的な環境ではなかろうかと。

ブログ:最新テクノロジーについての考察

価格的にも落ち着いてきましたので、改めて考察してみるいい機会ですね。とりあえず取寄せてみました。

⑴写真向かって左は、ホヤ独自のキズ防止+反射光が白っぽい特殊コーティング

⑵真ん中は通常のマルチコーティング

⑶右は今回のお題の裏面UVコーティング

可視光付近の波長も若干吸収しているからでしょうか?ブルーイングしていても⑶のレンズは若干⑵に比べて黄色いですね。ですが、比較してようやく気づくレベルかもしれません。

(重ねるとわかります。向かって左の⑴が一番黄色いですね。真ん中に比べて、右の⑶が若干黄色いのが確認出来ます。)

それよりも⑴と⑶の“反射光がほぼ同じ色”、白色であることに興味が湧きます。

メガネ全体のクラシックな雰囲気が増すように、⑴の選択肢を用意していましたが、⑶もありだなという感じです。ただ、クリアでは無くてカラーを乗せた際に、⑶がどのような反射光になるのかは読めないですね。

結局、裏面UVの是非というよりも、マルチより白色に近い反射光なので個人的に良いと感じました。目ん玉に紫外線が入ると、メラニンを分泌する指令が脳から出るという実験結果もありますので、女性を中心に提案してみようかなという感じです。⑴と⑶については耐キズ効果もありますので、見た目+効果で選んで下さると嬉しいですね。半年くらい使用している⑴のレンズを見ると、割と雑な扱いでも小キズが無いのでオススメです。

検眼について
目のことレンズのこと

16.12.20

例えばの話ですし、私の検眼のイメージです。

チョコが好きな人が目の前にいます。その人はトマトが嫌いです。そして、私はチョコが嫌いで、トマトが好きだとします。

この2人がチョコとトマトについて話合えば、好き嫌いの一致はしませんが、会話はちゃんと成立します。

ここで、このように思考実験をします。ひょっとして、人間が嫌いと判断する味覚は共通しており、私にとってのチョコの味が、相手にはトマトの味と認識しているのでは無いかと。

検眼はこの例に似ていると、私は思います。輪っかがどの方向に開いているかを聞くことは、あくまで手段であって、その手段を用いて相手の表象が、脳の中の映像がどうなっているのか想いを馳せる行為だと捉えております。

先ほどの例ですと、味がお互いでテレコになっていること(検眼で言えば相手の映像を垣間見る)は、認識出来ないです。だからこそ、検者と被験者の歩み寄りが生まれ、検眼にはやり甲斐と面白さが生じると思っております。

乱視の乱という字がしっくりこない
目のことレンズのこと

16.11.20

乱視の補正をちゃんとしてあげますと、おおよそ次のような返答が、お客さんから貰えます。

・くっきり輪郭線が見える

・色が濃く見える

どちらもその通りだと思います。各人それぞれの感じ方、表現をされます。特に乱視の性質上、色の濃淡や鮮やかさは顕著ではないかなと思います。メガネ屋さんで比較されると面白いです。

ここからが大事で、つまりレンズの度数一つで、ボヤけるボヤけないの他に、色の濃さとか見るものの見え方が変わります。今日のお客さんは、地図の立体感がもの凄いと仰っていました。等高線につけられた濃淡が、そのまま起伏に見えたようです。

ヒッピーの時代は、クスリで脳の処理に変化を加えることにより、世界の見え方や捉え方を変えていました。サイケデリックアートは、まさにそのように世界が見える結果なんでしょうね。

それと同じように脳の処理を変えなくても、脳への情報、つまり目に入る光をどうするかによって、世界の見え方云々が変わるわけです。

ですから、こちらとしては責任重大ですし面白いところでもあります。レンズを変えたら、例えば木々の葉っぱが風に揺られてうねるように見え始めるかもしれません。今日レンズを試された方は、写真を撮るひとでした。ひょっとしたら、今までは無視してきた物に惹かれるようになるかもしれません。今までと被写体が変わるかもしれません。言い換えますと、世界の切り取り方が変わるということでしょうね。カッコつけて言いますと。すみません。

ちょっと大げさでしたが、レンズも面白い物です。フレームだけがメガネでは無いですし、むしろやっぱりレンズに深い部分を感じてしまいます。

最新テクノロジーについての考察
目のことレンズのこと

16.11.18

メガネ屋さんを覗きますと、次のような謳い文句に遭遇するようになりました。

「420nmの短波長を99%カットする、新しいレンズ」

みたいなやつです。メガネ屋に年始くらいから頻繁に案内が来ています。各社、新レンズ(コーティング技術ではなく、生地への練りこみ)としての打ち出しです。

いまのところ、ブルバキでは推していません。様子見です。それには、以下の考えがあります。

・紫外線(400nmまで)を超えた領域をカットしているということは、可視光線(目に見える光)もカットしているので、確実に色のついたレンズとなる。実際、見た目は各社うっすい茶色のレンズである。濃度で5〜10%くらい。

・プラスチックのレンズは、屈折率1.60以降を採用しており、現代は1.60以降ですとUV400機能は、ほぼ標準装備である。

・つまり、目に見えない範囲の短波長(青色光)をさらにカットしたい場合は、通常のレンズにカラーを入れれば良いと考えている。

 

新レンズ420nmカットは、波長400〜420nmの光を80%くらいカットしており、通常のブラウンカラーのレンズより、格段にカットしています。短波長は角膜や網膜にダメージを与え、白内障や黄斑変性の原因となると言われています。だからこそ原因の除去の為、新技術が登場したのでしょう。メガネ業界の位置付けとしては、ブルーライトカットレンズの第三世代という感じですね。今風に表現しますと。

ここで思い出されるのは「ライフゲーム」です。

Wikipedia:ライフゲーム

生命の誕生・維持・死滅の数学モデルです。以下、記事より抜粋です。

…ライフゲームでは初期状態のみでその後の状態が決定される。碁盤のような格子があり、一つの格子はセル(細胞)と呼ばれる。各セルには8つの近傍のセルがある (ムーア近傍) 。各セルには「生」と「死」の2つの状態があり、あるセルの次のステップ(世代)の状態は周囲の8つのセルの今の世代における状態により決定される…

ライフゲームが面白いのは、次のステップでセルが死ぬ条件でして、自分の周りの細胞が多すぎても少なすぎても死にます。過疎でも過密でもダメなわけで、ほどほどを要求します。周りに人が少なければ孤独で亡くなりますし、多過ぎれば食糧が足りなくて飢餓で亡くなるとか、そういった事象と対応しています。

長々書いてすみません。レンズの話、420nmのレンズをまだ信用しきれていない理由ですね。つまりです、カットしすぎてもいかんのではないか?と思うわけです。ライフゲームからも。

言い換えれば、程々に紫外線で目の細胞にダメージを与えた方が良いのかなと思っているということです。良いという表現がしっくりきませんが、自然なのかなと感じます。

無菌に近い状態で子供を育てると、将来、免疫力が弱い大人になってしまうというのも、一時期よく聞いた気がします。抗菌・除菌のしすぎはどうか?という提起です。それも頭にあります。天然が必ず良くて、人工が必ず悪いとは考えていませんが、そのバランスというのは気にしております。

 

視力について再び
目のことレンズのこと

16.11.16

ちょっと前に、こんな記事を書きました。

視力についての話(ヤフーニュースから)

最後の結びが良くなかったなと、最近お客さんと話していて、ふと思いましたので書きます。

大人は、視力1.5は要らないとヤフーの記事にあります。それは私もそう思います。生活環境にもよります。

そして子供の例を挙げて、視力1.5の遠視が原因と思われる集中力の低下の例もありますよ、と書きました。原因の全てとは言い切れませんが、可能性はあると思います。

ここからが重要でして、もちろん遠視はいかんですが、子供は視力1.0の完全矯正が良いと思います。ここが抜けていました。

以前のブログでは、大人は0.7〜0.9くらいで筋肉を緩めましょうという話でした。なのでその流れですと、子供の遠視もちょっと心配ですよ→子供も視力0.7〜0.9くらいが良いという記事に読めてしまいますね。0.7〜1.0の判断は子供だと難しくなりますが、言い換えればちゃんと矯正してあげるのが良いということです。キツかったらダメですが、ちょっと緩めるとかは不要では無いかなということです。

視力の形成は、おおよそ8歳で完成すると言われています。とくに5歳くらいまでがキーとなっていて、この時までに焦点を網膜の中心窩(一番正しい位置)に当ててあげて、ちゃんとした像を脳みそに覚えさせてあげることが重要です。そうしてあげないと、矯正してもくっきりした像が認識出来なくなってしまう可能性があります。

子供の場合は、検診等々で判明してお医者さんからメガネが要るor要らないの判断をもらうと思います。その値でいきましょうというお話でした。一番後ろの席からも黒板が見えないといかんですし、高校卒業くらいまでは完全矯正なのかなと思っています。高校生の受験シーズンで目が疲れるなら、デスク用のレンズを使う手もあります。

早いもので目の筋肉のピークは12歳頃なので、筋肉の衰えが徐々に出始める頃から、クッキリさよりも緩やかさを重視するのが良いのでは?というのが前回同様の考えです。もちろん、完全矯正の方が眼球運動がスムーズになり、良いという主張もあります。

眼位も関係してきますので、各人にそれぞれの処方があるとしか最後には言えませんけどね。そんなことを考えながら検眼等々を行なっております。

メガネも大分お手軽なイメージがついてきましたが、お手軽出来ない要素やお手軽ではダメなこともあります。

忘れないうちに
目のことレンズのこと

16.11.08

目とレンズの距離について。

本日お客さんで、他所でメガネを買った際に、まつ毛がレンズに当たると店員に言ったら、

「高さを出すと、目が小さく見えちゃうから…」

と言われて、購入時の鼻パッド等々のフィッティングをしてもらえなかった方がいらっしゃいました。まさかのフィッティングの断られ方?避けられ方?でしたので、忘れないうちに見解を記しておきます。

様々な流派がありますので断定は出来ませんが、目とレンズの距離で望ましいとされている数値は13ミリくらいです。測定後の仮枠の距離がそれくらいです。そこそこ離れている感じに見えます。

なので13ミリは、若干教科書的な数値でして、実際はメタルの鼻パッド付きフレームで目とレンズの距離が10ミリ、プラ枠ですと8ミリくらいでしょうね。ちなみに、目とレンズの距離は頂間距離と言います。

頂間距離は、物理的な要因を全く無視すれば、近ければ近いほどいいです。収差ですとか、目に対しての悪い要素が減ります。ただし、無視すればという仮定です。基本、まつ毛が当たらないように近づけてあげるのがベストでしょう。くどいですが、まつ毛に当たらないことが前提です。不快感もそうですが、レンズのコーティングが早く摩耗しちゃうのも理由です。

遠く用のレンズは頂間距離が開けば、目はより小さく外部からは見えます。ただ、1ミリ2ミリの差では、さほど変化は感じられないのでは無いでしょうか?ある程度、メガネをかけた段階で小さくなるのは決定しています。ちょっと離すくらいで、もはや大して変わらないと思います。

 

フィッティングを直すことでしたら、その場で直して差し上げられますので、まだいいですけどね。その方は、力の入ったまばたきがかなり多かったので、目が疲れているのでしょう。今日は、外で撤収作業をしており、パソコンのような近業ではないと仰っていました。なのに相当な回数のまばたきでした。まばたき、両眼の動き等々も観察しています。重要な情報です。おそらく、レンズも良く無いのでしょうね。

⑴度数が強めで、フレームの大きさが50ミリなので、おそらく1.74の非球面レンズを使っている様子。目の位置とレンズの位置を合わせていない(芯取りしていない)ので、収差が出て使いにくい。

⑵左右とも球面度数のみで乱視無し。乱視が全く無いというのは(処方するかしないかは別で)わりと稀です。おそらく乱視が未補正、そのかわりオーバーマイナスで、ちょっと無理して視力1.0という感じに仕上げている。その為、夕方しんどい。前回のブログの内容に近い話。

⑶2階の柔らかな光でもそこそこ瞬きがありましたが、一階の蛍光灯の白い光に晒されたときに、身体・視線の移動ごとに瞬きがバチバチしていたので、パソコン用コーティング(ブルーミラー)の反射がチラついて疲れる、鬱陶しく感じている。

それなりのお値段のメガネ屋さんで作られています。それなりのお値段のお店でも、こういう事例がますます増えてくるんだろうなと考えますと、相当に凹みます。そりゃ結果、量販でいいやになっちゃうよねと。

ちなみに
目のことレンズのこと

16.11.03

医学的な視力のマックス値は、視力2.5です。これは、視力の定義と、網膜上の視細胞の太さ(隣合う間隔)から算出されます。それ故、おおよそ視力表は2.0までです。いま店の壁にあるのは、視力2.5の欄は無いです。

アフリカの方ですと、視力5.0とかいます。どの定義を用いるか?とかあれこれあります。手が右左向いているとかではなくて、切れ目の認知が、現代の視力の大まかな定義なので、測定差異のようなものはあります。ただ、心理的な何か、現代人が眠ってしまっている野性の何かがあるのかもしれません。視力2.5付近かそれ以上あるのは間違い無さそうです。

獲物を探しに遠くに視線を持っていくことが多いと思いますので、それが彼らにとっての快適な視力なのでしょう。そう考えますと、現代日本人のある程度の近視は、あらゆるものが手元で完結出来てしまう環境への適応とも捉えられます。

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