カテゴリー:メガネのはなし

ハイテク
メガネのはなし

19.04.09

サングラスから、度なしの伊達メガネに変更しました。日本未発売、BOSEのサングラスです。テンプル裏、真ん中あたりにスピーカーがあります。お客さんに試させて頂きましたが、密閉式では無いのにこんなに音が良いのかと、感動します。

フロント内部に配線が通っています。お陰でクリングスの取り付けが出来ずです。テンプルエンドの添わせも日本向けではなく、耳の後ろで摩擦が得られず下がり易いです。曲げが不可なのでピタリングで対処です。

形状に無理がなく、全体としてカッコいいので驚きです。


メガネを乗せるために
メガネのはなし

19.01.09

お持ち込みのメガネ。実は、いきなりパーツを交換しています。トップの画像の先セル(耳に掛かる部分)は、純正品ではありません。汎用品です。テンプルの細さは1.0ミリφで、先セルの交換品が、一般に手に入ります。どのメガネ屋さんでも大概です。それよりも細いと難しいかも。

なぜ交換したか、それは見て一発でメガネが止まりにくいと分かるからです。

元のパーツと比較します。袋の中が正規パーツですが、金属に触れない様に、同じ太さで被せてあるタイプの先セルでした。メガネは、圧迫ではなく摩擦で頭部に保持されています。先セルが細ければ、頭部後ろで摩擦が生じず、メガネはズルズルと下がります。耳の後ろにピッタリと沿わせた場合、重みが全て耳に掛かるので、痛くなるかもしれません。

クリアブラウンで、たまたま供給品がやや細めの先セルでしたから、元のイメージを崩さずに交換出来たと思います。今のメガネですと、結構このような先セルが細いパターンも多いはずです。

鼻盛りの問い合わせをたくさん頂きますが、メガネは鼻だけで乗っているわけではありません。メガネが下がって困っている方は、耳の部分を観察してみるといいかもしれません。

模様について
メガネのはなし

18.11.26

この前の古書市にて。

この本に関しては、古かろうが新しかろうが、私にとってはあんまり関係ないかもしれません。模様について、ずっと追い続けていないので。

会場に雑多に置いてあって、たまたま目に入り、買いました。1968年の本です。本当に、日本の模様についてだけ書いてあります。

 

これに関連して、無垢のメガネに対し、彫金を入れて販売したケースは少ないです。一番のネックは価格だと思います。そもそも彫金という言葉が界隈で乱用されていますが、辞書的な意味では手彫りのみを指しています。一般に出回っているメガネは、基本、彫金風のプレス模様です。近い例ですと、鼈甲と鼈甲柄のセルが挙げられます。もし本鼈甲なら桁が一つ違います。手彫りもそんな感じです。どの分野でも、なんでもそうなんでしょうけど、日本人が頑張って一つ一つ面倒見始めたら、ああいう価格帯では難しいです。

 

カッコいい・カッコよくない、そういう観点で捉えようとしますと、おそらく彫らない方がカッコいいです。プレーンが程よいです。

好きなもの、好きな服、好きなメガネ等々を訊ねると、多くの方が「シンプルなもの」という返答をします。シンプルという言葉は素朴さと結びついており、何もない素朴が一番カッコいい時代であることは確かだと思われます。

そういう時代ですから、敢えて高いお金を払ってまで、時代にそぐわないカッコ悪さを手に入れるような行為をするということが、稀有なのは仕方がないことでしょうね。ただ、カッコいい・カッコ良くないだけでは物足りない気がするのは、何となく皆さまも同じだと思っています。

臭うメガネの最期
メガネのはなし

18.11.20

ペルソールが劣化で臭い始めたので、芳ばしさが出てからの耐久性を調べるために、折角なので自分で使ってみるとブログで書いた記憶があります。確か夏頃。

その結果が出ました。お店の床に落とした時に、リム切れしました。落としたことによる故障としては、初めて遭遇しました。かなりレンズは小さくしておりましたが、まさかの結末でした。

実際、結露が出るのはリムの眉部分でしたし、元々ペルソールのセルに不純物が多いのか、初めから気泡みたいなものはリム中に散見できたので、臭い始めた=重篤に痛んでいると、今回の検体では結論付けにくかったりします。

いずれにしましても、臭いです。そしてやはり耐久性に疑問が残ります。とりあえず今まで通り、臭うフレームは除外して提供致します。

 

amor
メガネのはなし

18.11.05

アモールの切り抜き。詳細な年代が分かるポイントが無いのが残念です。50年〜60年代と推定。

アモールといいますと、だいたい状態が悪くて使えないか、小さすぎて使えないというお決まりのパターンがありまして、誰がこんなに小さいメガネ掛けてたんだろ?と、思っていました。ようやく解決です。アモールジュニアと記載がありました。

メガネを掛けたら成績アップ的な絵がかわいいです。

男女、年齢問わずということは、メガネのスタンダードが此処の時代があったということでしょうね。スタンダードが可変ということは、メガネのスタンダードとは何なんでしょうね。

ペルソール
メガネのはなし

18.08.25

レンズは、一応#3です。やや緑強めで黄色味が少ない気もします。

個人用に作りました。”meflecto”の刻印が彫りのタイプです。やや古め。

ペルソールは、扱いのある中でもカッコいいメガネとして認知が高いです。お笑いの要素よりも、イケメン要素が高いので、販売の私が使って良いものかどうか、一年くらい逡巡しました。

決め手は、メガネから完全に劣化の合図が出始めたことです。元々入荷させた際に、疑わしい臭いが微かに出ておりました。ということで、一年ほど傍に避けながら管理しておりましたが、ついにダメでした。NOSで届いていましたが、おそらく中古だったんでしょうね。残念です。

せっかくなので、人生初ペルソールです。自分で使ってみます。臭ってから、一体メガネはどれくらい使えるんだというのも、自分で試したことがないですからね。

矢じりのメッキが剥がれていたので、バフで全部引き剥がしました。真鍮の金が出ています。

自分のメガネを、ちゃんと鼻盛りするのは初めてです。自分の為だけの物に時間を掛けるのが、何となく嫌で鼻盛りの要らないフレームばかり選んでいました。鼻盛りも初めて体験しております。

ということで、メガネは確かにカッコいいですが、至近距離で臭うという、カッコ良い・悪い以前の問題を抱えたメガネをかけてみます。

ヴィンテージ加工
メガネのはなし

18.07.30

セリーヌのお持ち込み。セレクトショップにてご購入とのことでしたが、

「メッキの部分に当たりが沢山あるけど、これはそういう物??」

という相談を受けました。本来であれば、販売のときにクリアになっているべきですが、そこが鮮明でないまま購入になってしまったようです。それはちょっと残念。

 

トップの画像が一番分かりやすいですが、擦り傷のように特定の方向が見受けられない、当たり傷が沢山入っています。特定の方向が無い(直線的でない傷)というのはミソです。ちなみに、メッキの剥がれや、地の部分の露出はありません。

ロゴ付近のかすれがあります。この部分だけ見ますと、非常に判断しにくいでしょう。

当たり傷の上に、シルク印刷で品番の印字があります。シルク印刷が擦れていないことから、この部分である程度の判定が出来ます。

 

ということでこれは、ヴィンテージ加工です。味付けです。私の知っているケースでは、確か3年くらい前に三工光学のドゥアンというブランドで、このようなヴィンテージ加工(メッキへの傷加工)のモデルがありました。様々な要素から販売し難く、消えた技術だと思い込んでいました。実際に目にかかるとは!

元々、いまのセリーヌのメガネやサングラスは、フラットレンズが初期で積まれていたり、ヴィンテージの雰囲気を醸し出す工夫が随所に組み込まれています。そのようなことから、百貨店に行く機会があれば、必ずサングラスは気にして見ていたブランドでしたが、ここまではしっかり見れていませんでした。その部分を攻めるとは思っていませんでしたから、驚きました。

個人的には、通常のメッキよりも光沢が抑えられ、マット仕上げよりも軽やかですから、良いと思います。小さい鉄球か何かを落として、当たり傷を出していると思われ、それが擦っていない傷という、自然には起こりえない特有さに繋がっているのでしょう。

デニムの色落ち加工や、膝とか腿を破っちゃう加工に近いです。カバンに入れっぱなしで移動で擦れても、初めからメッキに擦れがありますから、ガッカリ感も少なく済みます。ただし、一般に受け入れられて広まるかどうかは分からないですね。新品の品物に対する、布と金属の評価の違いが、この辺りに露出しそうです。

なんだかんだ書きましたが、気になりすぎて日本の代理店に電話して確認もしております。メガネは、どのブランドも基本はライセンスになりますから、ブランドに聞くよりも代理店に電話が確実です。結果は、やはり加工でした。

買うときに聞かないと不安ですよね。正直私も、ドゥアンという前例があっての、ヴィンテージ加工という終着点が頭に有りきの分析ですから、知らなかったらその場で初期不良と即答してしまっていたかもしれません。消費者の方ですと、より一層、ヴィンテージ加工かどうかを見抜くのは難しいでしょうし、不安を覚えることは当然でしょうね。

 

図鑑
メガネのはなし

18.07.22

本日は検眼の為、14時から開けます。

 

久々に、メガネの図鑑を買いました。多分、これもヴィンテージメガネ店の所持率が高いはずです。

EYEGLASS RETROSPECTIVE

特色としては、オリバーゴールドスミスが多めに載っています。その時点で良いです。フォックスアイのバリエーションも多いです。編集の雑多な感じも良いです。読み進めるにつれて、ワクワク感を増幅させます。

 

オプトメトリー
メガネのはなし

18.06.20

以前にも紹介した本。買って満足するに留まっていましたので、今日ようやく読みました。

この前の「名眼50年のあゆみ」や、キクチメガネ2代目社長の追悼集「風雪70年 森文雄 追悼集」から、ようやく小川守三さんが、日本人初のオプトメトリーであることが理解できました。アメリカでオプトメトリストの資格を取ったのち、日本に戻ったタイミングで開業しています。それが1923年のことです。内務省衛生局長の紹介を得て、当時の眼科の諸大家を歴訪しているそうです。認定眼鏡士が未だに国家資格にならない現代を鑑みますと、視力矯正が国家プロジェクトだったということで、羨ましい限りです。

当初は、眼病は眼科医で屈折矯正はオプトメトリストに振り分ける目論見があったようです。眼科という大分類の中に、眼病専門の眼科医と、屈折矯正専門のオプトメトリストという中分類があるというイメージです。あくまでも、前提としてどちらも医者であるべきという考えでしょう。それが、現代の眼科とメガネ屋という構造になったのは、処方はメガネという形であり、最後は物が重要だからだと考えられます。

個人的に面白いと感じた箇所としては、写真のページです。昭和40年(1965年)の回想文でして、眼位異常を矯正した記述があります。おそらく、上下斜位(本文中では潜伏斜視)にもアプローチを掛けていることから、プリズムの処方をしたと考えられます。矯正に関して、現代と遜色ない理論が整っていたことが伺えます。

自由研究
メガネのはなし

18.06.17

書籍に目を通しています。この前の「名眼50年のあゆみ」より。70年代の書籍です。

特に興味深かったのは、冒頭の昭和12年(1937年)の決議です。そもそもメガネのイメージがネガティブであったり、ファッションの観点が薄いということもあり、デザインが乏しいと考えておりました。それも要因として考えられますが、第二次世界大戦前に、物資や人員をメガネに当てないように単純化する動きがあったわけですね。この動きというのが、日本だけだったのか、他国にも同じような動きがあったのかは気になるところです。

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