カテゴリー:メガネのはなし

リムの種類
メガネのはなし

17.03.11

細かい話。1920年代のメガネの写真です。ヴィンテージメガネの好きな方は、掘りまくると、この辺りに大体たどり着きます。

正面から見た感じだと分かりませんが、一番上と三番目のメガネは、カットリムと呼ばれるリムの形状です。昨今のメガネで、敢えてカットリムをすることが無いので、多くの方は新品でも見たことが無いかもしれません。

そもそもですが、リムとはレンズを囲む部分を指します。通常は、内側がレンズを止めるために薬研型に凹み、外側は平らです。

ですが、カットリムの場合は、リムの外側も薬研型に尖っています。リム自体に厚みがあります。もちろん、デザインの為でもあるのでしょう。ですが、強度枠という呼び方もありまして、強い度数のレンズの、ふち厚が目立ちにくいようにする為に誕生したとも考えられます。

通常のリムを引くのと違い、形を作ってから内側の薬研を切削する(カット)します。作るのに手間がかかりますので、あんまり見ないです。写真を撮りたかったですが、私のストックにもカットリムはありませんでした。

メガネ屋さんを覗くときは、よければ気にしてみてください。なかなか綺麗です。

ローダフレックス
メガネのはなし

17.03.08

ローデンストックのネタ続き。

ローダフレックスというバネ蝶番があります。スライド式のバネ蝶番でして、バネのテンションのかかり方がしなやかです。テンプル開閉の時、特に閉じる時ですが、バネの力が一気に抜けないので、パチンと閉じません。おかげでバネ切れもしにくい、良い蝶番です。

スライドバネ蝶番ですが、昨今は海外製のメガネにもついております。ですが、スライドするケース部分に高い精度がいるため、海外製でも、スライドバネ蝶番部分のパーツ供給は日本です。

一般的にバネ蝶番となりますと、箱バネが多いですが、そんなに見ごたえのあるものではないでしょうね。ローダフレックスのようなスライドバネ蝶番の場合は、日本の技術が込められているので嬉しくなります。

語源
メガネのはなし

17.02.20

アモール型というメガネがあります。

(上はナイロール、下がアモール)

写真のメガネはヴィンテージですが、現代のメガネにおいても、2007年頃からの黒ぶちブームより続いているクラシック風味のメガネの新提案として出始めています。

クラシック風味の初期はアメリカの50年代〜60年代をデザインソースにしている感じでして、2010年入ってからの、メタルとセルのコンビのメガネは、当時のポパイ的な80年代のアイビーテイストを織り交ぜたような感じがしております。そろそろ、トラッドで抜け感のあるメガネが落ち着いてくるのか、アモールのようなフランス等々のヨーロッパ系の華やかなメガネに振れていくのか、楽しみなところです。

アモールに関してですと、2015年くらいにトムフォードが出していたような気がしております。2016年にはイッセイミヤケのライセンスが再興しておりまして、アモールだらけでした。

メガネの歴史としましては、アモールが先で1950年代から存在し、ナイロールが対抗する形で1955年に登場しております。実際にナイロールが流行るのには、1970年代のプラスチックレンズの登場を待たなくてはいけなかったようです。

前振りが長いですが、アモールの語源が今日ようやくわかり、それについて書きます。

フランス語の amortisseur から生まれた言葉だそうです。ショックアブソーバーという意味です。

日本では安全枠という呼称もありまして、レンズが割れにくい欠けにくいという機能面からの命名でした。アモールの由来にも沿った呼称ということでしょうね。

ちょっと前に話題となったアモーレ的な、その活用形かなんかと思っていましたが、アモールはアモーレ感ゼロという結果でした。

(Collectible EYEGLASSES Frederique Crestin-Billet Flammarion  p.187 2004年)

医療の進歩
メガネのはなし

17.01.11

今朝の中日新聞から。1月11日の朝刊。

再生医療も、後10年くらいで一般的になるんでしょうか。光を知覚出来るようになったというのは、驚くべきことですね。

この状況を鑑みますと、ひょっとしたら近視・遠視等々は治せるものとして扱われるようになる世界が到来するかもしれませんね。

ならば、矯正器具としてのメガネは消滅するかもしれませんが、アクセサリーとしてのメガネ(伊達メガネ)は残る気がしております。

ブルバキは、ちゃんとしたメガネ屋です。ですが、伊達メガネも度付きのメガネ同様に捉えております。大歓迎です。それは今述べたようにメガネの本質みたいなものが、実は矯正ということよりもファッションという側面に移行しているような予感と、単純に面白いと思って下さればそれで良いのではという想いからです。


メガネのはなし

17.01.06

メガネ図鑑・その他資料収集も、もちろん趣味です。

年末に買いました。自分へのご褒美的なやつです。閲覧用に店に置いておきます。

告知も兼ねて
メガネのはなし

16.12.22

金銀APC、サンプラチナのメガネを見てくださった方、ありがとうございました。ひょっとしたら年明け1月中頃に、もう一回見て頂ける機会が作れるかもしれません。お楽しみに。その次は、ちょっと期間が空きそうです。

入れ替わったとしても
メガネのはなし

16.12.21

例えば、違う人と中身が入れ替わったとして。前のブログで多分書きましたが、記憶の在り処は問わず、ちゃんと記憶とか意識が連続していたと仮定して。話を続けます。

昨日の話を持ち出せば、表象がお互いに違うとか(脳の中の映像)がありえますので、入れ替わったと感じるのではなく、夢の中だと認識して気づかないままの可能性はありますね。見える世界が違いすぎて、現実と判断出来ないことも考えられますね。そもそも他人と入れ替わる訳がないというツッコミは無しです。

実際、色覚は人それぞれ千差万別であり、ポジとネガくらいの極端な反転は無くとも、ある色を感じる?感じない?の差はあります。細かく調べると、全く同じ色の感じ方の人はいないようです。

ここまで来ますと、逆に悲観的ではないと思います。各人の世界の認識は、ちょっとずつ異なる可能性があるのにも関わらず、違う人同士が共感が出来るということの不思議さが際立つと感じます。

いつの時代も
メガネのはなし

16.12.02

暮らしの手帖 50号 1977年から

この頃から、メタルフレーム=いやらしいですか…。根深いですね。

ちょっと前ですが、私がメガネの基礎を教わった方がその時で64歳くらいでして、その方が20歳くらいの頃のメガネ事情を聞いたことがあります。70年代のメガネの様子ですね。その方の覚えでは、プラスチックばっかり作っていたと言っていました。特にオプチルはよく作ったよねと。

なので、今と事情は似ているのかもしれません。メタルのフレームが一般的には少ないので、珍しくみえるのでしょうかね。良いと思いますけどね。

 

製品試験
メガネのはなし

16.11.30

暮らしの手帖(1979年 11/12月号 63)にて、メガネとメガネ店の製品試験が行われていました。古本で見つけました。暮らしの手帖の花形企画に、メガネがテーマとして取り上げられてて嬉しいですね。

正直、その時代の正しいとされていたこととか、諸々現代との差異はありますし、推測でその時代の状況を鑑みても何だかなぁと、思わないことは無いです。ドラマ「とと姉ちゃん」での洗濯機メーカーの気持ちが少し分かりました。

ただし、この暮らしの手帖の問題提起は大事だと思います。例えば、今も同じような提起が出来てしまうメガネ業界の状況は、この雑誌から40年ほど経っていますが、良い方向に全力で向かっていないということの証でしょう。

また、メガネの専門誌も昨今増えてきていますが、メガネ業界への自己言及がほぼ無いような気がしています。それも、この暮らしの手帖を見て感動した理由の一つです。業界外の雑誌の方が切り込みが鋭い訳です。しかも昔の。

ブルバキとしましては、周りがどうこうではなくて、お客さんに助けてもらいながら粛々と精進するのみですね。

個人的に左の男の方の掛けているメガネが、メチャメチャカッコいいと思っています。

ザイル第2章
メガネのはなし

16.11.25

メガネ業界のザイルについて、あれこれ読む側がウンザリするほど書きました。

過去のブログ:アメリカンヴィンテージの素材

あれから

「そういえばアメリカンヴィンテージには、ザイルクラフト(ZYL-CRAFT)というメーカーがあったな」

とか、あれこれ思い出すこともあり、ザイル=セルロイド説が正しいのかどうか、判定がグレーになっていました。とりあえず、ザイルという素材の呼称は、1950年ごろのアメリカにはあったことになります。

そして今回、入荷した商品のペーパースリーブを見て、ザイルとあらためて対面することになりました。

ザイル=ZYLE

ただ、この綴りで検索しても、ZYLで検索したのと変わらない感じでした。ZYLE&materialにて検索しても、結局ZYLで引っかかるので、それ以上の進展はありませんでした。

「メガネ専用で作られた、耐久性に優れた素材」等々の表現をよく見かけますが、だとしたら今も使われているとは思うので、真相は闇のまんまという感じです。何の為にその僅かな差に固執していたのか、自分でも分からなくなってきましたので、この辺で止めておきます。

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