カテゴリー:メガネのはなし

多分2回目
メガネのはなし

19.10.18

お持ち込み、新品グッチのサーモントです。おそらく触るのは2回目です。前はフィッティングのみなので、枠入れは初めて。腕の作りが綺麗で良いです。金属パーツを挟むために、ブロック柄の生地を作って一気にシューティングするのでは無く、一色ずつ挿して裏からネジ留めしてあります。面倒なことをしています。

もう多分、時効なんで書くんですけど、他のサーモントのときに、レンズ嵌めるのに何で眉パーツを外すんだと、他所の眼鏡屋さんからお客さんを経由して言われたことがあります。これをする為です。外しません??

リムネジも、出来る限りメッキを剥がしたくないので、いきなりネジを締めこんでレンズのサイズ感を確かめるのでは無くて、ヤットコで仮合わせしています。サーモントは、まず眉パーツを外さないと、ヤットコで正しくクランプ出来ないので。例えばオートで削ってフレームカーブとレンズカーブが一致しておらず、リムがビョンビョン跳ねちゃう状態だと、ネジ締めが安定しません。さらに眉を外さないので、ひょっとしたらサイズが0.05ミリ以上大きいレンズに対してネジの締めこみを行うと、マイナスドライバーの先がツルッと舐めて、ネジ周りがガジガジになったりします。

マロンカラーが良かったです。これは濃さ15パーセント。お客さんの案です。

今回は、もちろん眉を外して、サイズもカーブもピタッとなったことを確認しました。無事にメッキが剥がれず締め上げることが出来ました。実際は締め上げるときの手応えが違って、垂直方向の力が殆ど要らなくなります。それでネジが舐めにくくなるのです。

あれは、色々驚いたなぁ。まあ良いんですけど。

平凡パンチ1966年
メガネのはなし

19.09.30

この平凡パンチの、「ベストドレッサーの男性的センスを盗め!」のコーナーでは、メガネにフォーカスが当たっていません。小物類というので一括りです。ライターと同列というのが面白いですね。そもそもファッションのコーナーで、身につけて常に表に出さないライターが項目にあることが、オシャレな気もします。現代に置き換えると、スマホとかが当てはまりそうですけど。

それにしても、まだ一三時代の伊丹十三のアドバイスが、真言密教的で、厳しすぎて笑えますね。

僕のテレビ
メガネのはなし

19.09.04

より詳細を。先方が提案してくれたカラーが絶妙でした。茶色が強すぎると、アメリカ感(軍モノのメガネ)出過ぎるなあと危惧しておりましたが、グレーとブラウンの間のような曖昧なんですけど艶やかな色で、アメリカに寄り過ぎていない感じでした。ローデンの70年代とかにもよくあるカラーですね。最高。涎じゅるりです。

待ち切れず在庫分を作る前に、自分用を完成させました。構造に問題がないか、自分の度数とプリズムで試してみたいのもあります。

フロントはゴツく見えて、実際はリムが薄くて軽い感じがあります。それを活かすために、レンズ濃度50パーセントくらいにしました。このリムの感じであれば目が透けて見えても、ごはんですよ感が無く、野暮ったい感じがありません。しかしミラーはやり過ぎました。

枠入れに注意しないと、テレビの反りかえりがフニャフニャになるくらい薄いです

鼻パッドは、ヴィンテージアセテートを使用した方も同じで、元生地から作ってもらっています。テレビフレームは、特にフレームの塊の感じが大事になってきますし、これをやってくれたのは相当有難いです。

はじめ、図面を見たときは、なんだこの鼻パッドの形は?と思いましたが、これも中々良い感じに鼻に触れています。ベストは鼻骨底部なんですけど、それよりやや上ですね。

ほかにオリジナルからの意図した変更点としましては、ブリッジを2ミリ縮めて23ミリへ、傾斜を5度以内に、たぶんそれくらいです。眼鏡技師の観点から、解決策が自明な点のみ変更しておきました。あとこの辺のバランスは、全部設計の方に投げていますが、かなり良いようにしてくださっております。頬っぺたに付かない、鼻にちゃんと乗っかるテレビフレームは初めてかも。今日の昼の通勤で使ってみました。汗だく40分の自転車にも、あまりズレずに快適さを保っていました。

ただ今回、イギリスの安定感の無さには驚愕。おかげで、リムを限界まで自分で薄く削ることのキッカケを与えてくれましたが…。リム内側の凹みやテンプルのラインの崩れ等々が散見されまして、あーってなりました。全ての仕上げはブルバキで行うので、まあそのついでに直すっちゃ直すんですけど、リムの修正まで加えると合計5時間ほど。1本に。

時間掛けまくっているので、価格どうしようかなと思いましたが、とりあえず据え置きと思っています。物に対しての値段というのもあるべきなので。とか言いつつ増税もあるし、¥3,000くらいは値上げするかも。

結局フィッティングで、テンプルは曲げています。

掛けてみないと分からない
メガネのはなし

19.08.27

厳密にやりすぎると、確かにそうかもしれません。

ボクシング表記を避けているのは、そういうことなんだと思います。当時物のサイズに合わせているので、レンズ44ミリの鼻幅22ミリでも、fpdが64.5ミリです。レンズが、ヤゲン中心からヤゲン中心までを指しているからです。リム内径を定規で測ったサイズとは異なりますから。

自主回収
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19.08.25

改良前に販売してしまったので、回収して直しました。ヴィンテージアセテート、もう何でかよくわからないんですけど、やっぱりトロッと美しい気がします。

ひたすら
メガネのはなし

19.08.21

オリジナルのセル、テレビについて。

何回か売れかかったので、先に磨いてテンプルの修正をしておきました。

修正前

修正後

テンプル終端で比べると分かりやすいかも。修正後の方が、水を含んだように艶が出ます。光の反射の変化です。

水に墨汁を垂らしたような、そんな感じの柄が入っていまして、それの揺蕩う(こういう漢字なんですね。自動変換で出ました)感じを引き立たせる為にも、必要な修正だったかなと思います。最終工程がブルバキの手によって日本で行われていますから、メイドインジャパンになってしまいますね。

何だかんだで3時間くらい掛かりました。今から2本目も修正していきます。集中力がもたないかも。

空き時間
メガネのはなし

19.08.12

金土日とバタつきましたが、本日は暇でした。ということで、さらに改良を加えることにしました。

テレビフレームの、テンプル問題です。やっぱり、まだ納得いかず、今日こそ決着をつけてやろうと。もっと美しさが増さないかなと、流れる感じにならんかなというのが狙いです。まだいけるんじゃ無いかと。もっとあるはず。

テンプルの断面がデザインされていないことに気づきました。フロントに対して、テンプルのデザインの配慮や気力が足りないので、注入してみました。フロントとテンプルの接合は上手くいっているので、折角のその流れを止めないように、テンプルにも柔らかさを足します。棒ヤスリで角を落とし、さらにアーチをつけて断面がカマボコ状になるようにしました。リベット付近は、敢えて角を残しております。

先程より、もう少し棒ヤスリの細目で整えております。フロントの重厚感とテレビのアウトラインの角を受けるために、リベット付近は角を残しつつ、目線を収束させるために途中からなだらかに丸みを出しています。

実用面も考慮してではあります。割と納品時のテンプルの厚みがありまして、フィッティングがしにくい状態でした。曲げる・沿わせる等々施しますと生地の偏りが生じやすく、フィッティングの装用感の向上に繋がりにくいわけです。大体手で摘んでいるところで4ミリ、この厚みでスタートしてテンプル先で終わり、そこで大体2.5ミリです。

紙ヤスリが大変で、ここからが気合です。まずは#600です。この時点で曲面の豊かさが滲み出てきました。光の当たり方が変わります。

ややピンボケ気味ですが、紙ヤスリが終わりました。この辺りから、良い予感が止まらなくなってワクワクし始めます。あとはバフです。最低でも目の細かさで2種です。

完成後。表面のトロッと感が激増です。
未処理のフレーム。反射の違いで、表面の水々しさがこれほど違います。
完成後。あのとき見たベンツ感が漸くちょっと出ました。
未処理のフレーム。フロントの丸みに対して、テンプルの偏平な部分が目立ちます。テンプルから伸びた目線が、フロントに向けて収束しません。不可逆となっており、滑らかさ足りません。

ということで、何とか完成しました。とりあえず今日は4時間ほどかかったので、これからどうしよっかなーという感じです。このペースだと、木曜日の休みに1本ずつ仕上げるみたいな感じになるので、10月過ぎまで休み無くなるなぁという。もう、そしたら秋ですね。

ちなみにあの残した角、いい感じです。ただ全体に丸みをつけるだけではつまらないですし、角を残しておいた方が今のヴィンテージメガネ界隈はアレなんで。

あ、ピルクルですね。

結局、全体の狙いや作り上げたい印象を保持しながら、その為の細部のブラッシュアップということになりましたが、セルは難しいですね。常に3次元で、どっかで固定するというような分析を許さない感じでした。

テレビフレームについて
メガネのはなし

19.07.31

昨日のテレビフレームについて。

おそらく、ご説明の順番としましては

・やらないとか言いつつ、結局セルフレームに手を出した経緯

・テレビフレームの狙い

・商品の詳細説明(なんでイギリスか、なんでヴィンテージアセテートか等)

だと思います。上から順番にいきます。

おいブルバキ、結局セルフレーム作ってんじゃん!

というお叱りについて、はいその通りです。もはやヴィンテージ&シルバー眼鏡のブルバキでは無いですね。ヴィンテージ&シルバー&SPM &セルのオリジナル眼鏡ほか大体全部ということで、ほぼ手を出しています。タピオカやりつつカキ氷もやって、さらに食パンもやるみたいな感じです。

経緯としましては、昨年の夏に遡ります。まだ、新栄から名駅まで歩いて帰っていたときのことです。栄のトップカメラ周辺の交差点で、ベンツが信号待ちをしていました。私は車には詳しくないので、車種は分かりません、ただベンツとだけ認識しております。セダンです。名古屋の栄ですと、特に珍しくもありません。私も、いつも通り眺めていたと思います。ただ、ちょうどその頃はデザイン云々が個人的に引っかかっていた時代でして、直近で外車のデザインの連続性とその滑らかさについて話をした後でしたから、妙に気になって眺めていました。

いつもよりじっくりと観察していますと、突然ワッと感動したことがあったんです。それは、後ろの去り姿がめちゃくちゃ美しいということでした。その後、何台も何台も名古屋駅まで歩きながら比較したので間違い無いはずです、あれこれの車よりも後ろが美しいです。どう美しいか?それは空気の動きではないかなと、何となく感じました。

実際に空気の動きを観測した訳ではありません。ただ、ボディが反射する街路灯の光が、車が移動するにつれてニュルニュルニュルーっと、滑かにボディを伝ってテールランプまで移動します。夜が粘度を増して、ベッタリと纏わりついたようでした。それで、ボディがキラキラでトロトロと水気があるように見えたんです。乗っている自分は確認できない、一切を観測者に差し出した、一つ上の美しい水々しさみたいな感じで、それがとても豊かでいいなと思いました。また、そこを配慮してるんだなと。そして、そういう眼鏡が欲しいなと強く感じた訳です。それは同時に眼鏡で実現できるのか?という問いの発生でもあります。

この、ベンツにゅるにゅる観測事件前から、作ってみたいセルフレームが実は存在していました。ただ、なぜブルバキのセルフレーム一発目がそれなのかとか、ビスポークとかなんとか、かっこいい響きが巷で耳に入るような時代に、個々人に対してオーダーメイドの楽しさを取り去った挙句に、このフレームを買っていただくことへの意味はあるのか無いのかみたいな懊悩とか、あとはセルは皆んなやってるから、うちはやらないっすねーみたいな事をカッコつけて喋った後だなぁという後悔とか、色々混ざり合って億劫になっていた訳です。

その悩みは、ベンツにゅるにゅる観測事件が全て解決してくれました。解決と言いますか、積極的な無視です。それというのも、作りたいなとキープしていたフレームと、そのにゅるにゅるの美しさが似ていたからです。まさにこれだ!となったからには、止めるわけにはいきません。

これほど前述でベンツ後ろ!とか書いといて、元ネタのバックショットがアルバムに無い…。ということで横の写真です。テレビジョンカットのフレームなんですけど、リムの外も削りを入れて、尚且つテンプルに向けて、平面では無く曲面で滑かに収束させております。そして、この元ネタの残念なところは、テンプルが元々の物では無くて、USSかなんかを無理やり駒を広げて差し込んでいます。フロントの収束を受けて、テンプルをどう処理したら気持ちの良い流れを作れるのか?元ネタに、それの答えはありません。ベンツで言えば、終端にはテールランプがあって、怪しく艶めかしく光っているわけですが、それをメガネに置き換えるにはどうしたら良いのか、これが気になって気になって仕方が無かったのです。何故私があのベンツのにゅるにゅるを美しいと感じたのか、またあのにゅるにゅるを元ネタとなるフレームに見出したのか、理由は分かりません。好きに理由は無いというのがこの世界には公理として存在していますから。であれば、このメガネを再編成しながら作ったときに、言葉では表現出来ない、だけど判った!というより何となく掴めた!くらいの感覚が得られるのか、そしてその物は、眼鏡として、まだちゃんとカッコいいのか、そこを迷いが介在する隙もなく、確かめたいと思いました。そしてそれには、しっかりと体積が稼げて曲面の表現が上手くできるセルを用いないと不可能な為、セルにも手を出した次第です。

本当は制作に関して、1回目のサンプル完成の後に色々また煩悶がありましたが、それはブログでは割愛します。因みにスペインで解決出来ました。

石像の股間の布の彫刻、アジア人が息でフーフーしがち事例というのがありまして、それに対してのスペイン人ガイドの回答のお陰で悩みから立ち直れました。それを単なる不敬と捉えず、彫刻の素晴らしさと基本観察ポイントそのものという転換をして分かりやすく解説してくださったお陰で、その後の自由行動でプラド美術館でお腹いっぱい彫刻を見てあれこれの差を学ぶことが出来、克服しました。それは店頭で時間があれば。

テレビフレームのねらい

まずは前述の感動を再現してみたいということ。あと強いて言えばですね、テレビジョンフレームがあんまりヴィンテージで出てこないから作りたいというのが挙げられます。

仕入れの値段で、例えば40年代50年代のフレームより、よっぽど高かったりします。この辺が、ヨーロッパと日本の価値観の違いでしょうね。出数が少ない中で特にしっくりくる物となると一層少なくなりますから、それも作った理由です。セルのフレームで、サーファー感の少ない、ダンディでコートとかにも合うサングラスを作りたいとかも考えていたかもです。この前の、ゴダールの勝手にしやがれでも、やっぱり男女問わずダンディ系のサングラスって良いなあって思いましたしね。そういうのが好きなんです。

詳細

長くなりすぎたので、詳細といいつつパパッと。

何でイギリスで製作したのか。それも色々あったんですけど、そもそもコレは海外で作ってみたいというのは念頭にありました。作ってみたいと言いますか、海外でしか、あの流動体のようなフレームは難しいかなと。立体の把握の仕方が、日本と他所とで大きく違うことが最大の理由です。ミクロな部分の精緻さをキープしながら全体に拡大していくのと、マクロの全体の雰囲気をキープしながら、ミクロを細かくチューニングしていくのと、そういう違いを感じております。今回のケースでは、絶対に全体の雰囲気を保持しないと崩れてしまうと感じて、外で作れないかなと思っていたらそういえば…というのでイギリスに決まりました。フランスの手があれば、フランスだったかもしれません。

サンプルを2回制作し、特に1回目のサンプルは、フレームの半分を原形の無いほど削って送り返しておりまして、こうだよこうっ!と、相当に修正の指示をしました。おそらくファ××ンジャ×プと思われたに違いありません。

ヴィンテージアセテートの使用については、独特の軽やかさが出るかなと。それが一番です。柄の入り方とか色味とか光沢とか、やっぱり違いがありまして、元ネタに近づくかなと考えて採用しました。各カラー、一本ずつしかフレームとして取れないというのも魅力なんですけどね。

また、フレームの形そのものも、個人的には変わらず好きだと言えるであろう代物でしたから、継続性にフォーカスも当てていまして、全体の半分は現行の生地で制作しております。それも予想を越えて良いです。やや柄の入り方が曖昧で、ヴィンテージに近い雰囲気はしっかり出ています。納得感はありました。言い換えるとこれも良いよね感です。

正面は、ブラウン管テレビっぽくなるように削りこみを入れる一方で、裏はテンプルにかけて収束するように、また、リムの上下は斜めに削ってテンプル終端に向けて目線の移動を促すようにしております。斜めに削り過ぎると、リムの薬研が露出しますから、そういう内と外から二方向の削りはやりたく無いんでしょうけど、ここを強く指摘しギリギリまで攻めさせました。おそらくこのときにフ×ッキ×ジ×ップと思われているかなと。でももう、作りたいが勝ってしまい、ここは譲れずワガママを一発かましました。本当に少量で大変なことをさせてしまったと萎縮しつつ、でもお陰さまでいい感じだなとほっこりです。

ちなみに、8ミリ生地です。リムに削りを入れてボリュームダウンしているので、重厚感のある迫力があるのに、軽やかさも出てます。生地が厚いことの良さとはそういう事だと思っていまして、厚い生地でレンズをくり抜いてそれで終わりというのは、なんだか流行りのステーキと同じです。厚ければ厚いほど美味いみたいな。それも美味いけど、いま私が敢えてでもやるべきは、8ミリという幅、体積を、どれほどダイナミックに手を加えたか、そのままでは重たい印象の物に、どれだけ軽やかになるような、反対の印象を付け加えることが出来たか、おそらくそういうことでして、それを大事にしてみました。

その甲斐もあり、テレビフレームは基本的に濃い色のレンズから瞳が透けて見えないようにするのが常套手段だったりしますが、真正面から捉えると大人しい四角いメガネに見えます。よって、色無しでもカッコよく着用出来ます。それは予期せぬ成果でしたね。

インスタで、湾岸戦争くらいの米兵のメガネっぽいというコメントを頂いていましたが、本当にそうだと思います。そうも見える、そうで無い見方も沢山ある、つまりお得です。

いざ出来上がってみると、まだ何かベンツのにゅるにゅるに近づくためにやれることがあると感じます。感じるだけで、具体的にはどこをどうすると、頭に浮かばないので、それは完成したということだと思います。ぜひぜひご覧下さい。

明日ちゃんとします
メガネのはなし

19.07.30

また本棚が増えて、店の配置を変えていて時間が無かったのと、iPadの充電が無いので、明日ちゃんと詳細書きます。とりあえず、興奮だけ先にお伝えしておきます。

テレビジョンカット、作ってしまいました。昨年の9月から話を進めていましたので、ほぼ一年かかってしまいました。

先に、70年〜80年代の、ヴィンテージアセテートを使用したタイプが届きました。鯖江ではなくて、イギリスから。この辺のことも、明日書きます。ヴィンテージアセテートじゃなくても良かったのかもしれませんが、仕上がりからしますと、やっぱりなんか違いますね。良かった、非常に。柄の風合いだと思いますが、軽い感じが上手く出ました。

ヴィンテージアセテートを使用したフレームは、面積が稼げなくて各一本ずつの生産です。売れたら終わりです。形はやめないつもりですけど、それは売れ行き次第でしょうね。自分は、使いたい欲求をグッと我慢して、現行品のアセテートを用いたフレームを使用する予定です。夏の本番に間に合ったと、物凄くベタな表現をここで差し込んでみます。

インスタとブログのこれは、ヴィンテージアセテートを使用しております。インスタのは、フランスっぽい赤の亀の感じです。

たまには
メガネのはなし

19.07.22

たまには、ヴィンテージの裏を取る努力も頑張っていますよアピールをします。あんまりその辺を書かないので、雰囲気で適度にやっていると思われてもあれなんで。

それというのも多分、ブルバキが頑張らなくても、他の店や、はたまた個人であれこれ調べてフレームの様々を分析してブログなり何なりを書かれていると思うので、私としてはそこに時間を割くのをやめています。もはや見て分かることは、大体検索すれば詳細も分かりますからね。情報社会と呼ばれて久しくて、つまりそれは、情報に価値があるというよりも情報は減価を免れないということなんでしょうね。そんなこと考えていますと、ブログに書くことが無いなあと思いつつ、なんだかんだで3年で85×10ページも書いています。昨日はメガネだけで3件も。自分のブログのページスクロールみて、引きました。ページスクロール85は、中々気持ち悪いですね。

(眼鏡フレーム キクチ眼鏡専門学校 戸村憲造著 出版年不明 p.53)

数学で学んだことは何だ、みたいなことをよく聞かれます。数学科卒が眼鏡屋をやっていることが不思議なんでしょうけど、それは皆んなも大体そうだと思いますよ。仕事とダイレクトに結びつくのは稀だと思われます。

そんな思いを秘めつつ、聞かれてよくお伝えするのは、立ち止まったら定義に還るということですね。これはお陰様で染み付いています。常に一本の鎖をイメージするわけです。進まないときは、その発端に戻ります。高校までの数学は、どちらかと言えば数学というよりパズルなんでしょうけど、大学はひたすらそれを言われた記憶がありまして、むしろそれしか頭に残っていないです。

ということで、暇があると我々にとっての定義的存在である、認定眼鏡士の教科書を眺めるわけなんですけど、見る度に、めっちゃ凄いことがサラサラーっと書かれていて驚きます。もちろん教科書ですから、参考文献もあげてありますし、全て裏を取っているのでしょう。

話は変わりまして、日本の古いフレームは未だ、めちゃくちゃ面白い余地が残されております。例えば40‘sフランスみたいに、年代をまるっとブランド化するということを施されていませんから、カテゴリーで検索することが難しく(例えばフレンチヴィンテージ的な)、また品名やブランド名が80年代に入るまで記載されていないことも多々で、特定のフレームを指して探すことが困難です。つまり偶然出くわす、たまたま掘り出すという楽しみがまだまだ残されています。

その時に、写真のアレが活躍してくれるわけです。

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