カテゴリー:修理とメンテ

盆前のご注文は全部加工が終わりそうです
修理とメンテ

19.08.20

ようやく、日常が取り戻せそうです。ご注文分は、ほぼ完了です。盆休みに入るのを1日早めたので、加工未処理が多くて大変でした。お待たせしてすみませんでした。

その中でも思い出の一品。物凄く神経尖らせて臨みました。

マット仕上げです。クロムハーツのメガネは、設計も日本では?レンズ幅と鼻幅のバランスがそんな感じです。今回のモデルは、鼻幅が22ミリですから、やや海外のフレーム寄りです。今まで触った中で、一番鼻幅が広いかも。

他の箇所に傷が付けられないマット仕上げ且つ、今回のご依頼者は睫毛が長くてレンズにシパシパ当たるので、高さを出さないといけません。高さを出す鼻盛りチップも存在しますが、パッド面が小さく、フレーム全体の重量を考えると、やや物足りないです。

クロムハーツの金は基本22Kなんですけど、メガネは日本で製造している為なのかパーツの加工上の為か、18Kの刻印でした。総重量は、かなり重めです。

これが、供給品で一番高さが出るパッドです。縦幅が1センチくらいしか無いです。アセテートの太いセル且つ金無垢飾りとなりますと、もう少し配慮をしたいところです。パッド面が広ければ、鼻への圧が分散されて赤くなりにくく、装用感が軽くなります。

結局、どうしたかと言いますと、土台を高さ1ミリ残して、その上に縦幅の広いパッドを乗せました。高さ1ミリくらいの地点で、それなりに接地面が稼げるので、そのようにしております。

元のパッドは、レンズ側にかけて入り込むように傾いていますから、それを自然な見栄えになるように、削って磨いてを繰り返して滑らかにしております。

元の鼻パッドもマット仕上げです。鼻盛りは艶ありになってしまいます。ただ、着用すると皮脂が付いてその部分だけテカテカになるので、だったら初めから鼻の部分は光沢を前面に出した方が、清潔に見えます。

仕上がりがトップ画像ということです。ブルーの25%にシルバーミラーです。フレームの色も爽やかなんだけど、飾りはゴージャスという、アンバランスさの妙はヴィンテージフレームには無かったりしますから、良さに溢れていたと思います。

レンズ交換
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19.08.12

はじめましてでした。モンクレール。レンズ変えるのが勿体無いくらいですね。このデザインでミラーレンズで、スーツに短パンでハイソックスみたいな。

確かに、やや現実的ではないのでレンズ交換です。今はレンズ待ちで、ミラー無しのグレーの濃い目で決着です。

実は、持ち込んでもらったのは2回目。これなんですけど、めっちゃくちゃレンズがパツパツにキツくてですね、2週間くらい前に初めて触ったときは外れず…。ただし、レンズとフレームが軋む音がすること、かすかにフレームを捲りあげると隙間が出来る感覚が指先あったので、外れることは間違いないとお伝えしつつ、一か八かでレンズごと温めて均一にフレームが伸びる状態じゃないとレンズが抜けないとお伝えしました。問題は、この初期レンズです。プラレンズにコーティングが掛かっているので、熱するとクラックが入る可能性があります。レンズがダメになる可能性があります。

結局、お客さんの方で他に5店舗くらい回って、どこも手をつけないので戻ってきました。接着剤でくっ付いているとか、外れないレンズとか方々でアレコレ言われたみたいです。何となく、そういう怪しげな分析を聞かされることも予期していましたが…。

クラック入ったらごめんなさいの了承を得てトライ。無事に、無傷で抜けました。接着剤等々が使用されていることはありませんでしたが、レンズの素材がアレでしたね。アクリルレンズで薬研がケバケバなので、リムとの摩擦が強くて一層外れにくくなっていました。

バネ修理
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19.07.03

リガースのバネ切れの修理でした。いまは、眼鏡業界の代理店が存在していない?のか、アパレルの店ごとに仕入れしているようです。多分。

バネ切れの修理を本家に出すと、つるっと新品が届くそうです。売りっぱなしということは無いようですが、アフターは在庫があればという感じなのかな。修理といいつつ、すぐに新品出しちゃう感じがノーアルチザンで、逆にグッときます。眼鏡は工業製品ですから、それはそれで正しい姿勢な気がします。

今回は、日本の工場で箱バネの取替えです。片方だけの交換ですとバネのテンションが左右で合わなくなります。バッファローホーンで超音波洗浄が出来ず、箱に汚れが溜まってバネ切れをよく起こすということですから、切れたのは片方だけにしても交換は両方です。

溶接で元の箱バネを取り除いて、上に新しい箱を取り付けています。上から見ると、ローの部分が分かりますが、テンプル裏になりますから全体としては分かりにくい雰囲気を醸しています。個人的には十分綺麗と感じています。日本の工場は、使いきれるように最後の最後まで頑張って下さるのでありがたいです。

反対のテンプルも交換です。本来は、薄く砂うちでリガースの刻印が箱に入っています。残念ながらそれは消失します。

バッファローホーンのウリとしては、だいたい「使い込むごとに味が深まる」みたいなところだと思います。であれば、使ってきたものを修理して、もっと味わい深くしてあげたいと、ただの眼鏡屋がアルチザンを吹かせて頑張ってみました。

このブランドに関わらず、アパレル界隈でバッファローホーンを扱うところが増えている気がします。残念ながら、買っただけでは全然最強になれなくて、嫌でも眼鏡屋との付き合いがいると思います。レンズも一発その時に嵌めて、はい終わり!ではなくて、一年ごとにレンズの噛み具合を確認しないと、リムが裂けたりしますし。フレームカーブを、買う前にこちら側で確認出来ると尚のこと良いです。そういった関係まで込みでアルチザンなんでしょうね。変な表現なんで、何となく伝わると有難いです。

持ち込みでバッファローホーンとなりますと、なかなか眼鏡屋さんも受け付けないことが多いでしょうから、関係性を築いてから、フレームを買った方が良いかもしれませんね。まずブルバキも、一瞬あーってなりますよ。

付く場合と付かない場合
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19.07.03

カザールのお持ち込み。鼻盛りと枠入れ。西ドイツ時代。シルエットやOGにもありそうな、柔らかい雰囲気のカザールです。はじめて見ました。

切り替え時期等、どのタイミングでどのフレームとか分からないですが、たまに鼻盛りパッドがくっ付かない樹脂が用いてある場合もあります。今回はいけました。リムの幅が細くて接地面が少なくて苦労しました。はみ出した鼻パッドを削ることで、滑らかに仕上げています。

ネジ抜き
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19.06.24

ネジ抜きの依頼。

メガネの使用がハードなので、砂利とかが詰まってネジが緩まなかったみたいです。店に持っていってレンズ交換をする前に、気を利かして自分でドライバーを当てたみたいです。プラスはちゅるんと舐めますからねー。

こういう場合は、そのまま店に持っていって、超音波洗浄+温めをしてから回した方が良いです。それで大体ネジは回ります。

写真が小さくて全然分からないと思いますが、カッターで切り込みを入れて、マイナスの頭を作り直しています。あとは超音波洗浄と温めを行い、じんわりと力を垂直に込めながら回すのみです。

これで、もう一発レンズ交換いけます。

鼻盛り
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19.06.21

暑くなってきたので、やはり駆け込みが増えてきました。

鼻盛り完成の画です。このタイプは難しいですね。智の部分でフロントの角度が変えづらい、むしろほぼ無理っぽいです。トムフォードのウェイファーラーみたいな雰囲気です。他の型よりも、傾斜が強い気がします。そこもウェイファーラーに寄せているかもしれません。なので、今回も手間ですがパットの乗る台座を斜めに削って、仕上がりでパッド先が鉛直方向に向くようにしました。それが大きい写真です。あのテンプルまで伸びた”T”のラインに対して、パッドの先が成す角が、ほぼ垂直ということです。

下からはこんな感じです。

元のレンズがきつきつで、色々難儀でした。フィッティングを行なった形跡として、ブリッジ部分で曲げて側頭幅140ミリになっていましたが、これが逆効果でした。下がるから締め付けるというのは、対処として誤りの場合が多いです。

とりあえず型戻しついでに男性平均の160ミリに拡げましたが、予想は165ミリです。ちなみに側頭幅140ミリは、例えば身長150センチ以下の女性とかが、そんなもんのことが多いです。

生きてましたよ
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19.06.16

お持ち込み。初めはこんな感じ。このくらいの状態だと、やってみるまで使えるかどうか分からんです。中が生きていれば何とかなります。めっっっっちゃ時間かかりますけど。むしろ、表面がつるっと綺麗でミントコンディションという謳い文句で買ってみても、水に浸けて爪でひっかいたらボソボソ剥がれるなんてこともあるので、まあやっぱり古いものは、いつになっても怖いですよね。

元のマイナスネジが舐めきっていたので、問答無用でプラスのレッドネジに変更です。ついでに鼻盛りも。

もちろん、型直しの際に、適切にフレームは温めて曲げていきます。ちんちん(方言です)に温めるわけでは無いのですが、割とそれによるダメージはどうだ的なことも訊ねられます。おそらく、この程度の温めでダメになったということは、そもそも生地がボソボソだったり、よく見たらクラックが入っていたり、そういう初めから元気がないフレームというパターンかもしれませんね。それかレンズがデカイとか、そんな感じなのかなぁとは思っています。

足の取り付け
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19.06.13

現行のMATSUDAのお持ち込みです。昨年、展示会のついでにドーバーで拝見しましたが、しっかり触るのは初めてでした。

まじかあ、という第一印象。リムを眉部分に留めるネジが、鼻盛り部分に掛かっています。ネジ2ミリくらいズラせなかったかな、、、ズラせなかったからこうなんでしょうけど。

やはり鼻盛りは難しそう。綺麗に鼻盛りのプラスチックに穴をあける自信が無いので、こうなります。足の取り付けです。これも足がネジ穴に掛かっていますけど、コレは避けてネジ止めすることは容易に出来ますから、良しとします。

横から覗くと、空隙やえぐりが大きいので、埋め込む箇所には気をつかいました。とりあえず上手くいって安心です。フロントにも貫通しないようにもちろん気をつけています。

いまはチタンのパッドがありまして、それなんかはMATSUDAの世界観にはピッタリです。フィッティングが向上しつつ、メガネの存在感が増してカッコ良くなるならお得ですね。

今年もこの季節になりました
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19.05.22

鼻盛りです。

驚きました。ストレートテンプルのトムフォードがあるんですね。しかもクリアの濃紺。60年代によくあるパターンなんですけど、カッコいいです。参りました。

レンズの形状がミソです。例えば向かって右側、業界では左レンズの第2象限にあるカーブが、リムの下がり方に沿わずブリッジ上部に向けて突き出しています。そして目線をテンプル側へ移しますと、レンズの輪郭はそのまま緩やかに第1象限に向かって下がっていまして、リムにブローフレームのようなグラマラスな余白が生まれています。アウトラインは普通のウェリントンより堅い雰囲気なのに、レンズとリムの余白はやや女性らしさも含む色っぽさがあって、尚且つレンズ端はタレ目でどこか優しい雰囲気も秘めています。雰囲気のお子様ランチです。全部入っています。

セルのゴツさを、テンプルの真っ直ぐ抜けた感じ、視線移動の潔さと、クリア生地の透明感で相殺しているところもポイント高いです。なんとなくアクティブな感じもするけど、フォーマルな感じもします。別にトムフォードの代理店からマネーが発生しているわけでも無く、取り扱う予定がある訳でもなく、ただただ驚いたので書き留めておきます。プロのデザイン凄いですね。

で、このタイプのストレートテンプルは、フィッティング不良の場合は耳が千切れるように痛いです。難しいんです。眼鏡屋泣かせです。

消えた構造というのは、やはりそれなりに理由があります。プラスチックのストレートテンプルは、やはり下がりやすいです。しかも、耳の上端に負荷が一点で掛かりやすく、メガネを上げ直す回数が増えると擦れて痛みを生じます。今回のケースも、おそらく過去に、上が切れて出血を伴っていたような痕がありました。

今回は、いつも以上に気を使って鼻盛りです。具体的には、鼻パッドの角度です。土台を斜めに残して融着させました。パッド先が鉛直方向を完全に向くようにしました。

テンプルを水平にしてみますと、パッドの先が地面を向いています。これによって、メガネの重みが、鼻にも分散してしっかり乗っかるようになり、耳への負荷が軽減出来ます。

この辺の見た目はいつもと同じです。

整髪料でやられたテンプルも磨いて戻しました。メガネも、1日一回は洗いましょうね。

あとはフィッティングで、耳の添わせを適切に合わせて終了です。

ガラスの枠入れ
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19.04.24

タートのお持ち込みがありましたので、ガラスのフラット、ノンコートを枠入れしました。温めなくても、コツが分かればレンズ外せます。ギリギリの大きさを狙いました。レンズを拭く際に、フレームの中でガタつかないので、ひさびさながら良い仕上がりです。クリア部分が生成りっぽいので、出来る限り干渉を抑えたいという判断に依るものです。

もう一年くらい前ですけど、この周辺のフレームを取り扱っていないことを伝えたときに、「専門外じゃん」みたいに言われまして、それ以降、専門外でも良ければ頑張りますよの精神で承けております。むしろ、物が置いてあれば専門店になれるんだったら、ヴィンテージ眼鏡店って簡単だなと感じたことをいまも覚えております。そのときからヴィンテージメガネの専門店にはならずに、街の眼鏡屋を目指そうと誓いました。ヴィンテージも置いてある店くらいな雰囲気です。まあでも、一応古い眼鏡しか置いてないんですけどね。ヴィンテージは手段であって、ひとつの入り口くらいに考えています。ブルバキは別の入り口からでも歓迎ですよ。

お持ち込みの際に、フロントの歪み直し云々のご要望を伺いますが、レンズのご注文であれば不要です。枠入れの際に、もちろん可能な限り直します。リムの歪みが原因のことが多いので、実際には枠入れと同時に直ることも多々です。

直してねと、よく言われるので本当にただ嵌めるだけのケースが多いのでしょうね。値段もありますし、それぞれの店にそれぞれの経営課題と方針がありますから、眼鏡屋であれば必ずやるべき、とは言えない項目だと思います。

面取りは、ガラスなのでやや多めです。前面はプラスチック同様少なめです。

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