カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

サーモント2
ヴィンテージのメガネ

19.07.21

引き続き。昨日、謎のサーバーのアレコレでアップ出来なかったので、時間の許す限り載せます。

フランスのサーモントです。フランスのサーモントは、実に良いですよ。何だかんだでエレガントなんです。眉毛フレームなんですけど、野暮ったさや粗野な感じが控え目なんです。サーモントといえば、やはりドイツフレームの方が今も人気でしょう。眉毛フレームがそもそも孕む厳ついデザインに対して、ドイツらしい堅牢な作りから醸し出される何かしらがマッチして、当時も売れたんだと思います。フランスのサーモントは出てくる数も少ない気がしています。要は、中途半端だったんでしょうね。ここが大事で、謂わば中途半端を愛せるかどうか、全てに共通する肝です。

これの見所も多いんですけど、一番は眉パーツを止める構造でしょうか。

画像奥、眉パーツを上から抑える謎の金属パーツがあります。構造的な利点は、分解清掃な際に分かりませんでした。上から見て綺麗というアクセントの為だけなのかどうなのか。でも、とりあえずカッコいいので良しです。

(眉を外すと、パーツの特徴が分かりやすいです。)

金張の表記はフランス式です。各所で勘違いされていることですが、この表記の場合は、欧米の(1/20 12KGF)の分数と異なります。この表記は張られている金の厚みを直接示しており、20/1000ミリの厚みの金を張っているということです。つまり20ミクロンの金の厚さが台金に乗っかっています。その辺もポイント高いです。

テンプルは真ん中を膨らませて紡錘形にしています。だからなんだって言われると困るんですけど、デザインに関して全部に目が行き届いてますよというエスプリが、少なくとも伝わります。

サーモント1
ヴィンテージのメガネ

19.07.21

イレギュラーで、日本の入荷です。主にサーモントなんですけど、すべて日本製のサーモントでは無いところが乙なんで紹介していきます。舶来物と呼んでた頃のフレームたちです。

その1、ボシュロムのサーモントです。金張り(12K 1/20)ということから、70年代中頃かなと推測が出来ます。これで3度目なんですけど、日本の在庫から、似たようにボシュロムのサーモントが出てきています。しかも、3回とも「W.GERMANY」刻印でして、70年代ごろからボシュロムがフレームの製造から手を引き始めていることが伺えます。

(MADE IN W.GERMANY)

これの見所は、さらにあります。これは初なんですけど、おそらく、元々はレイバンのオリンピアン的な、カールトンタイプのフレームとして販売していた物を改造して、サーモントにしていることです。

眉パーツを外してみてビックリでした。みごとに普通のフレームが現れました。トップバーにプレスが入っていますし、おそらくこのまま販売していた物を、売れ行きが鈍って在庫がダブついてきたタイミングで、販売促進の為に改造したのでしょう。

裏からみると、サーモントでは珍しく、パーツがネジ一点で止めるタイプです。それでガタつくことも無いですし、ネジ二点で止めるタイプにありがちな、ネジで生地が引っ張られ、経年変化で眉パーツが割れることも無いので、むしろ優れた機構かもしれません。

トップバーの裏に、ネジ穴をロー付けしています。はみ出さないように気を利かせてありますから、眉がなくなったとしても表からは見えずに、オリンピアンとして使える訳です。

その辺の構造の面白さ、垣間見える合理性も良いですけど、物としても、デザインが良く素敵です。サーモントの要となる眉部分は、リムとトップバーを挟み込まないといけない為、厚みが出てしまいます。それに対して、眉の色を濃いクリアレッドにすることで、軽やかさと上品な感じを付加しようと試みています。それもいい感じです。

スペースエイジ
ヴィンテージのメガネ

19.07.16

雑誌の昭和40年男だと、パストフューチャーと呼ばれていました。個人的には60年代ごろの、宇宙船っぽいデザインがたまらなく好きでして、店もちょいちょいそんな感じの物を、棚やらペンダントライトに用いています。

それで、メガネとなるとどうかと言えば、やっぱりメガネもその辺りが好きです。ひょっとすると一番。ゾーンとしては60年から、70年代のオプチル黎明期くらいまででしょうか。未だに見たことのないデザイン、今にない作り、そんな珍品のオンパレードだったりします。シナプスがバチーンってきます。

ということで写真のこれ。推定60年後半です。オーストリア製。

写真が全てですから、特に言えることも無いんですけど、絶妙におじさんメガネっぽく、絶妙に宇宙船っぽい、未来感があります。眉の部分の侘び寂びを見てください。裏から止めて、正面から見たときにチラリと覗くだけです。だったら無くても良いじゃん、と思うかもしれませんが、そんなことはありません。初めから無いことと、消去ということは違いますから。

レンズを囲うリム、どうですか、おかしいでしょう。上下と左右で厚みを変えた、カットリムの中でもやや特殊なやつです。シートメタルには出来ない、奥行きのある柔らかい曲面がもたらされ、有機的な印象を与えます。つまり、掛けた時に冷たい印象になり過ぎないと言いますか、ロボットぽくなり過ぎない感じです。カットリム自体は失われた技術では無いんですけど、コストが高く、まず意匠がふんだんに盛り込まれたフレームに対して採用されることが無いと思われます。

散々言いましたがあれですね、なんといっても一番はブリッジの唐突さですね。何でここだけデザインを諦めた?みたいな、ただの棒がくっついているのが見所であり、一番目を惹きますね。棒というか、グラタンのチーズの溶ける前みたいな、はたまた千切れたうどんみたいな、謎の偏平が真ん中に鎮座しています。リムと違って艶ありですから、明らかに目線をここでストップさせたいという意思を感じます。自信がありそうです。

でも確かに、不思議なことに見ればみるほど、これしかブリッジとして合わない気がしてきます。これ以外、そしてこれ以上のものは浮かびません。むしろ、デザインをしないというデザインを最後にブリッジに施し、全体にダイナミックな躍動感を足したのでは無いでしょうか?そんな気さえしてきます。

そして、なんといっても、何だかんだ遠目はサーモントだったり、カールトンぽくも見えたり、普通の四角い銀のメガネに見えますから、現在のファッションとの親和性が高いところもポイントが高く、なかなかの一本でした。

前も載せたかもしれません
ヴィンテージのメガネ

19.07.14

売れたので、また載せます。名残惜しいですからね。

全体の妖艶さと美しさがどこからくるのかと考えてみますと、目尻の部分の削りの複雑さ、リム上部のボリュームの落とし方、ブリッジの起伏の鋭さだと思います。

ライトブルーの色見本や、鼻盛りの見本、濃度20%のレンズ見本として用いてきた中で、私の予想を超えていたのは、過去4・5名ほど、男性にいいねと言ってもらえたことです。今回も男性に販売となりました。仕入れのタイミングで、あざとくなるギリギリの可愛らしさで最高だなと思ったことは覚えています。

良いですよね。勝手にしやがれ観た後だからかもしれませんが、女性らしいエレガンスさを男性がメガネでガツンと取り入れるのは、最高にカッコいいです。

良い瞬間でした、いい一日にして頂きました。

再メッキ
ヴィンテージのメガネ

19.07.12

在庫品です。デッドストックなんでしょうけど、表面にブツブツとメッキの浮きが生じていたので、日本で再メッキかけました。検品で弾くには、あまりにも惜しい、良いレンズシェイプでした。ブリッジもカッコいい。

あと特徴としては、鎧タイプの智です。ブルバキとしては鎧でツーブリッジは、流石に80年代の何てことは無い普通のフレーム過ぎて、ファッションに持ち込むことをやめています。ただこれは、鎧の作り方がかなりミニマムで、カッコ良さを損なっていません。リム留めネジと蝶番のコマがくっつきそうなくらいコンパクトに、鎧の内側で取り付けが行われています。

正面から見たときに、レンズの形に集中できたのは、おそらくこのお陰です。鎧智なのに、野暮ったさが少なく、そこに注意が向かない為でしょうね。気づいたら、あぁ鎧だったわ、くらいな感じです。

残念ながら再メッキの際に、England の刻印は消えてしまいました。

ガラスの茶
ヴィンテージのメガネ

19.07.12

ガラスの1.52が終わって、1.60のマルチしか無いとなりますと、別の遊び方に切り替えるしか無いわけでして、今回はカラーコートのブラウン15%にしました。私個人としては懐かしく、金無垢をメインで使っていたときは、茶色のガラスを使っていました。銀は、何となく透明にし続けています。

プラと違って、染色ではなくコーティングで色を乗せます。基材と着色方法の違いから、透明感が高いです。

処方が2△B.I.なので、s-5.50といえども、鼻側が分厚く耳側がリムに収まるぐらいな厚みです。鼻側も大目に面取りを施せば、全周リムに収まって仕上がりがスッキリです。

屈折率あげると、ガラスは比重の問題も考慮に入れないとダメで、そこまで薄く出来なかった割に重くて金額も高いということになりかねないので、選定も難しいですよね。

鼻パッドの面積が大きければ、テンプル130ミリでも意外に下がらないですね。アッベ数の関係で、プリズムを入れた際、ガラス1.52と使用感に違いがあるかなと思っていましたが、それも感じず。プラよりスッキリ見える実感はちゃんとありました。

プッチ
ヴィンテージのメガネ

19.07.09

パパッとインスタに載せただけになってしまっていました。ようやく磨けました。どっからどう見てもプッチです。語らずも、プッチ感がびしゃびしゃに溢れ出ています。その真っ直ぐさが最高です。

表面に光沢が出ると、柄と合わさって顔面が滑らかなスカーフみたいになります。とても良いです。エミリオ・プッチは、プリントの王子という異名があるらしいですが(ウィキペディア調べ)、この時代のサングラスはそこに対して敬意が払われているのを強く感じます。敬意そのものが、サングラスとして形になっています。

図鑑によく載るタイプです。また一つ、所有欲が満たされました。よくよく見ますと、今回のものはフロントにリベットが無いです。それはそこまで大事ではなくて、手元にある物をじっくりねっとり調べてみます。ベースの黒生地に、薄い白を貼り合わせた後、実際のプリントを施した布を敷いて、最後透明の生地で挟んでいます。おそらく白い生地を中間に挟んでいるのは、生地の色を綺麗に出すための一手間です。

近づくと、繊維が見えます。

図鑑の方は、おそらく黒いセル生地にプリントなのか?生地の発色を良くする白い生地の層が確認出来ません。また、布特有の凹凸も確認出来ないので、ひょっとすると作りに差があるのかもしれません。また一つ好奇心が刺激されました。そして、正確な考察のために、リベットのプッチも集めないといけなくなってしまいました…。メガネが終わらない。

このサングラスで改めてわかったことに、プッチの柄の強さが挙げられます。いくら太めにリムやテンプルをデザインしても、限界がありますし、やはり用意できる平面は、服より圧倒的に小さいです。そして写真から分かるように、フロントにはレンズがありますから、どうしても柄が分断されます。

でも、冒頭の通りどう見てもプッチですし、プッチと迷うことなく認識出来ちゃってます。だから、凄いブランドなんでしょうね。

1サイズのみ
ヴィンテージのメガネ

19.07.08

リチャード、何故か50□16のみ集まってきます。昨日は真ん中との眉がブルーグレーの、ホワイトの金張が入ってきました。個人的には、一番精悍で好きなカラーです。馴染みが良いのはイエローで眉が茶色でしょうね。

この頃のローデンは腕が短いです。表記は130ですが、それは蝶番ネジからテンプル終端にかけて130ミリです。フロントからだと大体135ミリです。それでもやや短いです。たしかこの頃のローデンは54サイズくらいから、様々なモデルでも表記でテンプル長が135ミリだった気がします。

自分でも、名作を使っちゃおうかなという気分です。とりあえず、ガラスのカラーマルチ、15%のブラウンを頼んでみました。この時代のサーモントに関しては、それこそFPD=PDこそ正解の掛け方というのは疑わしいです。私のPDは65ミリですが、52ミリか54ミリでも、良いのだろうなと思っています。ぴったりなら、それはそれで、特に今回はガラスなので軽くなって良いですけどね。

久々の黒枠
ヴィンテージのメガネ

19.07.08

パッと見て、とても良い顔していました。磨き終わりでこんな感じです。特に、ブリッジの凹凸の付け方が歪でした。写真撮るの忘れました。

気になってしょうがないので、対称になるように修正しています。あんだけ今のプロダクトより優れてるとか言いつつ、例えばこういう箇所に対しては、ヴィンテージならではの味とか、古いからしょうがないとかで済ますのも、何だかなぁという気がします。ダメなもんはダメというのも、しっかり把握しつつ、現行品には無い面白さを見出していかないと、と考えています。サッカーで手を使っても、それは異端じゃなくて邪道ですもんね。それか、そもそものゾーンを変える、ハンドボールに移るとか。

この年代周辺は、いつも店頭で雰囲気の良さ以外に何も言いませんが、角を残した磨きが云々ということが語られると思います。そこが職人技的な。ちなみに、外蝶番でピンとネジの面は切ってあって、鼻パッドは透明です。ブルバキとしては、全然分からなくて構いません。ラーメンの常連さんのコールみたいなもんです。あぁ、あの人は慣れてるなーくらいの認識でオッケーです。それ以上でもそれ以下でもありません。

写真をご覧の通り、フレーム製作側の人間ではなく、ただの眼鏡屋ですら、バリバリ磨いても、まあまあ角は落ちなかったりします。私の腕があるとか婉曲的に言いたいのではなくて、本当に落ちないんです。角が。個人的に気をつけているのは、光を反射させた時のバフの布の線が残らない且つ、極力表面が波打たないようにさせるくらいです。角は、あんまり気にしないですね。

現行品のセルフレームの製作工程の中で、ガラ入れというのがあります。それを意図的なのか、そういった概念が無くて工程を飛ばしていたのか分かりませんが、物を触る限りですと当時はガラ入れしてないだけなのかなと予想していたりします。資料が無いので、あくまで物からの予想です。

なんかカッコいい!というのは私も同じ思いなんです。ただ角が残っていること、それが職人技かどうかよく分からないので、個人的にはあまりそこを褒めるのはやめています。聞かれたら、この風合いも良いよねーくらいな返事しかしないのは、それが理由です。ガラ入れして角が取れている方が一手間加わってるやんって、思ったりもします。手触り良くなるし、作り手の優しさが加わっています。

ここで話を戻しまして。このフレームに関しては、それら抜きにしても十分良いと思っています。フレーム全体の角張った感じと、その角が残った仕上げが合わさって、フレームから性格キツそうな感じが出ています。一応褒めています。

で、その印象をどうコントロールするかということが大事なんですけど、それは簡単で、これ掛けて柔和な表情していたら、それだけで十分です。簡単にギャップが生じて、全体としてプラスになるはずです。

楽しい
ヴィンテージのメガネ

19.07.05

久々にヴィンテージの入荷です。今日の夜届いたので、まだ何も出来ていません。パパッと載せてみました。

今までにないほど、楽しい!で溢れた入荷となりました。インスタにも載せた、ほぼ閲覧用みたいな激しいのも多々。個人的に掛けるならコレです。

ものすごく軽薄で素晴らしいです。一応褒めています。シンプルで上質も良いけど、派手で軽薄も最高ですよ。街歩くだけで、なんか楽しくなりますから。たまに、マックの外人の店員さんに不意打ちで褒めてもらえます。

リベットが星になっていて、どこまでもパーティー野郎です。ただ、大理石っぽい生地を選択し、安っぽい感じはありません。レンズシェイプは、やや不気味な正方形で、リムの太さ、丸っこさと合わさってなんとも言えないトータルでの格好良さが滲み出ています。雰囲気イケメンということでしょう。

レンズカラーも最高でした。ほぼグレーなカーキ色で、G15とも絶妙に異なります。これに関しては度付きの場合も、見本色で全く同じ色味で再現したいですね。とにかく、トータルが良いです。

軽薄なんですけど、だらし無い感じはないです。海辺っぽいのに爽やかでスポーティーな感じは無いです。むしろモードで、白なのにダークな雰囲気で怪しさを漂わせています。白いTシャツにこれを掛けるだけで、様々なイメージを他人に与えられますから、それこそ素晴らしいメガネだなと感じます。何にでも合わないし、何にでも合います。これに、カルティエのタンクとかしていたら、あとは何でも良さそうな気がします。遊び効いていて、尚且つ上品だったら無敵でしょうね。

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