カテゴリー:修理とメンテ

セル磨き
修理とメンテ

19.09.17

下北沢での依頼分です。いつもは店頭のみ受付可にしています。出張販売時でも、修理可否が判断出来れば、今後も承けたりうけなかったり…どうしようかなという感じです。

使用感はややありですが、概ね良好です。ただし、リムが弛んでいますから、nosでは無さそうです。ガラスレンズを外すときに、グイッとやっちゃったパターンかと。

ということで、折角ブルバキに任せて頂いた以上、ただ磨くだけではつまらないので、これは消しておきたいところです。

こういうときは、勢いで棒ヤスリでグイッと、こちらもやり返しちゃいます。紙ヤスリでは埒があきませんから、棒ヤスリで水平面を拵えるのです。

あとは、いつも通り耐水ペーパーで水研ぎです。

仕上がりはこんな感じです。

青春
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19.08.27

一般的な意味での青春は無かったです。そういう面においては、茶秋か灰冬って感じでした。

大学生の時に服を気にしだしたわけですが、その服の青春時代に、私もかけていましたね。これじゃなくてディストーションの方を。

側頭を目一杯開きました。おそらく、それをしないと太くて弛まないテンプルによって、メガネが押し出されてしまうので。販売する方は、難しくて堪らんですね。昔も今も、どうしてるんでしょう。そういえば、バイトの皿洗い中によくメガネが流しに落ちかかったなと。今思えば、多分側頭に触れまくってましたね。

問答無用で蝶番にヤスリを入れております。レンズが大きいので、初期値で側頭幅150ミリは稼げていますが、もう少し欲しいところ。

アメリカのデザインと当時思っていましたが、宣伝文句もそんな感じでしたし、今になって思うのはめちゃくちゃイギリスやフランスのノリですね。サングラスに変更するというご依頼で、濃いめのスモークかつシルバーミラーのレンズにしましたが、60年代のヨーロッパサングラス感が溢れ出まして、これこそ一番カッコいい掛け方かなと感じました。すごく良い、ちょっと見違えて感動。ブリッジの位置と太さ、レンズの形の野暮ったさがチャーミング感出してて良いです。

も、そういう時代でしょ
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19.08.20

アメリカンヴィンテージも、ついに中古店で取り扱われるようになったということで、ヴィンテージメガネの中の一部、アメリカンヴィンテージというカテゴリーが世間様に認知されてきたということでしょう。

それにしても、タートのアーネル、ブラウンとは驚き。それなりな物の中古が、店頭に流れる時代に突入したみたいです。ラッキーアーネルのお持ち込みでした。

しかも、日本で一回触っています。鼻盛りがしてあります。私はほとんど用いない型です。鼻パッドの下半分が浮いており、熱を加えて寄せたり捻ったりしながらベスポジを目指せるタイプが乗せてありました。ただ、24ミリの鼻幅に対して、リムの際から1ミリ内側に鼻パッドがセットされておりまして、寄せても幅が足りないし寄せればパッド面が起きるので鼻に刺さるしで、鼻盛りの意味が薄くなっていましたから、取り替えも同時に行いました。美観が良くないというのも、お客さんと意見が一致しましたので容赦なく交換です。

仕上がりはこんな感じです。中々の乱視で、球面s-4.00に対してc-4.00 ax180くらい乗っかります。簡単に言いますと、レンズの上下が中々分厚いパターンです。

今までは、1.76の両面非球面を使っていたようですが、そもそもレンズサイズ42ミリということ、言うほどレンズの縦幅が無いことを考慮に入れて、1.60にしました。面取りで配慮をすれば、十分リムに収まります。

値段も抑えられ、尚且つアッベ数の良さから、今までよりメガネを使いやすく感じないかな?というのが狙いです。球面値がそんなに大きな量では無いため、そもそも1.76にしても、特に横方向の厚みは1ミリ変わらないと予想されます。この辺の判断、どれを選択するのかはいつも難しいです。

盆前のご注文は全部加工が終わりそうです
修理とメンテ

19.08.20

ようやく、日常が取り戻せそうです。ご注文分は、ほぼ完了です。盆休みに入るのを1日早めたので、加工未処理が多くて大変でした。お待たせしてすみませんでした。

その中でも思い出の一品。物凄く神経尖らせて臨みました。

マット仕上げです。クロムハーツのメガネは、設計も日本では?レンズ幅と鼻幅のバランスがそんな感じです。今回のモデルは、鼻幅が22ミリですから、やや海外のフレーム寄りです。今まで触った中で、一番鼻幅が広いかも。

他の箇所に傷が付けられないマット仕上げ且つ、今回のご依頼者は睫毛が長くてレンズにシパシパ当たるので、高さを出さないといけません。高さを出す鼻盛りチップも存在しますが、パッド面が小さく、フレーム全体の重量を考えると、やや物足りないです。

クロムハーツの金は基本22Kなんですけど、メガネは日本で製造している為なのかパーツの加工上の為か、18Kの刻印でした。総重量は、かなり重めです。

これが、供給品で一番高さが出るパッドです。縦幅が1センチくらいしか無いです。アセテートの太いセル且つ金無垢飾りとなりますと、もう少し配慮をしたいところです。パッド面が広ければ、鼻への圧が分散されて赤くなりにくく、装用感が軽くなります。

結局、どうしたかと言いますと、土台を高さ1ミリ残して、その上に縦幅の広いパッドを乗せました。高さ1ミリくらいの地点で、それなりに接地面が稼げるので、そのようにしております。

元のパッドは、レンズ側にかけて入り込むように傾いていますから、それを自然な見栄えになるように、削って磨いてを繰り返して滑らかにしております。

元の鼻パッドもマット仕上げです。鼻盛りは艶ありになってしまいます。ただ、着用すると皮脂が付いてその部分だけテカテカになるので、だったら初めから鼻の部分は光沢を前面に出した方が、清潔に見えます。

仕上がりがトップ画像ということです。ブルーの25%にシルバーミラーです。フレームの色も爽やかなんだけど、飾りはゴージャスという、アンバランスさの妙はヴィンテージフレームには無かったりしますから、良さに溢れていたと思います。

レンズ交換
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19.08.12

はじめましてでした。モンクレール。レンズ変えるのが勿体無いくらいですね。このデザインでミラーレンズで、スーツに短パンでハイソックスみたいな。

確かに、やや現実的ではないのでレンズ交換です。今はレンズ待ちで、ミラー無しのグレーの濃い目で決着です。

実は、持ち込んでもらったのは2回目。これなんですけど、めっちゃくちゃレンズがパツパツにキツくてですね、2週間くらい前に初めて触ったときは外れず…。ただし、レンズとフレームが軋む音がすること、かすかにフレームを捲りあげると隙間が出来る感覚が指先あったので、外れることは間違いないとお伝えしつつ、一か八かでレンズごと温めて均一にフレームが伸びる状態じゃないとレンズが抜けないとお伝えしました。問題は、この初期レンズです。プラレンズにコーティングが掛かっているので、熱するとクラックが入る可能性があります。レンズがダメになる可能性があります。

結局、お客さんの方で他に5店舗くらい回って、どこも手をつけないので戻ってきました。接着剤でくっ付いているとか、外れないレンズとか方々でアレコレ言われたみたいです。何となく、そういう怪しげな分析を聞かされることも予期していましたが…。

クラック入ったらごめんなさいの了承を得てトライ。無事に、無傷で抜けました。接着剤等々が使用されていることはありませんでしたが、レンズの素材がアレでしたね。アクリルレンズで薬研がケバケバなので、リムとの摩擦が強くて一層外れにくくなっていました。

バネ修理
修理とメンテ

19.07.03

リガースのバネ切れの修理でした。いまは、眼鏡業界の代理店が存在していない?のか、アパレルの店ごとに仕入れしているようです。多分。

バネ切れの修理を本家に出すと、つるっと新品が届くそうです。売りっぱなしということは無いようですが、アフターは在庫があればという感じなのかな。修理といいつつ、すぐに新品出しちゃう感じがノーアルチザンで、逆にグッときます。眼鏡は工業製品ですから、それはそれで正しい姿勢な気がします。

今回は、日本の工場で箱バネの取替えです。片方だけの交換ですとバネのテンションが左右で合わなくなります。バッファローホーンで超音波洗浄が出来ず、箱に汚れが溜まってバネ切れをよく起こすということですから、切れたのは片方だけにしても交換は両方です。

溶接で元の箱バネを取り除いて、上に新しい箱を取り付けています。上から見ると、ローの部分が分かりますが、テンプル裏になりますから全体としては分かりにくい雰囲気を醸しています。個人的には十分綺麗と感じています。日本の工場は、使いきれるように最後の最後まで頑張って下さるのでありがたいです。

反対のテンプルも交換です。本来は、薄く砂うちでリガースの刻印が箱に入っています。残念ながらそれは消失します。

バッファローホーンのウリとしては、だいたい「使い込むごとに味が深まる」みたいなところだと思います。であれば、使ってきたものを修理して、もっと味わい深くしてあげたいと、ただの眼鏡屋がアルチザンを吹かせて頑張ってみました。

このブランドに関わらず、アパレル界隈でバッファローホーンを扱うところが増えている気がします。残念ながら、買っただけでは全然最強になれなくて、嫌でも眼鏡屋との付き合いがいると思います。レンズも一発その時に嵌めて、はい終わり!ではなくて、一年ごとにレンズの噛み具合を確認しないと、リムが裂けたりしますし。フレームカーブを、買う前にこちら側で確認出来ると尚のこと良いです。そういった関係まで込みでアルチザンなんでしょうね。変な表現なんで、何となく伝わると有難いです。

持ち込みでバッファローホーンとなりますと、なかなか眼鏡屋さんも受け付けないことが多いでしょうから、関係性を築いてから、フレームを買った方が良いかもしれませんね。まずブルバキも、一瞬あーってなりますよ。

付く場合と付かない場合
修理とメンテ

19.07.03

カザールのお持ち込み。鼻盛りと枠入れ。西ドイツ時代。シルエットやOGにもありそうな、柔らかい雰囲気のカザールです。はじめて見ました。

切り替え時期等、どのタイミングでどのフレームとか分からないですが、たまに鼻盛りパッドがくっ付かない樹脂が用いてある場合もあります。今回はいけました。リムの幅が細くて接地面が少なくて苦労しました。はみ出した鼻パッドを削ることで、滑らかに仕上げています。

ネジ抜き
修理とメンテ

19.06.24

ネジ抜きの依頼。

メガネの使用がハードなので、砂利とかが詰まってネジが緩まなかったみたいです。店に持っていってレンズ交換をする前に、気を利かして自分でドライバーを当てたみたいです。プラスはちゅるんと舐めますからねー。

こういう場合は、そのまま店に持っていって、超音波洗浄+温めをしてから回した方が良いです。それで大体ネジは回ります。

写真が小さくて全然分からないと思いますが、カッターで切り込みを入れて、マイナスの頭を作り直しています。あとは超音波洗浄と温めを行い、じんわりと力を垂直に込めながら回すのみです。

これで、もう一発レンズ交換いけます。

鼻盛り
修理とメンテ

19.06.21

暑くなってきたので、やはり駆け込みが増えてきました。

鼻盛り完成の画です。このタイプは難しいですね。智の部分でフロントの角度が変えづらい、むしろほぼ無理っぽいです。トムフォードのウェイファーラーみたいな雰囲気です。他の型よりも、傾斜が強い気がします。そこもウェイファーラーに寄せているかもしれません。なので、今回も手間ですがパットの乗る台座を斜めに削って、仕上がりでパッド先が鉛直方向に向くようにしました。それが大きい写真です。あのテンプルまで伸びた”T”のラインに対して、パッドの先が成す角が、ほぼ垂直ということです。

下からはこんな感じです。

元のレンズがきつきつで、色々難儀でした。フィッティングを行なった形跡として、ブリッジ部分で曲げて側頭幅140ミリになっていましたが、これが逆効果でした。下がるから締め付けるというのは、対処として誤りの場合が多いです。

とりあえず型戻しついでに男性平均の160ミリに拡げましたが、予想は165ミリです。ちなみに側頭幅140ミリは、例えば身長150センチ以下の女性とかが、そんなもんのことが多いです。

生きてましたよ
修理とメンテ

19.06.16

お持ち込み。初めはこんな感じ。このくらいの状態だと、やってみるまで使えるかどうか分からんです。中が生きていれば何とかなります。めっっっっちゃ時間かかりますけど。むしろ、表面がつるっと綺麗でミントコンディションという謳い文句で買ってみても、水に浸けて爪でひっかいたらボソボソ剥がれるなんてこともあるので、まあやっぱり古いものは、いつになっても怖いですよね。

元のマイナスネジが舐めきっていたので、問答無用でプラスのレッドネジに変更です。ついでに鼻盛りも。

もちろん、型直しの際に、適切にフレームは温めて曲げていきます。ちんちん(方言です)に温めるわけでは無いのですが、割とそれによるダメージはどうだ的なことも訊ねられます。おそらく、この程度の温めでダメになったということは、そもそも生地がボソボソだったり、よく見たらクラックが入っていたり、そういう初めから元気がないフレームというパターンかもしれませんね。それかレンズがデカイとか、そんな感じなのかなぁとは思っています。

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