カテゴリー:ヴィンテージのメガネ

ギャップ萌え
ヴィンテージのメガネ

19.09.20

チョロ出しの2本目はこれです。皆さま、もうお気付きの通り、このデザインでフレーム名が「strong」という、出落ち感が全てです。大体、この手のデザインだと「elegance」とか日本人は好きなんでしょうけど、まさかの「strong」、強さでした。名前で最高だなと思ったのは初めてです。

とは言うものの、デザインもなかなか良いです。タートのlady・ann的な、モードな感じが滲み出ています。確かに、強いと言いますか、凛とした女性像が、このメガネから湧いてくる気がします。凛というのが英語で分からないので、まいっかstrongで、的な名前の決定だと嬉しいなと妄想しております。

良すぎるってことは無いんですけど
ヴィンテージのメガネ

19.09.20

インスタに、先行して物をチョロ出ししたんですけど、日本の仕入れがありました。先行分は、ボシュロム名義のフレームです。映画、タクシードライバーで、ダイナーにいる葉巻を加えた黒人が掛けているあれです。確か5秒くらいしか映らないんですけど、衝撃的にカッコいいのでそれだけでも見て下さい。オススメです。

せっかくブログで紹介するなら、無名のフレームが良いなぁと思うので、取り急ぎ60本のうち2本だけチョロ出しします。

まずはメタルフレーム。

ぱっと見、普通の男性用メガネです。業界では紳士フレームとか言ってます。でも、3秒くらいしますと、異変に気付くはずです。そう、ブリッジの気の抜け方です。

円柱のパイプが、レンズとレンズを繋いでいます。おそらく当時も製造メーカーには、ブリッジの汎用の型があったはずです。もっと普通にできたはずです。そう考えますと、このなんとも脱力感のある円柱のブリッジは、意図してここに鎮座しているということになります。

私はこれを見たときに、恐れ多くもtoo goodみたいだなと思ったんですよね。あぁ、ごめんなさい。よくわからない誰かに謝っておきます。

私がネットで見たのはコートで、焼き物で作ったボタンがごつんと付いていました。コート自体はウールの、大枠は綺麗な一般的にコートといったらまず頭に浮かぶような形で、唐突に、ボタンだけが陶器でデカイわけです。形と厚みは、まさにすいとんみたいな感じです。何をもってプリミティブとするかは、以前に書いたのでやめておきますが、都会的なものにそのプリミティブなものがごつんとあって、違和感が消去出来ない仕組みを内在していたことを覚えております。それと、革ひもで繋いだ、陶器の犬みたいなネックレスは、お客さんが着用しており、現物を見たことがあります。そもそもそれがtoo goodを知るきっかけだったと思います。その犬も、横幅10センチくらいありまして、土器を身にまとっているかのような、違和感の圧を感じたことを覚えています。

洗練され過ぎていない、そのような方向性を強く感じないという点において、このメガネは良すぎるということは無いと思います。頑丈に作ってありますが、精密さからくる上品さに掛ける部分がありますので、やはりtoo goodには及ばないのかもしれません。しかしあの円柱、図形としては小学生で習うくらいのものですし、立体物としてはまさにプリミティブな図形が(むしろ、正しくはプライマリーと称するべきかもしれませんね。)、何気無くメガネに添えられることで、いつまでも新鮮な違和感を醸し出していることは間違いです。それは、全てが普遍化する流れの中で、普遍化を拒む特異点のような存在であるということでして、それについては両者、同じような気もします。

ということで品番しか書いていない、日本の名無しのメガネでした。でも、わたしには素晴らしいフレームに感じられましたので、まずここに真っ先に載せました。先セルはバリバリに割れてしまうので、新品に交換予定です。長くなったので、2本目は次のブログに載せます。

これ持っていきます
ヴィンテージのメガネ

19.09.13

ヴィンテージのメガネなんですけど、foster grant です。前も載せたかもしれません。

このメーカーは現存しております。ちゃんとインスタやってまして、その紹介文は「Stylish eyewear at an affordable price since 1929」となっています。カッコよくて安いと宣っています。業界では「吊り下げサングラス」と言ったり言わなかったりしますが、例えば回転ディスプレイに掛かっているタイプのお値打ち価格のサングラスを作るメーカーです。

それは、作りからも明らかです。

はめ殺しタイプです。ネジ留めではありません。ただし、今回もリムをこじ開けずに、傷だらけのアクリルレンズをCR-39に交換しております。やり方はひみつです。

色々ありまして、めっちゃカッコいいけど、ブルバキが販売していいクオリティなのか?とか、度付きは厳しいなあとか、鼻パッドが一体物でカッコいいんですけど、フィッティング不可だなとか。店頭では隠していました。まあでも、とりあえず難しく考えずに持っていきます。

こういう、ギリギリのきわっきわ、本物のチープさも良いですよね。そもそも、この手のものは遺そうと思う人もいなかったでしょうし、デッドストックにしても多くは湿気で緑青が浮いてダメになっていたりしますから。チープな作りであるからこそ、残っているということが奇跡なわけです。うーんたまらないです。

実は終わっています
ヴィンテージのメガネ

19.09.11

月曜日お渡しの分は、今日で加工が終わっております。ということで今週の金曜日にお渡し可能なんですけど、金曜日は出張の準備もあって全員お越しになるとややパニックですから、ここでこっそりアナウンスしておきます。早めにお渡し可能です。

これが難敵でした。Sol-Amorです。完全に「勝手にしやがれ」の世界観です。フォレストの50〜75%くらいのレンズを入れても良さそうですが、今回はクリアにて承りました。

ブリッジに刻印

フレームの傾斜が凄いです。25度くらいあるのかもしれません。頬に突き刺さります。頑張って10度〜15度くらいまで起こしました。

鼻パッドの角度も変えないといけません。高さを一杯一杯まで出した上で、鉛直方向にパッド先を向けたいところですが、そこまで先を下げると、正面から見たときにリムを超えるので、やや甘い設定です。

比較すると歴然

先セルは交換です。まだ使えなくは無い状態ですけど、やや黄色く劣化していること、摩擦が一切生じない構造でフィッティングに難があることから、交換です。

初期装備

枠入れが冷や冷やです。プチっと切れそうなくらい細いので。

リムが歪んでいるので、さっと温める程度で熱を入れます。フレームカーブとレンズカーブを合わせて、なんならチルトをかけて差を1カーブ以内にしております。これくらい気にかけておけば、はち切れ無いはずです。

細さが肝ですね。このデザインで、まだ上品が勝っています。現行のは、耐久性や加工のしやすさから、リムもフレームも全部が一回り太いですからね。

穴明け
ヴィンテージのメガネ

19.09.05

持ち込み。フルビューのニューモントタイプですね。

穴あけるだけなんで、加工自体は普通のメガネと変わりません。ただ、当時の精度というものを把握しておく必要があると思います。ヴィンテージ=失われしクラフトマンシップの塊=至高みたいな感覚ですと、痛い思いします。

穴の高さが左右で違います。あと、今回の持ち込みは中古でしたが、ブリッジも傾いておりました。というよりも、全体を操作することで上手く均衡を得ようと試みた形跡があります。当時は加工機も無いですし、レンズがぴっちり0.1ミリ単位で同じということも無いでしょうし、全てがほどほどで良かったんだと思います。現在はダメですね。レンズが綺麗過ぎて、左右の対称性の崩れが目立っちゃいます。

ということで、ネジの位置は諦めてブリッジを水平に戻しております。これが一番分かりやすいズレなので。もちろん、そのネジ位置に置いて、光学中心がそれぞれ狙った位置にくるように、ほじほじと穴をあけています。

どうしても巻きつるの部分はダメになっちゃいますから、今回はシリコンチューブを巻きつけて目隠し且つ掛け心地の改善をしております。

下拵え
ヴィンテージのメガネ

19.08.27

ガラスのレンズを入れる前に、プラを入れてます。ガラスは待ち状態。お持ち込みです。

というのも、フロントがカーブ0なので。真っ平ら。ではフラットレンズ入れるべきか?と言われれば多分そうじゃなくて、ただカーブが初期で付いていないだけだと思います。ヨーロッパでその年代であれば、まず近視ではなく遠視で使われるでしょうし、であれば凸レンズです。収差の問題でカーブはおそらく深いはずです。

値段がアレらしいんで、いつもはしない下拵えです。プラのレンズを入れて、フレームにカーブをつけます。念のため。外付けの蝶番、熱入ると直ぐにガタつきますしね。

修正後。レンズが40ミリちょっとなので、カーブが浅いように見えますが実際は5カーブ。これつけておくだけでも、枠入れが違います。そりゃスコンと入ります。

クレイジーパターン?触ってて気づきました。ブルックスのシャツみたいですね。

スペイン製
ヴィンテージのメガネ

19.08.20

イレギュラーで少量、日本から仕入れています。上はレイバンのラージメタル風で、下はAOの何とか(忘れました)風です。傾斜は抑えめ、鎧智なので70年代のそのままっぽく、色無しのメガネで掛けるとフニャッとした雰囲気が出てカッコ良さそうです。

ちなみにスペイン製です。久々にお目にかかれましたスペイン製。ドイツやフランスから輸入することが多かったはずですが、当時の日本はスペインからも輸入していたようです。村井が入れていたと聞いていますが、カタログ等で裏取って無いので未だなんとも。

ツーブリッジ、やっぱり流行らなかったですね。ボストン型にトップバーが付いたタイプはそこそこ見かけましたが、ツーブリッジガチ勢は、ブルバキ周辺だけかも。そこが良いですよね。掛けたらすぐに、まあまあの異端になれるんで。

タクシードライバー
ヴィンテージのメガネ

19.07.24

デニーロの映画の方です。あのサングラスについて。特に形状について実験してみます。

イージーライダーとタクシードライバーは、今もサングラスの問い合わせが多いので、さすがに見とかないとそれはヴィンテージ眼鏡屋としていかんなぁという動機で見ました。ともに面白いです。あとは、タクシードライバーでいえば、M-65の着方とかアルミジップって良いよね的な方面も面白かったりします。

それで、冒頭のアレになるわけです。普段は積極的に扱っていないアメリカンヴィンテージの、ランドルフのフレームです。ちなみに積極性が無いのは、他がやっているのと、店頭に出した時の価格のバランスと、あとはこれが一番だと思うんですけど、これまでのカッコいいの蓄積がありすぎて新規参入のブルバキがいまさら言わなくても…というところです。ブルバキで付け足せるカッコいいの余地が無かったです。

とか言いつつですね、訳あって手元にランドルフがあります。ちなみに、デニーロはランドルフなのかAOなのか論争等々あると思うんですけど、そこには触れません。今回考察したいのは、形状です。

ランドルフだろうが、AOだろうが、レイバンだろうが、ジェネラルだろうが、比べてみてもさほど変わらず、上のようなツーブリッジです。注目したいのは、レンズとブリッジの関係で、レンズは耳側に釣り上がり、上段ブリッジは水平かやや反り上がっています。

検索で「タクシードライバー サングラス」とか「タクシードライバー デニーロ」で調べると、モヒカンにしてサングラスを掛けたデニーロが画像で出てきます。それを詳しく見ますと、レンズ耳側が水平もしくは垂れ気味で、上段ブリッジはやや膨れ上がってアーチを描いているように見えます。角度によってそれぞれの具合が変わってきますが、やはり全体の雰囲気はティアドロップのような、程よく垂れ目のように見えます。

さらにその周辺を調べますと、曲げてフレームにオリジナリティの味付けをした説が出てきます。たしかに、私より上の世代になりますと、フレームをわざと怒らせたり(ツリ目にさせる)泣かせたり(ティアドロップぽく垂れ目に)して、改造する方もいらっしゃいます。セルフレームは基本、全部怒らせちゃうみたいな。デニーロがそうしたかどうかは不明ですが、真正面を捉えた写真を見ますと、下段ブリッジが斜めにひしゃげており、味付けというよりキャっ!と尻で軽く踏んだ的な、ハズキなら防げたであろう単なる歪みというだけの話かもしれません。

そんな話をしていましたら、おそらく80年代のランドルフが貰えました。レンズサイズが57ミリだからだと思います。ブルバキに期待されていることはただ一つ、眼鏡屋として綺麗に、下段のブリッジを歪めず垂れ目の味付けが出来るかどうかです。改造しろと、誰も居ないのに聞こえるわけです。デニーロに近づくには、おそらく味付けが不可欠です。

(味付け後)
(味付け前。トップ画像と同じ)

結果を先に貼っておきます。出来ました。コツとしては、レンズを掴んでそのまま曲げるとロー離れ、または下段ブリッジの型崩れを起こしますから、レンズを外して行うことです。

変更の順番としては、①下段ブリッジの横の開きを2度ずつくらい閉じる②上段ブリッジを真ん中で摘んで引っ張り、アーチを整える③リムの形が①と②の影響で崩れている為、ある程度整える、です。③に関しては、そもそもアメリカのフレームは左右非対称なことが多いので、神経質になる必要も無いです。大体で良いでしょう。ちょっと気合い入れ過ぎて、垂れ目にし過ぎました。

ただ、それによる代償もありまして、レンズがリムに沿わなくなります。周径が一緒なので嵌らなくなることはありませんが、微妙にフカフカ浮きます。面取りとコバ磨きをしっかりして、欠けが生じないような配慮は欠かせません。

外れることはなさそうなので、レンズはとりあえずそのまま。グレーが入っているので、G15のガラスに替える際にキッチリしたレンズにし直せば良いでしょう。

雰囲気は、中々近いのでは無いでしょうか。腕組んでニヤニヤしたい感じのサングラスになりました。

願望込み
ヴィンテージのメガネ

19.07.23

フォックスフレームまでいくと、マリリンモンロー的なセクシーさが付加しすぎるのでNGというのであれば、これくらいの程よい小悪魔さ、可愛らしさのフレームならいいかもしれません。

男性もいけるのかも。ダブルのスーツとかに良さそう。あまりにもサーモントフレームの紹介が続いたので載せます。

例題
ヴィンテージのメガネ

19.07.22

トップの画像のフレーム、めちゃくちゃカワイイんです。小ぶりで色も形も良いです。なんかエロい表現になりました。小説を読みすぎたのかもしれません。珍しいオーバルのサーモントです。FPD66です。レンズ50ミリとなると、ブリッジが狭いので、おそらく女性用です。

かわいらしいし、雰囲気も良くて披露したいのは山々でしたが、一切の情報が無く、半年ほど値付け出来ずキープしていました。金の光沢とフレームのくすみ具合から、おそらく金張だと推測はしていました。ただ、もしメッキだったときに、値段を多く取りすぎてしまうケースが生じてしまい、それはイカンなという考えがありましたので、引っ込めていました。明朗会計のブルバキです。

(左右テンプルに刻印なし。先セルに50のみ)

情報が一切無いと書きましたが、実際はブリッジに刻印があります。

(大きく載せておきました。丸に文の刻印があります。)

写真だと分かりにくいですが、実物は深く綺麗に、丸に文のマークが刻印されています。先ほどの一覧、上から二つ目に「石福金属興業株式会社」の金張商標と記載があります。そうなんです、これが鍵だったんです。古のフレームメーカーかと勘違いしていました。

(再掲)

さすがに、これには日本の美学が詰め込まれすぎて驚きました。わびさび過ぎます。刻印の意味を知らない場合、フレームを見ただけでは、金張かどうか確信持てませんね。美学と陶酔することも無く、さすがに金張としっかり書こうよ!と、突っ込みたくなりました。それに所有欲もね、物に金張と書いてあると無いとでは違いますから、書いて欲しいですよね。

ちなみに、以下は推測です。当時、フレームは吊り下げの飾りが付けられて、店頭に並んでいることが多いです。

コレはSPMのアピール用で、こういうプラスチックの飾りがフレームに添えられています。なぜか手元に無くて残念なんですけど、一度、田中貴金属の金張と書かれた札は手にしたことがあります。記憶ではその札に、カラットと厚みが記載してあったと思います。試着の時に邪魔なので、納品時に添えられていても値札をつけるときに取っちゃうお店も多かったのだと思います。

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