カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

訳あり品
ヴィンテージのメガネ

19.10.11

一応NOSでイギリスから届いているんですけど、今回ばかりは確実に中古でした。リム周りはガラスのレンズを外した跡がくっきりと。レンズ周囲が削れまくりで、尚且つ両テンプルのガタつきが酷い状態でした。工場で修理依頼をしたところ、そもそも埋め込みのテンプルに、無理やりカシメのピンを打っている状態でした。尚且つそのピンを貫通させていないから緩んでいるとのことで、またか、という感じです。

基本は、未使用デッドストックのみの販売なので、NOSでは無いとの確証が得られたタイミングで、すぐに在庫から弾きまして、パーツ取りか廃棄にします。今回、このフロントが良すぎて在庫化しました。販売時には、ちゃんと毎回アナウンスするので許して下さい。

カットの施し方と、赤茶の生地の色の綺麗さが抜群でした。これは磨き後の写真ですが、そもそもの磨き前も白くかすんでいる部分やクラックは無かったので、殆ど使用していないと判断できたのも在庫化に踏み切った理由です。

カシメの打ち直し、樹脂盛りによる固定をダブルで施して頂きました。頑丈に、使用に問題ないレベルに戻しております。

ただ、カシメのピンを打ち直して貫通させる際に、一箇所のみ亀裂が入ってしまったので、それに対して更に埋め戻しを行なっております。経年変化で柔らかさが失われた生地に対して、ちょっとスパルタな修理であったようです。目立たないようには処理してあります。

フロントに向けて白い筋があります

フロント幅130、FPD68、テンプル長145です。それも良かったんですよ。大人の男がバシッと窮屈な感じを出さずに掛けられる大きさです。

横の美しさが異常です。

蝶番ネジは、交換して、花型ナットで共締めしました。ネジの径が今の規格と合わないので、レガシーから必死こいて探しましたよ。しかも、こうなったら最後まで完璧に、左右とも同じ物が見つかったので交換しております。根性です。

無数の候補たち

ということで
ヴィンテージのメガネ

19.10.05

本日の在庫化は、シルバーカラーのティアドロップのでした。割と影響されやすいタイプです。

ナイロールのティアドロップというのがみそです。今は、ほとんど無いのでは?あるとすれば、マイキータやマルクスTのような、ヨーロッパのシートメタルを多用するメーカーが、過去と未来を合体させた感じで出しているはずです。あれもすごく良いですよね。当時は、これらのナイロールのティアドロップが、最新だったんでしょう。

鉄の棒のね、重なり具合とその立体感が、堪らんです。

掛けたときの美観も実際には良くて、フルリムのティアドロップを断念した方にも、再度挑戦して頂きたいと感じています。頬っぺたにフレームが乗らないと、途端にツーブリッジの類の、あの違和感が無くなります。

これのみ、やや残念なのがネジが無くなっていて、間に合わせでプラスが差してあることと、ネジ頭がスッキリ収まっていないことです。もし販売になりましたら、他の在庫とネジを差し替えますね。この前の入荷の段階で、緑青浮いてダメになったフレームからパーツ採りをしておけば…。今ごろ産廃でしょうね。

さっそくのパール
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19.10.04

ヴィーナスガードコートのパールの例です。クリアレンズではなく、ブルーの15パーセントに対して、上記のコーティングをかけています。

普通のレンズのような、緑の反射がカラーの上に乗らない為、青がはっきりと、且つより透き通って出ています。

見違えました
ヴィンテージのメガネ

19.10.04

浮かして撮るのがマイブームです。クリアフレームの透き通った感じがよく分かりますね。フロントがカーキ、テンプルが茶色です。とにかく色の取り合わせが良かったです。リベットも、よく分からない王冠なのも良しです。

擦れまくってガッサガサの状態でしたが、ようやく直せました。入荷して一年以上経っていますし、その状態でお客さんに見せているので申し訳無かったなと思っています。

下から見上げると、お椀みたいな曲面2枚を真ん中のブリッジで繋いだようになっていることが分かります。全体が丸っこくて柔らかい雰囲気です。ゴツいのに。カーブレンズと合わせると、お面みたいになります。顔にピタッと張り付くような感じになります。

締め上げた感覚で、ネジの締まりが心許ないので花型ナットで共締めしました。これなら大丈夫。

まだ少数派
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19.09.25

今日のグッチのインスタで、香取慎吾さんが出ていたんですけど、カッコ良くて、朝からテンション上がりましたので、思い出したかのように在庫から探し、似たようなメガネを載せてみました。それだけです。

グッチのメガネの動向は気になっていまして、特にいまの秋冬が、ほとんど80年代のディオールだったりします。あの二股に分かれている大きめな女性用のサングラスとかは、なるほどあれねーという感じです。製造元なのか何なのか、どこかが一緒で問題なく出来るんでしょうね多分。

あの辺を、どうカッコ良くするんかなぁと思っていたんですけど、香取慎吾さんをパッと見て、コレが正解か!となりました。もちろん、パーティ仕様なんでしょうけど、ギリギリ街もいけるんじゃね?感があって、想像が膨らむんです。

ホームランばかり
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19.09.25

ぼちぼちと日本の入荷を直しています。エッセルのナイロールの修理が飽きてきたので、趣向を変えてドイツ製フレームでも直しております。

60年代から70年代にかけて、ローデンストックのデザインはホームランばかりです。何ででしょうね。全部が当たりです。同時期のローデンの各種フレームをみても、どれもキリッとしています。

強固な作りとデザインとのシンクロ率が高めです。見た目がとにかく堅そう。着用の雰囲気も、そんな感じが醸し出されます。

時代と、フレームの作りも良かったのでしょう。とにかく、重厚感が凄まじいですね。その時代を過ごし、そこでファッション感やメガネ感が培われていれば、それしか愛せなくなりそうですし、それで良いと思えてしまいます。実際、今回のtorroではなく、carltonなんかは中毒性が高くてそんな感じでしょうね。日本のヴィンテージの筆頭といっても良いかもしれません。オークション等々見ても、アメリカンヴィンテージやフランス物以外で、個人間の売買でまともな値段がついています。

ノミネジ生きています。今となっては、加工機の精度が高いので要らない機構でしょう。個人的には残っていると嬉しい的な位置付けです。

ブリッジと玉型のバランスが素晴らしいです。ツーブリッジといえども、80年代のような野暮ったさは一切介在していないです。

他を載せようと思いましたけど、やっぱりまずは王道を載せておきます。

順次投下
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19.09.24

好きな順に直しています。今回はエッセルのナイロールです。

サーモントタイプのナイロールフレームは、以前にも書いたと思うんですけど、「堅いお方?柔和な方?どっち?」みたいな二面性があって良いです。服装のテーマを選ばない気がしております。ドシッとしているのに、サラッと流れる感じもあります。ダブルのスーツに近い雰囲気もありつつ、ワンピースの様なふんわりとした軽やかさもある感じです。

今回、初めてキャットアイ型の入荷です。めちゃくちゃ綺麗です。上のは、間違いなく両津勘吉と言われるんでしょうけど、それは単なる知覚ですから、そうですねと大人の対応をして、自分なりの感覚を加えてみたいところです。

貼り合わせた生地を削ることで、フロントからテンプルへの流れを、より強く演出しています。アイラインがキュッとなっていて、涙ボクロがポツンとあって、このメガネ越しに目が合ったら、キュンですね。これは、私の知覚を超えた妄想です。

この手のフレームは、レストアするのが非常に面倒です。サーモントのネジ穴の拡張にプラスでナイロールの糸替えもあります。

このフレームの時代ですと、デモレンズがガラスです。その状態でグリグリレンズを動かしていますと、金属部分にナイロンのレールが挟まっているんですけど、それも千切れかかっている場合があって、交換になります。

ボシュロム
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19.09.24

直してみました。先セルはニコイチして、フレームの緑青が暴れちゃっている方は、再メッキして先セルも鼻パッドも新品に変えて、自分で使う予定です。

ガラスのG15を入れてみました。途端に迫力が出るのは、テレビフレームと同じかもしれません。

で、ショックだったのが、右レンズに注目で、表も裏もチップが入っています。どこの作業で引っ掛けたのか。おそらく、機械から上がってきて、フレームに当てがってサイズを確認した際に、その取り外しで引っ掛けたのかと。

久々の凡ミスが余りのショックだったので、逆に晒しておきます。チップが両面に入った状態で、枠入れの際に面取りとコバ磨きをしております。これ以上、欠けが生じない処理は施しておりますので、試着は安全です。そのうち加工し直します。

他所のお店でガラスを入れてもらいました的なことで、メガネを見せて頂く機会が多いのですが、私が古参の方々に教えていただいた様な、チップが入らない処理を施したレンズに、出会ったことが無いです。そのときに、「何らかの衝撃等々で、小さな破片が飛ぶと危ないですよ」というのは、こういうことです。砂利みたいな感じでは無く、雲母のような薄膜の欠片なんです。目に入るところを想像すると、割と怖いです。

左は挽回していい感じです。

ギャップ萌え
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19.09.20

チョロ出しの2本目はこれです。皆さま、もうお気付きの通り、このデザインでフレーム名が「strong」という、出落ち感が全てです。大体、この手のデザインだと「elegance」とか日本人は好きなんでしょうけど、まさかの「strong」、強さでした。名前で最高だなと思ったのは初めてです。

とは言うものの、デザインもなかなか良いです。タートのlady・ann的な、モードな感じが滲み出ています。確かに、強いと言いますか、凛とした女性像が、このメガネから湧いてくる気がします。凛というのが英語で分からないので、まいっかstrongで、的な名前の決定だと嬉しいなと妄想しております。

良すぎるってことは無いんですけど
ヴィンテージのメガネ

19.09.20

インスタに、先行して物をチョロ出ししたんですけど、日本の仕入れがありました。先行分は、ボシュロム名義のフレームです。映画、タクシードライバーで、ダイナーにいる葉巻を加えた黒人が掛けているあれです。確か5秒くらいしか映らないんですけど、衝撃的にカッコいいのでそれだけでも見て下さい。オススメです。

せっかくブログで紹介するなら、無名のフレームが良いなぁと思うので、取り急ぎ60本のうち2本だけチョロ出しします。

まずはメタルフレーム。

ぱっと見、普通の男性用メガネです。業界では紳士フレームとか言ってます。でも、3秒くらいしますと、異変に気付くはずです。そう、ブリッジの気の抜け方です。

円柱のパイプが、レンズとレンズを繋いでいます。おそらく当時も製造メーカーには、ブリッジの汎用の型があったはずです。もっと普通にできたはずです。そう考えますと、このなんとも脱力感のある円柱のブリッジは、意図してここに鎮座しているということになります。

私はこれを見たときに、恐れ多くもtoo goodみたいだなと思ったんですよね。あぁ、ごめんなさい。よくわからない誰かに謝っておきます。

私がネットで見たのはコートで、焼き物で作ったボタンがごつんと付いていました。コート自体はウールの、大枠は綺麗な一般的にコートといったらまず頭に浮かぶような形で、唐突に、ボタンだけが陶器でデカイわけです。形と厚みは、まさにすいとんみたいな感じです。何をもってプリミティブとするかは、以前に書いたのでやめておきますが、都会的なものにそのプリミティブなものがごつんとあって、違和感が消去出来ない仕組みを内在していたことを覚えております。それと、革ひもで繋いだ、陶器の犬みたいなネックレスは、お客さんが着用しており、現物を見たことがあります。そもそもそれがtoo goodを知るきっかけだったと思います。その犬も、横幅10センチくらいありまして、土器を身にまとっているかのような、違和感の圧を感じたことを覚えています。

洗練され過ぎていない、そのような方向性を強く感じないという点において、このメガネは良すぎるということは無いと思います。頑丈に作ってありますが、精密さからくる上品さに掛ける部分がありますので、やはりtoo goodには及ばないのかもしれません。しかしあの円柱、図形としては小学生で習うくらいのものですし、立体物としてはまさにプリミティブな図形が(むしろ、正しくはプライマリーと称するべきかもしれませんね。)、何気無くメガネに添えられることで、いつまでも新鮮な違和感を醸し出していることは間違いです。それは、全てが普遍化する流れの中で、普遍化を拒む特異点のような存在であるということでして、それについては両者、同じような気もします。

ということで品番しか書いていない、日本の名無しのメガネでした。でも、わたしには素晴らしいフレームに感じられましたので、まずここに真っ先に載せました。先セルはバリバリに割れてしまうので、新品に交換予定です。長くなったので、2本目は次のブログに載せます。

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